アフタースクール

2008年05月25日(日) 10時39分


面白かった。
評判のすごく良かった「運命じゃない人」はまだ観れて
いないんですが、内田けんじ監督自身による脚本は
すごく緻密に練り上げられていて、観客は探偵小説を
読むように一緒に真相を推理してしまうストーリー展開。
面白い脚本と3人のメイン俳優のバランスがすごく良くて、
完成度の高い作品になっていると思いました。

この作品、いろいろと書きたい事もあるけど、自分みたいに
まーったくなんも知らないで観た方が絶対楽しめるような
気がしますので、興味持ってる方は予備知識入れないで
ゼヒ劇場へ足を運んでください。
このレビューもこの下から読まないほうがいいですよ!

大手企業に勤める木村(堺雅人)の中学同級生の
妻美紀(常盤貴子)はまもなく出産を迎える。
中学で二人と同級生だった神野(大泉洋)は
何かと世話を焼いてくれる。
仕事だと言って不在になりがちな木村だったが、
同級生だという男(佐々木蔵之介)が
彼を探して神野に近づいてきた。
女と木村が密会している写真を撮られ、
ある筋が木村を探しているという。

以下やや気を遣いながらネタバレしてます。




こういうキャスティングで探偵ものの映画だと、ここ
最近は三木監督とか、堤監督作品みたいに
コネタ満載、まずスタイルから・・
みたいな印象の映画が多い気がしてて、
それはそれで好きなんだけど、
コネタに頼らずに比較的正攻法で面白いストーリーを
紡ぐ作品ってやっぱりいいですね。

内田けんじ監督はアメリカで映画製作、脚本の勉強をしてきた
そうで、観た目はもちろん純然たる日本映画なんですけど、
昔のガイ・リッチーやタランティーノみたいな伏線のパズルを
どんどん回収させていって観客をやや驚かせる面白い
脚本が書ける人なんだなと思いました。
逆に絵作りは奇をてらわず、至ってオーソドックスな印象。
シーンはごくフツーの部屋や、アダルトショップ、
郊外型うどん店等・・。
結構ベタな場所ばかりなのも面白かったです。

見かけは巻き込まれ型のストーリー。
物語の主軸はマジメそうに見えて裏がありそうな堺雅人が、
何かの事件にからんでて、金で雇われた佐々木蔵之介の
胡散臭い探偵が、いかにも平和ボケしてそうな大泉洋を
たくみに利用しようとする・・。

観客の意識が堺雅人が裏で何をしているのか、また
彼の勤める大手企業とかヤクザと探偵がどんな関係ある
のかな?っていう所に向かうようにワザと作られて
います。その中で大泉洋は巻き込まれキャラだと。
この観客の意識のもっていきどころをすごく
考えているなーと思いました。
後半あたりで、面白い展開になったんでびっくりです。

監督のインタビューを後で読むと、大泉洋、佐々木蔵之介、
堺雅人3人とも、「いい人にも悪い人にも見える」
っていうイメージでキャスティングしたとか。
なるほど、確かにそうだなー。
この3人の配役をシャッフルしても、
多分成立しちゃうんじゃないでしょうか。それくらい
人には人の知らない面があるかもしれない・・
ってのが映画のベースにあるような気がします。

特に佐々木蔵之介の、強いものには弱く、
マジメそうな奴に対して、ヘンな優越感を持つことで
自分を擁護しているようなキャラ作りが良かったと
思いました。今年の助演賞モノだと思います。

この映画観て、全然話とかもちろん展開とか違うんですけど
ジョージ・ロイ・ヒルの「スティング」を思い出して
しまいました。
ハリウッド映画もやたら派手に
なるばかりで、ああいうオーソドックスな面白い
映画が最近少なくなってなんか寂しいですけど、
こういう映画観ると邦画もまだまだ全然
いける!って嬉しくなってしまいます。

近所のシネコンで観たんですけど、ミニシアター系の作品に
しては超満員になってましたね。大泉洋人気なのかな?
観た人のクチコミでどんどんヒットすればいいですね。


kazuponの感想ー★★★★

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最高の人生の見つけ方

2008年05月22日(木) 13時07分


ワンダフルライフなブログですんで、おっ!と気になる
タイトルの作品でしたが、「スタンド・バイ・ミー」の
ロブ・ライナー監督、ベッタベタのお涙頂戴になってしまう
可能性もある題材を結構サラサラっと仕上げている感じ。
内容もさることながら、2大俳優の演技合戦
見せるだけでお客さんは楽しめるだろうと考えてたんじゃ
ないでしょうか。

何十年も家族の為に自動車修理工場で働くカーター
(モーガン・フリーマン)は突然の痛みに襲われる。
彼はガンだった。
入院先の病院で、偶然にもその病院のオーナーである
エドワード(ジャック・ニコルソン)と相部屋に
されてしまう。
ワガママ言いたい放題のエドワードに呆れていたが
お互いが余命少しと診断されたとき、「死ぬまでに
したいリスト」をお互いに挙げ、実行に踏み切ろうと
する。

いやーなんかねぇ・・最近ハリウッド映画観ても
どーん!と感動しなくなってしまってダメです。
「ゼア・ウィルビー・ブラッド」みたいな強烈な映画は
好き嫌い別にしてのめり込んじゃうんですけど、
ハートウォーミング系のハリウッド映画はどれも
なかなかの良作・・でも、あーこんな
もんかぁって感じにどうもなってしまう。
映画観すぎて感動免疫が上がってるのかなぁ。
いかんですね。しばらく映画と距離置いたほうがいいかなぁ
なんて思ってしまった。

ひょっとしたら他の方の感想、「お金があるから
こんな事が可能であって・・・」みたいなのが多そうな
気がしました。
ジャックはオーナーなのに、一般ピーポーのモーガン爺と
同室。まぁありえないんですけど(笑)
自分も幸せをお金で解決してる感じがしてちょっとなーって
最初は思ったんですけど。

老後の贅沢三昧見せられてもなんか楽しそう!ってあんまり
思えないんですよね^^自分だけかな。
どれだけ海外を回ってもなんか空虚な感じがします。
でもこの映画、死ぬ前にやりたいことやっちゃえ!
お金なんてバンバン使って・・みたいな見た目の印象ある
んですけど、実はやや逆の事が言いたかったのかも。

「したい事リスト」の中で、ひょっとしたら
モーガンの方は実は

「見ず知らずの人に親切にする」

って事をひとつだけをやろうとしたんじゃなかろうか?
と思えてきたんですね。
そう考えるとこの映画すごく納得できるんですよ。

もちろん色んな事してみたい、車乗りたい、景色観たい!
とかモーガンもいろいろ挙げてたけど、
海外でもモーガンの方はそんなにノリノリじゃない感じだし、
彼は家族と過ごす方が幸せに決まってる!のを
元々わかっている人。

実は今まで実は幸せな体験をほとんどしたことがないかもしれない
このジャックの最後の人生、オレがつきあったろうやないかと。
ジャックにとって、贅沢させて自分を喜ばせることが彼の
幸せな余生ならば、そうしてあげようと。そしていつの日か、
本当の幸せを教えてあげようと。

何度もしつこいくらい挿入される、TVクイズ番組にモーガンが
TVに向ってほぼ正解を答える彼の頭の良さを表すシーンがありますが、
たとえば番組に出演して、バンバン答えていくって場面が仮にあったら、
映画的に爽快になりそうな気がしません?
でもそうしないのはなんでかな?ってずっと思ってたんですけど、
あくまで他人のジャックの為に最後の時間を使おうと思ってる
モーガンだと設定されていて、
そういうシーンを入れないのかな?なんて思ったり。

もしそういう志がある作品なら、
そこをもっと判り易く作ってくれたほうが
良かったかもなーと思いました。
「素晴らしき哉、人生」みたいに、どーんと判り易く。
敢えてそういうベタな展開は避けて、
サラっとわざと作ってる感じしますよね、これ。
豪遊するシーンがメインなだけに
意図が伝わりにくい映画になってしまってるかも。
でも「オレは何年も油にまみれて・・」なんて奥さんと
口論する場面もあったから考えすぎかぁ。
なんだかんだいって、感動しまくりたいんです。はい。

モーガンの最重要リストが「見ず知らずの人に親切にする」
なら、対になるジャックの方の最重要は

「世界一の美女にキスをする」

モーガンと出会った事によって
その目標が達成されて
ラインを引くシーンはぐっときました

kazuponの感想ー★★★1/2

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ヨーロッパ企画「あんなに優しかったゴーレム」@京都

2008年05月18日(日) 7時36分


ヨーロッパ企画
第26回公演

「あんなに優しかったゴーレム」

京都公演 / 京都府立文化芸術会館

作・演出/上田誠

出演/石田剛太、酒井善史、諏訪雅、角田貴志、土佐和成、
中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力

ヨーロッパ企画の新作、彼らの本拠地・京都の楽公演。
昨年同じ会場で「火星の倉庫」を観た時のアフタートークで作・演出の
上田誠さんが「とりあえずタイトルだけ先に決めて、内容は後になる」
って事を言われていたんですが、「ゴーレムがあらわれた!!」
ってゲームに出てきたくらいしか自分には馴染みないゴーレムを題材に
どんなお話になるのか楽しみにしてました。
予想通り、上のポスターみたいな設定のお芝居じゃなかったです。
上演時間1時間半程度でさらって終わるいい意味でアッサリした印象。
大抵は5人以上が舞台上でテンポよく賑やかに会話する
セリフはやっぱり面白く、あっという間に終わる
ヨーロッパらしいお芝居でした。

これから各地公演あるようなので、
以下ややネタバレしてますのでご注意を。

テレビのスポーツドキュメンタリー番組のクルー
(中川晴樹、諏訪雅、土佐和成、永野宗典、本多力)
はあるプロ野球投手(酒井善史)にスポットを当てる
撮影していて、彼のルーツだという地元の空き地に
やってきた。
”空き地にいる「ゴーレム」と昔はよく
キャッチボールしたんですよ・・。”
っていう思い出話を始める。
そんな荒唐無稽な話、最初は誰も信じない・・・。

ファンタジー映画にゴーレムってあんまり出てこないですよね。
なんででしょうね。地味?

「信じるか信じないか」
ゴーレムだと難しいからたとえばUFO信じるか信じないか、どうですか?
自分は実際に観た事がまだ無いもんで、半信半疑かなぁ。
でも「観たな」っていう実体験が何かあったら信じてると思う。
その実体験ってひょっとしたら元々の信じようとしてる
意識から来るものかもしれません。それが無いから「観た事」が
一度も無いのかもと思ったり・・。

今回はそんな人の意識のブレについてのお芝居だなぁと。
他人がどれだけ熱心に未知なる存在を肯定する話をしようが、
ありえないと思い込んでるから信じられない。
でもいろんな要素で信じる方にブレていくもんなんですね。
「12人の優しい日本人」なんかにちょっと近い、集団心理的な人の
疑いの意識の変化を面白く描いてる脚本で面白かったなぁ。
今回もセットが面白かったですけど、もし舞台設備がナシ
で何もないステージだったとしても
会話の流れだけで成立させてしまう脚本になっていた
ようにも感じました。

会場に入ると舞台は真中で大きく上下に2段みたいになってて、
下半分が、まさにRPGゲームとかで出てき
そうな洞窟部屋みたい。
最初はそこはほったらかしで、上部の舞台だけで進行。
観客はすごく下が気になってしまいます。
なんだろうこの下部分は?って

ドッキリ仕掛けみたいなのがあった「火星の倉庫」を
見たことがある観客は、上の空き地にある動かないゴーレム的なものに
目がいってしまってたんじゃないかと思います。
ヨーロッパは装置のアイディアでびっくりさせるのが
今まで見た作品では多かったけど、今回は・・どうなるでしょう?
個人的には今回のやり方も面白かったなぁ。

「火星の倉庫」同様、ほとんどの登場人物がボケまくり、
中川晴樹さんだけがツッコミという風な印象で、一番大変そうだなーと
思いました。
セリフの応酬は相変わらず面白いんですけど、やや難しい用語とかも
出てきます。
京都は後半かなりドッカン笑い起こってましたけど、
大きく笑い取ろう!って脚本では今回ない気がしたので、
その時の会場の温度ですごくウケが違うかもしれませんね。

京都をベースにしたヨーロッパ企画の次回公演は
V6のイノッチ、井ノ原快彦が主演だそうで、
チラシに書かれていたキャスト見てちょっと驚きました。

ヨーロッパ企画、自分が劇場やDVDなんかで見させてもらった
数作品、どれも毒気ってものはほとんどなくて、
なんかこう、観ている間はずっと幸せな気分にさせてくれます。

劇場で売られているDVDも2500円ってものすごい
良心価格。どれもこれも面白いんですけど、
有名な「サマータイムマシン・ブルース」以外だと
観た中では「windows5000」「冬のユリゲラー」「火星の倉庫」
が特に気に入ってます。

公演の後は夜は過ごしやすい京都ぶらぶらして、叡電乗ったりして
気持ち良かったなぁ。

「あんなに優しかったゴーレム」
以降のスケジュール

5月23日〜25日
名古屋/愛知県芸術劇場小ホール

6月5日〜9日
大阪/新・ABCホール

6月17日
広島/アステールプラザ 中ホール

6月20日〜21日
福岡/イズムホール

8月19日〜25日
東京/あうるすぽっと

ヨーロッパ企画 official site

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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

2008年05月15日(木) 1時30分


確かゴールデン・ウィークの最終日に観たんですけど、
3時間を超えるこの作品、当日朝イチのみの上映を知り、
寝ぼけながら行った劇場にはおそらく団塊あたりの
世代の方が多数。
自分なんかはオコチャマの部類に入る感じでしたが、
自分は断片的にしか知らなかった「あさま山荘事件」
とそれに至る当時の出来事が、ほぼ判る内容。
あまり知らなかっただけにかなり衝撃的な作品で、
寝ぼけは吹っ飛びました。
物語は知ってる方も多いでしょうし「あさま山荘事件」等で
検索したら山ほど出てくるので割愛させてもらいます。
当事者にかなり近い位置にいたという若松孝二監督、
事実を忠実に客観的に描くと同時に、やはりその思いの強さで
もんのすごくパワーみなぎる映画になっていると思いました。
いや映画という次元を超えてるというか。
しんどいすごい。
映画の印象は3部構成みたいになってて、

@学生闘争勃発と連合赤軍の結成に至るまで
A山岳ベース事件のドラマ
Bあさま山荘事件の顛末

最初のくだりは、ドキュメンタリー映画を観ているかの
ようにぽんぽん進んでいきますが、このAの山岳ベース事件に舞台が
移ると、そのへんのホラー映画やサイコサスペンス映画も
裸足で逃げ出すような強烈な印象を与えます。
もう心理的に恐ろしいこと。
自分は「あさま山荘事件」っていうとその最後の部分だけの問題
だと思ってたんですけど、実はこの仲間をどんどん殺していった
Aのくだりの影が大きい事件だったんですね。

「連合赤軍」は私的邦画NO1の
「太陽を盗んだ男」の長谷川和彦監督
念願企画だったハズなのに、ずっと実現しないまま、
原田眞人の「突入せよ! あさま山荘事件」という映画が5年前に
公開。それを観た若松監督が「権力側から描くのはおかしい。
誰かが事実を伝えないと」と強く思って今回の映画が出来たとか。

この事件について自分がどうこうってのはヤボなんですけど、
山岳ベース事件・・・「革命」を元に集まった大学生メインの
サークルみたいな集団が、いつの間にかどんどんヘンな規律が
固まっていって、結果的に12人もリンチして死なせてしまうって
いう内容がかなり克明に。。といってもリンチの部分はそれでも
控えめに描かれているんですが、あの山荘から観てる
だけなのに逃げ出したくなりたくなるような陰惨さ。

うーん全然マト外れですけど、いったいルールに従うってどういう
心理からくるもんなんでしょうね。
例えば、日本だと左側を運転するのは当たり前。
でも誰かがどこかの段階でそのルールを決めてるわけで、日本国民は
それが当然としてそれに従っているわけです。もし右側走ったら
違反者とみなされる。あたり前ですが。

この山岳ベース事件は些細だった独自のルールがどんどん
エスカレートしていってそれに合わないものは、
排除するしかないという所までいってしま
ってる。それをコントロールしているのは、一人か二人の声のでかい
人間。もしくはいつのまにかなったリーダー。いやボス?
結構小学生の「いじめ」の図式とまったくいっしょやなぁと思いました。
決め事をコントロールするボス、またはガキ大将は自らの立場やプライドを
保持するために、ルール破りの罰則を必要以上に厳しくして、しかも
弱かったり気にいらない奴を正論はないところで
正論を求めて追い詰めていく。
追い詰めることでその他への威嚇にもなる
周りには間違ってると思っても逆らえない・・・。たとえば
「勝手に自分だけ銭湯にいったのは、反革命的行為だ」
なんてうーん。
某教団の事件にもすごく似ているなーと思いました。
もう狂気の中にいるのに客観的には見れないところまでいつのまにか来ている

でも彼らをそうまでさせた、一番最初のとっかかりの感情は
冒頭が駆け足ドキュメンタリータッチ
だったので、なぜそこまで?というところまではぐっとは
伝わってこなかった気もします。ある程度はしょられて
たから仕方ないんだと思いますが。
ぼんやり、当時そういう気持ちでいないとバカにされるというか、
革命な流れにいるほうがカッコイイみたいな、そんな感じ
は正直あったんじゃないかなぁと映画を観ていてちょっと
感じました。大半が親にお金を出して貰って大学に行けてた学生が
メインだった訳ですし。
この映画を作った監督の意図はいろいろなんだと
思いますが、映画を観ていて「従わない勇気」って大事だなぁと。
途中で逃げた人が全然マシだと思ったもん。

比べるもんじゃないとは思いますが、
同じく若者が革命戦士になる、
アイルランド紛争を描いたケン・ローチ監督の
「麦の穂を揺らす風」のような、何かしないと
一方的に自分の国や人生を脅かされ続けるという
ギリギリの切迫感とかではなく、なんとなく行動は
「革命ごっこ」的なものにも見える気がしました。
山岳ベースには女性が多いのも興味深かった。

事件で拘束され飲まず食わずにされ亡くなった遠山さんは
若松監督の上映会を手伝ってて面識があったとかで、
かなり思い入れがあるように描かれています。
彼女の追い詰められ、亡くなってしまう場面あたりの怖さと無常さと
怒りみたいなのはものすごい。
坂井真紀さん、よくこの役とあんなシーンを演じたもんだと
思います。凄い女優魂だなぁと思いました。昨年二つの
舞台でたまたま彼女を見ましたが、同時期にこんな撮影
していたなんて驚き。

観た後はいろいろと思うところもあったんですが、
あまりに内容がヘヴィーで、いろいろ考えてしまって、
ここでの感想はこのへんで・・。
興味ある方は必見の作品だと思います。

kazuponの感想ー★★★1/2

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2008年05月05日(月) 10時20分


PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)監督!待ってましたの
「パンチ・ドランク・ラブ」以来5年振りの新作。
20世紀初頭のアメリカの石油掘削で財を成した
男の物語。
ただ他者を信じる事の出来ない主人公と対立する牧師の二人は、
ほとんど共感出来ないキャラクターなのに、
ダニエル・デイ・ルイスの迫力でで
長丁場2時間40分を飽きることなく
ぐんぐん進んでいく力強い映画でした。
終わったらどっと疲れた。

20世紀初頭、金採掘から石油掘削に乗り換えた
ダニエル(ダニエル・デイ・ルイス)の元へ、田舎の青年が
「石油が出る場所を教える」と情報を売りにきた。
その情報通り、西部の小さな村には石油があると確信。
地元で狂信的な宗教を布教しているイーライ(ポール・ダノ)
は自分の協会に寄付を約束させる代わりに、生家の
牧場を安値で売る約束を交わす。
そこを手始めに、地元の土地をどんどん買収していくダニエル。
やがては大量の石油が噴出する。
しかし、イーライの牧場はダニエルには疎ましい存在でも
あったのだ。

なんか今までのPTA作品と違う!
というのをすごく感じた。あっそうだ・・
フィリップ・シーモア・ホフマンが出てない!(笑)
これまでの彼の作品に必ずややヘンな役で顔を出していた
ホフマン、PTAの作品に出てない間にオスカー主演俳優に
なってしまって。でもこの映画では5年ブランクもなんの、
遂に主演男優にオスカー取らせたんだからPTAさすがです。

今までのPTAの作品は「マグノリア」のように、
群像劇スタイルでホフマンみたいな様々なキャラが交錯する
スタイルの印象だったけど、
今回はまた同じって言わせんぞ!みたいに作風の印象を
ガラっと変えた感じを受けました。とにかく二人、
ダニエル・デイ・ルイスとポール・ダノだけに焦点を絞った
展開。見た目は西部劇でもあるし。

でも石油は中盤であっさりドカーンと出てしまうので
この2時間40分の長さ、何についての映画なのか・・。
っていうのがちょっと判りにくい気もしました。
自分の帝国を築いた男の狂気?
これは企業の社長の一代記というか成功哲学の本みたいな、
そんな見方も出来る映画のような気もします。
成功とそれと同時に訪れる孤独と闇というか。
でもこの男、人の土地に眠る財を巧妙に奪っていく
侵略者でもあるんですよね。

最初の掘削の場面から、必要以上に作業を丁寧に見せていく
のも含め、あくまで彼は現場主義であって、実際にやり
遂げる事だけを信念として持っている男。
そのためには手段は選ばない。
事故が起こったら子供よりも現場。

中盤のデイ・ルイスのセリフにあったように
彼は「人のウソの部分を一目見たら見抜いてしまう」男。
だからなのか、誰も信じる事がひたすら出来ない。
そのウソの象徴のように登場するポール・ダノの
新興宗教の牧師。
神父は石油王となるダニエルにとっては
どうでもいいんじゃ?って存在なのに、映画は執拗に
ラストまで彼との確執をサブ要素として描いていきます。
偏屈で頑固で他者を受け入れない実力現場主義の男と、
実態の無いものを説く、自己中でかなりウサン臭い神父。
タイプ違うだけで二人はかなり似ているんだと思います。
その二人の対立をひたすら観ていくわけですから
そりゃ疲れます。
対立ってほんとに殴られたら、また殴り返すって描写まで
結構ありますもん。神父と社長なのに(笑)

実子ではないのは最初の描写でなんとなく判る
息子だけは唯一信じられるものだったようにも
見えるんですが、それにすらNOを叩きつけてしまう悲しさ。
何故かダニエルと女性がからむエピソードが
一切無いのも興味深かった。

ダニエル・デイ・ルイスには観ていて嫌悪を覚える
くらい圧倒される感じでしたが、
「リトル・ミス・サンシャイン」の自己中ヒッキーお兄ちゃんだった
ポール・ダノも、なんか嫌らし情けない、若い神父がすごくハマってた。
最初に石油のある土地を教えたのはイーライの兄って設定なのに
同じポール・ダノがやっててわざわざ判りにくかったなぁ。
でもPTAも多分、新興宗教的なものってウソだろ?
って思ってそうだな。

そんな重い内容なんですけど、美しい風景を捉えた
ロバート・エルスィットによる撮影が素晴らしい。
そして効果的に使われる音楽が良かった。
事前に知らなかったので
エンドロールでぶったまげましたけど、
音楽/ジョニー・グリーンウッド!
って「レディオヘッド」のジョニーじゃないですか!
バンドではエフェクトメインの飛び道具的なギタリスト
&マルチプレイヤーな博士みたいな彼、
いやいやこんな仕事出来るんだなぁ。

ポール・トーマス・アンダーソン、imdbとか
見てもとりあえず次回作の予定まだ無いみたいだけど
また5年とかいわず映画撮って欲しいな。

kazuponの感想ー★★★★


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大いなる陰謀

2008年05月04日(日) 15時38分


ロバート・レッドフォード監督作。
レッドフォードって70年代は90年代くらいの
トム・クルーズの位置、一番の人気俳優だった訳ですが、
サンダンスフェスの開催や、もうやる事が常に大人
でクールな人という印象。
今回は約7年振りの監督作だそうですが、戦争がベースにありながら、部屋で会話しているシーンがほとんどの
1時間半程度で終わってしまう作品。
やはり彼なりに今考える事についての
問題提議作品になってて、こういう映画をさらっと
作るレッドフォードは尊敬出来るなぁとまた思ってしまった作品でした。
上院議員アーヴィング(トム・クルーズ)は、女性ジャーナリスト、
ロス(メリル・ストリープ)の単独取材を受ける。
それは今彼が発動させたある作戦の情報を公表させるためのもの。
同じ時間、大学教授マレー(ロバート・レッドフォード)は
教え子の個人面談で、かつての教え子二人が志願兵となった事を
話す。その二人はアービィングの作戦の末端で現場にいた


映画はレッドフォードが頭はいいけど、理論武装しがちな
現役学生と面談する場面、トム・クルーズをメリル・ストリープが
取材する議員のオフィス、そしてトムの作戦に従事せねば
ならない現場の兵士二人の3つの場面を交錯しながら進みます。

完全に別撮りで、レッドフォードとトムクル&メリルが共演
する場面は一切ありません。
今年の「ノーカントリー」も実はそういうスタイルの映画
でしたけど、ほとんど別パートの違和感感じなかったのに対し、
この映画はあまり関連なさげな要素が交互に出てくる印象を
わざと与えています。

この映画、よく逆ギレモードで指示側が現場で言われる?
「ほなオマエ実際にやってみろ!」いや
「事件は会議室じゃない!現場で起きてるんだ!」
・・・そんな映画なのかなと思いました。
「机上の空論」=実現性の薄い・頭の中だけで考えられた方法論のこと。
やたらニュースに対して批判する人って周りにいません?
じゃあなたはそれに勝る素晴らしい解決法をお持ちで実行できるのか?
二大政党の対立なんて結構この相手の批判の繰り返しですし
こんなブログも同じかもで、例えば面白くないなぁと
思った映画の感想を思ったとおり書くと、製作に関わった人からすると
「じゃあオマエ作ってみろよ!」ってまぁ思うでしょう。;;
確かにその通りでそれ言うとみもふたもないんですが

レッドフォードと対話する、政府や世間に対して批判的で、とりあえず
批判脳だけは持ってる優秀な若者が、多くの観客達に当てはまる
部分としたら、結構ドキリと痛い所つかれてしまう内容なんです。
かつての教え子二人は、「アメリカで起こっている一番大きな出来事」
に実際に身をゆだねる事で、現実を捉えようとした。
決して志願する事が勇敢な事という内容ではなくて、批判ばかり
ベラベラしゃべるよりそれは意義ある行動であるのか?
ここは難しい部分だと思いました。

この二人の現場の死に直面する状況と、その作戦を立てた
現場を実は知らない、死に直面したこともないエリートの
トムクル議員がどういう男なのか?ってのを対比させる
事がものすごく興味深いと思いました。

マスコミだって時には情報操作の一端を担っている。
最初は好意的に報道していただろう?
ってトムに突っ込まれてメリルが固まってしまう場面が印象的。
日本もたいがいだと思ってますけど、アメリカはもっと
テレビ報道を鵜呑みにしちゃうパターン多いって聞きますし。

ラストはえっもう終わりなの?
ってほとんどおいてきぼりみたいな終わり方しますけど、
レッドフォードの言いたい事はこんなに直接的ではないのに
かなり伝わっている作品だと思いましたが、
アメリカ人にとってはよほど耳の痛い映画になってるのか、
向こうの感想サイトとか覗いてみると
ものすごく評価が低くてびっくりしました。

kazuponの感想ー★★★1/2

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キャラメルボックス「きみのいた時間 ぼくのいく時間」@大阪

2008年05月03日(土) 22時25分


演劇集団キャラメルボックス
「きみのいた時間 ぼくのいく時間」
大阪厚生年金会館芸術ホール

原作/梶尾真治
脚本・演出/成井豊


上川隆也 西山繭子
西川浩幸 坂口理恵 岡田達也 
岡内美喜子 青山千洋 温井摩耶
三浦剛 筒井俊作 左東広之
渡邊安理 阿部丈二 小林千恵

キャラメル・ボックスは昨年の神戸の公演を
初めて観たんですが、DM貰ってタイムマシンもの好き
な自分としては興味そそられる内容だったので観てきました。
実は上川隆也ってこの劇団に所属だって最近まで知りませんでしたが、
今回の公演は3年ぶりの劇団公演への参加だそう。

だからかなのか、劇場は圧倒的に女性!男2割くらいしか
いなかったんじゃないかなぁ。
キャラメルボックスってなんとなくなんですけど、ファンサービス旺盛で、
リピーターの囲い込みとご商売?がものすごく丁寧な劇団の印象。
たいていは前説にプロデューサーさんが出てきて、グッズ売ったり
携帯電話を切らせるパフォーマンスしたりするのは前の公演でも
よくわかったんですけど、個人的にそのへんはちょっとしんどかったり
するんですが;;お好きな方ごめんなさい。
今回は上演前に上川隆也による場内アナウンスがあって、結構
アドリブで面白くて笑いとってましたね。

この舞台は「黄泉がえり」なんかの梶尾真司原作の
「クロノス・ジョウンターの伝説」、
このクロノスってのがタイムマシン。
キャラメルボックスは過去にもこのクロノスを題材にして舞台を
やったようで、原作者は上川隆也を主人公に想定しながら
原作を書いたそうで。

物語はタイムマシン企業の開発者、里志(上川隆也)がタイムマシン
を開発成功にこぎつけた頃、妊娠していた妻・ひろみ(西山繭子)
が車に跳ねられ死んでしまう。
悲しみに暮れた里志は自らタイムマシンに乗って、39年前へ
飛んだ。彼の目的はただ一つ、これから生まれてくるひろみを
ずっと見守り、39年後に起こるべく死を回避させるためだったのだ。

いやー死んだ愛する人を死なせないために、39年前に行ってしまう
なんてもうもんのすごくベタな話なんですけど、こういうのには
やはり弱いなぁ。
芝居の前半は現代の話、休憩を挟んで後半は、主人公が1970年に
飛んでからの話って事で、前半にあった複線がいろいろと解明していく
面白さがありました。
「ある日どこかで」+「足ながおじさん」みたいな話なんで
せつなさ満載なお芝居。
このタイムマシン、39年前に行く!ことしか出来ない
機械なんですよね。自分だったらどう現代まで生きていくのかなぁ
ってみんな考えてしまったんじゃないかと思います。
やっぱり株か(笑)そういえばバブルに飛ぶ映画ありましたよね。
この物語はもちろん今の年齢のまま飛ばされるので、現代に戻る頃はもう人生
ラスト近くなってるわけなんですけど。
レストランでプロポーズをしている場面が前半あり、その時
実は・・みたいないかにもタイムマシンものならではの
いいなぁと思う場面がありました。

ただ主人公が地道に努力したわけではなく、競馬の勝ち馬教えたり、
伸びる企業の株投資メインで儲けていく、って設定はちょっとなぁと
思いました。マクドを進める証券会社の社員に日清食品の
株を執拗に買いたい!って場面は笑えましたけど。
「バックトウザフューチャー」でもアルマナックを使って儲けたビフの
未来の世の中は荒んでたじゃないですかって、そこまで大きな要素じゃない
ですが。

上川隆也って、舞台ではやはり映える人でしたねーいい声だし。
キャラメルボックスの中ではやはり岡田達也さんがいつも
印象に残ります。

会場の厚生年金会館はあと何年かで閉館する運命だそうなんですけど、
ここに来たらいつもフランク・ザッパがライブしたんだなぁここで
って思ってしまう(笑)
そうだ、タイムマシンあったら76年のザッパのライブはガチで
行きますね。うわ、観に行きたい伝説のライブいっぱいあるから
片っぱしから!
タイムマシンを手に入れた暁にはそういう使い方してみたい。

このお芝居、東京の舞台がもうすぐNHKBS2で放映される
そうです。早いね。

NHK BS2
ミッドナイトステージ館 劇場中継 
キャラメルボックス「きみがいた時間 ぼくのいく時間」
5月17日(土) 午前0:45〜3:10(16日深夜)

キャラメルボックス official site

http://www.caramelbox.com/


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