百鬼夜行抄:入門篇

February 20 [Tue], 2007, 1:14
土曜の深夜に日テレで放映中のドラマ「百鬼夜行抄」、なおみんと青空さんが話題にしていたので見たかったんですが、第三話目でようやく見ました。

その前に・・・・・今市子の原作第一巻を読んだ感想を。
(文庫版で8巻あるんですが、とりあえずね)

【漫画「百鬼夜行抄」1】

よく出来た話だなぁ・・・・・。
「だいたいこんなはなし」ということは知っていたけれど、「実は死んでいる父親に妖魔が乗り移って主人公を守る」という設定には参ります。

完全に家のお荷物のはずの父親がさして疎まれもせずに家の一角に棲んでいて、経済的に窮迫しそうなものなのに、なんとなくおっとりと生きている旧家の人々のたたずまいが面白い。
そこらじゅうに霊気が満ちていても何も感じない祖母、勘はやや鋭いが天然の母、霊感が強いがあまり気づいていない従姉妹。そして祖父に似てとても霊感の強い主人公。父の姿を借りた妖魔青嵐。(この人物群が、そこはかとないユーモアに満ちてます)

絵は割合平凡で(佐々木倫子あたりと紛れる)、物の怪の類のビジュアルはおとなしめだけど・・・・(水木しげるや諸星大二郎に比べれば)中年以上の女性を描くのがなんか異様に上手いなぁ。
ロングショットの大木に旧家の建物を配した絵なんて本当に風情がある。
作者は係累の多い旧家に住んでるのかな。それとも都会の核家族で、こういう「イエ」に強い憧憬を持ってるのかな・・・・?

じっくり小説を読んでる感じがする漫画です。
京極夏彦の世界ともかなり近い感じですね。
キャラクターや舞台設定で魅力的な「日常性」をしっかり構築しているから、「あやかしの物語」が光を放ってくる。
ミステリ感もある。

青嵐は律とのBL的香気を醸し出して秀逸ですし、尾白尾黒は漫画的ですが、シリーズものとしては効果的でしょう・・・「きよしとこの夜」に以前出ていた美川憲一さんと瀬川瑛子のカラスのキャラクターにイメージがダブって困りました。

・・・とか、ふむふむと思いながら読みすすめました。「精進おとしの客」「闇からの呼び声」(第1回放映)「あめふらし」「桜雀」(今回のTV放映)「目隠し鬼」(前回放映)「逢魔の祭」・・・・。

「あめふらし」は何かゾクッとする感じが強い。
「闇から」や「目隠し鬼」はドラマにしたらいいだろうな(終わったって)。
「逢魔」はトラベルミステリーっぽく。
そしてその次。
【これは・・・・人喰い鬼!】

その次、「人喰いの庭」にやられました!
いつも思うのですが、読みながらついつい「評価」なんてしているうちは感動なんてしてないんですよ。「もってかれる」感じがないと・・・・。

息をするのを忘れるような怖さがありました!上質ホラーです。

脅える奇妙な客が飯嶋家に現れる。その客が持ってきた不思議な箱庭。その川には橋が架かっていない・・・・。知らず割り箸で橋を架けてみると・・・・。
小さな小さな世界に何かが棲んでいる・・・・。それが橋を渡り、箱庭を出て等身大となって襲ってくる・・・・・。
箱庭から転がり落ちた小さな石がキーとなっていたり、知らず箱庭に入り込んで読者が律以上に脅えていると青嵐が妖魔を食い漁っていたり、キーパーソンである和尚がなんかヘタレな変人だったり。(「恐怖とユーモアの絶妙なブレンド」って言ってましたね)石君も良かった。

この話は、一本だけでも映画化してみたらすごくいいと思います。「精進おとしの客」あたりは基本エピソードとして入れても、エピソード過多にはしてほしくない。

「箱庭」「橋」だけでもう、ゾクゾクするほどイメージを掻きたてられました。
昼間思い出して「カタン」とあの川に橋の掛かる恐怖が再現されたくらい。
橋が掛かったら何かが川を渡ってこちらへやってくる・・・!

「人喰い鬼」の姿はコミックではみごとに白抜きで、それはそれなりの効果はあるけれど・・・・・、私はもう、「リング」の貞子なみのインパクトビジュアルを脳裏に描いてしまいました。「世の中への呪いだけで純化された存在」・・・他の話と違い、20人以上の人が死んでるし。まあ、他のホンワカ感のある話も粒ぞろいで面白いですが、やっぱり一番力のあるストーリーは「人喰いの庭」。世界に通用するジャパニーズゴシックホラーでいけると思います。

もしくは・・・、もうちょっとお笑い部分を拡大して、堤幸彦に「トリック」風に作ってもらうのもいけそう。(お母様がより映えそう)

【TV版「桜雀」】
さて、TV版初体験「桜雀」です。

いえ、原作が良かったんで、期待は外れるものだとちゃんと覚悟していました。チープなつくりは仕方がないですが、今回登場の尾白尾黒の人形(?)はずいぶんと力作でしたね。尾白なんてなかなか可愛い。昼間普通の鳥の姿でバタバタしてるのも許せるし、尾黒の人間バージョンも鼻が鳥、目が妖魔っぽくて面白かった。

キャスト、律役の細田よしひこいいですね。目に力があって、背が高いのに少年ぽさと女の子っぽさまで併せ持つあたり、原作よりいいかも。
あと美しすぎる和服の母(やや天然)のいしのようこがイメージ以上。青嵐の渡辺いっけいもいいけど、司役はもうちょっと暗くて神秘的な、栗山千明調の子がよかったかな。(原作では妖魔が離れてもそんなに急には明るくならなかったはずでは)。
二階建て旧家のたたずまいや大きな桜の木とのマッチング、原作のイメージにかなり近くて感心しました。

ただし、漫画ではこっくりと豊潤な味わいの話が、TVだとずいぶん薄味だなぁという感じはします。場面と場面をつないで行っただけみたいで、ホラー感もユーモア感も味わい足りない・・・・。作りこめば作りこむほど良くなる素材だと思うのですが・・・・深夜帯じゃこれで上出来なのかな?
いえ、今回は尾白尾黒紹介の回で、怖くもない話だから仕方がないかな?「目隠し鬼」などもっと怖かったりしたのでしょうか。
原作読まないで見たらずいぶん違う感想になったかな?
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たこさん、連投ありがとうございます!

「百鬼夜行抄」
>ドラマは全く見ていないのですが、
>原作の漫画は大好きで全巻持っています。

原作>>>>>>>ドラマだと思います。
私は、ドラマを通じて原作に出会わせてもらったことに感謝してます。

>そして、「箱庭」の話は本当に何遍読んでも怖いんです。

私もです。他の話も秀作が多くて、一話読むだけで「ほおっ・・」となりますが、「人喰いの庭」は知ってる人みんなに教えたくなるほど怖い傑作。

三郎さんとか、律のお母さんとか、ほっとするキャラクターが多く、今作品は怖いけれど親しみや安心感もありますね。

私は、『百鬼夜行抄』は5巻か6巻くらいまでしか読んでなかったと思うので、何だか久々に読みたくなってきました。

>山岸凉子さんも大好きです。

なんかつながるものがありますよね。
『天人唐草』あたりの短編も怖いし、あとやっぱり『日出ずる処の天子』。時々あった怪談話(ゆるい絵でかわいい)のも好きでした。
今は少女漫画系はあまり読まず、せいぜいよしながふみ作品くらいなのですが、やはり萩尾、竹宮、山岸、大島ら、24年組の影響はつついているなぁと思います。

by きのこ July 06 [Sun], 2014, 10:30

三上鳥羽に引き続き、こちらにもこんにちは。
はじめまして。
ふと、漫画というカテゴリを開けると、
私の大好きな「百鬼夜行抄」が!
ドラマは全く見ていないのですが、
原作の漫画は大好きで全巻持っています。
そして、「箱庭」の話は本当に何遍読んでも怖いんです。
あれ以来、ふと小さな家を模した飾りなどを見ると、
ぞっとするようになりました。
三郎さんは好きなんですけどね。
三郎さんを生き返らせたくて晶が魂を返そうとする話も、
ひだる神や律のおじさんが土地神様にとらわれる話も怖かったです。
その他、土着の神みたいな話、怖がらせようとしていないのに怖い話、心底怖いです。
それでも、百鬼夜行抄は大好きですが。
山岸凉子さんも大好きです。
長文失礼いたしました。

by たこ July 05 [Sat], 2014, 16:49

今市子さんのアマチュア時代の同人誌なら今なら価値が高いのでは・・・?同じ某バンドって何かな?今さんの描かれる美形に似ているというと・・・うーん。(ちなみに私はサザンが一番)

山岸涼子大好きです!「日出ずる処の天子」が一番好きですが、「アラベスク」「妖精王」あと「天人唐草」あたりからのサイコっぽいホラーも好きでした。私も、「百鬼」を読んでいて「私の人形は良い人形」という山岸さんの超怖い漫画を思い出しました。
にしても、当時の少女漫画のいい遺産をかなり受け継いでいるような感じがします。大島弓子とか木原敏江とか倉田江美とか・・・。
ゆりさんのたどってきた「好きなもの歴」って、ものすごく奥が深そうですね。また時々覗かせて下さい!

by きのこ February 21 [Wed], 2007, 23:56

実は今市子さんとは十数年前、同じ某バンドにハマりまして、それがキッカケで今さんを知り(といっても、知り合いという訳ではないですが)、彼女がまだアマチュアの頃に何冊か同人誌を買わせていただきましたv あの頃から抜群のデッサン力で、オリジナル作品はもとより、描かれる某メンバーの"らしさ"に感嘆いたした次第ですv
でも、この作品は読んでないんです;(すみません)
きのこさんの感想を読みながら、なぜか山岸涼子さんを思い浮かべました。

by ゆり February 21 [Wed], 2007, 18:58

そうそうたる反応にびっくりしました〜!この界隈で(ってどこ?)スゴイ人気だったんですね。

青空さん、「青嵐と律の関係」は最初から狙ってるのかなーと思ってしまってました。渡辺いっけいだとそういう感じじゃないですが、父親の姿で律を守る。ただし18歳になるまでで、その後は食べるかもしれない・・・ものすごく、エロティックな関係だと思います。
でも、原作では「生涯ずっと守る」ことになってますよね。チープとはいえ、このドラマの一番のこだわりはその設定だと思いましたが、これについてはどうしてなんでしょう?先輩方のご意見が伺えれば幸いです。(←どなたかヒントだけでもお願い)

水の字さん、レアなTB光栄でございます!二年前の感想と推薦作も大変興味深く読みました。最新関連記事も楽しみにしています。
にしても、「人喰い鬼」でシンクロしたのにどっきりびっくり。今日も暗い帰り道で「川に掛かる橋」を想像してしまいました。映画化是非実現して欲しいですね。私も微力ながら草の根活動を・・・・。キャスティングも楽しみですが、監督を堤幸彦で行くか清水祟路線で行くかが悩みどころです(悩んでも仕方ないけれど)。

なおみちゃんのおかげで入門いたしました〜。初TBありがとうございます。ドラマは、多分1,2回の方が良かったのでは?二巻の「水蓮の下には」でも思いましたが、司が出てくると途端にTVドラマ向けの感じになりますね。(私は「あめふらし」「人喰い鬼」みたいに司色の低いものの方が好き)ドラマは基本的にあまり期待していなかったですが舞台やキャスティングは悪くないですよね。またコッテリ書いてください。

いまさらの入門組ですが、この処女性(はじめてなので、優しくしてね)を楯に僭越にもまた何か書いたりするかもしれないので今後ともよろしくです。(つい二巻目も買っちゃいました)

by きのこ February 21 [Wed], 2007, 2:01

ピンポン・ダッシュでTBしたじょ
ま色々言いたいことはあるんですけど・・・まあまあ・・・ね?
でもあの「猿の惑星」風特殊メイクだけは・・・凹みまする。尾白・尾黒の声もなかなかツライものがありますよねぇ。
次回の「夏の手鏡」どうするんでしょうね?いくら温暖化ったって「日傘」はないよねえ?
ま、来週もコッテリ書きますから、見てね◎

by なおみ February 20 [Tue], 2007, 18:50

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ〜きのこさん!
思わずまだ生涯で数度しかしたことのないトラバしちゃったよ〜!!!!!
大好きです百鬼夜行抄! そして「人喰いの庭」私にとってもベスト。
きのこさんはまだ読んでおられなかったんですね、これは是非全巻読破を!
新刊は、かなり読後感悪いけどね。

実は栗山千明は私も押してます!
映画化のおりは彼女でやって欲しい。
ドラマは残念ながら見られないんですけど、もう頭の中で映画バージョンのキャラがかってに妄想中。

て、まぁ、常に佐野史郎さんなんだけどね。
明日くらいに関連記事書くから、リンク貼らせて下さい! と予約しておくのだー。

by 水の字 February 20 [Tue], 2007, 15:07

おおおおお! お読みになりましたか!
ねーっ、おっもしろいでしょおお♪ ぜひぜひ全巻読破をおすすめいたしますよっ。
……しかし青嵐と律の関係に「BL的香気」とわっ……とても門外漢の思いつかない視点です。さ、さすが(汗&感嘆)。
ドラマのキャスティング、司は栗山千明調の子が、というのは全く同感ですねえ。

by 青空百景 February 20 [Tue], 2007, 10:27
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