2006年ベストムービー

2006年12月31日(日) 20時19分
いつもお世話になってる皆様、1年間ありがとうございました!
年末恒例年間ベストを今年も勝手に選びました。
まぁお遊びなんでお暇つぶしにどうぞ。
基準は「06年1月1日〜12月31日に日本で公開された新作で
劇場公開またはビデオスルーのみ」の作品で自分が
観たものから選んでます。邦画と洋画の区別は自分の中で
あまり無いので混ぜて選んでいます。

鑑賞映画のタイトル一覧ページはこちら。
→kazupon Movie Index


2006年kazuponのベストムービー

1.「トゥモロー・ワールド」
2.「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」
3.「ブロークン・フラワーズ」
4.「スーパーマン・リターンズ」 
5.「クラッシュ」
6.「ブロークバック・マウンテン」
7.「嫌われ松子の一生」
8.「トンマッコルへようこそ」
9.「虹の女神」
10.「スネーク・フライト」


いや〜今年は特に後半、気に入った映画が多くて
選ぶの大変でした。まず選んだら25本くらいになってしまって(涙)
では短くコメント。
各タイトルは感想にリンクしてます。



@「トゥモロー・ワールド」
  "Children Of Men" 
 アルフォンソ・キュアロン監督・脚本 ティモシー・J・セクストン 脚本

この映画観た時にどどーんとスゴイ!って思ったんですけど、
思った以上に賛否判れてるみたいで、特によく目にしたのが
「説明不足」。うーん自分はそこがいいと思ってしまった(笑)
長廻し撮影は圧倒ですが、なんというか、「○○に似てる」って
あんまり思いつかない映画で、今後忘れられない映画になりそうだから。
久々に2回劇場に足を運ばせた映画でした。その時の記事はこちら。
好きなもんはやっぱり好きだってことで・・。

A「父親たちの星条旗」
  "Flags Of Our Fathers" 
 クリント・イーストウッド監督 ポール・ハギス、ウィリアム・ブロイルズ・Jr脚本
 「硫黄島からの手紙」
  "Letters From Iwo Jima" 
 クリント・イーストウッド監督 アイリス・ヤマシタ脚本

2本で1本です。ちょっとズルイですが、この2作を順番付けて
分ける訳にいかない気がして・・。
とにかく、戦争映画を観ていていつも思う「敵の方はどんな気持ちなのか」
を2部作にすることでマトモに描いた素晴らしい二部作だと思います。
特にアメリカでは日本側を描いた「硫黄島」の方が評価が高いのが
驚きですが、イーストウッドの映画は男らしくあまり説明しないのが
いいですね。自分説明が少ない映画が好きなんだなって最近強く思います。

B「ブロークン・フラワーズ」
  "Broken Flowers"
 ジム・ジャームッシュ 監督・脚本

あまり話題にもならなかったですけど、
こういうサラっとした映画ってジャームッシュしか作れない気がします。
愛すべきロードムービーで、繰り返し見たいなぁと思わせる
映画でした。ビル・マーレイ本人はそんなにファンじゃないのに、
彼が出ている映画がたいてい気に入ってしまうから不思議。

C「スーパーマン リターンズ」
  "Superman Returns"
 ブライアン・シンガー監督 マイケル・ドハティ、ダン・ハリス脚本

自分、娯楽映画主義者です。ワクワク、ドキドキあってちょっと考え
させられるし、感動もあるし、このリターンズは最高の娯楽映画でした。
同時期の「Xmen」がちょっと可哀想になりましたけど、
シンガー監督による続編を強く望んでます。DVD買ったんで正月に
観るのを楽しみにしてます。

D「クラッシュ」
 "Crash"
 ポール・ハギス監督・脚本 ボビー・モレスコ 脚本 

人は善人でもあり、悪人の要素もあるっていうのがとても
多面的に描かれた作品だったと思います。硫黄島2部作にも
からんでいるポール・ハギスの作品はこれからも期待大。

E「ブロークバック・マウンテン」
  "Brokeback Mountain"
 アン・リー 監督 ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ脚本

この映画をベストに選んでいる方が多いような気がしてます。
恋愛は障害が大きいほど、強くなり、せつなくなる・・。
とても悲しい映画でしたが、あの自然の風景が今でも思い出される
映画でした。

F「嫌われ松子の一生」
 中島哲也 監督・ 脚本 

死ぬほど豪華絢爛でポップな日本映画でした。その反対に 
物語はとてつもなく暗いものなんで、「下妻物語」みたいに
繰り返し観るのはちょっとキツイものがありますけど、
軽そうでいて、実はミが沢山詰まったスゴイ作品です。


G「トンマッコルへようこそ」
 "Welcome To Dongmakgol"
 パク・クァンヒョン 監督・脚本 チャン・ジン、キム・ジュン脚本 

「反戦映画」って言葉はあまり使いたくないんですけど、
毎日のんびりしてる事がいかに素晴らしいかをすっとぼけた
センスで見せるこの監督は1作目らしくて、次が楽しみです。


下に続きます

ブロック・パーティー

2006年12月29日(金) 8時32分


ヒップホップはあまり詳しくないんですが、
「エターナル・サンシャイン」のミシェル・ゴンドリー監督の
最新作なんでこりゃ観ておかないと!

2004年にニューヨーク、ブルックリンの
ベッドスタインで行われたシークレットライブ
「DAVE CHAPPELLE’S BLOCK PARTY」の記録映画。
得意のMTVでも必ずヒネって作品を作っている
ゴンドリー監督なんで、出演アーティストのライブを順繰りで
観ていくようなものになっていません。
ライブ以外の舞台裏にかなりの時間が割かれていて、
そういう意味では純然たるライブが観たいと思ってる
各アーティストのファンには物足らないかもしれませんが、
ライブ映画としてはかなり個性的なものになってます。

この主催者デイヴ・シャペルってアメリカでは誰でも知ってる
人気コメディアンだそうなんですが・・すまん、知らん;;
出演者もローリン・ヒル+フージーズ、
エリカ・バドゥあとルーツくらいしか知らないし。
モス・デフは映画ファンには今年の「16ブロック」で
準主役やってた彼です。ラッパーなのにほとんどドラム叩いて
ました。結構うまい。

映画はシャペルが、よくタバコ買いに行く雑貨屋の
おばちゃんを始め、その辺で会ったばかりの連中なんかに
地元でチケット配りまくるところから始まるんですけど、
みんな「あらアタシなんか呼んでくれるの?」って感じで
なんだかよそよそしくて、偶然すれ違ったマーチングバンドも全員
呼んじゃうとか、あんまり友達いないんちゃうの?って
ユルユル感がいい感じ(笑)
でもこのシャペル、めっちゃいい人。

シークレットで進められたライブ会場となるのは
ブルックリンのベッドスタイ。
「スパイク・リー」の「ドゥ・ザ・ライトシング」の舞台に
なった街です。
そのステージの背景となる「ブロークン・エンジェルス」
と言われる建物の廃墟に住んでる
ヒッピーの成れの果てみたいな老夫婦のイカレっぷりが
凄い(笑)

そういうバックステージ部分から断片的にライブの演奏が混ぜ
られるんですけど、音量も音質もそこでガラっと変わって
やっぱり気持ちいい。メインバンドのドラマー(ルーツの人かな?)
のノリと音色がかなり好みでした。
そういえばミシェル・ゴンドリー監督も
地元フランスでOui-Ouiってバンドのドラマーやってましたから、、
リズムメインのヒップホップの撮りかたはシンプルながら
さすがだなぁって思いました。
ダラダラとライブを記録したものだったら、そんなに
お気に入りのアーティストばかりじゃないから
退屈してたかもしれませんし。

ほとんどマスコミにも知らせず、なんとなく噂でスゴイ
ライブがありそうだと人が集まってくるのは面白いですね。
ネット時代だからシークレットなんて難しいんだろうな。
全く登場するバンドを知らない人が
観ても多分映画として面白くなっている感じは、
マーティンスコセッシ監督の「ラストワルツ」にやや近いものを感じました。
メンバーのインタビュー以外は演奏シーンを淡白に記録した
前者に比べ、こちらのほうはバックステージや観客を
メインにしてる分、撮られる方も映画になるって事を多分に
意識してる感まで伝わってきてしまいます。^^
ワイクレフの「大統領になったらどうする?」って学生に聞く
くだりなんて、かなりカメラを意識したパフォーマンスなんで
結構ウソ臭い(笑)

ライブのトリはフージーズ久々に3人揃った再結成の
パフォーマンス。ローリン・ヒルは結構好きで「ミスエデュケーション」
の頃のライブを観た事があるんですが、ちょっと
本調子じゃない感じがしました。でもソロになってからはあまり歌わなかった
「killing me softly」を歌い始めると「おぉぉ!」って
やっぱりなりますよね〜。
ローリン始め、エリカ・バドゥ、ジル・スコットと
女性シンガーはみな存在感すごいです。

個人的には「ラジオじゃ百万年かからない」ってキワドイ歌詞の
Dead Prezのパフォーマンスがカッコよくて印象に残りました。
ただこういう韻ふみまくりのヒップホップの
ラップのライムを字幕で見ても微妙にニュアンスが伝わってない
と思えるのが残念です。字数制限あるから仕方ないんでしょうけど。


ということで今年はこれで映画見納めっぽいです。
ノリノリ映画で今年は締めくくれました。
そろそろ映画の私的年間ベスト10を選ぼうかと思ってますが
そういえば昨年はこのゴンドリー監督の
「エターナル・サンシャイン」をベストに選びました。
今年は特に後半に来ていい映画が多くて困ります・・。

kazuponの感想ー★★★1/2

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エラゴン 遺志を継ぐ者

2006年12月27日(水) 0時49分


初日に観てたんですけど、なんとなく
感想書かずほったらかしでした(苦笑)

ドラゴンに乗って大空を翔け巡るドラゴンライダーの物語!
と予告で観て少年心をものすごくときめかせてくれる設定の映画かもと
チョイと期待してたんですが・・。
比べるなと言われてもどうしても比べてしまうのが
壮大な3部作「ロード・オブ・ザ・リング」や
「スター・ウォーズ」シリーズからの世界観の
影響がモロに感じられる作品。
本作はアッサリ1時間40分程度。
なんとなく「前回のあらすじ」みたいな駆け足のプロローグから
始まるこの作品、作品そのものがダイジェスト版みたいな印象で
背景や世界観が浅く感じられるまま終わってしまった感じはありました。
ドラゴンの飛翔シーンとかなかなかいいと思ったんですけど、
ちょっと物足らない作品でしたね。うーん。

17歳の農家に住む少年エラゴン(エド・スペリーアス)は狩の途中で
不思議な青い石を拾う。数日後その石が光ると中から飛竜(ドラゴン)
が孵化してきた。石はエルフ族の王女アーリア(シエンナ・ギロリー)
がガルバトリックス(ジョン・マルコビッチ)の手に落ちないよう
大切に守ったものだった。
ドラゴンはすぐに成長し、自らをサフィラと名乗ってエラゴンの
心に語りかけてきた。
彼は平和をとりもどすドラゴンライダーとしてサフィラに
選ばれた存在だったのだ。

「指輪物語」「SW」の影響はもとより、なんとなくRPGゲームっぽい
設定の作品だなぁと思って観ていたんですが、それもそのはず
原作者のクリストファー・パオリーニは1作目を書き上げたのは
エラゴンと同じ17歳!いろんなものからの影響を素直に作品に
仕上げたからこそ、絶大なる支持を得たんでしょう。
聞くところによると、原作の方がもっと深い世界を構築してる
そうですね。読んでみるかなぁ。
映画では、エラゴンとサフィラの精神的つながりを積み重ねるエピソードが
ほとんど無いし、気が付いたらいきなり大きくなってるあたりは
??って感じでしたしねぇ。
ドラゴンライダーのジェレミー・アイアンズとのエピソードは
オビワンを彷彿とさせるものでしたけど、そのへんも
浅いといえば浅い。

ただ個人的にはごった煮であってもこういう作品って
なんだかんだ言っても楽しめてしまう方なんで、
上に書いた上映時間が短いのは逆に幸いだったかもしれません。
あの感じでダラダラ長いとちょっときつかったかも。

この映画ってひょっとしたら原作者クリストファー君の
自分の作った空想が映画となって再現されてる訳ですから、
彼が世界で一番楽しめた人なのかもしれないですね。

でもマイドラゴン自分も欲しいです。卵落ちてないかなっ。
移動するのにも便利だし・・・派手だし。って
そういえば心の中読まれちゃうんですよね。
ゼッタイ選んでもらえないなぁ(笑)

kazuponの感想ー★★★

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師走とジェームス・ブラウン

2006年12月26日(火) 23時30分


いや〜っ
長いこと更新出来てません!すいませんっ!
年末ややバタバタしてまして・・・。
その割にはライブ観たり飲みにいったりとか。いつもか。
コメントとTBのお返しはゆっくりさせていただきますので、
ほんと申し訳ありません!
いつもお邪魔しているブログもコメント残せてませんが
拝見させていただいております!
前にも書きましたが、年末年始って映画あんまり観ない
気がします。正月映画ラインナップになると観たいのは12月
中に観ちゃうし、後は同じ年明けまで新作の公開無いし・・。

でも師走って1年で一番好きなんですよね〜昔から。
まだそんなに寒く無いし、なんだかんだって人と集まって飲む機会
多いし。明日ドラム叩くし、もうすぐ休みだし(笑)
なんとなく街の人もウキウキしてるような・・・。自分だけかな。

そんな師走というか、クリスマスの25日にJBがあの世へ
行っちゃいましたね。まだ73歳だったのか〜。
熱狂的なファンという訳ではないですが、
悲しい・・というより少し寂しい感じです。
フェバリットのフランク・ザッパも
そうだし(12月4日)ジョン・レノンも(12月8日)
まだいて欲しい人はどうして12月に逝ってしまうんだろう。

JB(ジェームス・ブラウン)を強く意識したのはガキんちょの頃
あの映画「ブルース・ブラザース」が最初かな?
大好きなプリンスのライブや曲の構成がモロにJBの
影響受けてる事もあって興味を持ち始めました。
とにかく今のファンク系リズムはこの人が原点ってのが
結構あるような気がします。

ライブは数回観たことあって、最初に観たのは確か
「大阪城野外音楽堂」での単独ライブ。
キャパあまり大きく無い、アマチュアとかも良くやる野音は、
そんなに外タレがライブする所じゃないんですよね。
なんであんな所でやったのかな?貴重な体験でした。
あのセキュリティ甘々な感じの楽屋口に屈強な
ボディガードが立っていたのが記憶に残ってます。

JBのライブは観たことある方多いと思うんですけど
カチっと全員同じ衣装を着たフルバンド編成で、
エレクトリックバンドに、ホーンセクションと
キレイどころのにおねーちゃん軍団!のダンサーを多数引っさげて
まさにキンキラショーという感じ。
楽しいんですよね。
大抵バンド演奏のみで数十分やって、お抱えの(愛人?)
女性シンガーがソロで歌ったりして・・
1時間近く経ってからようやく 
おなじみの専属司会のおっちゃんダニー・レイが登場!
ものすごくイヤらしく大層な口上で
「Sex Machine! ♪ジャン! Please Please Please! ♪ジャン!
 Living in America! ♪ ・・・・・
 「じぇ〜〜〜〜〜〜〜〜 むうす〜〜 ぶらう〜〜ん!!!」
ってようやく満面の笑みのJB御大が登場します。
もうなんだか笑ってしまうくらいキンキラ(笑)

でも観てれば判るんですけど、バンドにはかなりシビアで
JBの合図で全てが進んでいることがわかる。
長いソロ回しとかもJBが合図すると「ジャガジャジャンジャンジャーン!」
ってキメフレーズがビシって入るのがすごくかっこいいんです。

そんなJBライブで一番思い出深いのは前にも書いたんですけど 
「サマーソニック」第一回の大阪会場でのライブ。
未だに知り合いで観た人の間では語り草になってます(笑)

この炎天下の日は確か後半アレステッド・ディベロプメント〜
ドラゴンアッシュ〜ジェームス・ブラウン〜ジョンスペンサー・ブルース
エクスプロージョンというなんだか判るようでわからん順番でした。
ジョンスペがトリでJBはトリ前だったんですね。これがそもそも
不思議だったんですけど、若い観客には知らない人が圧倒的だからかな?

フェスなんでメインステージの持ち時間はどのバンドも
セッティング込みで1時間半くらいだったと思います。
JBバンドが登場すると、いつものあの感じでバンドのみ演奏が
しばらく続く・・・。
いつものように女性シンガーも登場してソロで歌うし。
あれれ?持ち時間2時間くらい貰ってるのかな?
1時間近く経ってようやく司会とJB御大登場!いつもと一緒の流れです。
これってまんまJBのフルコンサートと全く一緒の展開。
自分は大好きなんで大喜びでしたが。
JBもものすごい大観衆で楽しそうに歌ってます。
でもどう考えても2時間くらい経過してる。(笑)

そして多分ラスト近くだと思われる「セックスマシーン」
を演奏し始めた頃、突然ステージ上の全ての照明が落ち、
PAからの音が全くしなくなりました。
はっもしや停電?
JBはそれに気づかづ、ノリノリで歌ってますが観客には聞こえて
ません・・・。ドラムの生音だけが響いている。
そしてバンマスらしき彼が事情を察したのか、JBに耳打ちして
笑顔でひっこんで行きました(笑)

一瞬何が起こったのか判らなかったんですけど、
後で聞くと、JBは前日のサマソニ東京でもおもいっきり約束時間超過した
らしく、大阪ではゼッタイにしないように釘さされてたらしいの。
あはは、「わかったわかった」って答えといて
そのまんまやっちゃった訳ですね。さすが、というかスゴイ。
そして照明とPAをホントに天下のJBなのに落としてしまった
主催者もすごい(笑)
よく企画もののライブなんかだとライブハウスに「時間超過したら
照明PA落とします」なんて警告してある場合があるんですけど、
ホントにそんなの実行したのを見たのは後にも先にもこれだけです(笑)

でもライブはいつも最高でした。
あんなエンターテイメントをあの年でも変わらずやってたなんて
ほんとスゴイなぁと思ってたし、あと一度くらいはなんとなく
ライブ観れるだろうなって勝手に思ってました・・。
今年もあとわずか・・・。
個人的に好きだった「Cold Sweat」なんかをさっき聴いてました。
師走には濃いけど、カッコイイ音楽をホントにありがとうJB!

硫黄島からの手紙

2006年12月10日(日) 19時16分


「父親達の星条旗」の感想で、「敵=日本」というのを
意識しないような作り方に驚いたと書きましたが、
やはりアメリカ人兵士は物語にほとんど登場せず、
あくまでも日本兵たちの描写に終始する作品。
もし何も知らずにたまたまこの映画を観た方がいたら、
純然たる日本映画としか思えないんじゃないでしょうか。
この映画のカメラのこちら側にあのダーティ・ハリー=
クリント・イーストウッドが座って指示をしているのかと思うと、
ほんとに驚嘆せざるを得ません。
戦争を扱った映画ではどうしても一方的な目線に終始しますが、
今までほとんど見る事のなかった「公平な視点」が
この2本を通じて浮き上がってくるのが素晴らしい。
本当に近年観た戦争を描いた映画でここまで胸につかえる
2作になるとは予想していませんでした。

1944年アメリカ軍が硫黄島に総攻撃をかける日が
迫っている。
陸軍中将・栗林忠道(渡辺謙)が新たに責任者として
赴任してくる。
そんな中、パン屋だった西郷(二宮和也)は上官から
執拗にイビられ、死と隣り合わせの日々。妻とこれから
生まれてくる子供を思う手紙を毎日書いている。
兵力ではおそらく完全に勝てる見込みはない硫黄島の
攻防戦の前に、栗林は要塞のように島を洞窟状態にして
相手を狙う持久戦に持ち込む作戦を立てた。

同じ謙サンが出ていたハリウッド作品の
「ラストサムライ」も「SAYURI」もやはり日本のトンデモ描写が
若干出てきますし、そもそも英語しゃべってましたけど、
これは過去に例を見ないくらいウソ臭くなく日本人を
ちゃんと描いたハリウッド映画。
タイトルも「硫黄島からの手紙」とさりげなく日本語で
もちろんほぼ全編日本語。

謙サンも良かったけど実質的な主役だと言っていい、
二宮和也が思った以上にメチャクチャ良くてビックリ。
倉本聡のドラマ「優しい時間」でも印象的だったんですけど、
未だにサムライ精神が崇高だと信じるしか出来なかった当時の日本軍
の中で、「名誉の死より生きる事がすべて」だと最初から思っている彼の
役は今の日本人には共感出来るキャラクターのように思いました。

「父親達の星条旗」と本作を見比べると、同じ戦争でもこうも
状況が圧倒的に違ってたのかとやりきれなくなります。
アメリカ兵が硫黄島に向かう場面ではまだ笑顔があったり
冗談言ったりって気楽さが若干感じらましたけど、
日本兵はちょっとでも上官の気に障ると体罰だし、
アメリカって日本兵みたいに「死ぬ事」が
名誉な事だってバカみたいな刷り込みしてないですよね。

中盤の「自決」のシーンはかなりやりきれないショッキングな
ものなんですが、サムライ精神でこんなのやってた部分は
相当な理不尽さを感じます。○○○○バンザイも。

ラストあたりで二宮君が「もう5日も飲まず食わずだ」
って言うセリフとか、投降した日本兵が加瀬君に
「メシ食えるらしい」と言ってたりとか、ああいう
細かいセリフがほんとに悲しい。

そういう日本の兵士たちが、いかに間違った精神論に
よってムダに命を落としていた被害者であったかってのが
イーストウッドの視点からきちんと描かれていたのがスゴイ
と思いました。

「父親〜」ではアメリカ本土に彼らが戻るシーンがかなり出てきましたけど
戦中の街は戦争やってるってのがウソみたいな普通さ。
日本の現地の描写はあの憲兵のエピソードや
召集令状の場面のみでしたけど、その二つだけで充分狂ってた事が
伝わる場面になってましたよね。
犬好きとしては許せんエピソードです。あれは(怒)

とはいえ日本を軽視している訳ではありません。
「父親〜」はヒーロー的存在が不在の作品でしたけど、
この映画は栗林やバロン西の人物の高潔さをかなり肯定的に
描いているのも驚き。

日本軍の中にも高潔でマトモな人もいれば、二宮君の上官や
中村獅堂が演じた彼みたいなヤツもいるし、二宮君みたいに
ただ生きていたいと思う人もいるし、
そういういろんなタイプがいるという描き方は「星条旗」と同じ。
アメリカ兵の母から捕虜に送られてきた手紙について
二宮君と加瀬君が会話するシーンは特にこの2作の
メッセージがこめられている部分だなぁと感じました。

その加瀬亮の演じる清水の情けなく悲しい死に方の場面のように
アメリカ人にとってはネガティブに感じる部分も
含めて、この映画はアメリカでどう評価されるのかがとても
興味深いです。

アメリカでは12月20日におそらく小規模に公開されるらしい
ですね。
そういえば本作のプロデューサーはドリームワークスなんで
スピルバーグ。三船敏郎サン出てる「1941」って好きだったなぁ(笑)
あまりにこの2作とは違うバカ戦争映画でしたけど・・。

「硫黄島の手紙」は繰り返しは見るにはあまりにも
ツライ映画ですが本当に素晴らしいです。
泣かせるようなミエミエの演出は全く無いんですけど、
泣けて仕方ありませんでした。
ラスト、生きる事だけを考え常にマイペースで
ひょうひょうとしていた二宮君が狂ったように
暴れるシーンがとても印象に残っています。

そして耳に優しく残るシンプルな音楽は今回も最高でした。

kazuponの感想ー★★★★1/2
「父親たちの星条旗」と合わせて★★★★★

の合わせ技1本!2作両方を観るべき作品。

「父親達の星条旗」感想

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日本公式
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Kazupon Movie Index

パプリカ

2006年12月04日(月) 0時01分


アニメは熱心に観ているほうじゃないんですが、
たまに「おぉ!」っと映画好き心をくすぐるような作品に遭遇します。
今年の「時をかける少女」もなかなかの傑作だったし。
今敏監督作品は評判は耳にしているものの、観るのはこれが初めて。
VFXでまぁたいていの事は出来るようになった昨今ですが、
アニメはどんなにぶっとんだ設定であっても、イマジネーションで
どんなものも作れるのがいいところ。
筒井康隆、断筆前の最後の作品の映画化で、
昨年DVDで観て衝撃を受けた「マインドゲーム」と同じく、
様々に変化するイメージテンコ盛りの作品で、
実写じゃおそらく製作不可能な
映画になっていると思いました。

セラピスト千葉敦子が勤める精神医療総合研究所から
開発中の「DCミニ」が盗まれた。
開発者である幼馴染の時田の助手・氷室が盗んだらしい。
DCミニは頭に装着するだけで、他人の
夢にシンクロする事が出来る。
所長の知り合いである刑事粉川はこっそりその不思議な
世界を体験させて貰っていたので、捜査に協力する事に
なる。
シンクロした夢には「パプリカ」という謎の美少女が
現れ、夢のサポートをしてくれるのだった。

他人の夢を操作して入り込むような映画って
結構ストーリーが判りにくい映画が多い気がします。
これも夢から始まって、現実の世界と交錯するので
かなり判りづらいかも。
でも夢の世界をテーマにしているので、
その判りづらさが映画の魅力になっている
不思議な作品だと思いました。

「なんでこんな夢観るんだろう?」って自分の夢について
誰もが思いますよね。その夢をモニタで見る事が出来る
ようになったら、人の無意識の?深層心理が判るようで
見たいような見たくないような・・・。
だいたい明確に覚える事が出来ないのが夢の不思議な部分でもありますし。
登場人物の夢がシンクロしていって、その複雑な夢がそのまま
映像となって出てきます。
和っぽいもののイメージがグッチャグチャに登場する感じは
「千と千尋の神隠し」と比較しちゃう方も多いような気がしますが、
似て非なるものというか、メッセージより謎解き小説っぽい
印象を受けました。

映画の中を駆け巡るパプリカの存在がめちゃくちゃ
魅力的で、アニメだから出来るぶっとび感覚が
極彩色の中で炸裂してます。

夢の中では誰もが主人公。
夢にかつて観た映画の登場人物として自分が登場
する経験ってある人多もいんじゃないでしょうか。
そんな映画ファンにはくすっと出来るシーンも用意されています。
そうそう、去年のイチオシ「エターナルサンシャイン」
も人の夢の中を最後には逃げ回るような映画でしたけど、
一瞬パプリカが監督ミシェル・ゴンドリーが
作ったケミカル・ブラザースのPV"Let Forever Be"
そっくりのイメージで登場するシーンがあったので
ちょっと参考にしているかも?と思いました。

そうそう劇中、夢の世界との窓口になっている「Radio Club」
っていうヴァーチャル?バーが登場して、
しばし刑事の粉川がネットから
そこに飲みに行くんですけど、この映画の公式サイト
にリンクボタンがあっても、エラーが出てしまうように
なってます。でも良く見るとウソエラーの画面なんですよね(笑)
ここに入るのと戻るのには結構おもしろい仕掛けがあります。
映画を観た人は楽しめますから、一度行ってみてください。

kazuponの感想ー★★★★

official site
http://www.sonypictures.jp/movies/paprika/site/

武士の一分

2006年12月03日(日) 14時51分


山田洋次監督+藤沢周平原作コンビもこれで3本目だそうです。
「たそがれ清兵衛」は残念ながら未見なんですが
「隠し剣、鬼の爪」を観た時に感じたのとほぼ近い印象の、
下級武士を描いた後味のいい人情時代劇。
木村拓哉主演という事で何かと話題の作品、
もちろんの存在感でしたが、話題の彼がメインだからこそ
妻の壇れいと徳平の笹野高志が光って観えたかもしれません。
特に徳平はめちゃめちゃ良かった。

三村新之丞(木村拓哉)は近習組に仕える三十石の下級武士。
現在は殿様の食事を事前に毒見をするという、毒見役が
現在のお役目で、殿様に知られている訳でもなく、
早々に隠居して身分を問わない子供向きの道場をいずれは
開きたいと考えていた。
気立てが良く、美しい妻・加世(壇れい)と、父の代から仕えている
徳平(笹野高志)が世話係としていた。
ある日、新之丞が毒見した赤貝に毒があり、高熱を出して
倒れる。加世の看病の下、回復する新之丞だったが、
気付けば目が見えなくなっていた。

木村拓哉の脇にあまりメジャーすぎない舞台で活躍する二人を配する
キャスティングはかなり成功しているように思いました。
壇れいは宝塚出身の女優さんとのことで、ほぼ知らなかったんですが、
美しくて身寄りが無いという薄幸な設定にはぴったりでした。
笹野高志はこの映画のキーといっていいほど、映画全体の
人間的な部分を担ってくれいたと思います。
けっこうベタベタな設定なんですけど、徳平のひょうひょうと
した感じがあるので、映画があまり湿っぽくならなかったのも良かった。

木村拓哉は、殺陣のシーンは、確か剣道の有段者だって聞いた事
あるんで、なかなかのものでした。
「映画の中の新之丞」として観れるかどうかというのが
ポイントだったような気がしますが、やはりシーンによっては
「木村君が演じている」という感じが若干あったかも
しれません。今回のは題材的にも普段のイメージと違いすぎる役
なんで、こういうのもやれるんだってアピールになってると
思いました。
引き篭もって盲目な演技はかなりいいと思いましたし。

藤沢周平原作ものはハッピーエンドになる事が多いので、
あまりハラハラせずに観ていたんですけど、
途中、この物語なんだか昼メロみたいだなぁって思ってて、
新之丞は終始ウジウジしてるし、なんだかんだ言っても加世は
八十助サンに寝取られてしまうのが、映画とはいえ辛かった(笑)
あんな良妻ならなおさら男でしたら堪りません。
「不名誉は敗戦」を与えて自決しちゃうくらいしてもらないと
気がすまないかもなぁとヘンに共感してしまった。
男のプライドって難しい。

殺陣のシーンが全体の中では少ししかないのがこの
シリーズの特徴なのかもしれないんですが、
そこが素晴らしいので、もっと沢山観たいと思ってしまいます。
ラストの対決なんてやっぱり時代劇らしくて良かったです。
目が見えなくてもメシの炊き方で誰か判るなんて、日本映画にしか
ない場面だと思うのでやっぱりいいよね。

kazuponの感想ー★★★1/2

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kazupon
映画の感想を中心に大好きな音楽の事や、どうでもいい話もテキトーに綴っております。
感想はネタバレ確実にしてますのでご注意を!
たまにdrummerもやってます。
コメント&TB大歓迎ですが、
最近忙しくTBはマトモにお返し出来ず申し訳ありません。

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