世界から猫がきえたなら(川村元気)

March 14 [Mon], 2016, 17:32


川村元気さんの「世界から猫が消えたなら」を読みました。

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郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。
猫とふたり暮らし、そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかで
あることを宣告される。
絶望的な気分で家に帰ってくると、自分と全く同じ姿をした男が待っていた。
その男は自分が悪魔だと言い、
「この世界から何かを消す。その代りにあなたは一日だけ命を得る」
という奇妙な取引を持ちかけてきた。
僕は生きるために、消すことを決めた。
電話、映画、時計・・・・。僕の命と引き換えに世界からモノが消えていく。
僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とても面白い本でした。
余命宣告された主人公が悪魔と取引をして何かをなくす代わりに
一日命が伸びるというもの。
でも主人公がこの世になくてもいいものを探していくと、
それはなくてはならないものであるということに気が付く

失って初めて気づくものが世の中にはたくさんある。
そして自分がこれまで生きてきた中で何を残せただろうと自問自答したとき、
自分が自分に満足できる生活を送ることができていたかどうかが
大事なのだということも。

最初は電話。
失くすと不便でもあるが、その不便さゆえに待ち合わせた相手を
思い、相手のことを考える時間が増える。
次は映画、初恋の相手との思い出が詰まったもので
彼女の気持ちに気づくことができる。共有の話ができる。
そして時計。時計屋だった父、仲が悪く口を利かなくなって
何年も経ってしまった。
母が亡くなったそのときまで父は母の愛用していた時計を直していた。
それがどうしても許せなかったがそれが父親なりの愛だということも
時計が亡くなって気づいた。
最後は猫。母が拾ってきた大事な猫。
猫がいなくなったら・・・。猫を通して母が自分と父親をなんとかして
仲直りさせようとしていたことに気付いた。
そして父の不器用さと自分の不器用さを。

余命を宣告され、改めて物を失くしていくと、その失くしたもののことを
考える。
その時に初めて失くしたものの大切さを確認できる。

自分が失くそうとしているものと引き換えに自分は何をして
終わることができるんだろう。
自分が生きてきた意味やそういったものに向き合えたとき
自分がいなくなる。

ちょっと切ないけど、人ってそんなものなのかもねとしみじみ考えさせられる
本でした。
そして今生きていることの幸せを感じられるそんな小説でした。
  • URL:https://yaplog.jp/kakurecyaya/archive/4418
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