バベル

2007年04月29日(日) 1時44分


「バベル」ってタイトルとポスターの図柄だけでは
どんな映画なのかあまりイメージ出来なかったんですけど、
実際観てみると、なるほど、こういう映画なのか・・・
確かにこれは簡単に説明しずらい映画かもしれません。
大きくはモロッコ、東京、メキシコの
ほぼ同じ時間軸で起こる3つの物語。
東京パートは関連が薄く、やや独立した印象。
そのほとんどの物語がネガティブな方向へ進んでいくので、
辛くて途中、逃げ出したくなったりしました。
共通するのは親と子供に関する物語であること。
そしてコミュニケーションの難しさ。
こういう辛い展開が連打される映画は結構苦手なんです・・・。
好き嫌いは別として、2時間半は長く感じなかったのは
それぞれのパートの顛末が気になる、スリリングな展開に
なっていたからだと思いました。

モロッコの田舎の山羊飼いの兄弟は、外敵を追っ払う
目的でライフルを父親から渡される。
試し打ちしてるうちに、路上を走るバスを悪気無く撃ってしまう。
そのバスにたまたま乗っていたアメリカ人スーザン(ケイト・ブランシェット)
に銃弾が当たってしまった。夫のリチャード(ブラッド・ピット)
との関係修復の旅の途中だったが、簡単に医者や救急車を呼べない
ためバスに同乗していた青年が住む近くの村で救援を待つことになる。
彼らの二人の子供はサンディエゴでメキシコ人の家政婦
アメリア(アドリアナ・バラーザ)が面倒見ていたが、どうしても
メキシコに戻って息子の結婚式に出たい彼女は、やむなく
リチャードの子供たちをメキシコまで連れて行ってしまう。
同じ頃、聾唖の女子高生チエコ(菊池凛子)は、東京の街で
満たされない日々を送っていた。モロッコの事件のライフルは
チエコの父(役所広司)のものらしく、刑事(二階堂智)が訪ねてくる・・。

モロッコ事件→アメリアのメキシコ行き→東京パートの順で実際は
時間の経過がありますが、映画はその三つをシャッフルさせながら
描いています。その構成が上手くいってて、サスペンス映画では
ないのに妙にハラハラするように造られていると思いました。

自分が日本人だからか、東京パートが一番リアリティに
欠けているように見えてしまった。
派手な女子高生、軽薄な少年たち、夜の街の喧騒と危うさ・・・
なんだか外国人が観た日本観だし、
菊池凛子の存在感は噂通り素晴らしいんですけど、
父親との葛藤と母親自殺のトラウマ
から自暴自棄な行動に出てるってのはややステレオタイプだなぁって
思ってしまったんです。
でもにわかカップル達でつるんでクラブへ行くシーンとか面白いと
思いました。耳の聞こえないチエコがクラブの照明と雰囲気にちょっと
救いを見出しそうになった感じが印象に残ってます。

逆にメキシコパートはイニャリトウ監督の本拠地だからか、
この映画で唯一息抜きが出来るパートになっていて・・
もちろん後半のガエル君暴走前までですけど・・。
ガエル君の役、バカでいいヤツでやっぱりバカで面白かったなぁ。

「バベル」というタイトルですから、コミュニケーションの壁
についての様々な形がテーマになっているのかな。
最もコミュニケーションが取り易いハズなのは親子。

登場する4つの親子のうち
モロッコの兄弟と、家政婦アメリアの家族は
決して裕福ではないけど、
子供たちには愛情は注がれているのが良くわかります。
逆に裕福そうに見えるブラピ夫妻や役所・菊池親子にはなんだか
大きな壁が出来ている。
ブラピ夫妻なんて、
夫婦の絆を探す旅なんだろうけど・・。
子供を愛しているなら置いて旅行なんて行くなよ・・
アメリアが生まれた頃から3食食べさせてた。ってセリフが
凄く痛々しかった。

でも映画の顛末はコミュニケーションではなくどの物語も
警察が介入することで別の局面を迎えていくのが興味深いところ。
裕福な白人の親と子供たちは、別の大陸でどちらも偶然に
危機的状況に直目しますが、最終的には
警察に安全に保護されます。
東京のチエコにも刑事が救いとなる存在として現れる。

裕福な家庭には救いが訪れますが、
貧しいメキシコとモロッコの親たちには
偶然と誤解、そして警察により悲しい結末が
用意されています。救いがあまり無いままで。
このあたりの同一性はイニャリトゥが意図したものなのなのかなぁ。

映画としてはとても見ごたえがあったし、映像も申し分無いし、
3つのストーリーはそれぞれに心に迫ってはきたんですが・・・。
じゃあ全体を通して・・これ!というものが自分には明確に
伝わって来ませんでした。
「何を言いたいのかがイマイチ良くわかんなかった」っていうのが
正直な感想です・・・。(苦笑)
なので他の方の感想を読むのが楽しみ!
今でも断片的に映像が浮かぶので印象は強烈な作品でした。

メキシコのアメリアの
「わたしは悪い人間じゃないの。愚かな事をしただけ」
ってセリフが心に残ってます。
モロッコの少年たちに父親が銃を簡単に与えるのも
他人を100パーセント信用して
子供たちを置いて夫婦だけで旅行に行ってしまうのも
大丈夫と思って子供を越境越えさせたのも
早めに帰れるからと近道を通ったのも
全て「良かれ」と思ってした事なのに、それが
悪いきっかけを生んでしまっている。

風が吹いたら桶屋が儲かる・・じゃないけど、
バベルの塔のような高層マンションに住む
役所さんの父親がハンティングが趣味ではなかったら
全ての事件は起こってないのか〜と思うと興味深いです。


kazuonの感想ー★★★1/2


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