マイ・ブルーベリー・ナイツ

2008年03月30日(日) 19時02分


王家衛(ウォン・カー・ウァイ)の新作は初の
欧米圏キャストの映画になるとのことで心待ちにしてました。
ようやく観た印象は、うーん。やはり紛れもなく王家衛映画
になってて、印象としては「恋する惑星」「天使の涙」の
2作の頃に戻った感じでしょうか。
重いエピソードも登場するけど、かなり軽い印象の映画です。
王家衛作品って「一人オムニバス映画」のイメージがあって、
今回はまさにそんな感じ。
実際、他の監督とのオムニバス作だった「愛の神エロス」の
王家衛パートの際立ち方を考えると、作品のスタイルはオムニバスに
すごく向いてるんだなぁと改めて感じてしまいました。
「恋する惑星」も「天使の涙」も最近の「2046」も
映画の中でいろんな登場人物のストーリーが断片的に
語られ、たまにそれれは交錯する。
今回もそんな王家衛王道メロディとも言うべき作品。
ここんとこ忙しかったので、しばしいい気分に浸れました。

ニューヨークの深夜のカフェ。
エリザベス(ノラ・ジョーンズ)は彼が浮気相手と店に来た
事を知ったのをきっかけに、しばしば閉店間際の店にやって
来て、オーナーのジェレミー(ジュード・ロウ)と会話する
ようになる。
おきまりはいつも売れ残るブルーベリーパイ。
傷心の彼女はある日、NYを去り、メンフィス、ラスベガスへと
働きながら旅をする。

ほとんど完成してない脚本の中、
とにかく粘って粘ってテイクを重ね、その中からいい部分を
抜き出して映画作りをしていたという王監督
今回は組合がうるさいアメリカでそんな撮影出来ないハズだし、
きっと軽い映画になってるだろうって想像はしてました。
確か時代長編「楽園の瑕」・・結局この映画は完成品はかなり未完成
の印象を受ける・・・の長い撮影の後、かるーく映画が作りたいと
作った「恋する惑星」の軽快さ。
王監督、あまり予算と時間与えないほうがいいような気がする・・。

彼の映画はまず「場所」ありき。その多くはお店だったり、
部屋だったり。映画そのもののイメージがその場所になっていきます。
「恋する惑星」のホットドッグスタンド、「天使の涙」にも
大きな要素として出てくる重慶マンション、
「ブエノスアイレス」や「華様年華」の主人公たちの部屋。
今回のメインは「カフェ」。
盟友ウィリアム・チョンが手がけたと思われる
NYのカフェはどこにでもありそうな感じなのに、やはり
観終わった後もイメージとして強く残りました。

傷心のOL?がバー(カフェ)に毎夜現われて、
マスターが何やら哲学的な話をする・・・。
カギの話とか、パイ売れ残りの話とか、
王監督、全然変わってないなぁと思うんですよ。
今まで通りの結構こっぱずかしい
会話やシチュエーションは英語圏映画になるとややベタすぎ?
でもこのカフェパートが絵的に魅力的なだけに、
その後急にロードムービーになり、アル中オヤジを見守る
エピソードになって、しかもかなり間延びした感じ
になるのが残念。
エリザベスが狂言回し的に脇にいっちゃうんですよね。
王監督のそんな一人オムニバス展開は今回やや無理やり
っぽくて、そんなに上手くいってない気もしました。
その後のラスベガスパートもしかり。
1時間30分程度の映画なのにえらく長く感じたなぁ。
だもんでポスターのキスのカットは絵的には名シーンなんだろう
けど、なんかただこんな絵が撮りたかったです!
って感じだけで勿体ない気がしました。
さっきも書いた通り、監督は短編の方がひょっとしたら
めちゃくちゃ向いてるのかもしれないと思う。
去年の「パリ・ジュテーム」なんて王監督だったらうってつけ
だったのになぁなんて。

あれ、監督ファンなのにややネガ記事になりつつあるなぁ
えーと・・・。
そうそう、絵作りはもちろん、
役者、特に男性を魅力的に撮るのが相変わらず
上手いですね。本作のジュード・ロウのかっこいいこと。
あの店、ノラだけが閉店間際に行って彼と仲良くなるなんて
ありえなそうですが・・。

そして王監督の作品の魅力ってすれ違う人との一時の繋がりが
人生にとって実は輝く瞬間だったりすること。
この映画観た後は、カフェとかバーに行ってそこにいる
誰かと話をしたくなりますよね。
観終わってすぐにitunes music store でダウンロードして
主題歌の"The Story"を繰り返し聴いてます。

kazuponの感想ー★★★1/2

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バンテージ・ポイント

2008年03月14日(金) 1時53分


大統領が暗殺された!その時そこ居合わせた
人のそれぞれの行動はどうだったのか?
ほとんどダレる事なく展開するジェットコースタームービー。
多くの登場人物にスポットを当てているタイプの
群像劇の割に1時間半とアッサリしてるのもいい。
ラストあたり都合良く進みすぎるけど、かなりのテンポの
良さでぐいぐい画面に引き込まれてる間に終了!って
作品でした。

サミット中のスペインでアメリカ大統領(ウィリアム・ハート)
が演説する。以前大統領の警護中に銃弾を受けたトーマス
(デニス・クエイド)もシークレットサービスに復帰し、
警護にあたる。
サラマンカ広場に大統領が到着し、演説を始めた途端、
何者かに銃撃されてしまう。そして数分後には爆発が。

まず、冒頭に事件を見せ、順番にそこまでの約20分前後
登場人物がどうだったかを見せていく手法。
それによって徐々に誰が犯人で、ここでこうなって・・
ってのが徐々に紐解かれていくユニークなスタイル。
一人終わったら♪ぎゅるぎゅるぎゅる!ってテープが巻き戻って
別の人の同時間を見せていく。
「羅生門」スタイルと言われるこの作品、
こういうスタイルは他にも多分あったと思うけど
自分が一番似てると思ったのは「木更津キャッツアイ」(笑)
クドカン観たらびっくりするんじゃ。
巻き戻しのぎゅるぎゅる感が一緒なんですよ。
まぁあれは裏側1回だけでしたけど、コレは確か6人くらい何度も同じ
時間を見せる。それも退屈しない構成になってて感心しました。

実は自分、まだ「24」も「LOST」も一度も観た事なくて、
・・観たらハマってしまうのは判るのでまだ足踏み入れてない
だけなんですが、そういうタイプの映画なのかな。
ブレブレ画面のドキュメンタリータッチな迫力とテンポある
展開はジェイソン・ボーンシリーズのノリにちょっと近いと
も思いました。

別の映画の感想にも書いた事あるんですが、すごく
面白かったんだけど、犯罪や捜査の仕掛けにPC系、
万能携帯みたいなのが登場すると自分はどうしても
減点してしまうんです・・。
なんかそれ出すとナンデモ出来るやん・・・で片付いて
しまいそうで。
正直、主犯が持ってたあのPDAで全ての行動が賄われた
のはちょっと安易すぎるなーと思いました。

焦点をデニス演じるトーマスに当てたいのか、
つるべさん・・もといフォレスト・ウィテカーの役に
当てたいのかが今ひとつ定まってない感じでしたね。
あの彼が撮影してたビデオが犯人逮捕の物凄い決め手になった!って
展開にしてもいいのになぁと。どうせ娯楽映画だしそこだけ
ベタな感じにしないのが不思議でした。撮影してた
だけで終わっちゃったもん。まぁ別の形で
ヒーローにしてましたけどねー。

カーチェイスになると、デニス・クエイドが人間離れして
超人的になっていくので少し笑ってしまいました。
あれじゃ大統領救う為に大勢が犠牲になっちゃう。
命の重みは同じですよ!

素朴な謎なんですけど、大統領って防弾チョッキって
ああいう場では着ないものなのかな?
ウィリアム・ハートは替え玉と本人と同じ人なのに
セリフでも言ってたように「全然違う」ように
見えてさすがスゴイなと思いました。


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魔法にかけられて

2008年03月09日(日) 15時29分


なかなか面白かったですよ。ベタとはいえ楽しい作品。
おとぎ話といえばディズニー。
ほんとにディズニーらしい映画というか、
セルフパロディみたいな内容で、かなり楽しめました。
なんといっても作曲が「アラジン」「美女と野獣」の
王道メロディーの達人、アラン・メンケン。
楽曲の数々を聴くだけでも一見の価値アリです。
春休みに向けて、シネコンなどの劇場はほとんどが吹き替え版
のようだし、先行で観た字幕版は小さいシアターでもガラガラ。
個人的には先日観た「ライラの冒険」なんかよりよほどファンタジーで
楽しめた映画だと思ったけどなー。勿体ない。
子供も楽しめるだろうけど、むしろ大人向けのファンタジーだと
思いました。
最初の20分くらいはおとぎの国のアニメーションで、主人公が
現実のニューヨークに落ちてしまうという設定がまず楽しい。
そして現代に舞台を移した物語も、ちゃんとおとぎ話になって
いきます。

魔法の王国アンダレーシアのジゼル(エイミー・アダムス)
は毎日出会いを夢見た王子様(ジェームス・マースデンと
ついに運命の出会いをし、翌日には結婚式
を行うことになった。
王女(スーザン・サランドン)は王子が花嫁を貰って
自分の座が追いやられるのを恐れ、魔女となって
結婚式に城へやって来たジゼルを井戸へ叩き落とす。
彼女が辿り着いたのは現代のニューヨークだった。

いやいや、この物語、このジゼルと王子がちょっと頭の
オカシイ、妄想癖のあるコスプレ好き変人だったとしたら・・
ってしょうもない想像しながら一瞬観てしまいました。
そういう見方するとそういう風に見えるんですよ。(笑)
それは非現実なものは受け入れないロバートの
最初の目線な訳です。
もしそんなオチだったらシュールすぎますけど、そういう話でも
不思議じゃないくらい、この二人のキャラが現実的なNY
で浮いてしまうのが、物語の面白さになっています。
彼女がNYで助けてもらう、ロバート(パトリック・デンプシー)
はバツイチ、娘と同居で、離婚協議の弁護士を仕事としてる。
ジゼルの国では理解できない世界の住人っていう設定が
「運命の人とずっと幸せに暮らしましたとさ」のおとぎ話と
対比されていて面白かったです。

ヒロインのエイミー・アダムスはアニメの部分からえらく
変わってしまうので、うーんと思ったんですが・・
彼女、実年齢は34歳!でさすがにシンデレラガールやるには
ちょっとなんですけど、まぁそれが上に書いた「ちょっとヘン」
な部分を強調させている感じになっててアリなのかとも。
先日のアカデミー賞では歌曲賞、最優秀は「ONCE」に
持ってかれたものの、3曲もノミネートされてて、そのうちの
1曲をエイミー本人が歌ってるのを改めて見直して納得。
口パクがご法度というオスカー授賞式では、俳優の歌を別の人が
歌う場合も多いんですけど、ほぼ完璧にあの大舞台で歌いきって
ましたから、歌が重要な要素になる本作の起用も納得です。
メンケンさんはいっぱい受賞してるから、今回まぁいいんじゃ
ないの?

逆にジェームス・マースデンはアニメから飛び出してきたまんまな
感じで笑えたなー。ナサニエル役のティモシー・スポールは
それ以上にアニメ的な俳優さんですよね。
キャスト知らずに観にいってましたが、アニメの段階で魔女が
スーザン・サランドンなのは判りました。
「RENT」のモリーンは絶対にミュージカル要員なんだと
思ってたら、逆に歌うシーンなくて残念。
彼女は現実的そうで、やっぱり女の子!非現実なものを
実は信じて受け入れるキャラクターになってましたね!

実は男目線で作ってあるような気もしました。
タイプ的に昔の「スプラッシュ」に近いノリの映画かもなぁと
思いましたよ!突然シンデレラが自分を好きになってくれる話です
からねぇー。

ただし演出はややバタ臭いというか、展開が強引だったり、
ラストあたりのオトシマエのつけ方もちょっと中途半端な
印象を受けたのがやや残念。
ジゼルが現実世界を幸せにしてくれるって存在にもっと
してしまっても良かったような気がしますが、あくまで
も変人スレスレのセンを行ってる感じでしたね。
面白かったけど。

冒頭のアニメはベタすぎるパロディ的な作り。
べらべらしゃべる動物たちといつも一緒ってのが
ディズニーらしいけど、そういえばディズニーはもう
2Dのアニメのスタジオって持ってないんですよね。

ところで映画とは関係の無い話ですけど、
アニメつながりで・・。
声優の広川太一郎さんがお亡くなりに
なったとのこと、子供の頃から広川さんの
「だったりなんかしたりして」な吹き替えが大好きでした。
この場を借りてご冥福をお祈りします。

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ノーカントリー

2008年03月04日(火) 23時07分


面白かった!
アカデミー賞作品賞を始め4部門・・といっても
そんなにオスカー作品賞はアテにならんと思ってる
ほうなんですが、これは気に入りました。
でもオスカーよりやはりカンヌ向きって感じで、
かなり好き嫌いが別れそうな作品かも。
なんだかつまんなそうな片田舎で起きる事件。
それにからんでくる人物は世にも恐ろしい理解不能な男。
いつもいろんな球を投げてくるコーエン兄弟ですが、
イメージ的には「ファーゴ」のジャンルに属するタイプ
の映画だと思います。
広告の雰囲気から勝手に人間ドラマ系
だと思い込んでましたが、
こんなにアクション寄りの映画だとは。
そしてコーエン兄弟らしいユニークな
サスペンスで、セリフの少ない2時間
ぐいぐい惹きつけられました。

観てて中盤あたりで何かみたいだなーってしばらく
思ってたんですが、いや他の映画を思い出すのは悪いクセ
なんですけど。そうそう!
ハビエル・バルデム=「ターミネーター」みたいなんですよね。
「ファーゴ」みたいなドロドロ系で進むのかと思えば、
ほぼ不死身の暗殺者が逃げても逃げてもどんどんどんどん
居場所つきとめて追いかけてくる、あのターミネーターみたいな
感覚でラスト近くまでハラハラ楽しめてしまう作品なんです。

こりゃ儲け役とはいえ、誰もがハビエル・バルデムに
票を投じたのは観て納得でした。
トミー・リーよりバルデムが主演じゃないのかと
ちょっと思いましたけど。

テキサスの荒野で銃撃戦の跡の死体の山を偶然見つけた
ベトナム帰りの溶接工モス(ジョシュ・ブローリン)は
持ち前の嗅覚から現場から逃げた男の死体をみつけ
傍らにあった200万ドルの大金を手にする。
その金を自分のモノにするために、妻を実家へ帰し、
モーテルを渡り歩くようになるが、悪の組織の暗殺者として
シガー(ハビエル・バルデム)が執拗に彼を追い詰める。

なんとなくニューシネマっぽい映画だなって
思って観てたんですけど、中盤のセリフあたりで、
あぁこの映画70年代終わり(いや正確には1980年?)
が舞台の作品だったんですね。どーりでそんなテイストで。
アメリカ人が見たらすぐその時代ってわかるのかも
しれませんが。
ベトナム帰還兵ものでもあるし。

タランティーノが大喜びしそうな70年代のC級
サスペンスの匂いもあって、正直去年の
「グラインドハウス」についでにもう1本混ざってても
違和感ないような映画だと思いました。
そうそう、ノミネートされなかったけど、ハビエルと
対決するメイン登場人物のジョシュ・ブローリンは
「プラネット・テラー」で嫁に反撃されてた医者の男も
やってましたね。彼だけノミネート外れてましたけど
なかなか良かったと思いますよ。

もうこのブローリンとハビエルの逃亡と追撃が
面白くって、ゾクゾクしてしまいました。
片や完全なガテン系だし、片やほぼ変質者なんですけど、
どっちも相手の裏かいたり、ものすごく頭がいい。
しかも戦闘能力がすごくあるんですね。

ハビエルの武器は改造した酸素ボンベ!なんだあれは。
コレをずるずる引きずって異様に追いかけてくる
のはものすごく恐ろしい。
ハッキリ言ってこの役、誰がやってもそれなりに
面白かったとは思いますが、ハビエルがやるから
なお妙な凄みが加味されている。
演技的には「海を飛ぶ夢」なんかの方が実は判り易く
凄かったし、本作もあってさらに
ハリウッドでは引っ張りだこになるでしょうねー。

去年の「ファーゴ」を彷彿とさせた邦画「松ケ根乱射事件」
の感想に書いたんですが、
「ファーゴ」は凄いと思うけど、苦手な作品・・
あの田舎ドロドロ感がどうもダメだったんですけど、
こっちは似たタイプでも自分には楽しめた作品でした。
トミーリーが部下と交わすどこかすっとぼけてt、でも深い
会話が、逃亡劇の狭間に出てくるのは「ファーゴ」
のマクドーマンド夫婦の場面が挟まれてる感じに近くて
このへんはコーエン兄弟らしい味ですね。

そしてぐいぐいと進むアクションサスペンスの側面が
ありながら、「えっ?」って思うような省略を
結構してる、その省略の仕方がとてもユニーク。
シーンによっては省きすぎて怒る人もいるかもしれませんが、
最高だと思ったなー。

これ原題は"No Country for Old Man"
トミー・リー・ジョーンズは主演候補でしたけど、
登場時間はかなり短め。
それでも彼目線の物語で原題を知ってなるほどなぁと
思いました。

ところで観てて、アメリカ人になっても
モーテルだけは経営したくないと思った。(笑)

コーエン兄弟の映画観るといつも頭いいんだろうなぁ
この二人と思ってしまうんですけど、
今回もまたそう思わされてしまった。

kazuponの感想ー★★★★

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呉清源 極みの棋譜

2008年03月03日(月) 22時19分


台湾の俳優、張震、チャン・チェンをスクリーンで始めて観たのは
十三の七藝で観たエドワード・ヤン監督の「カップルズ」だった
と思う。映画の中でもひときわ印象の残った彼の前作
「クーリンチェ少年殺人事件」はそういえばまだ観れてません。
もっと印象的だったのはその後のブエノスアイレス。
そして何故か自分の大好きなDJ Shadowの"six days"って曲の
ビデオクリップをなんとウォン・カーワイが監督したのは
びっくりしましたが、その中での刺青師を
演じていた彼はカッコ良かった。
そして去年の「百年恋歌」は傑作。

そんなチャン・チェンがおおさかシネマフェスティバルという
地元民でも見過ごしてしまいそうなイベントの映画祭に
ゲストでやってきた。
たまたまタイミング合ったので観にいってきました!
たまに大阪そんな映画祭の会場になる大阪国際交流センター。
上本町ですよ。なんか地味です。そこに生チャン・チェン。
結構キャパの大きいホールなんですけど、
思ったより沢山の観客がいました。さすがですね。

観た目の印象は映画のまんまで、
話始めると、ととても人柄が良さげな人でした。
だいたいこういう映画祭の質疑応答ってかなりKYな人に
当たってしまったりするんですけど(笑)そういう
強烈な質問もなく、和やか大人ムードで進行。
でも観客が撮影タイムになったらサドンデス
状態になってちょっとビビりました。
よくあんなにビシバシ撮影するの許してくれるなぁと
思いましたけど、
でもチャン・チェンはもっと大人で、
ビシバシ撮り始める観客に携帯を取り出して
自分も撮り始める。
チャン・チェン優しいなぁ・・
あそこでカメラ向けるのは優しさだと
思いましたね。
そんなに前にいなかったので写真撮りましたがアップ
しません;;

さて和やかな舞台挨拶の後は
一応昨年公開された未見の映画
「呉清源 極みの棋譜」

いやー勉強不足でほとんど知らない人物の半生。
囲碁に興味持ったことなんてこの生涯でまだ無いので
ハッキリ言って初めて囲碁の世界をこの映画で
知った感じ。
こういう激動の時代に中国から来た青年が伝説的
な存在となって、不敗記録を守り続け、それと同時に
熱心な信仰心を持っていた人だってのはもちろん
伝わるんですけど・・。

どうも、映像は素晴らしいんですけど、
ものすごく説明を省いてその時起こった事柄を
箇条書きのように見せていく映画で、かなり
判りづらいなーと思ってしまった。
説明省く映画は好きなほうなんですけど、
この呉清源の半生をある程度知らないと
映画になかなか入っていけない構成になっていたのが
残念。
いい映画と判りにくい映画の狭間に揺れる作品だと
いうヘンな感想を持ってしまいました。

チャン・チェンの演技は淡々と多くを
語らない、生真面目な感じは凄く上手いと
思いましたが、半生を日本で過ごした割には
日本語進化していかないのとあまり年取らない
のはナンデ?と思ってしまった。実際そうだった
のかもしれないですけどね。
例えば、大きな丸メガネをかけた呉清源が横長の画面で
碁盤に対してナナメに対峙する構図とか、
切り取っても芸術的な絵が多かった気がします。

監督は「青い凧」の田壮壮。
柄本明、松阪慶子を始め、大森南朋、伊藤歩なんて俳優も
登場してるほぼ日本人キャスト、
ワダエミが衣装まで手がけた豪華なスタッフなのに
ものすごく地味で淡々とした印象。
そしてやはり中国の監督が撮った映画
の印象になっています。
以前の「鬼が来た!」みたいに日本の根っこを醜く、醜く
描いていた映画とは全く正反対で、
この呉さんは日本人と寄り添っていることもあり、かなり
敬意を持って公平に描かれているのが新鮮に感じました。
数日前に「ラストコーション」を観たばかりだから
よけいそう思ったのかもしれないですが・・。

コレを観て囲碁やってみたい!とは
やはり思わなかったなぁ。^^
なんか脳が裏返りそうで;;
こういうの極める方ってのはほんと
尊敬してしまいます。
チャン・チェンは大阪で飲みにいったり出来たん
でしょうか。
すぐそばの通天閣下の囲碁将棋センターで碁打ってたら
びっくりですけど。
この映画は近江八幡で3ケ月程度も滞在して
ロケしたとのこと。

kazuponの感想ー★★★

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ラスト、コーション

2008年03月01日(土) 0時12分


「ブロークバック・マウンテン」で世界中で絶賛された
アン・リー監督2年振りの次回作となった本作。
見た目は中華圏映画だけど、製作、脚本、音楽などを
始め多くのスアッフがアメリカで合作作品とのこと。
うーん、さすがどのシーンも無駄がないというか、
物凄く丁寧に作られた映画で、そこは素晴らしい作品だと
思いました。
チアチーを演じたタン・ウェイはまさに体当たり演技
で物凄いし、トニー・レオンもかなりイヤな役を上手く
演じているし、脇役陣もセットも色彩もいい。
ただ、観終わってなんかものすごく後味悪いというか、
内容そのものにどうも乗り切れなくて見事な映画だけど
どうにも好きになれない作品だったかも。

1930年代後半、本土から香港に移住した
女子大生チアチー(タン・ウェイ)はクァン
(ワン・リーホン)が主宰する学生演劇に誘われ、
抗日をテーマにした舞台で主演し喝采を浴びる。
クァンは芝居ではなく、実際に売国奴を消す事に
意義があると仲間を扇動し、日本軍の手先と
なっている高官イー(トニー・レオン)の暗殺を
企てる。
チアチーはまずイーの妻(ジョアン・チェン)と
仲良くなり、麻雀仲間となって彼に近づいていく。
その後、愛人となる事でさらに彼のスキを突こうと
するのだったが。

中国で人気の高いアイリーン・チャンの短編小説
を元にしたこの物語。
簡単に言うと女スパイものなんですけど・・。
この当時の反日本的な感情とかを理解出来ないと
なかなか入っていくのが難しい映画なのかなぁと
思ってしまった。

日本の学生運動なんて非にならないくらい、
日本軍の抑圧に対しての反骨精神というのがあるんだと
思うんですけど、映画ではそこの感情的な部分が
なかなかこちらに伝わってこない気がして・・。
香港でそれなりに勉強していたいいところの学生たち
だったし、どのくらい現状に対して怒りを覚えているのか、
という彼らの感情の部分が今ひとつ伝わってこなくて・・。
チアチーがやらされてしまうスパイ行為が物凄く
捨て身で悲しい方法だけに、何故そこまでやるのか?
っていうのがやや映画上薄いような気がしたんです。

その為チアチーが性的にイーに近づいていき、やがては
精神も抑えられていく・・という映画の肝になっている
部分もなんとなく、ムダな事をしてるように見えて
きてしまったというか・・。
チアイーがイーのどこかに惹かれてしまってたのは
展開上わかるんですけど、肝心なそこもぼやけてる
感じがしたなぁ。
そしてウワサの情事のシーンはあそこまで執拗に
描写する必要が果たしてあるのかなぁとまで
思いました。
その部分がチアチーとイーの関係性にどれくらい
影響を及ぼしている部分がやや弱い。
その精神的な部分がもっと明確だったら傑作に
なってたと思う。
イーに近づく為に同僚の中で経験のある一人と
「練習」しないといけないシーンというか状況の
ほうがかなりショッキングでした自分には。

ただ、場面場面の状況はすごく興味深くて、
当時のお金持ちの婦人たちが麻雀に興じてなんか
面白くなさそうな会話してるとことか。
上海の荒んだ感じとか。

それにしてもこのクァン君はダメダメですねー。
回り全部巻き込んでましたからね。その割に
上層部にまるめこまれてしまってたし。
全部オマエのせいやないかとイライラしました(笑)

ある意味悲劇的すぎるヒロインを演じるタン・ウェイは
学生の時と、夫人に化けるとき、情事のシーン、
もうどれもこれも凄い。中華大作映画だと必ずメインに
登場する誰かでなくて逆に良かったような気がします。
チアチーそのものが存在してる感じなんですよね。
カフェで香水つける何気ないシーンとか、監督の
描写に対する拘りは感じられました。

トニー・レオンがラスト、チアチーと過ごした
ベットのしわを悲しそうに見つめるシーンは
「ブロークバックマウンテン」のクローゼットの
シャツを思い出させました。
最後はやはり喪失感を描いていましたね。

kazuponの感想ー★★★1/2

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映画の感想を中心に大好きな音楽の事や、どうでもいい話もテキトーに綴っております。
感想はネタバレ確実にしてますのでご注意を!
たまにdrummerもやってます。
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