メリンダとメリンダ

2005年07月10日(日) 19時41分


近作「さよなら、さよならハリウッド」も、映画を作る過程の物語
でしたが、今回はストーリーを創作する発想についての映画
になってます。
もう70歳になるウディ・アレン、この数年は精力的に毎年1本ペースで
映画を作っているようなんで、頭の中は創作の事で一杯なんでしょう。
そんな彼らしい作品。
アレンは今回は監督に専念。彼が出ない作品って結構
傑作が多かったりするんですが、これは佳作といった所かなぁ。

NYのビストロで、喜劇作家と悲劇作家が同じプロットの物語
の発想の違いについて議論をしている。
「ある夫婦のホームパーティに突然メリンダという女性が
現れる。彼女にはつらい過去があって自殺未遂の経験も。
訪れた夫婦の計らいで、新たな恋人を紹介して貰うが、
どちらも黒人のピアニストと運命的な出会いをする」

悲劇作家の考えるストーリーと、喜劇作家の考える物語が
交錯しながら同時進行で二つの物語を進める展開。
「悲劇編」と「喜劇編」がシンクロ進行します。
メリンダはどちらのバージョンもラダ・ミッチェルが
扮し、後の登場人物は全く別の俳優が演じる趣向。

一つの事柄に対して、ポジティブに考えるか、ネガティブに
考えるか!で人生の展開が違ったものになるというテーマは
とっても明確だし、アイディアそのものはとっても面白い!
と思うんですけど、やや上手く消化出来てない印象。

最近のアレンの映画は超セレブ俳優があまり出ない、
地味目のキャスティングが気に入ってます。あ、こんな人こんな
演技出来るんだ!って教えて貰う事が多いです。
ラダ・ミッチェルのミランダは同じ名前の二役で、性格は正反対
だけど根本的には同じタイプの女性というのは
難しい役どころだと思うんですけど、とっても上手く演じていた
と思います。

↓下に続きます
そして映画の中で一番印象に残るのが「喜劇編」で
ボビーを演じたウィル・フェレル。
彼の役は普段ならウディ・アレンがやる役だなぁと思っていたら、
パンフのインタビューで「若ければ自分の役」ってその通り
アレンが言ってましたね。
日本にはまだ馴染みが薄い彼ですが、昨年機内映画で
「エルフ(Elf)」っていう40近くまでサンタクロースに
育てられた男が父親の元を尋ねるという彼が主演のコメディを見た所。
(これって結局未公開なのかな?)
いいですねえウィル・フェレル!元々サタデー・ナイト・ライブの
出身らしいんですけど、この映画でまたお気に入りになりました。

「悲劇編」にはこのウィルに匹敵するような印象に残るキャラ
がいません。それがこの映画のバランスを悪くしている
ように感じました。また「悲劇」というよりもどちらかというと
浮気がメインの痴話喧嘩っぽい話で、意図的なんでしょうが
あまり物語に感情移入出来ないんです。あのクロエ・セヴィニーの
ダンナは救いの無いくらい嫌な奴のままですし、彼となる黒人ピアニスト
はあれではただ単にナンパが上手くて女にだらしない男じゃない。

二つの物語でも設定は同じに敢えてしている部分が興味深くて、
例えば夫婦の亭主はどちらも売れない俳優、だけど性格は正反対
で喜劇の方はメリンダも好意を寄せる設定なのに対し、悲劇の
方は家に同居もしているんだけど、ゼッタイにそうはならない。
こういう発想の違いによる展開の違いが新鮮で面白かったです。
で、後半、例えば悲劇編はメリンダ自身が、喜劇編はボビーが紹介された
セクシーな女性が部屋から急に飛び降り自殺する!って言い出す
同じシチュエーションをギャグ的に入れてましたけど、ちょっと
その辺が狙い過ぎていて空回りでした。

やはりアレンの映画なんで、どうしても喜劇の方が安心して観れる
んですよね。
実は映画の後半でこの二つの物語が劇的にシンクロしていくのか!
とか、この冒頭の脚本家達の現実世界にシンクロするのか!とか
色々想像しちゃったんですけど、最後まで議論の中の物語として
物語が終わっちゃうので、ちょっと肩透かしでした。
それがアレンの狙いなのかなあ。

彼の映画は字幕だとその面白さが判りにくいのでは?と
いつも感じますが、「さよなら、さよならハリウッド」
以上にまるで舞台劇のように台詞メインで物語が進行します。
自分が英語得意ならもっと楽しめたのかな?なんて思ってしまう
作品でもありました。



↑パンフレットが凝っていて、見開くと、右側の茶色が悲劇編で文字タテ組み
左側のピンクのが文字横組みで喜劇編と、二つの映画のように
作られています。デザインもグッド。値段ばっかり高くて内容の無い
パンフもこういうの見習って欲しいです。

大阪で上映中の梅田ガーデンシネマでは、ウディ・アレンの過去作品の
ポスター展を劇場前でやってて、僕の好きな処女作(厳密には違うけど)
の「泥棒野郎」(69年作)!の日本版ポスターがあって
嬉しかったです。こんなの初めて見ました↓昔のは味があっていいなあ。



kazuponの感想ー★★★1/2

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Melinda and Melinda (2004)@imdb


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