「サンシャインシティ大古本まつり」の片隅で

December 25 [Tue], 2018, 10:29
東京・池袋のサンシャインシティ・ワールドインポートマート4階で、毎年2月頃に「サンシャインシティ大古本まつり」が開催されていた。会場も広く、出店数も商品数も多かったので、よく出かけて行った。記憶が定かではないが、2000年代の数年間だったと思う。
古本市で私が目当てにしていたのは、使い古した段ボール箱に無造作に入れられて、だいたい1冊200円ぐらいで売られている本だ。明治時代から昭和初期にかけて出版された木版印刷の教科書である。そこにはあまり人が多くないので、ゆっくりと見ることができる。より取り見取りのなかから、字様を見てこれはというものを物色して買い求めた。
そのひとつが『尋常小学修身教範巻四』(普及舎、1894年)である。あまり美本とはいえず本としての魅力はなかったのだが、中を開いてみるとひきつけられたのである。のちに、これをベースにして制作したのが「花蓮華」の和字書体である。



それから毎年のように出かけていった。『中等国文 二の巻上』(1896年、東京・吉川半七藏版)の本文(楷書体)からは「ゆきぐみノーマル」が、手紙文(行書体)からは「はなぐみノーマル」が生まれた。さらに昭和初期の地図『東京』(1934年、大日本帝国陸地測量部)の手書き文字は「つきぐみノーマル」になった。
『国文中学読本』(吉川半七、1892年)からは「まなぶ」が生まれた。そして『尋常小学修身書巻三』(東京書籍、1919年)は「修身」の教科書で、二宮金次郎、本居宣長、上杉鷹山、徳川光圀、貝原益軒らが登場している。このうすっぺらでノートのような教科書から復刻したのが「さくらぎ」である。
ついでながら、『小學國語讀本 巻八』(文部省、1939年、東京書籍)は実家に残されていた教科書である。これが井上千圃(高太郎 1872?—1940)が版下を描いたもので、いわゆる文部省活字で組まれている。この金属活字の書体を復刻したのが「しおり」である。
その後「西武古本市」に行くようになって足が遠のいていたが、どうやら「サンシャインシティ古本まつり」は開催されていないらしい。

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