2007年3月18日 PM8:00〜10:30

March 19 [Mon], 2007, 2:55
さて、ついに「華麗なる一族」最終回(第10回・90分スペシャル)が終了しました。
ちゃんとした感想はもう少し後で・・・・今は、この二時間半に受けたものが大きくて,まだ揺れている感じです。

昼の「華麗」最終回特番は、完全にダイジェスト版だったのですが、ちょうど良くおさらいにもなり、早めにお風呂に入って精進潔斎(?)してました。
そこで悩むのがやっぱり「風林火山」を今見るか、録画して後で観るか、夕食時についていることもあり、まずいかなと思いつつもやっぱり面白いので見てしまうのでした。

それが参った・・・・!失敗というべきかもしれない・・・・しかし、明確な「図」が見えてきたことでは収穫にもなりました・・・。

【日曜夜の相克】

三週くらい前から、日曜夜の「風林」と「華麗」は酷似し共振しあってるような気がしてならなかったのですが、今回はまた格別。
テーマが重なっているだけじゃなく、クライマックス(風林は序盤のラストでしょう)を「華麗」最終回に当ててきた感じ。緊迫した濃密な45分でした。

以下、この感想はどちらのファンにとっても疑問な点を多く含むのかもしれませんが、なんで同日に・・・と思いながら毎週両方観ている人には、頷かれる部分も多いのではないかと思います。
特に今夜合いまみえて衝撃を与えてくれたこの二作品に敬意を表するのなら、自分のこの正直な気持ちから書いていくしかないと・・・・。

【「風林火山」第11回】

「愛と憎しみの輪舞曲」以来、「華麗なる一族」の悲劇の原因はなんだったんっだろうと考えていたのですが・・・。
最終回に先立って、この「風林火山」11回に、1つの「答え」を見つけてしまったような思いでした。

親から受けられなかった愛への恨みも、甘えたい気持ちの裏返しとしての憎しみの感情にも、時代は離れていてもそんなに違いはない(いや、違うのかもしれないが風林火山とて、現代の心情をベースに作ってあるから)だろう・・・。
違うのは、外的規範と内的心情と、どちらを優先すべきかなど・・・・。この時代、仁義礼忠孝の儒教倫理はまだ浸透していないと思うが、為政者としての民を守り国を続かせると言う使命は忠孝の道にまさる。

私情を優先してはならない。恨んではならないと母の大井が言うとおり、愛されなかった恨みからではなく、大義(甲斐の国)のため敢然として父親を切り離す。家臣団も見事に晴信を選び、他国の脅威を思えば一致団結すべきだとの決断を下した(田辺誠一小山田に見るように)。

自分の気持ちはどうするか・・・と言えば、「胸に畳む」のだろう。武士は身を修める。感情は滅多に表に出すべきものではない。「自分一個」より「大義」に生きるのが男というものだ・・・。国を潰してはならない。親や主君も大事だが、時と場合によっては血肉合い争うことも珍しくない。

もちろん、時代劇だからできることなのかもしれない。
しかし、「華麗なる一族」悲劇に対する答えの1つが、ここに一個あるのは確かなのだ。
一億大衆化した昭和に武田信玄時代の常識を当てはめることなど出来ない。しかし、情と義(ビジネス?)を切り分けられず、ごっちゃにしているところが今回の華麗なる世界だと思う・・・。

【信虎追放劇】

戻ろうとした甲斐の国境で、いきなり矢を射掛けられる信虎たち。
晴信が叛いたのみならず、寵愛した次男の信繁も兄に従い、「虎」の一字を与えた忠臣たち(甘利虎泰、飯冨虎昌、諸角虎定、原虎胤)も晴信にしたがって叛いた。

1人門の外に隔てられ追放を宣言された信虎。
晴信「父上、これより一足たりともこの甲斐領内に踏み入ることなりませぬ・・・・父上は駿府にご隠居いただきます!」
反乱の門の上に信繁を見たときの信虎の顔がすごい。(銀平に裏切られたら大介もあんな顔をするだろうか)
信繁「父上、お許しくだされ!父上が作られし甲斐の国は、兄上が元で我らがお守りいたします!ご案じ召されますな!」
信虎「信繁!・・・晴信・・・!」

茫然として、涙を溜めた目で遠くを見るような表情の信虎。弱さと諦念。どうしても黒沢映画「乱」の仲代達矢を思い出させる。

◆◆
弟の信繁も立派である。
信繁「私の家督は、兄上の廃嫡が成された場合にのみ成されるもの」と義を述べてから、自分の情を述べた。
信繁「それがしはつろうございました。それがしが父上のお心に敵うように振舞うことを喜んでいたと思われますか。父上は兄上の器量を恐れております・・・家臣とて、それは承知しておりましょう・・・兄上、よくぞご決意なされた、よくぞ叛かれた!」
晴信「信繁、わしは今日ほど己が身を恥じたことはない・・・許せ信繁!」
晴信は、場合によっては対決を予感していたのであろう・・・。愛情を弟に取られていたとの寂しさから、弟の気持ちを読み取らなかった自分を恥じている。

これは、理想形なのかもしれない・・・・鉄平と銀平の。
兄が父に勝ってくれれば・・・僕も兄についていった。しかし兄が裁判で結局敗れたということは、廃嫡が成されたと言うことだ。そうしたらしっかりと万俵家をついで行かねばならない。
信繁はその覚悟だっただろう。晴信が廃嫡されれば、気持ちは胸に畳んで家督を継いだであろう。・・・・銀平はどうだったか。

◆◆
母上も見事である。
「晴信、この国を慈しむのであらば、私怨や私欲に縛られてはなりませぬぞ。恨みは持たずに参りなされ。父上を超えて行きなされ」
鉄平は私怨や私欲の塊だったといっては酷いのか。
「どうして僕を愛してくれなかったのか、せめて一度だけでも微笑みかけてくれなかったのか」と問う気持ちは真摯で心を打つ。
一度「これでお父さんと心おきなく戦えます」と陣を分かったからには、戦って、超えていって欲しかった。老獪な策に敗れたとはいえ、「負けた」からにはこれを認め、妻子とともにささやかに生きていって欲しかった。「父が僕を受け入れてくれなかった以上は」じゃなく、「負けた以上は」と言うべきじゃなかったんだろうか。全力で戦ったのだから。
「僕が生まれてこなければよかった」と言うところまで追い詰められている鉄平には同情するのだが・・・。

勘助のミツへの思いの迸る信虎との対決・・・は今は横において、

◆◆
父親信虎も大したものだった。
仲代達矢は「乱」で一度やったとおりの役柄。かつての「大目玉」の力は弱まったように思えるが、哀愁漂う弱さや狂気は凄まじい表現力である。
「今川め・・・・・わしを討ったところで甲斐は滅びぬ。晴信が居る・・・・・わしが厳しく育てた。あのような猛々しい武将を。いずれ駿河を切りとり、天下に号令をかける、わが武田家の長男武田晴信だ・・・覚えておけ、覚えて置けよ・・・・」
えっ?そうだったの?
あれらの仕打ちがすべて教育??これぁ海原雄山もびっくりだぁ・・・・!!

しかし父親とはそういうものかもしれない。子に負けまい負けまいとしていても、いざ負けてみると、「良く育ったのう」とさばさばした気持ちになるのかもしれない。甘くしなかった自分のやり方も誇れるものに思える。「子に負けて去る」のはそんなに不幸なことじゃないだろう。子と死闘を繰り広げ、そして自分が勝って子が負けて死んでしまった場合・・・・父はとても喜ぶことは出来ないんじゃないだろうか・・・。

左目の刀傷から赤い血が流れているのが痛々しい。これもまた、万俵大介が鉄平に誤射された左こめかみの銃創を思わせる・・・・。

【9時からは「華麗」最終回】

すっかり「風林」世界にやられ、8:45から9:00の15分で予定通り皿を洗いながら、テーマ曲を力強く歌ってしまいました(歌詞はないけど)。

うーん、これは「華麗」側にとってキツイ展開じゃないかと思いました・・・・。戦国の世の小気味のよい親子クーデターと比べ、華麗の愛憎切り離せないぐちゃぐちゃの戦いは人間の弱さ醜さがリアルすぎる。拡大された時間も、テンポのよい「風林」に比べ、冗長になるのではないか。

主力にしていた「華麗」感想の前ですが、いったん中入りとさせて頂きたく。

ただ、「風林火山」では特に泣かなかったけれど、「華麗」最終回では泣きました。
最初の涙腺決壊は、鉄平が銀平に「お前はずっと前からわかったのか・・・辛かったろう」というところ。
「風林」の見事さに感服したけれど、自分の弱さは多く「華麗」に見えました。

北大路さん、すごい表現力でした。
木村拓哉さん、鉄平を演じきりました。カッコいいスターキムタクの顔はどこにもない、目の輝きもなくした無精髭のむくんだ顔で弱さをさらけ出したラスト。

・・・いや、きりがないので「華麗」は次の(多分明日の)記事にします。
どうかしばらくお待ちの上、またお付き合いください。
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青空さん、本当に小気味良い展開が続く「風林火山」ですが、今回は特に良かったです。やっぱり第1回で躊躇なく寺島進をばっさりやってから、もうこのドラマはウジウジせずにバッサリ、バッサリ、テンポがよいので残虐でもなく、爽快と言っては語弊があるのかもしれないけれど、そんな感じもいたします。今回の信虎の捨てっぷり捨てられっぷりは見事の一言。
始めのころ、仲代さん往年の元気がなくなったような・・・と思っていましたが、別な表現できたのかな?と思いました。

なおみちゃん、京都旅行充実していて良かったですね。私は何十年も京都に行ってないので、とってもうらやましいです。娘さん素敵な春休みになりましたね。
田辺誠一私も好きですが、どうもこの頃へタレでニヤケた役が多かったような気がします。今回は二枚目なのに甘くなく、キレがあって気持ちがいい。本人も楽しんで嫌われ役をやりそうですね。でも、信虎が居なくなるのは本当は寂しい。ガクトそろそろかな?

by きのこ March 21 [Wed], 2007, 12:04

昨日ばかりは流石に信虎が憐れに見えましたね。身から出たサビではあるんだけど・・・この人は本当はどういう人だったんだろうかと、最期のお言葉(生きてるけど)から色々考えさせられました。
しかしこれからは「嫌われ役」を「小山田」が一手に引き受けることになるんでしょうかね?素敵だ・小山田!

by なおみ March 19 [Mon], 2007, 11:03

「華麗」は観てなかったんで、「風林火山」のみ。
視聴者が「乱」を想起するのは当然という作り方、よかったですねえ。こういう「伝統」の受け継ぎ方って大好きです。

柔弱だと蔑んでいた息子の猛々しさを知った時、初めて「それでこそ我が子」と認めるというのは、いかにも信虎らしいですね。しかもそれはクーデターだから、父に取り入ろうとしての手柄、では100%ない訳で。これ以上ない証明の仕方でした。

by 青空百景 March 19 [Mon], 2007, 9:49
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