ホテル・ルワンダ

2006年02月12日(日) 10時21分


映画が感覚的に「事実を伝える」重要なものの一つだと
いう事を再認識させられました。

昨年アカデミー賞の録画を観た時に、候補作紹介の映像で
最も力強く引き込まれた作品がこの映画でした。
日本公開の署名運動を知ったのは公開が決まってからで、参加出来ません
でしたが意義ある事だと思います。
大阪は昨日が初日だったようですが、久しぶりに足を運んだ
九条のシネ・ヌーヴォは満員。

94年ルワンダの首都キガリ。
長年に渡るツチ族とフツ族の争いが集結して和平協定が結ばれる事になった。
ベルギー系の4つ星ホテル「ミル・コリン」で総支配人を務める
ポール(ドン・チードル)は白人や政府要人が多く利用するそのホテルで、
時には賄賂を渡して、ここ最近の不穏な空気を乗り切ろうと考えていた。
ある日、隣人のツチ族の庭師がフツ族の民兵に連行されていく。
フツ族至上主義者達が「ツチ族の断絶」を目指して団結し始めたのだ。
ポール自身はフツ族だが妻のタチアナ(ソフィー・オコネドー)はツチ族。
頼みの綱だった他国軍や平和維持軍のほとんどが撤退し、ルワンダの紛争は
見捨てられた状態になった。
ポールは自分のホテルに避難民をかくまい、時が解決するのを待とうとするが、
フツ族の民兵はついに街中で集団虐殺を開始するのだった。

描かれているルワンダの民族紛争の事は全く知らなかったんですが、
映画が始まると恐ろしいその事実の中に放り込まれます。

「ルワンダってアフリカの何処らへん?」程度の認識の自分;;;
簡単には描ききれない複雑な民族紛争がテーマとはいえ、
そういう自分でも理解出来るレベルでとても判り易く作られています。
ホアキン・フェニックスが演じるカメラマンがツチ族とフツ族の
女性に「何族ですか?」って聞くシーンのように間接的に観客に
判り易く説明してたり。
実際はもっと複雑にいろんな人物が交錯していたと思いますが、
介入側はニック・ノルティの平和維持軍のオリバー大佐、
フツ族至上主義者はラジオの放送と、働かないフロントマン、
友人の資材調達屋のキャラクターにほぼ集約させ
「篭城モノ」と言っていいくらい、
ホテル周辺の描写で全体像を見せいてる脚本が上手いと思いました。

↓下に続きます
そして、主人公ポールとその妻がいつ殺されてもおかしくない
状況で、見ているほうはやりきれない気持ちで恐怖を感じていきます。
実物のポールは素晴らしい信念の持ち主だったんでしょう。
しかし映画では自分の為の根回しが上手い、ごく普通の人として描かれています。
今まで民族紛争には無関心だったのかもしれません。
「自分と家族だけが助かろう」と当たり前のように思っていたハズなのに、
事件に流されて、ホテルにどんどん人を受け入れ始めているうちに、
いつの間にか自然と隣人を助ける行動に出てしまっている。

こういう内容の作品だと、もっと長尺になる映画が多い気がしますが、
2時間程度でとてもスリムに仕上げていると思いました。
平和に暮らしていた普通の人が急に殺戮の対象にされてしまう恐怖は、
上映中の「ミュンヘン」を始め、スピルバーグの社会派作品に多くテーマとして
描かれています。、彼の作風だったら容赦なく「虐殺」のほうの描写を
これでもかと入れている気がしますが、
この作品はそこは「ちょっと先で起こっている見えない恐怖」として描いています。

自分はこれを観てもやっぱり、何万人の民族が隣人を殺すまでになる感情って
やっぱりどこかで「マインドコントロール」の大元を作った奴
が歴史上や宗教や国にいるハズなんだよなぁと思ってしまいます。
それにしてもナタで大量虐殺って。。。

ドン・チードルがその弱さと本来持っていた強さの両方をちゃんと感じ
させてくれいて、素晴らしいと思いました。
確かに彼が主人公を演じていたから、観客は感情移入出来たような
気がします。

誰もが映画を観て、自分が彼の立場だったらどんな行動に出るのか?
とボンヤリ考えるんではないでしょうか。
カメラマンが虐殺の映像を撮影したあと、”ニュースでそれを
流しても誰も助けに来ないよ、みんな「怖いね」って言うだけ”ってセリフに
どきりとさせられました。
「安全に」帰れるバスに乗って窓からホテル前に立つルワンダの
人々を見る外国人の宿泊者側に自分がいる事にも気付かされます。
それでも映画を観て良かったと思いました。

kazuponの感想ー★★★★1/2

official site
http://www.metrofilms.com/hotelrwanda/

日本公式
「ホテル・ルワンダ」

Hotel Rwanda (2004)@imdb

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「ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション」DVD@amazon
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