大介の罪と罰(華麗最終回感想A)

March 22 [Thu], 2007, 0:59
「華麗なる一族」最終回、少し話の流れに沿って、突っ込み等入れながら見て行きます。
「鉄平の死」をどう受け止めていいのか、まだ良くわからない。細かく見ていくことで、何か見つかるかもしれない・・・。

否定し去りたくもあるんだけど(自分に関わる人にこれをやられたら堪らないから)、自殺という行為を含めて鉄平を抱きしめてやりたくもなる。


【上を向いて歩こう】
阪神特殊製鋼集団の明るい単純さはいつも笑えたのだけれど、今回は総決算。
裁判が銭高常務の発言によって有利に傾き、工場はキャンプファイヤーの如き賑わい。
「上を向いて歩こう」を肩を組んで合唱するのはクサイけれど、銭高常務が顔を紅潮させて嬉しそうに混ざっているのがいるのが白々しさを救っている・・・・。

しかし阪神銀行側の仁義なき(情愛なき)戦いは続く。帝国製鉄の和島を破産管財人にして、なおかつ役員は一之瀬工場長以外はすべて解任。管財人として、裁判の提訴を取り下げる。

労組の集会よろしく、従業員が集まって騒いでいる。例によって妙に行儀が良く、体育館の床に枠線でも引かれているようにまとまっているのがオカシイ。
オレンジ色のつなぎに、見事に同じ着こなしの首の白タオルの巻き方。(タオルは白い丸首Tシャツに入れるとか)。なんかツボにはまって笑えてくるのだ・・・。手を挙げて「専務!専務!」と駆け寄ってくる人々の演出がどうにも稚拙で・・・・こういうのが「華麗」に感じる脇の甘い演出だな。

鉄「君たちの気持ちは痛いほど良くわかる。だが君たちはこれからも鉄を作っていけるんだぞ。鉄鋼マンが寂びてどうする!」
クサイ説教がちゃんと心を打つ現場なのだなぁ・・・。
鉄「僕の夢だった高炉、君たちの手で完成させて欲しい。そしてもう一度、この工場の煙突の煙を僕に見せてくれ」
労働者の暴発を抑え、自分の役割を見事に締めくくった。

不利になった裁判を奥の手でひっくり返す大介側の手腕は見事だと思う。謀略=小気味のよい奥の手。
全面戦争とはこうでなくては。
和島役矢島さん、色気のある悪役も似合ってます。

解任された鉄平には対抗する何の手段もない。
実はないこともない・・・相子の存在をばらし手記を書いて週刊誌に売りつけるとか汚いのが。
しかし鉄平はそういう手は使えない。「父に愛されたいと願い、父に誉めてもらいたくて」生きているACだから。

【銀平の裏切り】
鉄「銀平、本当のことを教えてほしい、万俵大介の本当の狙いはなんだったんだ?」

大同銀行が阪神銀行へ吸収合併されることが、大蔵大臣から三雲に告げられる。
三雲に仕掛けられたクーデターが明らかになる。
クソ落ち着いた綿貫に、怒りをぶつけるしかない三雲。
今回の柳葉さん凛々しいです。いつも口と頬の演技が冴えてますが、負けっぷりも潔い。

苦しげに鉄平へこの事態を説明している(であろう)銀平。
鉄平は一番の理解者を奈落の底に突き落としてしまった・・・。大川に続いて。

銀平は鉄平を裏切ったことになる。それなのに、鉄平は銀平を責めなかった。酔っぱらって二度も夜の阪神特殊製鋼に現れて、何かを伝えたかった銀平の気持ちだけは伝わっていたんだろう。

鉄「ありがとう」
鉄平は店を出て行こうとする。振り向く銀平。
銀「兄さん。もう兄さんが何をやっても無駄なんだ!すべてはもう決まったことなんです」
最終回の最初の涙腺決壊ポイント。鉄平が銀平に言う
「お前はもうずっと前から分かってたんだ。辛かったろ。悪かった」

これは、最終回における鉄平の「関係の切り方」パターンなのだ。今や誰も責めない。もういい。すべて悪いのは僕だ。悪いことは自分が背負って、相手を取り残す。

大介の片棒を担いでしまったことで、鉄平にもはや取りすがれなくなった銀平。
それが余計に兄を孤独にしたかもしれないのに。

【将軍池での対面】

万俵家の広い庭で、二人が今回始めて父子が対面する。
鉄平が大介のやり口を汚いと責める。
大「私も経営者として間違ったことをしたつもりはない。それだけだ」
鉄「どうしたら僕の思いがあなたに伝わるんですか!」

大「(銀平を見て、心から不思議そうに)お前は、私に戦いを挑んだんだよな・・・?私は食うか喰われるかの覚悟で、なりふり構わず戦った。なのにまだお前は、そんな甘い理想を振りかざすのか」

大介の言うことは正論だ。鉄平が母を傷つけてまで「心おきなく戦えます」と言ったのだ。
しかしこの後、二人の会話は愛の負債を求め合うものに変わってしまった。
ここが「華麗」の人間関係のツライところだ・・・・。番組の直前で、風林火山の武田親子が手本を見せてくれているのに。
「義が先。その後に情を語れ」「私利私欲で恨みを持ってはなりませぬ」
しかし、鉄平の行く先が、もう一つの晴信の姿なのかもしれない。

鉄「その理想のために僕は戦ってきたんです!」(喚く)
じっと鉄平を見つめる大介。悲しげでもある。

大「死んだ爺さんが良くそんなことを言っていたよ。爺さんは私よりお前の才能を高く買っていてな・・・」
鉄「僕が本当にあなたの息子だったら、こんな戦いはなかったはずですよね。(略)僕は普通の家族でいたかった。ただそれだけです」(感情が高ぶる)

大「私だってそう望んでいた・・・だが、お前は生まれてしまった」
鉄「僕が・・・・生まれなければ」(新たな衝撃が鉄平を襲う)

大「正直そう思うことがある。(略)私も理性ではお前を愛そうと努力した。だが、感情がそれを許さなかった」
悔しさに目に涙を溜め、睨みつけることでかろうじて自分を支える鉄平。

大「この苦しみはどんなことがあっても一生消えることはない。それがお前と私が背負った宿命だ」
(そんなのアンタの妄想だ!反復継続して塗り固めてきた物語だ!)

自分の言葉が鉄平を死の際まで追い詰める可能性を、大介は感じなかったのか?
それほど鉄平を器の大きな人間だと脅威に思っていたのか。敬介を重ねすぎて。

もう鉄平は将軍を呼ばない。めちゃめちゃに石を投げ入れる。
何度も。何度も。悔しげな涙をにじませながら。
石を投げる鉄平の姿に、また泣かされた。

「二人の父」に翻弄されてきた鉄平。
敬介がこれほど大介を苦しめてきたのか。父親に苦しめられている今の自分のように。
ほどけない苦しみの根源は、敬介の子である自分なのか。

万俵家の広い庭も見納めだ。
この庭はなんて不思議なんだろう・・・・神戸の港も町も工場も、自分の庭のように一望できる。
しかし、そこにこれまで見えていた工場の煙も、自分の未来も夢も、もう何も鉄平のものではない。

【鉄平失踪】

クリスマスイブの夜、鉄平が雑踏の中で大川家の早苗に電話をかける。
第1回のはじめの賑わいに比べると、神戸の町もずいぶん人が減っている・・・(予算のせい?)

「太郎、お前は強い男になるんだぞ。・・・・いい返事だ。約束だぞ。ママに代わってくれ」
「あなた、あなた今どこですか?」気丈に、声を励ますように早苗は言う。「あなた!」
「早苗。・・・・・・・・・・・・メリークリスマス」
すごい早口で言って電話を切る。三度目の涙腺決壊。

バカバカ。早苗に甘えてしまえ。ダメな男になって早苗の元へ帰ってくれ・・・・。

「てっちゃんは大丈夫です。必ず戻ってきます・・・」
芙佐子の優しさよりも、この早苗の素直さと気丈さに打たれる。他人の親切に心を閉ざすことがない。この早苗のためにも、可愛い。可愛い太郎のためにも生きて欲しかった。

鉄平は丹波篠山に入っている。雪の中あちこち歩き回り、もやの中、水鳥(鴨)の群れを見る。
今何を考えているんだ・・・・?
鉄平がすぐに死ななかったこと、死までに数日間1人で考えていたことがとても重たく感じられる。

【イノシシを求めて?】
「若旦はん、今日も獲物は見つかりまへんでしたか?」
「ああ、なかなか出くわさなくてね。でも、白い雪山の中歩いていると、いろんなものが洗い落とされて心の中まで真っ白になるみたいだ」
山小屋の市太じいさんに、ジェームス・バーディを抱えた姿が先代に瓜二つだと言われる。もういい。そんなことは・・・。
鉄平はイノシシを待っていたのだ・・・。それで何が変わるのだ?

山小屋で一人手紙を書く鉄平。そのまま朝を迎える。書き終えて、阪神特殊製鋼の作業着を着る。

【鉄平の遺書】
鉄平から早苗への手紙。
>僕は今、丹波の山の中にいる・・・・・。
>僕の思いが父に届かないと分かってから、僕は、今の自分が何ができるか、そればかりを考えてきた。早苗、すまない。結局僕は自分勝手で、卑怯な方法を選ぶ。本当に申し訳ない。


全く自分勝手で卑怯だ。そう分かっていながらなぜ死んだ?
(以下、鉄平の死の瞬間までは前の記事)

番宣でさんざん見たが、早苗の身も世もなく号泣する姿は美しい。

大晦日、大阪神・大同合併の合同記者会見が開かれる。銀平が大介の斜め後ろに一歩下がって控える。三雲はこの席には居ない。
会見中銀平に渡る一枚のメモ。銀平が進み出て大介に渡す。鉄平が死んだ。

静かに棺の安置された部屋へ向かう大介と銀平。
既に揃っている早苗、一子、二子、寧子。
銀平が棺に駆け寄る。「にいさん・・・」

そこで死亡診断書が渡され、B型だと分かり、鉄平が紛れもなく自分と寧子の子だとわかる。
泣き崩れて謝る寧子。
「なんという残酷な・・・」と大介。

バカバカバカバカバカバカバカ・・・・!
A型かB型かなんて、初めからどうでもいいことじゃないか!肝心なのは、愛したかどうかだけだ!

愚かにも囚われ続けた大介に、今こそ本当の罰が下された。
あんなに、あんなに微笑みかけてくれよと目の前で叫んでいた鉄平に、敬介の面影を重ねて避け続けた。どうして一度も受け入れてやらなかったんだ!

「兄さんを殺したのは、僕とお父さんです・・・」
銀平のセリフは、自責の念でもあるが、大介への優しさだ・・・・。衝撃の大きさに、父親が耐え切れるか心配で、とっさに荷物を半分持とうとしたように思える。
1つくらいファンっぽいことを言えば、耕史君が作り上げてきた銀平様は、そういう形で優しさを示す人だと思う。

一人、棺の前で鉄平の最後の心と対面する大介。
>思えば、僕の人生の中心にはずっと父がいた。僕はずっと、父に愛されたいと願い、父に誉めてもらいたくて、人一倍勉強もし、仕事にも打ち込んできた。もしかすると鉄作りに熱中して必死で夢を追いかけたのも、その満たされない思いを埋めるためだったのかもしれない。(略)
もしかすると、父もまた僕が生まれたせいでできた心の傷を埋めるために、合併と言う大きな野望を抱いたのかもしれない。
>すべての不幸は、僕がこの世に存在したことが原因だ。僕の存在が万俵家の家族やそれに関わる周囲の人々を苦しめてきたかと思うと本当に辛い。
>本来、僕は生まれてきてはいけない人間だったんだ。なのに、母は僕を産んでくれた。感謝の思いでいっぱいだ。おかげで素晴らしい夢を見ることができた。夢を追ったこの二年は僕の誇りだ。そして迷惑をかけたすべての人に心から詫びる。これを機に、父にも母にももう楽になって欲しい。僕の死を持って、万俵家の忌まわしいことすべてが終わりを告げると信じている」
>憎み合っていても、血はつながっていなくても、僕の父親は万俵大介だった。せめて一度でも、お父さんに微笑みかけて欲しかった。
(この遺書にも少し謎がある。母親に対する心の闇が、表面の感謝で塞がれている。生を得たのは大介のおかげでもあるのに)。

鉄平を見下ろし、頬に手を添えて慟哭する大介がすごい。慟哭しそうで、それでいていまさらながら微笑みかけよう、としているような・・・・・。
「鉄平・・・・・鉄平・・・」

葬儀と後日談については、次に。
Comment
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー 絵文字 プレビューON/OFF

不正な自動コメント投稿を防ぐため、チェックボックスにチェックをしてください。

利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。

月子さん、私も「組!」を思い出しました。山南さんと対立して苦悩する、あの頃の山本土方が一番好きでした・・・。
>そこが原作とは違う山本銀平の銀平たるところ
改めて原作を読むと、少なくとも銀平に関してはドラマの方がずっといいですね。上巻のマザコンっぷりはもっと出して欲しかったところですが、他の登場人物の切られまくりに比べると、爆発の時絶叫したり、鉄平とのツーショットがかなりあったし、大亀専務とのシーンも良かったし、肩を揺すぶられたり首を抱え込まれたりと大介とのスキンシップも良かった・・・。
それにしても、恋愛の達人であると言われながら、ドラマでは男とのツーショットの方が常に良く見える耕史君って不思議です・・・。

>「鉄鋼マンが錆びてどうする!」
で涙腺決壊とは、それだけ木村鉄平の気持ちに入り込んでいたか、やっぱり疲れているのかも・・・。でも、ああいうセリフに「玄さん」がほんのり見えるので、あの泣けた第6回が尾を引いているような気がします。

3月31日の翌日は日曜、良かったですね・・・。平日を選んだ私は、感動と言うより衝撃で翌日本当に何もしたくなかったです。

by きのこ March 25 [Sun], 2007, 2:19

 「兄さんを殺したのは僕と父さんです」
この銀平の台詞を聞いたとき組!の歳を思い出して
耕史くんが(役柄上ね)間接的に殺した人間ふたりめ〜♪と脳天気な事を考えていたのは私だけですね、きっと。
そっか〜そうですよね、父親が背負っていく荷物を半分持ってあげようとした・・銀平ってとっさにそういう判断ができる優しいヤツなんですよね。そこが原作とは違う山本銀平の銀平たるところ。私は憎もうとしても憎みきれない父親を絶望の崖っぷちから突き落とす為の台詞のように解釈していたのだけど、きのこさんの解釈の方が正解(というかそうであって欲しい)な気がします。
 このドラマ、最後の最後まで納得いかなかったり歯がゆかったりする脚本でしたが、やはり最終回は泣かされました。
しかも鉄平の「鉄鋼マンが錆びてどうする!」と従業員を叱咤するというコテコテの場面で涙腺決壊してしまい、我ながらびっくり。なんだかんだ言いながらも木村鉄平にも思い入れがあったのでしょうか。それともただ単に実生活で会う人毎に「月さん、疲れてる?」と聞かれるほどに摩耗している体力と気力の低下によるものでしょうか?もし後者ならばヘド耕史なんて観た日にゃ、周りがドン引きするほど泣いてしまいそうで怖い(苦笑)

by 月子 March 25 [Sun], 2007, 0:51
プロフィール
  • プロフィール画像
  • ニックネーム:きのこ
読者になる
最新コメント
nemo
» ホームドラマ復活??2017年1月期ドラマ序盤戦 (2017年02月03日)
きのこ
» 2016年連続ドラマmyベストテン発表! (2017年01月31日)
nemo
» 2016年連続ドラマmyベストテン発表! (2017年01月24日)
nemo
» なぜ石田治部少輔はこんなにも嫌われるのか (2016年09月15日)
きのこ
» 2016年夏ドラマひと月め (2016年08月06日)
nemo
» 2016年夏ドラマひと月め (2016年08月04日)
きのこ
» 陛下の思いが実りますように (2016年07月24日)
レーズンパン
» 陛下の思いが実りますように (2016年07月22日)
2007年03月
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
P R
旧館
としずきん妄想:「新選組!」再鑑賞日記
月別アーカイブ
ブログポリシー
コメント・リンク・トラックバック大歓迎です。過去記事へのコメントにも喜んで飛んでいきます。スパムに関しては予告なく削除させていただくことがありますのでご了解ください。
お友だちのお店です
サンウィッチハウス チーズアンドオリーブ