人生は、奇跡の詩

2006年11月25日(土) 0時38分


第13回大阪ヨーロッパ映画祭にて鑑賞

「ライフ・イズ・ビューティフル」でナチ強制収容所という
重いテーマを笑いと感動で描いたロベルト・ベニーニ最新作の
背景はイラク戦争。
内容は変われどテーマは同じ。
世の中の状況がひどくなり、どんな争い事に巻き込まれようが、
自分にとって一番大事なものは愛する人。
愛する人を守る為だけにまっすぐに全てを捧げる主人公。
当日予定されていたベニーニのパートナー、ニコレッタ・ブラスキの
舞台挨拶が急遽キャンセルされたらしくちょっと残念でしたが、
映画はベニーニらしい明るく優しい作品で良かったです。

大学で詩を教えるアッティリオ(ロベルト・ベニーニ)は毎夜
ヴィットリア(ニコレッタ・ブラスキ)と結婚式を挙げる夢を見る。
詩人仲間のフアド(ジャン・レノ)の講演に同行してきた
彼女を見つけるやいなや、追いかけて猛烈に愛を告白するが、
彼女には毎度のことらしくうんざり。
しばらくして、バクダットに彼女と行ったフアドから、彼女が
イラク戦争の爆撃に巻き込まれたとの連絡を受ける。
慌てて空港に行くが、バクダット空港は封鎖されていて
入国できないと冷たく断られてしまった。
しかしその夜のニュース映像にはバクダットの空港で
医療用品を運ぶアッティリオの姿が・・。

満員の劇場ではかなり笑いが起こってました。
いつもべらべら喋るベニーニは詩人!という設定なので、
今回は詩的にべらべら喋ります(笑)そういう
セリフの面白さは字幕ではおそらく全部伝わってないと
思うので残念。

「ライフ・イズ・ビューティフル」はナチの強制労働の収容所で
息子に「これはゲームなんだっ」ってひたすら言い続けて、
最悪の状況、イヤなものを意識の中から飛ばしてしまう話でしたが、
本作は繰り返される夢やバクダットに突然行ってしまうシーンでも
も判るようにちょっと非現実な展開が多い映画です。
主人公の頭には「彼女を助ける」という事しかなくて、
イラク戦争も、周りの被害者も彼の眼中には入らない。

ナチの収容所もそうでしたけど、混乱中のバクダットの描写は
実際こんなんちゃうでしょ?っていうセット然としたものだし、
必要以上にヘヴィーな戦闘場面とかは出てきません。
ベニーニはそういうものにリアリティは必要ないと
思っているんだと思いました。

アカデミー賞を受賞した時のハシャギっぷりが未だに
目に浮かびますけど、彼って直球な人なんだろうなぁって思います。
そういう雰囲気がそのまんま映画に溢れているというか・・。
彼の映画は判りやすいので、反戦的とかやや偽善的だと
感じる方もいるような気がしますけど、
ヘンに現実的な最悪のエピソードを重ねるより、
非現実であろうが、普通の人が愛する人が好きで好きでたまらない!
っていう状況を明るく見せる事でメッセージが素直に伝わってくるのが
彼の作品の良さだと思います。

意識不明のヴィットリアが助かるためなら彼は1秒も
考える事なく、即効で実行するのが映画の笑わせどころ。
まさに「たとえ火の中、水の中」でなんでもやり遂げてしまう。
酸素が必要なら、襲撃された商店の盗品を丸ごと買ったり、
薬が必要なら、遥か遠くの安全圏まで調達しにいって、
体中に薬品をいっぱいぶらさげて戻ると米兵に止められちゃう
シーンなんか可笑しいんだけど、複雑な気持ちになります。

「ライフ・イズ・ビューティフル」はある意味バッド
エンディングだったので、アッティリオが
フラフラ街を歩いている後半あたりは必要以上に
ドキドキしてしまいました。(笑)
特にあの地雷原のあたりとか!

原題は"LA TIGRE E LA NEVE "(雪と虎)ってこの作品、
ストーリーにはちょいとした仕掛けがあるため、
そのせいか前半は「あれ?」って人物設定が判りにくいかも。
気づく人はすぐ気づくと思うんですけど、
自分は途中までそうか?やっぱ違う?って思ってました。(苦笑)
もちろんツッコミどころも結構あって、
特にあのジャンレノのキャラクター設定はイマイチ良く
判らなかったな・・。詩人で立派な人なのに、バグダット
ではなんにも出来ないままというか。

べらっべらべらっべら早口でまくし立てるベニーニ
もう休む間もなくマシンガンのようにしゃべり続けますから
苦手な方はイラってしてしまう?(笑)
ジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」
の一編では、ベニーニがしゃべり続けて客が心臓発作
起こしてしまうって面白かったなぁ。
「ピノキオ」はあまりに悪評が聞こえてきたので
見る前に断念してしまったんですけど、やっぱり
観てみようかな・・。観た方どうですか?

同じジャームッシュ繋がりで、本作の冒頭には
トム・ウェイツがピアノ弾きながら歌うシーンが
結構長くフィーチャーされています。
夢の中だから、良く考えると結婚式であんなラウンジバーみたいな
雰囲気はヘンなんですけど(笑)
やっぱトム・ウェイツ渋い!

映画のシーンで娘に詩人になった理由を聞かれて
「子供の頃、感動を人に上手く伝えられなかった、
 感動を伝えられる仕事がしたいと思った」
ってセリフは、まさにベニーニの映画に対する思いな
のかもしれないと思いました。

kazuponの感想ー★★★★

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