ニュー・ワールド

2006年04月28日(金) 20時59分


伝説の監督テレンス・マリック7年振りの新作。
そしてイギリス人のアメリカ入植時の伝説である
ポカホンタスとスミス将校の物語を映画化。

前作「シン・レッド・ライン」は3時間を越える作品。
自然描写が綺麗だったという印象が強く残っていて、
そんなに長く感じなかった記憶があるんだけど、
本作は2時間ちょっとなのにえらく長く感じました。
印象は「シン・レッド・ライン」+「ダンス・ウィズ・ウルブス」。
相変わらず映画の大半を占める自然の映像は美しいです。
ハッキリ言ってちょっと退屈な映画。でも気に入ってます。
でも褒め言葉から始めてしまうのは、、やはり昨今のハリウッド映画とは
良くも悪くも一線を画してて、妙なひっかかりのある作品だったからかも。

伝説となってる「地獄の逃避行」「天国の日々」は観てなくて、
「シン・レッド・ライン」と本作を観た印象だけで言うと、
2作ともテーマとか構成そのものは斬新でもなんでもなく、
かなりありきたりなものだと思います。
「シン・レッド・ライン」はなんだかサミュエル・フラーの傑作
「最前線物語」と「プライベートライアン」の後半を混ぜたような
内容だな〜って思いましたし。良くあるパターンです。でも本質が全然違う。

本作は全く違うコミュニティに主人公が飛び込んで、その種族に
迎合していくという「ストレンジャー映画」の1本だと思いました。
いや、そんなジャンル無いんですけど(笑)
物語を劇的にし易いのか、多くの映画のプロットで良く使われますよね。

同じネイティヴの村に白人が入っていく「ダンス・ウィズ・ウルブス」
がまさにストレンジャー映画だし、日本をテーマにした「SHOGUN」や
「ラスト・サムライ」もそうだし、最近だとリンチェイの「SPIRIT」にも
そんな場面が出てきたし、健サンの「単騎・千里を走る」
や「ブッシュマン香港へ行く」とかストレンジャー映画は数限りなくあります。
あ、ちょっと違うか。(笑)


↓下に続きます
で、飛び込んだコミュニティのヒロインと恋仲になる展開。
ひょっとしたらそういうストレンジャーものの原点がこのポカホンタス物語
なのかも?と思いました。
資料を読むとこの伝説、ひょっとしたらスミスが
後年にでっちあげたものかもしれないと言われてるらしいですね。

普通の映画なら原住民と心を通わせて、支えてくれる女性も現れて
心を開いていく。。っていう定番な感動展開になるんですけど、
そうならないのが、最大の特徴のような気がします。
コリン・ストレンジャーと逆にイギリス側へ囚われるポカホンタス・ストレンジャー
という2つの劇的な要素が対比出来るオイシイ内容にもかかわらず、
ドラマチックなのに、映画はどんどん逆の方向へ向かいます。
なんだかぼんやり、曖昧なまま進んでいくというか。

大学で哲学を教えていたというマリック監督の作風はほんとに
哲学的というか、気持ちのいい映像をぼんやり観ているうちに
映画のテーマや意図を考えるのを拒否されてしまうような。
そんな印象すら受けました。

コリン・ストレンジャーは結構優柔不断で何したいのか良く判らない。。
結局イキナリ彼女の前から立ち去ってしまうんですけど、それ以降
ポカホンタスがイギリス側に同化させられる後半はすごく贅沢に
時間を使っていた映画がちょっとせせこましくなってきます。
争いも欲も無い世界へ飛び込んだスミスが感じる「ゆったり感」とは
対称的に、ポカホンタスが感じる入植者の村の重苦しさと息苦しい感じ。
原住民のほうが、入植者である白人よりも精神的に豊かな
暮らしをしている印象を持たせるのはとても新鮮に感じました。

クオリアンカ・キルヒャー(それにしてもすごい名前!)は笑顔がいいですね。
実際にネイティヴ・アメリカンの血を引く彼女には一世一代の役でしょう。
俳優陣の中では後半に登場するクリス・チャンベールが
存在感たっぷりで良かったです。でもあのキャラクター、
急に出て来て物語の中心に入っちゃうので、ちょっと戸惑いました。

結構ぶった切りの編集で、時間軸をバラバラに見せる手法を使っていて、
ポカホンタスとスミスが恋愛関係になっていく段階をほとんど描いてない(笑)
この編集は「スター・ウオーズ」でオスカーを受賞しているリチャード・チュウ
が担当しているそうなんですが、
ポカとスミスのラブラブ描写が、「アハハ!」「待てぇ〜!」
って感じで結構古臭いドラマのシーンみたいで、
これに似たの最近観たなぁって思ってたんですが!思い出した!
「スターウォーズ・エピソード2」のアナキンとアミダラのお花畑とかで
ゴロンゴロンシーンだ!(笑)ルーカスとマリック監督って似たタイプで
恋愛シーンがヘタクソなのかも??

こういう場面をl観てると、この監督はドラマ部分をごく普通に構成する気が
最初からあえて無いのか、普通にドラマ撮ってるつもりなんだけど、
どうやっても映像美に気がいってしまって普通に出来ないのか
どっちなんだろう?と思ってしまいました。


スミスとポカホンタスの話はウソかもしれなけど、仮に彼と彼女が
いなくても、侵略は起こってるでしょうし。
勝手に来て、勝手に住み始めて、しまいには追い出すっていうのは
判っていながらも、酷いものだと思います。
彼らの村が焼き討ちにあって、淡々と荷物(というかなんでそんなもの?ってお皿とか)
を持って立ち去る場面が悲しくて印象的でした。

エマニュエル・ルベツキの撮影とジェームズ・ホーナーの音楽がとっても良かった。
とにかく映像の美しさは素晴らしいんですが、テンポはゆるゆるです。
自分は東海エリアの某シネコンのレイトで観たんですが、始まってしばらく
するまでマジで観客一人でした(笑)
そういう環境で観るのは贅沢な映画に思えましたよ。^^
これから観に行かれる方には、ぼ〜っと観てると眠くなるので
疲れた状態で観に行かない事をおすすめします。って
変なアドバイスだな。

ところで大阪だと梅田ブルグで「アロマ・プレミアシート」なる上映をやってる
ようなんですけど、体験した方いらっしゃいませんか?
シーンによっていろんなアロマの香りが出てくるそうなんです。
監督は知ってるのか?これ?(笑)

kazuponの感想ー★★★★

http://www.thenewworldmovie.com/

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