ふたつの展覧会をめぐって

August 01 [Fri], 2014, 8:24
「漢字の歴史」展(1989年2月10日―2月21日)は、東京有楽町アートフォーラムで開催された。主催は大修館書店と朝日新聞社。写研が協賛していたこともあって、私もオープニング・パーティーに出席させていただいた。
 熹平石経、開成石経(拓本の写真)などとともに、四川刊本『周礼』(写真)が展示されていた。写真の展示だったので、さほど注目してはいなかった。そのときには、この書体を復刻するということまでは考えもしなかったが、なんとなく気になっていた。図録を買い求めて、ときどき眺めていた。



あれから10年以上経ったころ、中国における碑刻書体、刊本書体、近代活字書体のなかから24書体を選んで、デジタルタイプとして再生しようと思い立った。そのなかに四川刊本『周礼』から再生した「成都」を入れた。もちろん「漢字の歴史」展の図録を資料として、試作したものである。


静嘉堂文庫美術館で開催された「静嘉堂文庫の古典籍 第5回 中国の版本―宋代から清代まで―」(2005年2月19日―3月21日)という展示があった。
 私が訪れた展示前期(2月19日―3月6日)には、南監本『南斉書』や『欽定古今図書集成』などが展示されていた。私は見逃してしまったが、展示後期には藩本『楽律全書』や毛氏汲古閣『殊玉詞』(『宋名家詞』のうち)などが展示されていたようだ。



前期・後期を通じて展示されていたのが四川刊本『周礼』であった。「漢字の歴史」展から16年ぶりの再会であった。しかも今度は実物である。来場者が少ない時間帯だったので、ガラス越しではあるが、ずっと立ち止まってじっくりと見ることができた。
 実物を見て、あらためて四川刊本『周礼』の魅力が増してきた。とくに「竜の爪」といわれる収筆部の強さ。再会をきっかけとして、この書体を商品化しようと強く思った。当初「成都」と呼んでいたのを「竜爪(のちに龍爪)」と変更した。

2008年7月。日本語書体「さきがけ龍爪M」、「もとい龍爪M」、「かもめ龍爪M」として発売した。最初の出会いから20年ちかく、再会してからは3年半後のことであった。

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欣喜堂は活字書体設計をおこなっている会社です。日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史にはぐくまれた活字書体の開発をめざしています。
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