ミュージカル「キャバレー」@大阪厚生年金会館

2007年11月05日(月) 0時17分


ミュージカル
「キャバレー」

大阪公演/大阪厚生年金会館大ホール

演出・日本語台本 / 松尾スズキ

出演

松雪泰子、森山未來
阿部サダヲ、秋山菜津子
平岩 紙、村杉蝉之介
小松和重、星野源 他

作 /ジョー・マステロフ
作曲 / ジョン・カンダー 作詞 /フレッド・エブ

「キャバレー」の舞台版は観た事は無かったんですが、
アカデミー賞作品賞を取った72年の映画版は随分前にビデオで
観た事があります。
主演女優賞に輝いたライザ・ミネリ、決して美人ではない
彼女の魅力がとにかく印象に残る映画。
そして楽曲の良さ。

大人計画の松尾スズキが主演・松雪泰子で演出すると聞いてちょっと
意外だったんですけど、
そしてこれもオスカー助演賞取ったジョエル・グレイが演じてた
MC(キャバレーの司会)役は阿部サダヲというのはぴったりだ!
と思ってました。

海外版ミュージカルの日本版を二日続けて観てる訳ですが、
こっちはもんのすごく楽しめてしまった。松尾作品のファンってことも
あるんでしょうけど、なんつっても「キャバレー」ですから
舞台上に生バンド(弦もいるフルバン!)が
ちゃんといるのが最高です。
全部ひっくるめてすごく楽しい舞台になってました。
どちらかというとドロっとした作品の印象が自分にはある
松尾さん、こういう純正エンタエイメントも軽くやれるんだなぁと。

1929年、ナチス台頭前夜。
作家志望のアメリカ人クリフ(森山未來)が作品を創作する為
にベルリンにやってきた。
列車で知り合ったドイツ人のエルンスト(村杉蝉之助)に
紹介して貰った女主人シュナイダー(秋山菜津子)が営む
安アパートに居を構える。
その足でMC(阿部サダヲ)が舞台を仕切るキャバレー、
キットカットクラブに飲みに行ったクリフは、花形シンガー、
サリー(松雪泰子)と知り合った。
翌日、彼女はクリフのアパートに押しかけてくる。

映画版しか知らなかったんですが、
舞台は元々こういうストーリーなんですね。
映画のユダヤ人の富豪の娘と逆玉狙って
マジな恋に落ちる青年の話は登場せず
アパートの主人と果物屋の熟年カップルの恋が、
サブストーリーとして出てきます。
今思えば映画は、キャバレーの舞台以外は登場人物が
歌わない劇映画にアレンジされていました。
それでも意外や映画と受ける印象はいい意味で
さほど変わらない感じでした。
微妙な要素であるナチの台頭前の暗い雲的なイメージも
ちゃんと伝わってきましたし。

まず女主人役の秋山菜津子さん、素晴らしかったです。
多分このお芝居観てる人が皆素晴らしいと思うだろうと。
老け役なんですけど、歌ってるときも、そうじゃないときも
存在感がすごいんですよね。歌めちゃくちゃ上手いし。

阿部サダヲは観る前からハマリ役だろうと思ってましたけど
まさにどはまり。実際大筋にはほぼかかわらない
狂言回し的な役なんですけど、観客もキャバレーにいるような
空気感を作るのがMCの役目って部分もあって、
松尾さん、阿部さんには「グループ魂」で客いじり
やってる時みたいなそのまんまの感じでやらせてるんだろうなぁ。
オリジナルのジョエル・グレイもすごい芸人さんだったようですが
これはこれで、マネ出来ない「阿部版MC」の確立って感じでしたね〜
前のお客さんかなりイジられてましたね。

舞台は、キャバレーとクリフの住むアパートの部屋を
交互に見せているだけなんですけど、現実と虚美の世界
の対比が映画同様面白い舞台。
その大きな象徴がサリー。
キャバレーのステージ上だけは別世界のオーラを出している。

松雪さんはなかなか良かった。歌上手いんですね。
ラストの「キャバレー」なんかも独自の歌い回しになってて
引き込んでくれます。
サリー役はアバズレだけど不器用でかわいくて
歌ってる時だけは、存在感ががらっと変わる
オーラが出ているシンガーっていう役。これは
実際歌を生業にしてるシンガーとかがやっても面白いのかな〜
なんて勝手に思いました。
椎名林檎とかいいかも?なんて芝居できるかは置いといて。
でも松雪さん、ほんとお綺麗でした。

「オペラ座の怪人」の記事に書いた日本語訳に関してはほとんど
気にならなかったんですよね。
英語のままでいいところはムリに日本語にしてなかったのも
それでいい!と思いました。
元々、「キャバレー」の再演という感じではなく、「松尾版キャバレー」
なんだろうと思って観ているからってのもありましたけど、
かなりコネタや松尾スズキ的要素を入れながらも
意外と真っ当に「キャバレー」そのものになっている印象。

そういえば松尾スズキ、大人計画フェスで「ママさんコーラス」
の指揮やってましたけど、あれは最高でした。そういう音楽的要素
のある松尾作品は自分、かなりツボみたい。
途中で「おこめ券」がキャバレーのどさくさに紛れていたので
爆笑してしまいました。

映画でも、お店のバンドはキレイ所が務めている設定に
なってたんですけど、この松尾版でもプロの美女ジャズバンドを
ちゃんと探してきて舞台にセッティングしている所が素晴らしい。
特に今回の舞台、ピアノがいいなぁと思ってたんですけど、
客席からはピアノの人は残念ながらほとんど見えないんで
誰がやってるんだろうと思えば、前面にいるホーン隊と同じバンド
"Bianca"のメンバー。美人!
バンマスさんは音楽監督の門司肇さん。たまに芝居に
からんだりして、三谷幸喜の「コンフィダント絆」なんかも
生ピアノが上手く使われてたように、音楽が要素のひとつである舞台
ならではの楽しさのような気がします。
星野源にアコースティックギター弾くシーンをちゃんと用意したりね。

それにしても大阪厚生年金会館大ホールって収容2400名!
なんですよ。3階席まであって、多分満席だったのかな?
かなり前で観れたのでラッキーだったんですけど、
お芝居ってことでPAとかそんなに大きい感じじゃなかったので
3階とかまでちゃんとセリフ聞こえてたのか心配になりました。

二度目のカーテンコールでは松尾スズキさんが客席から
イキナリ登場。舞台に上がってバックバンド演奏つきで
一人でなんと「妖怪人間ベム」を歌うというサプライズ。
確かにあのバンド編成だったら歌ってみたい!と思う歌かも(笑)
リハの時とかシャレでやってたんだろうなぁ。
客席は総立ちでここが一番盛り上がってたりして。
というかまさかこれ毎回やってますか?(笑)
2400人を前に歌うのは気持ちいいでしょうね〜

今日はマチネで観ましたけど、
夜の部で千秋楽、全部の大楽になるんだそうです。
舞台のキャバレーと同じく、楽しい時は流れても
いつかは終演の時間になってしまいます。

Life is a Cabaret, old chum,
Only a Cabaret, old chum,
And I love a Cabaret!

official site

http://www.parco-play.com/web/play/cabaret/

  • URL:https://yaplog.jp/kazupon/archive/587
2007年11月
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
profile
kazupon
映画の感想を中心に大好きな音楽の事や、どうでもいい話もテキトーに綴っております。
感想はネタバレ確実にしてますのでご注意を!
たまにdrummerもやってます。
コメント&TB大歓迎ですが、
最近忙しくTBはマトモにお返し出来ず申し訳ありません。

https://yaplog.jp/kazupon/index1_0.rdf
Yapme!一覧
読者になる