千字文断章「倫敦」(2015年9月)

September 17 [Thu], 2015, 13:53
今月は「倫敦」です。『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)の86ページおよび『富多無可思』(青山進行堂活版製造所、1909年)の47ページに掲載されている「五號アンチック形文字」を参考にして再生した書体です。
 中国の書物ではないので「漢字書体二十四史」には含まず、「満天星斗(外伝)」ということになっています。他にいい参考資料が見つからず、サンプル数も少ないのですが、それでも漢字書体のアンチック体を再生したいと思ったのです。



 試作の手順としては、他の書体と同様に「五號アンチック形文字」を拡大したものをテンプレート・レイヤーに置き、アウトライン・レイヤーで再現しました。「五號アンチック形文字」は小さいものでしたので、拡大してみるとかなりガタガタになります。そこにどうしても解釈しなければならなくなります。
 「五號アンチック形文字」は、もともと江戸時代の看板文字などに近いようにも思われますが、試作にあたっては『BOOK OF SPECIMENS』(平野活版製造所、1877年)に掲載されている欧字書体としてのアンチック(Antique)を意識し、より現代的に解釈することにしました。
(参考:古いゴシック体とかアンチック体とか)
 「五號アンチック形文字」に例示された49字を制作して、筆法・結法・章法を固め、書風の方向性を見出し、書体見本12字、それから千字文の冒頭96字へと進めているところです。



「倫敦」は試作書体の段階で、和字書体「おゝことのは」を混植してみながら、調整を繰り返すことになります。これからも「倫敦」への長い道は続きます。



背景の写真は、自分への土産として中国で購入したものです。

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欣喜堂は活字書体設計をおこなっている会社です。日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史にはぐくまれた活字書体の開発をめざしています。
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