明日へのチケット

2006年11月21日(火) 1時47分


複数の監督が参加するオムニバス映画には、
一大傑作ってあんまり無いような印象があります。
決定的にダメなのも無くて、それなりに面白い映画が多いというか。
才能ある監督も参加する際には「オレがオレが」って色が出ない
実験的なものにしちゃう傾向があるのかなぁなんて。
そういえばアメリカよりもヨーロッパ映画の方が
オムニバスって多い気がします。

この映画はヨーロッパを走る列車の中をテーマにして、
エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチという
どちらかというと人間ドラマをじっくりと描く3人の監督が
停車駅でバトンを渡すようにリレー形式で、ひとつの列車の中で
特定の人物にスポットを当てたリアルタイムの物語を描きます。
どのエピソードもとっても地味なんですが、
個性的な物語で楽しめました。

@エルマンノ・オルミ編
初老の教授が顧問をしているオーストリアの会社の会議の
帰り、飛行機が欠航したため陸路の列車に乗るハメになる。
車内の食堂車で、親切に手筈を整えてくれた企業の秘書へ
想いを馳せる。

Aアッバス・キアロスタミ編
2等切符なのに1等に勝手に座った太った中年女性は、
連れの青年をやたら傲慢にこき使う。青年は彼女の世話を
しながらも、自分の事を知っているらしい少女に
話しかける。

Bケン・ローチ編
セルティックファンのスコットランドの3人組は
ローマの決勝に向かうべくお祭り気分で列車に乗っていた。
アルバニア難民らしき少年と仲良くなるが、その後
3人のうちの一人のチケットが無くなっている事に
気づく。彼らは少年を疑い始める。

この映画3人の監督がひとつの物語を構築してるのかと
予告を観た時に想像してたんですけど、
ほぼ独立したストーリーになってます。
アルバニアの家族が狂言回し的な存在で、@とBの物語に
からんでいきますが、3本に共通して言えるのは
人との関わりの面白さ。

@は1本の長編だとなかなか描けないような男性の一瞬のトキメキ
だけを描いた短編ならではの良さがあるし、
Aはおばさんと青年の関係や彼の妹と少女の関係を明確にしないのが
面白くて、トワイライトゾーンの一編みたいな謎めいた印象を受けます。
@の初老の男性とAの傲慢なオバサンは全くからまない
ストーリーなんですけど、後で考えるとなんだか対になっている
ようで面白かったな。

多分Bが一番判りやすい内容で、これが面白いと思う人が
多い気がします。
ケン・ローチ?って思うような明るい作風。
あのサポーターの3人なんてサッカーに興味ない人なら、
車内でガンガン盛り上がってて
「ウルサイ奴らだなぁ」って思われてるだけですよね。
でもそんな彼らにもそれぞれ人間性があるわけで、
真っ先に疑ぐり深かった男の子が、一番情けに厚かったりして、
そしてちょっとだけイイ事をしたかも?みたいな
ラストもさりげなく脳天気で良かったなぁ。

全くの他人と結構長い時間隣り合わせになっている
状況って列車や飛行機旅の独特のものですよね。
ヨーロッパの列車なんてドーバー横断のユーロスター
ぐらいしか乗った事ないんですけど、大陸に多くの国を
有するヨーロッパの列車って、まさに様々な国の人が
乗ってて、いろんなドラマがありそうだなって憧れみたいな
モノがあります。そんな人種のるつぼになってる
駅とかいるだけで結構楽しいですよね。
おっきな荷物かかえてこの人たちはどこへ
行くんだろうなんて・・。

この列車には走り続けて貰って、いろんな監督が参加していく
シリーズモノにしちゃっても面白そうだと思いました。
車掌さんだけずっと一緒で。

kazuponの感想ー★★★1/2

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