サッちゃんの明日/大人計画

2009年10月25日(日) 18時32分


大人計画 「サッちゃんの明日」

大阪公演OBP円形ホール

作・演出/松尾スズキ

出演/鈴木蘭々、小松和重、松尾スズキ、家納ジュンコ
   宮藤官九郎、星野源、皆川猿時、猫背椿

松尾スズキ作演のこれは本公演になるのかな?
本公演の大阪公演は「まとまったお金の唄」以来だったと
思います。
開場はOBP円形ホール。
そばにシアターBRAVA!もありますけど、ここ結構小さい開場なの
で嬉しい。
そうそう大人計画の公演は阿部サダヲが出ているとぐぐっと
チケットが取れなくなる気がしますが、今回は客演3名を入れた
8名のコンパクトなメンツでした。こういうのもいいですね。

下町の蕎麦屋「墨田屋」の看板娘サッちゃん(鈴木蘭々)は
父親(松尾スズキ)と祖母(小松和重)と暮らしているが
店はサッちゃんがきりもりしていた。
でも料理は全然ダメ。求人の張り紙を見たヅケヤマ(皆川猿時)
を面接している時、ラリった女が乱入してきて騒動になる。
サっちゃんは子供の頃、犬に噛まれて足を悪くしていて、
母親は、祖父と不倫して家出してしまっていたが、祖母は
二人は死んだことにしているのだった。

舞台は吉本新喜劇ライクな蕎麦屋のセット。
鈴木蘭々って舞台で初めて観ましたけど、個人的に
声がめちゃくちゃ好みなんです。
冒頭、チャリにまたがって主題歌(星野源作による)
歌う場面から始まるんですけど、この曲がかわいくて
なかなかよろしい。後の物語はどろんどろんなのに
不思議となんとなくさわやかな印象が残る舞台なのは
突拍子もないミュージカル的要素も大きいのかも。
後半に出てくる歌なんか「エロサイト」なんてのが
サビの曲なんですけど、蘭々が歌うと不思議に
ヤらしく聴こえないんですよね。そこが狙いなんでしょう
けど。

皆川猿時は、今年「R2C2」やグループ魂のライブも観ましたが、
ほんとこの人しかありえない役をいつもやってて、何故か
いつも一番セリフ多いし大変そう。
今回も観ててやっぱり達者な人なんだなーって思いました。
着てたファンシーな動物Tシャツがなんかツボ。

期待のクドカンはせっかくのツアー公演なのに出番少なくて
ちょっと残念。でも街にいくらでもいてそうなダメな奴
な感じはさすが。
今回オイシイところはこれもチラっとしか出てこない
客演の家納ジュンコさん、不倫の一部始終をアクション付きで
まくしたてる場面が可笑しかった。

松尾さん、この戯曲、しばらく温めてて・・では絶対なくて
最近書いたんだろうなーってのがよくわかる(笑)
時事ネタのオンパレード。
特にドラッグネタはタイムリーとはいえ、笑わせながらも
薬なんて簡単に誰でもハマる要素があるってうすら怖く
なってくる部分もあって、このへんはさすが笑いと
ネガティブさを同居させる天才的な部分なのかも。


サッちゃん、実は不良な先輩に抱かれてみたいとか、
エロサイトめぐりが止まらないとか・・
いつも優等生的な見方を周りからされてる人って
確かにそういう要素は本質なんだろうけど、それに反する
部分もホントはあるんでしょうね。先日の事件の彼女も
そんな感じだったし。
いい意味でこゆいイメージが全然ない蘭々がこういう
話の主役ってのは良かったと思います。

ブラックでありながら、何故か最後もシニカルに
さわやかに終わっていくこの舞台。
最初からアナウンスされた通り、
カーテンコールがなくて、あっさり終わるこういうのも
スキっと潔くていいなーと思いました。


大人計画 official site

http://www9.big.or.jp/~otona/

空気人形

2009年10月21日(水) 18時26分


是枝監督の作品はミニシアターでかかる事が多いんで
いつも惹かれながらもタイミング逸してしまうことが多く、
観た事あるのはシネコンでもやってた「花よりもなほ」
オンリーかも。

別の映画観にいってひときわ印象に残る予告編だったのと、
「リンダリンダリンダ」のペ・ドゥナがかなり良かったので
久々に梅田ガーデンシネマへ。相変らず駅から遠いです。

ポスターや予告のオシャレ?な雰囲気はそのままに、
やはり題材が題材だけに、カップルなんかだと
人によっては気まずくなるかも・・・というのは
いらん心配ですが、なかなか引き込まれた作品でした。

秀雄(板尾創路)が大事にしている空気人形
がある日、彼の知らないうちに心を持って動きだして
しまう。
ふと通りかかったレンタルビデオ店でバイトし始め
た人形は、次第にそこで働く純一(ARATA)
に惹かれていく・・。


人形が生を持ってからがペ・ドゥナが演じているんで
すけど、いきなり履歴書もナシで普通バイトにやとうか?
というような事が気になるようならこの映画ダメかも
しれません。人形が動きだす事自体ありえないわけで
リアルな生活描写が多いから、観ているうちに
ファンタジーである事を忘れてしまうような印象もあります。

なんで舞台がビデオ店?っていうのも不思議なんですけど、
元々原作の短編漫画がそういう設定だそうですね。
バイトしてるドゥナちゃんが何かの拍子で空気がしゅーって
抜けてしまう・・。そこですかさず純一がお腹の弁から
空気を吹きこんであげるんですけど、ペ・ドゥナの表情も
含めてすごく官能的。このシーンやりたかったから映画作った
んじゃないかと思いました。

ビデオ店の会話にも出てくる「スプラッシュ」みたいな
おとぎ話とは正反対の印象。
ただ登場人物全員が孤独な毎日を送ってるって設定が
なんとなく映画をさらに重くしているだけで、
空気人形の孤独感がぼんやりしているように感じたかも。
もっとファンタジーっぽいな映画を期待してたから
そう思ってしまったんだと思いますが・・。

結構説明を省いている映画で、ラストの展開は
人によっていろいろ解釈が違いそうな気がします。
自分にはドキリとさせられる悲しいラストだった。

kazuponの感想ー★★★1/2


official site

http://kuuki-ningyo.com/

流れ星/東京セレソンDX@大阪

2009年10月05日(月) 1時33分


東京セレソンデラックス「流れ星」大阪公演
シアターBRAVA!

東京セレソンデラックスは演出・脚本の他、俳優もこなす
宅間孝行さんの主催する劇団。
正式メンバーは
最近だとドラマ「スマイル」の脚本を手掛けられてましたが、
残念ながらあの時間帯のドラマにしては視聴率かなり悪かったみたいですね。
自分は好きでしたけどねー。
NHKの朝ドラ「つばさ」にも役者として出てましたね。
多才な方です。

「歌姫」「夕」に続く再演3部作のラストとなる公演、元は
心斎橋のそごう劇場でブッキングされてたんですが、
そごうが急遽閉店!になっていったん中止になったところ、
もっとキャパの大きい、シアターBRAVAに振り替えになったようです。
そごう劇場見やすくて良かったのに勿体ないなーと思います。
大丸になるからそのまま引き継いでもいいんでないの。

そこで観た前作「夕」は、自分がちょいちょい
観る小劇場系の中では、かなり直球なオーソドックスな
物語を見せる印象があります。ある意味物語的にはベタな
所もあるんですけど、逆にそこが魅力の劇団。
今回も古き時代のノスタルジーを感じさせてくれつつ。
物語の紡ぎ方がうまくて、バカバカしく笑ってる
うちにあれよ最後にはどーんと感動させられてしまいます。

今では流行らない学生向けの下宿宿の女主人夏子(うつみ宮土理)の
40年連れ添った夫(宅間孝行)が亡くなった数日後、夏子の前に
魔法使いだというマリー(山田まりや)が突如現れ、4つ願い事を
叶えてあげると言う。
「自分は実は夫ではなく、若い頃に下宿していた教師と
一緒になりたかった・・。」その願いを叶えるべく、1970年に
二人はタイムスリップする。

ドラマとDVDで観た「歌姫」も前作「夕」も現在からスタートして
過去の記憶に遡る物語。
今回のは直球タイムスリップ。
主人公が過去を知る事で、現在の自分自身がいかに幸せだったかを知る。
よくあるパターンとはいえ、こういう物語ににマジ弱いんです・・。
このブログのタイトルの映画「素晴らしき哉、人生」もまさに
このパターンの物語だったりしますし。

宅間さんはまだ39歳なのに、3部作どれも昭和の時代の
日本が描かれてて、今はひょっとしたらあんまりない
近所や知り合いの人のある意味どろ臭いコミュニケーションの雰囲気を
見せるのがうまいなーと思います。
特に登場人物が日常会話を酒飲みながら
べちゃくちゃしゃべってるところがすっごい魅力的。
魔法使いが表れて「願いを叶えてあげる」なんて考えたら
相当ベタな設定なんですけど、70年代の感じがその非現実感を
うまく中和させている印象も受けました。
今回のもオチはだいたい最初あたりで判るような感じなんですけど、
それでもぐいぐい引き込まれて泣かされてしまうような
舞台でした。良かった。
終盤、観客グスングスン言いすぎててうるさかったくらい(笑)

この日、全公演の千秋楽だったようで、2回目のカーテンコールは
全員スタンディングオベーション。宅間さんも泣いておられ、
その時振られたうつみ宮土理さんの挨拶で知りましたが、
セレソンの芝居を見て大感激したうつみさんが
「出させてほしい」と宅間氏に懇願して3年前にアテ書きで書かれた
脚本とのこと。
「自分の目に狂いは無かった自分がエライと思った」と
笑わせてましたが、ほんと、そういうバイタリティってある意味
すごいなーと思います。、テレビでしか観た事無かった苦手な感じの
彼女が光るお芝居になってるんで、ほんといい意味でびっくりでした。

キャパ大きいのでいつものようにはいきませんが・・と言いながらも
終演後は主宰含め役者さんが売店でグッズ売ったり、客だしの
挨拶したり、終演後なんて一番しんどい時間だと思うんですけど
その心意気が嬉しいですよね。

東京セレソンデラックス official site

http://www.ts-dx.com/
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