(沖縄タイムス10/30)削減でなく機能強化だ

October 30 [Sun], 2005, 15:53
ようやく嘉手納普天間(訂正。10/31 1:13)基地移転問題など、沖縄の基地再編問題解決をきっかけとして在日米軍再編問題が決着しようだ。後はこれが実行されるかどうかが問題である。
つまり、沖縄辺野古沖の新設ヘリポート建設などが鍵になる。沖合いのヘリポート建設は、住民(大半は住民を装う県外の自称平和団体のようだが)によって、反対運動が展開されて停滞していた。

で、沖縄タイムスの総括(ただし、ピンク色の脳細胞の方向け)

米軍再編の目的は、安全保障環境の変化に対応して抑止力を維持する一方で、基地を抱える地元住民の負担を軽減することであったはずだ。
しかし基地の重圧に苦しめられてきた県民が、中間報告でどう負担軽減されるのか具体化されたとはいえない。
普天間飛行場の名護市辺野古への移設をはじめ、北部地域への基地集中、固定化、機能強化についても十分な説明はない。これでは県民無視であり、むしろ新たな負担を強いているとしか受け取れない。


文章に論理的欠陥を発見。
抑止力を維持する一方で、負担を軽減するにはどうすればよいのか。
まず、技術的なカバーである。例えば最新兵器を導入すれば、より少ない人員・場所での運用が可能となるし、移動速度が速まれば拠点も減らす事が可能となる。
次に、機能強化である。つまり、情報機能が高まれば現地に人的資源を置かずとも迅速な判断のもとに戦力を投入することが可能となる。
今回は、部隊の移転(グアムへの第三海兵遠征軍3MEFの司令部とその要員の移転、嘉手納の空中給油機を鹿児島県・鹿屋基地への移転など)が行なわれている。いずれも、米軍のトランスフォーメーションによって実現されたものであって、技術的進歩によるものだ。
例えば米陸軍のストライカー旅団という高度に情報化された部隊は、世界各地に96時間以内に展開が可能となっている。ただ逆に言えば、IT技術をフルに活かした部隊でさえ、部隊展開には4日もかかるという事実である。
年々脅威度の高まる朝鮮半島、台湾海峡に臨む南西諸島から、米軍が大規模に移転する訳にはいかない。その意味で今回の合意は、米国にとってギリギリの決断であったはず。
つまり、極力前進配備を維持するためにグアムとの連携強化を軸に集約化によって機能強化をしたのだ。
見過ごせないのは同案が中南部には負担軽減されても、北部にとっては大幅な負担増になることだ。中南部には「アメ」、北部には「ムチ」という構図である。
これは北部の住民だけでなく中南部と北部を分断する恐れもあり、新たな基地の「南北問題」をつくる卑劣な政策と言わざるを得ない。


ただ、人口密集地(南部の那覇市)から基地を遠ざけるのは、沖縄県の悲願であったはずである。そもそも“南北問題”で県が分裂する程度の反対運動だったのか。在日米軍基地反対運動が全国で連帯して国内世論にならないというのも、そもそも日本人の大半が在日米軍による恩恵を薄々感じ取っている現実的感覚が存在するのだ。沖縄経済は、米軍予算によって潤っている。缶ジュースが110円で販売されている事を当然のように思ってはいないか。

中間報告は、県民を蚊帳の外に置き、地元の意向を無視した頭越しの合意と言っていいのではないか。
少なくとも普天間代替施設については「普天間飛行場に現在駐機する回転翼機が、日常的に活動をともにする他の組織の近くに位置するよう、沖縄県内に設けられなければならない」と結論づけている。
裏を返せば「まず県内ありき」で、稲嶺恵一知事が求めた県外移設は検討さえしなかった、と言うに等しい。


県民の意向、騒音被害や事故のリスクならば移転によって大幅に改善される。また環境破壊についても、当初米軍案では沖合いのジュゴン生息地域に建設されるヘリポートが、防衛庁の意向によって沿岸案に変更された。外務省は米国との関係悪化を恐れて沖合い案で妥協しようとしたようだが、防衛庁は強硬に反発した。それは反対運動が強まって工事が停滞すれば移転が宙に浮き、長期的に日米関係が悪化すると判断したからだ。
日本の国益と沖縄にとっての利益を妥協したギリギリの決断であった。
何よりも重要なのは、日本が自己主張をして、それが通った事である。日本の発言力がこれほど高まった時期は珍しい。小泉首相の対米外交によって、日本は社民党の言う「米国のいいなり」ではなく、自主的な外交力を持ち始めた証である。

県外移転、それは問題を外に移しているだけで真の解決ではない。
おそらく強硬に県外移転を主張していれば、この再編すらご破算となり、“Okinawa State”の位置づけから何の変わりも無かったはずだ。

那覇空港の新滑走路建設を沿岸案容認の「踏み絵」のように出してきたのもおかしい。札束で県民の頬をたたくような汚いやり方は厳に慎むべきだ。

その札束が無くなれば、沖縄は破産であるが。

報告は米軍基地の移設を名目に、自衛隊の役割強化と米軍との一体化を明確にした。アジア地域での米軍の抑止力維持と自衛隊の協力だが、米軍移転後に自衛隊が入るのでは負担軽減になりえないのは明らかだろう。

抑止力を維持する方法は冒頭にも述べた。しかし軍事力の集積が時間がかかるならば、そして現実的なパワーを抑止力として設置するには、やはり部隊配備が望ましい。
軍隊は存在する事に意義があり、実は戦闘を行なう事は二の次である(孫子の『兵法』)。
自衛隊の移転であるが、現在の陸上自衛隊第一混成団(1900人)が旅団化(3000人)される程度で、自衛隊の機能(阻止重視)から考えれば、海兵隊に比べて負担が少ないのは明らかだ。

さて、以上の論議は(1)現状では東アジア情勢が不安定なため、(2)日米同盟が必要であり、(3)南西諸島は台湾海峡・朝鮮半島への拠点となりうる、という認識に基づいている。
これを否定する要素は見当たらない。北朝鮮のミサイル開発は国際的な武器ネットワークとの連動を示しているし、中国の急激な軍拡は明らかにパワーバランスを乱している。そして現実的に日本近海における原潜の活動、南シナ海における進出、台湾海峡では軍事演習を実施するなど周辺諸国には懸念材料である。そしてこの状況でパワーバランスを日本は独力では維持できない。ならば同盟国として同じ海洋国家である米国のパワーと連携して、これに対処するのが当然である。それに際しては、地理的に東アジアの中心である南西諸島が重要な拠点となるのは不可避なのだ。
南西諸島を非軍事化したいのならば、こうした国際環境を変える必要がある。だが悲しいかな、沖縄での平和団体は全て「はじめに米軍撤退ありき」でしかない。

あ、付け加えますが私は米軍機飛行コース下にある地域で22年間生活しました。在日米軍と無縁ではありません。

【参考】
辺野古ジャングサウォッチ

一坪反戦地主会
  • URL:https://yaplog.jp/kanu165/archive/750
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更新をしてなかったのにも関わらず、たくさんの人がいらっしゃっているようで、感謝ですm(_ _)m
そんな中、コメントに九龍さんが沖縄からグァムに移転する米軍基地の負担などについてコメントを頂いたので、それについてお話したいと思います。
兄やん自身も、マスコミ...
兄やんの一言モノ申す  November 20 [Sun], 2005, 2:48
 「辺野古に軍港まで押し付けるのか」に対して保守的な方からのトラックバックを頂戴
アッテンボロー  November 15 [Tue], 2005, 22:38
防衛庁長官「理解得るべく最大限努力」 沖縄知事は拒否
http://www.asahi.com/politics/update/1108/011.html
 「この問題では、県民がどう考えるかが重要だ。(辺野古沖の)現行計画には県も名護市も賛成だったが、今回の案には皆反対だ」

名護市長、浅瀬案再提起...
私の考えていること  November 10 [Thu], 2005, 0:46
 すでに定番になりつつあるバイブブログ。頭の沸き加減が人並みはずれた、異常な沸点である。武装化した無防備マンよりも人ごと無防備に関してある意味有名になりつつある。あほくさいとはいわず一読してくだされ。 『普天間移設の日米合意に反対する』(2005年10月26日...
がんばれニッポン!  November 05 [Sat], 2005, 9:59
「日米軍事同盟」を背負う沖縄 基地問題とは、突き詰めれば、「基地の必要性」を考えることであるが、基地の必要性を規定するポイントは、戦後60年にわたり、日本の外交政策の機軸をになってきた「日米同盟」に他ならない。沖縄県民は、日米同盟という国家の運命を、本土...
ブログ界の正論  November 02 [Wed], 2005, 17:30
ここ数日、新聞が読まれることなく、押入れの中に入っていってしまう。
こんなことじゃ、もったいないと今日ちょっと読んでみました。

沖縄の4施設統合による効果は、海兵隊を4000?5000人削減するとの事。
ただし、沖縄に米軍用の大きなヘリポートを建設す...
先の見えない日本の未来を探そう!  October 30 [Sun], 2005, 18:32
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