古いゴシック体とかアンチック体とか

May 29 [Fri], 2015, 8:03
『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)には「五號ゴチック形文字」とともに「五號アンチック形文字」が掲載されている。中国の書物ではないので「漢字書体二十四史」には含めてはいない。他にいい参考資料が存在せず、サンプル数も少ないが、漢字書体の古いゴシック体、アンチック体がラインナップにほしいと思い、試作しておくことにした。

とりわけ漢字書体のアンチック体を再生したいと思った。ゴシック体の漢字書体はしだいに普及していったのに対して、アンチック体の漢字書体はまったく見られないからである。和字書体のみの書体とみなされ、ゴシック体の漢字書体との混植によってのみ生き残ることとなり、あげくは太明朝体と組み合わされている和字書体と混同されることもあるのだ。
試作にあたっては、『BOOK OF SPECIMENS』(平野活版製造所、1877年)に掲載されている欧字書体としてのアンチック(Antique)とゴシック(Gothic)を意識した。ここにあるアンチック(Antique)とは、スラブセリフと呼ばれるカテゴリーに属する書体のようである。漢字書体のゴシック体、アンチック体と名称が共通しており、浅からぬ関係を感じたのである。

漢字書体のゴシック体、アンチック体は、もともとは隷書体や江戸時代の看板文字などを参考にしたようにも思われるが、より現代的に解釈することにした。中国においてゴシック体は「黒体」という。アンチック体は「宋黒」に相当するものではないかと考えている。


伯林 DemiBold 書体見本(試作段階) 呉竹体(ゴシック体)

口や囗などはシンプルにした。


倫敦 Black 書体見本(試作段階) 安智体(アンチック体)

横画は水平に、豎画は垂直にすることを基本にした。


なお、ゴシック体、アンチック体とは西洋からの外来語であり、漢字書体には不似合いに思われた。そこで工夫して、分類名としては、それぞれ「呉竹体」、「安智体」としている。

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