若者のすべて(1960)

2006年11月11日(土) 23時34分


監督・脚本 ルキノ・ヴィスコンティ

今「大阪ヨーロッパ映画祭」が開催されてます。
「ルキノヴィスコンティとアドリアーナ・アスティへのオマージュ」
という特集上映の1本としてオープングに上映された1960年の作品。
ヴィスコンティの映画は数本しか観た事ないんですが、
170分くらいあるモノクロの本作、長いかなぁと観る前は
構えてましたけど、シリアスな内容なのにやっぱり引き込まれて
あっという間に終わった感じでした。

南部で貧しい暮らしをしていたパロンディ一家。
父を亡くしてしまい、一人街に出た長男を頼って長旅を経て
ミラノへやって来る母と4人の弟たち。到着の夜、
婚約中だった長男の恋人の家族と大喧嘩してしまう。
安いアパートを借りた家族だったが息子たちもそんなに簡単には
仕事にありつけない。
次男シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)はボクサーの
資質を認められ活躍するが、娼婦ナディア(アニー・ジラルド)
の虜になってしまい、借金を重ねるようになるが、彼女から
逃げられてしまう。
次男ロッコ(アラン・ドロン)は兵役につくが、赴任先で
ナディアに再会し、彼女にと仲良くなってしまう。

アラン・ドロンはこの頃はまだ大スターという程では無かった
そうで、この映画と同じ年に「太陽がいっぱい」があって
実際にブレイクしたのは3年後の同じヴィスコンティの「山猫」
だそうです。
この映画はイタリア南部移民の5人の息子の物語ですけど、
ストーリーの中心は次男レナート・サルヴァトーリと
娼婦アニー・ジラルドを巡る三角関係で、アラン・ドロンの
三男ロッコの目線で映画が作られています。
(原題は"Rocco e i suoi fratelli"「ロッコと彼の兄弟」)

この頃のドロンはとにかく男前で精悍なんですけど、
本作で強く印象に残るのはアニー・ジラルドの奔放で影のある
女性と、落ちる所まで落ちていくサルヴァトーリの二人。
弟と彼女が恋愛関係にあるのを知って激怒する兄。
中盤に弟の目の前で兄が彼女を犯す!というショッキングな
シーンがあるんですけど、この物語の奥深いところは、
そこからドロドロにならずに、弟が全面的に兄を神の
ように許そうとしてしまう。

でもそんな風にロッコが優しく助けてあげるので結果的には
兄をさらに堕落させていく展開が今観ても新鮮に感じました。
一人の気丈でヒステリックな母親の5人の息子のタイプが
それぞれ違っているのが面白いです。
長男は人がいいけど、自分の事ばかり考えているとか、
4男が一番マトモでちゃんと就職してるけど、一番下の子は
結構ダメダメな次男を慕っているとか・・。



この映画は60年当時のミラノの至る所でロケしている
ようで、そういう時代の風景を見るにも興味深い
作品だと思います。市電の中や街で会話する
ドロンとジラルドの絵なんてやっぱり美しい構図
でハっとさせられたり。

アニー・ジラルドの実は根はいい人で
途中で人生あきらめちゃってて、無理に
悪女を装っている感じがとても良かったです。
この映画が縁でサルヴァトーリと結婚した
らしいですね。ダメダメな役をやった二人だから
撮影中に心が繋がってしまったのかな?

移民の家族を描く映画って他にもいろいろ観た気がしますけど
バリー・レヴィンソンの「わが心のボルチモア」とか・・。
結構多くの作品が「若者のすべて」に影響受けているのかな?っていう
のを観て感じました。



この映画に出演しているアドリアーナ・アスティと
ご主人でヴィスコンティ映画の助監督をやられていた
ジョルジオ・フェラーラが当日のゲスト。
ロケで日本に来て日本が大好きになったそうです。
彼女はこの映画でデビューしたそうで
結構チョイ役なんですけど、後にヴィスコンティ演出の舞台
で主役を演じるようになった女優。
後にベルナルド・ベルトリッチの「革命前夜」に主演し、
ベルトリッチの元奥さんでもあったんですよね。
「革命前夜」も今回上映ラインナップにあるんですけど、
オープニングのティーチインに何故主演作じゃなくて
チョイ役のこっちを選んだのかな?って思いましたけど
今のご主人がヴィスコンティの助監督だっていう部分を
配慮してなんでしょうね。元ダンナの映画だし。
司会のおねーさんが多分アニー・ジラルドの役を彼女が
やっていると勘違いしてるような発言をしてたので
観ていて結構ヒヤヒヤしましたよ・・。(涙)

ティーチインの中では
やや的を得ない?質問が多かったにもかかわらず、
とても興味深いエピソードを引き出して話すご夫婦が
すごいと思いました。
ヴィスコンティは「映画の俳優は楽器で自分は奏者だ」
って言ってた事とか、映画に登場するジムのオーナー
が実際にボクシングジムをやってるオーナーだったって事
(これは驚いた、名演!)
アラン・ドロンは監督の事をあまり良く言わない人だけど、
ヴィスコンティだけは尊敬してて、彼について話す時は
涙を浮かべるとか・・。

上映後、握手とプログラムにサインを頂きました。
アスティさんの大きな眼差しは映画のままでしたね。

kazuponの感想ー★★★★

大阪ヨーロッパ映画祭
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