蒼井優と、みっつの書体

January 14 [Tue], 2014, 9:00


 蒼井優から年賀状をもらったのは、2011年元旦のことだ。いやいや、本当は日本郵政グループのDMである。年賀状が配達された全家庭に配られたものだ。ちゃっかり出演する映画『洋菓子店コアンドル』の宣伝もしちゃったりして。
 裏面は当時の社長名でのあいさつになっている。蒼井優からのことばも、社長からのあいさつも、使われている和字書体は「まどかM」だった。このDMをはじめ、テレビコマーシャルなどにも蒼井優とともに「まどかM」が出てきていた。
 「まどかM」と同じ系統の、いわゆる築地活版製造所五号活字を覆刻した書体、あるいはそれを意識して制作された書体は数多い。そんななかから「まどかM」が選ばれたのである。微妙なテイストの違いに着目して選ばれたとしたら、とてもうれしい。



 蒼井優という女優を私がはじめて知ったのは集英社文庫の「ナツイチ」というキャンペーンだった。2006年のことである。そのとき無料で配布されていた小冊子に使われていた書体が「かもめM」だったので、ふと手にしたのだが、モデルをつとめていたのが蒼井優だった。
 あのとき、集英社では羽海野チカのマンガ『ハチミツとクローバー』が好評で、映画化されていた。その映画に蒼井優が出演していたのだ。さらにこの映画をノベライズ化したものや、写真集なども集英社から発売されていた。
 私は原作のマンガも、映画も、文庫本もみていないのでなんとも言えないが、『ハチミツとクローバー』から、蒼井優、ミツバチのイラスト、そして和字書体「かもめM」へと連なっていったのだろうか。「かもめM」には「チクリ」という感じがあるように思う。
 この年、蒼井優は映画『フラガール』に出演し(これは観た!)、日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞など、数多くの助演女優賞、新人賞などを獲得した。



 2007年の「ナツイチ」のキャンペーンのモデルも蒼井優だったが、小冊子に使われていた書体は
「ますらおM」に変わった。コピーも「チクリ」から「教えてあげる」とやさしくなっている。だから、ほんわりとした「ますらおM」なのだろう。
 この年には、松尾スズキの小説を映画化した『クワイエット・ルームにようこそ』(監督・脚本、松尾スズキ)に出演している。松尾スズキは私と大学の学部、学科、専攻が同じなので、ほんの少しだけ縁を感じている(ちょっと強引だったかな?)。

 さて、最近は悪女イメージもついてきた蒼井優、いまではどんな書体が似合うのだろうか。また何かの機会に(書体が)ご一緒できたらと思ったりしている。
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