トンマッコルへようこそ

2006年11月15日(水) 0時35分


もうすぐ上映終了の劇場も多いようですが、ギリギリセーフ。
こんないい映画を劇場で見逃す所でした。良かったです。

パク・クァンヒョン監督は、本作で長編デビューだそう。
CM畑出身らしい凝った映像ももちろん印象に残りますけど、
シリアスな中にすっとぼけたユーモアや感動がある、
見事なエンターテイメント作品で
あまりクサくならない所が気に入りました。
元はプロデューサー、チャン・ジンの舞台作の映画化
だそうなんですが、その骨子が元々良かったのか、
登場人物たちのアンサンブルが素晴らしい。

朝鮮戦争の真っ只中、連合軍の砲火を逃れた人民軍の
リ・スファ(チョン・ジョエン)と二人の部下は
不思議な少女ヨイル(カン・ヘギョン)の導きで
山中にある集落に辿りついた。
そこには韓国軍のピョ(シン・ハギュン)と衛生兵、
そして飛行機墜落によって助けられていた連合軍の
スミス大尉という敵同士が同じように村人に助けられて
いた。一触即発で銃を向け合う韓国軍と人民軍。
ところが平和な村人は彼らをあまり怖がらない。
対立のはずみで村の食料庫を爆破してしまった彼らは、
村人の畑仕事を手伝ううちに、次第にうちとけて
いくようになる・・。

兵士や犯罪者が素朴な村に紛れ込んで、心を開いていく
という物語の映画は結構沢山ありますよね。
「ニューワールド」の感想で
"全く違うコミュニティに主人公が飛び込んで、その種族に
迎合していくという「ストレンジャー映画」"って
勝手にジャンル作って書いてましたけど(笑)これも
そんなセオリーに沿った物語。

こういう展開のストレンジャー映画でまず思い浮かんだのが
日本兵がのどかな中国の村に投げ込まれる騒動を描いた
チアン・ウェン監督の「鬼が来た!」。
出来は素晴らしいけど、日本人としては複雑な気持ちに
なる救いの無い憎悪に満ちた映画でしたけど、
そういうのとはちょっと違う、戦争が抱える問題を上手く内包した
ファンタジーになってるのがいいです。

ストレンジャー映画の多くは主人公が心を開く展開なんですけど、
迷い込むのが一人じゃなくって、南北で対立する兵士に、アメリカ人
まで混ぜた6人なのが面白い。
6人の主要キャラがどんな性格で、何を考えてどう変わって
いってるのかがすごく映画のキモになっているんですよね。

これ朝鮮戦争ではなくて、最近の戦争でも全く当てはまる構図
なんですよね。ただ、映画のメッセージはどの国!という
ことではなくて、こういう形で対立する事そのものが
バカバカしい事を平和な村人の楽しそうな日常を見せていく事で
伝わってくるのがいいです。

韓国映画ってパク・チャヌク監督や最近の「グエムル」も
そうでしたけど、ブラックユーモアが上手い作家が多いですね。
本作も、いつもイッパイイッパイの兵士と、銃で脅されるより
明日の食料のほうを心配してる村人の対比がいちいち可笑しい。

彼らがそんなに簡単に心を開いていかないその微妙な加減が
良かったです。例えば中盤で農作業の途中にようやく思い切って
人民軍のリが野グソ(笑)をしながら「仲良くやろうや」って
言う場面。韓国軍のピョはそっけなく立ち去ってしまうんですよね。
みんなで仕留めたイノシシを食べるシーンなんかも
必要以上に言葉を使わないのが自分にはとても良かった。
こういうのヘタするとベッタベタになりますし。
ベラベラ話すひょうきんな衛生兵に対して
ピョとリ・スファは最後までそんなに多くをお互いに
話しません。
その中で交わす一言一言がとても重かったような気がします。

戦闘シーンは無いままハッピーに終わるのかと思いましたが、
兵士である彼らが、
ホントに守るべきものを守ろうと兵士らしく戦うラスト
の展開も胸に染みました。そして映像も素晴らしい。

村で最初に目覚める場面でソ・テッキの耳に花が挿してあるのが
気になったんですけど、あのラストシーンはめちゃくちゃ
いいシーンだと思いましたよ。

kazuponの感想ー★★★★1/2

oficial site(韓国)
www.dongmakgol2005.co.kr

日本公式
http://www.youkoso-movie.jp/

Kazupon Movie Index
  • URL:https://yaplog.jp/kazupon/archive/441
2006年11月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
profile
kazupon
映画の感想を中心に大好きな音楽の事や、どうでもいい話もテキトーに綴っております。
感想はネタバレ確実にしてますのでご注意を!
たまにdrummerもやってます。
コメント&TB大歓迎ですが、
最近忙しくTBはマトモにお返し出来ず申し訳ありません。

https://yaplog.jp/kazupon/index1_0.rdf
Yapme!一覧
読者になる