唐組『鯨リチャード』(10月09日のツイート+追記)

October 10 [Sat], 2015, 0:00
  • 唐組鯨リチャード、整理券確保。 あの憧れの紅テントのたたずまいに、やや驚きつつ。妖しさの予感にちょっとときめく。 Posted at 05:12 PM
  • 「漱石と歩く明治の東京」(祥伝社文庫)を見ながら開演まで御茶ノ水?神保町散策。 古本屋街は健在だが、覗くのは50や60以上の初老男性ばかり。20年後にはこの風情はあるのかなあ。 5時までランチタイムの洋食屋さんアルカサールを見つけて、ハンバーグランチとビール。気分は昔の文学青年。 Posted at 05:22 PM
  • https://twitter.com/kinokomezon


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【どうしてこんなに懐かしいんだろう・・・・】

紅テント(昔「状況劇場」、今「唐組」)の『鯨リチャード』の感想(印象)です。

私ね、テント劇が大好きでよく語りたがるんだけど、一番人気の紅テントは観たことないんですよ。

かつてはずっと東北に居て、紅は来てくれなくて、黒テントと銀テントは来れば見てた。特に銀色テント(究境頂)は、興行の手伝いなんかもして、一度上京した時には劇団員の方の自宅に泊めていただいたことがある・・・(名前覚えてません。すみません)。

だから、初めての紅テント。

それなのに・・・・・・・・・・この懐かしさはいったいなんなんでしょう・・・・・???
もはや内容と離れても、鼻の奥がツンとする。

無論李麗仙はじめ往年のスターはとっくにいない。
憧れだった紅テントは、御茶の水の明大の建物の隙間にうずくまるように立ててあり、思ったより小さい。
色は、昼間見た時ですら、カーキに近いような色褪せて黒ずんだ赤。ボロボロというよりドロドロ・・・。

テントの中に入ると、畳が並べてあるだけ。靴は入り口でビニール袋を渡される。(これは普通)
テントの中は、まるで70年代の新宿の場末のフリーズドライ。少しだけ独特の匂いもする。

それでも、満員に近いくらいの観客は入った。50代男性中心。ワクワクして開演を待つ若い客たちもいる。
昔は混んでたなぁ・・・。会場整理の劇団員が、「もう10センチずつ、お詰めください。せーの、」とかやってたもの。
二時間以上桟敷で座ってるのは、結構大変だったように思う。

物語は、猥雑で汚らしくて幻想的で、それでもどこか美しく可憐な話だ。
一時間半程度の舞台で、テント劇にしてはあっという間に終わった感じもする。
役者たちは、なぜか若い人たちが中心。
ペニノに出ていた辻孝彦を観たいと思っていたのだが、彼は馬の頭部と前足という役。

鯨カツ屋主人役(リチャードか?と思わせる)、気田睦の妖しさ、男か老女かもわからぬ風貌と笑っちゃうほど汚らしい所作で大いに楽しませてくれた。
これはもう、1970年代の新宿ガード下そのままの雰囲気じゃないかしら(いや、新宿にはいまだこういうところはあるが)。鯨カツを上げる匂いがこびりついているかのような舞台なのだ。

そして、堂々の主役を張るのは、青年田口役の福本雄樹という男優。
三浦春馬と松本潤を足して二で割って顔の下半分は西川貴教にして全体的に顔も身体もサイズアップしたらこんな感じ?大柄で目鼻立ちの区っきりした美青年。
上手いというわけではないが、唾を大量に飛ばしながらのセリフは説得力があり、白いドレスをまとって暴行されるシーンは美しくエロかった。
半世紀近く続く紅テントの主演を演じるのが、年寄りではなく若者の肉体だということはむしろ感無量で、彼でいいじゃん!と思わせるものはあった。

ストーリーはまあ、よくわからない。何がどうリチャードなのかもわからない。物語は唐突に終わる。
ラストで手をつないで笑い合うのが「あの二人」とは思わなかった。
ラストには火も水も使わない。
テント劇には火や水がつきものだと思いこんでいたので、ただの住宅街を去っていく登場人物にびっくりした。

でも、いいんですよ。悪くない。
地味で短くても、間違いなくホンモノ。行って良かった。
これがテント劇です。
観たことのない人は観れるうちに一度見ておくことをお勧めします。(唐十郎存命中に)

【テント劇よ、再び地に満ちよ】

先月観た『野戦の月』のドームテントとはずいぶん違う。
『野戦の月』は今現在も国際的に活躍の場を広げ、被災地を訪れ、「今」と斬り結んで活動している。
積極的に新作を作って上演している(結構長大な)。
テントだって、鉄骨を組んだドームテントは嵐にも強そうで、なにしろ大学の階段教室のような客席を作るだけの木のベンチを大型トラックに積んで移動しているのだからすごい。「風の旅団」の頃から遊牧騎馬民族的イメージだったものなあ・・・。桜井大造のパワーはどこまで続くのか。

全然違う。
でも、どっちも好き。やっぱり演劇にハマったのがテントだったから、テントが好きなんだ。

もちろん紅テントでも唐十郎は健在で、初日にはあいさつに出てきたらしい。
往年のスターもいなければ、人気も話題性も特にない。
しかしむしろそれだけに、当時からのエッセンスが純度を保っているように感じられる。
セリフの勢いや「かぶせ加減」まで、当時のスタイルを思わせられた。
ケータイもスマホが現れるはるか前の世界。
私が若くて、とても不格好な生き方をしていたころの世界だ。
この懐かしさは、例えば寂れた温泉地で夜歩きをして、提灯の明かりの中で妙に怪しく賑わっている遊戯施設を見た時に感じるものに似ているような気もする。

紅テントがどうしてこれだけ変わらずに往年のスタイルでやれているのか、それが非常に不思議。
テントと照明があればどこでも興行できてしまうような・・・。
いや、そうでもないか・・・。
紅テントが命をつないでこれたのは、都会の地下エキスを養分にしてきたからだ。東京を離れては命脈を保てなかっただろう。東京の地上のこの半世紀の変化には目もくれず、あだ花のように咲き続けた毒の花。毒が薄れても、なお咲き続けるというこの奇跡。

多分、「テント」という「モノ」があったからだ、と思う。
劇団はいつもおびただしい数が立ち上がり、分裂結成を繰り返し、多くはあっけなく消えていく。
しかし、劇団は消えてもそこにテントが残っていたら・・・・絶対これを使って何かやりたい、と思う人は絶えないと思う。
紅テントの歴史を書いた本とかあったらすごく読みたいなあ。特に80年代以降の歩みが知りたい。

そしてできれば、またテント劇の時代が来ればいいなぁ・・・と夢見る。
今の技術をもってすれば、防水性と透湿性の高い、軽くて大きなテントもできるのでは・・・?
演劇はもちろん、いろんな催しに使える。大学に一帳ずつあったら学園祭で便利かも・・・。
「場踊り」みたいな屋外舞踏も、テントと合体させることで興行の可能性も膨らむ。


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