『富嶽三十六景』に因んで

July 26 [Sat], 2014, 22:50
和字書体は、平安時代から現代までの日本の書写と印刷の歴史にはぐくまれた36書体をとりあげて、デジタルタイプとして再生した。これを葛飾北斎の『富嶽三十六景』から、「和字書体三十六景」となづけた。
『富嶽三十六景』は、1831年(天保2年)頃から出版されたものだ。このシリーズは、歌川広重の『東海道五拾三次』のように名所絵として制作・販売されたものではない。富士山のさまざまな条件で異なる山容の表情に、最大の興味が注がれているようだ。
「和字書体三十六景」もまた、和字書体のさまざまな形象を選び出しているということでは『富嶽三十六景』と共通すると思っている。漢字書体にあわせて歴史別に分類しているが(分類名は私案)、和字書体は景色だととらえている。
 ところで、追加で制作している12書体を「和字書体十二勝」としている。『富嶽三十六景』は三十六図および追加十図の四十六図よりなる。実際には四十六図あるので、「和字書体三十六景」も、36書体および追加12書体としてもいいと思うが、わかりやすくするために「和字書体十二勝」としている。



( 暫定版 2015年4月22日更新)

やまと(夜麻登) 写本
第一景「あけぼの」(資料:粘葉本『和漢朗詠集』、1013年?)
第二景「やぶさめ」(資料:定家筆『更級日記』、1230年?)
第三景「たかさご」(資料:金春本『風姿花伝』、室町前期?)
第四景「さよひめ」(資料:奈良絵本『さよひめ』、室町後期?)

やまと(夜麻登) 古活字版
第五景「ばてれん」(資料:キリシタン版『ぎや・ど・ぺかどる』、1599年)
第六景「さがの」(資料:嵯峨本『伊勢物語』、1608年)

やまと(夜麻登) 木版(整版) ※近世活字版
第七景「げんろく」(資料:浮世草子『世間胸算用』、1692年)
第八景「なにわ」(資料:浄瑠璃本『曾根崎心中』、1703年)
第一勝「すずのや」(資料:『玉あられ』、1792年)
第九景「えど」(資料:合巻『偐紫田舎源氏』、1829年−1842年)

やまと(夜麻登) 金属活字版
第十景「いけはら」(資料:『長崎新聞 第四號』、1873年)
第十一景「ひさなが」(資料:『作文独学大全』、1894年)
第十二景「ゆかわ」(資料:『富多無可思』、1909年)
▽碑刻
第十三景「いしぶみ」(資料:「槙舎落合大人之碑」、1891年?)


ひのもとのめばえ 木版・金属活字版
第十四景「もとい」(資料:『字音仮字用格』、1776年)
第二勝「うえまつ」(資料:『古事記伝二十二之巻』、1803年)
第三勝「ひふみ」(資料:『神字日文伝』、1824年)
第十五景「さきがけ」(資料:『仮字本末』、1850年)
第十六景「あおい」(資料:『歩兵制律』、1865年)

ひのもとのいぶき 金属活字版
第十七景「きざはし」(資料:『長崎地名考』、1893年)
第十八景「かもめ」(資料:『内閣印刷局七十年史』、1943年)
第十九景「はやと」(資料:『二人比丘尼色懺悔』、1889年)
第二十景「はなぶさ」(資料:『少年工芸文庫』、1902年)
第二十一景「さおとめ」(資料:『尋常小學國語讀本』、1901年)
第二十二景「まどか」(資料:『富多無可思』、1909年)
▽明治初期の活字
第四勝「にしき」(資料:『Book of Specimens』、1877年)


ひのもとのさかえ 金属活字版
第二十三景「たおやめ」(資料:『日本印刷需要家年鑑』、1936年)
第二十四景「ほくと」(資料:『新考北海道史』、1950年)
第二十五景「たいら」(資料:『書物の世界』、1949年)
第五勝「あずま」(資料:『東京今昔帖』、1953年)
▽宋朝体活字
第二十六景「みなみ」(資料:『本邦活版開拓者の苦心』、1934年)


ひのもとのゆたか 金属活字版
第六勝「ひばり」(資料:『死を開く扉』、1959年)
第七勝「めじろ」(資料:『センサスの経済学』、1964年)
▽新聞書体
第二十七景「うぐいす」(資料:『九州タイムズ』、1946年)

ひのもとのかなめ 木版・金属活字版
第八勝「まき」(資料:『和英通韻以呂波便覧』、1868年)
第二十八景「ふみて」(資料:『啓蒙手習之文』、1871年)
第二十九景「まなぶ」(資料:『国文中学読本』、1892年)
第三十景「さくらぎ」(資料:『尋常小学修身書巻三』、1919年)
▽文部省活字
第三十一景「しおり」(資料:『小學國語讀本  巻八』、1939年)

えみし(愛弥詩) 金属活字版
第九勝「みなもと」(資料:『新撰讃美歌』、1888年)
第十勝「たまゆら」(資料:『言海』、1931年)
第三十二景「ことのは」(資料:『辞苑』、1935年)

くまそ(球磨曽於)1 金属活字版
第十一勝「はるか」(資料:『活字と機械』、1914年)
第三十三景「くれたけ」(資料:『活版総覧』、1933年)
▽二分ノ一活字より
第三十四景「くらもち」(資料:『活版見本』、1903年)

くまそ(球磨曽於)2 金属活字版
第三十五景「ますらお」(資料:『活字見本帳』、1936年)
第十二勝「めぐろ」(資料:『センサスの経済学』、1964年)
▽孔版の沿溝書体
第三十六景「くろふね」(資料:『沿溝書体スタイルブック』、1952年)
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  • アイコン画像 ニックネーム:欣喜堂
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欣喜堂は活字書体設計をおこなっている会社です。日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史にはぐくまれた活字書体の開発をめざしています。
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