マイ・ブルーベリー・ナイツ

2008年03月30日(日) 19時02分


王家衛(ウォン・カー・ウァイ)の新作は初の
欧米圏キャストの映画になるとのことで心待ちにしてました。
ようやく観た印象は、うーん。やはり紛れもなく王家衛映画
になってて、印象としては「恋する惑星」「天使の涙」の
2作の頃に戻った感じでしょうか。
重いエピソードも登場するけど、かなり軽い印象の映画です。
王家衛作品って「一人オムニバス映画」のイメージがあって、
今回はまさにそんな感じ。
実際、他の監督とのオムニバス作だった「愛の神エロス」の
王家衛パートの際立ち方を考えると、作品のスタイルはオムニバスに
すごく向いてるんだなぁと改めて感じてしまいました。
「恋する惑星」も「天使の涙」も最近の「2046」も
映画の中でいろんな登場人物のストーリーが断片的に
語られ、たまにそれれは交錯する。
今回もそんな王家衛王道メロディとも言うべき作品。
ここんとこ忙しかったので、しばしいい気分に浸れました。

ニューヨークの深夜のカフェ。
エリザベス(ノラ・ジョーンズ)は彼が浮気相手と店に来た
事を知ったのをきっかけに、しばしば閉店間際の店にやって
来て、オーナーのジェレミー(ジュード・ロウ)と会話する
ようになる。
おきまりはいつも売れ残るブルーベリーパイ。
傷心の彼女はある日、NYを去り、メンフィス、ラスベガスへと
働きながら旅をする。

ほとんど完成してない脚本の中、
とにかく粘って粘ってテイクを重ね、その中からいい部分を
抜き出して映画作りをしていたという王監督
今回は組合がうるさいアメリカでそんな撮影出来ないハズだし、
きっと軽い映画になってるだろうって想像はしてました。
確か時代長編「楽園の瑕」・・結局この映画は完成品はかなり未完成
の印象を受ける・・・の長い撮影の後、かるーく映画が作りたいと
作った「恋する惑星」の軽快さ。
王監督、あまり予算と時間与えないほうがいいような気がする・・。

彼の映画はまず「場所」ありき。その多くはお店だったり、
部屋だったり。映画そのもののイメージがその場所になっていきます。
「恋する惑星」のホットドッグスタンド、「天使の涙」にも
大きな要素として出てくる重慶マンション、
「ブエノスアイレス」や「華様年華」の主人公たちの部屋。
今回のメインは「カフェ」。
盟友ウィリアム・チョンが手がけたと思われる
NYのカフェはどこにでもありそうな感じなのに、やはり
観終わった後もイメージとして強く残りました。

傷心のOL?がバー(カフェ)に毎夜現われて、
マスターが何やら哲学的な話をする・・・。
カギの話とか、パイ売れ残りの話とか、
王監督、全然変わってないなぁと思うんですよ。
今まで通りの結構こっぱずかしい
会話やシチュエーションは英語圏映画になるとややベタすぎ?
でもこのカフェパートが絵的に魅力的なだけに、
その後急にロードムービーになり、アル中オヤジを見守る
エピソードになって、しかもかなり間延びした感じ
になるのが残念。
エリザベスが狂言回し的に脇にいっちゃうんですよね。
王監督のそんな一人オムニバス展開は今回やや無理やり
っぽくて、そんなに上手くいってない気もしました。
その後のラスベガスパートもしかり。
1時間30分程度の映画なのにえらく長く感じたなぁ。
だもんでポスターのキスのカットは絵的には名シーンなんだろう
けど、なんかただこんな絵が撮りたかったです!
って感じだけで勿体ない気がしました。
さっきも書いた通り、監督は短編の方がひょっとしたら
めちゃくちゃ向いてるのかもしれないと思う。
去年の「パリ・ジュテーム」なんて王監督だったらうってつけ
だったのになぁなんて。

あれ、監督ファンなのにややネガ記事になりつつあるなぁ
えーと・・・。
そうそう、絵作りはもちろん、
役者、特に男性を魅力的に撮るのが相変わらず
上手いですね。本作のジュード・ロウのかっこいいこと。
あの店、ノラだけが閉店間際に行って彼と仲良くなるなんて
ありえなそうですが・・。

そして王監督の作品の魅力ってすれ違う人との一時の繋がりが
人生にとって実は輝く瞬間だったりすること。
この映画観た後は、カフェとかバーに行ってそこにいる
誰かと話をしたくなりますよね。
観終わってすぐにitunes music store でダウンロードして
主題歌の"The Story"を繰り返し聴いてます。

kazuponの感想ー★★★1/2

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