【今後の予定】 

February 02 [Sun], 2020, 0:00
***山田有浩 活動情報***




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08/02(木) 20時開演
「螺旋歌」@ Dance Vision2018 feat. 安藤祐
場所:アトリエ第Q藝術
料金:¥1500(前売) ¥1800(当日)

秩父の山奥で木樵をやりながら極彩色の螺旋の絵を描き続けている安藤祐さんの作品と共に踊るソロ作品。
現在、Twitter上で日々綴られている「朝顔観察記」を元に創作されたテクストも何らかの形で絡むことになるでしょう(配布も予定しています)。



9〜10月にソロ公演予定。


7年ぶりに音楽活動も再開予定。


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・Twitter:山田有浩の朝顔観察記

【執筆】
・「恋愛身体論序説」@『甕星 vol.4(特集:恋愛)』(2018.03)

・「写真私感 あるいは身体はどこにあるのか」@『EVER MOMENT WITH SCENES』(ART SPACE出版, 2017.10)

・「世界を信じ抜くことに自らを投棄する
炸裂する〈強度〉が拓く大地へと 向かえ名もなき亡命者たちよ」@『甕星 vol.3(特集:月)』(2016.12)

・「抵抗と歓待、または宇宙的郷愁」@『ふみよcompost』(ART SPACE出版, 2016.01)

・「"し"の共振れ」@『シ、ミ、ル共振 ipyrima』(ART SPACE出版, 2015.03)

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朝顔観察記テクスト(7月) 

July 24 [Tue], 2018, 0:06
96日目(日付訂正) 8:55 30℃ 快晴
激しい暑さに快い風 螺旋状に渦巻いて増殖し 続々と新芽が生まれ出る蔓に ケルトの黄金の装飾が映る 力=流れの渦が複雑に交錯し それ自体を更なる動力源とする 闇(影/裏/虚/あちら側)がちろちろ見え隠れする 一度土より切断された子は旋回力が弱まり地面付近より萎れはじめる
【今日の一曲】気の遠くなるような大地との深い交渉が身体に入ってくる 跳躍しながらも都度ずんずん根が深く降りてゆく姿の幻 ただ瞑想的になるだけならこの甲高い声はいらない 扉を開くための装置 反復しながらも どんどん景色が転じてゆく 畏れに近いものに触れてゆく感触 -Hukwe Zawose「Nhongolo」
(追伸)本日見た アフリカ関連のドキュメント オープニングで何故か鯨のソングが薄っすら流れた瞬間があったのだが それがこの「鯨のソングの名盤」からのものであることはすぐ分かった (幻は実体でないにも関わらず実在として働きかけてくるがゆえに実体以上に真に実在しているといえるようなところがある) -「Songs Of The Humpback Whale」

97日目 14:14 32℃ 晴れ
朝から地面はカラカラ 一度根を切離されて葉を黄色く萎らせ落としながらも二三の新芽を産出している 萎れた蔓は切断 まだ重体中 蔓が柵を超えはじめたので広範囲のネットを張り 調整のため元気な蔓も一本摘出 獣の尾のように生々しく匂い立ちそうな毛と芯 新葉は王冠のよう
【今日の一曲】かつて社交ダンスをやっていた寝たきりのじっちゃんがひとりタンゴを聞いていた 恍惚に近い表情で じゃませぬようにタオルケットをとり静かなリズムで肌に触れる "フジヤマ・タンゴ"もいいが早川真平(オルケスタ・ティピカ・東京)の「スキヤキ」は別格の美しさ -Orquesta Típica Tokio「Sukiyaki 」

98日目 23:25 27℃ 曇り
吹きすさぶ風 絶えず激しく揺さぶられ矛先は安定せず 大きい本葉になるほど破れんばかりに持ってかれるも 軸は強く保たれブレることなし 人為的に切断した蔓は未だ足踏み状態 重体の身の先端に現れる新芽はエナジーを集注させ僅かにも推進している
【今日の一曲】時として人生は思うようにいかない それでも何ら悲観すべきこともない ただたんたんとその時々の最善を尽くすのみ ごまかすことなく真摯に なるべくしてなるのであって そういった局面からあるべき姿を汲み取ってゆく きみとぼくと死ぬまでエモくありたい -銀杏BOYZ「骨」

99日目 9:12 28℃ 曇り
びゅうびゅう風吹きつづけ 雨ぱらつく 朝顔の葉としての形状を逸脱しようとするものちらほら 楕円形のもの 切れ目なき逆円錐のもの 左右折り畳んだもの 奇形は夢を見る 未踏の可能性に開かれて 多くの小虫が雨宿る 被断体は絡みつく力はまだ弱いが潜在する律動が息衝く
【今日の一曲】雨音とともにバッハを練習する音が静かに聞こえていた ジョン・ルイスの室内楽的に抑制された即興へのアプローチ 絡み合う複数の声部 奇をてらった戯れではなく緻密な実践的考察の末に選び抜かれた もうひとつのジャズの可能性 -John Lewis「J. S. Bach, preludes & fugues」

100日目 7:26 25℃ 雨
水滴らせ ざわざわ振動している 注連縄のように互いをよすがに二重螺旋を描きはじめると強度を増しながらも流れを統制しきれずあらぬ方位に猛進し やがて身を放り投げて再び分かたれる カラカラの日照りの後の雨にエナジーは沸々と裡に満ちて外部を刻々築いてゆく
【今日の一曲】多国籍スナックから聞こえてくる 万人の最大公約数としてのザ・ビートルズ 救いようのなさがどうしようもなく愛おしい こぶしが効いているのがナイス -日本春歌考「Can't Buy Me Love (Beatles Cover)」(2013)

101日目 17:47 27℃ 曇り
雨後の日差しの熱を蓄え地下は激しい混合 合成の場 葉は二日で二倍にも拡張 被断体はいまやもっとも強い潜勢力で芽吹きしなやかに上昇 それを知ってかアカダニやバッタの子が集中 陽光の方位へ首を180度クイっとしている 花の赤と緑の白を薄く匂わす蔓が絡み合う
【今日の一曲】常軌を逸脱して制度を破壊する歓喜の歌 フリーが闘争へと向かった時代に阿鼻叫喚を突き抜けて引き裂かれんばかりの歓喜を鳴らしたアイラー -Albert Ayler「Ghosts」(1964)

102日目 8:16 28℃ 晴れ
風はいまだ移ろいやすく 一昨日の雨で土もまだ湿り気あり 地形が少し変化する 蝉の抜け殻があった 旅と旅とが出会う 内的な旅は姿や仕草にも宿り環境を書き換え また書き換えられてゆく
【今日の一曲】幼い頃より やがて無機物へ還りゆくことが楽しみで仕方なくとはいえ有機生命体や非物質的霊性との境界も曖昧であることは今や確信でしかないのだが やはり沈黙するものらと戯れ綾を織って(/建築して)ゆく/ゆこうとするのは大いなる歓びの一つと云って違いない - Oval/ Wohnton「Hallodraußen」(1993)

103日目 8:54 26℃ 雨
突然の滝のような大粒の雨 空が鳴る 南方に若干の青空 葉面を天に大きく開き 淡い光と大量の水を受け揺れながら濡れて輝く 葉の裏で蟻や蚊たちが機能停止したように雨宿り 地面の土が飛び散って辺りを汚す 平常の建築的な機能は抑制し 受身の体制で可能な資源に照準を合わせる
【今日の一曲】スーッと皮膜を抜けてゆく隙間があって 風の流れる場所に出た 音はなかった 動けば波紋が広がってゆき それは再び複雑化して此処に還ってくる 深度が増してゆく 光の水位が上がり沈みゆく 異形としてのシンメトリーが視えてくる -Dai FUJIKURA「Prism Spectra for viola and electronics」(2014)

104日目 14:37 33℃ 快晴
根は無尽蔵に増殖を続け 先の大雨に洗われた地面に無数のネットワークの無秩序な断片を剥き出してみせる 一時は弱ったものも猛烈な勢いで節を連ね上昇する 僅かに異なる形状の芽が複数… まるで別の穏やかで小さな響きを摑まえる あなたは蕾ですかと咄嗟に呟いた
【今日の一曲】トリステザは終わらないが フェリシダージは終わってしまう この抒情の世界を手放すことなく 同時に一枚剥がせばそこには何の違いもないのだという世界を生きている 真実はここでは唯一つ それでも少年が歌うたび丘の向こうより太陽が昇る ということである -Caetano Veloso「A Felicidade」

いつしか親しみのあった人が亡くなると植物を新たに植えたり育てたりするようになった。別にその人の生まれ変わりかのように投影する訳でもないのだけれど。日々淡々と水をやるような無益な習慣がひとつ増えて、そこから日常に余白/呼吸場がふっと拡がる。(7/10)

105日目 23:43 29℃ 晴れ/曇り
天涯の地を求め 網の際へと至り出会ってしまった三つの流れはすぐさま絡み合い 図太く強度ある三つ巴の推進する渦旋となり際涯を駆け登る ここでの倫理はすべて陽光のもとにあり 過剰に増大するエントロピーに秩序は破られ 系が閉塞し力弱まって再び柔らかさより始まる
【今日の一曲】むせるような炎天下 ゆらゆら揺らめく風景 黒のキャップを深くして線路沿いの細道をとぼとぼと徒歩 巨大な鯨が宙空をゆっくりと泳いでくのを幻視しながら呼吸をし 体温を抑えていた こんにちは幽霊さん 蔦に覆われたバラックが泣いてるよ この世の皮膜を渡ってく -Takashi Hattori「Humanity」(2011)

106日目 11:24 27℃ 曇り
朝方にパラパラ天気雨 暑さは多少抑えられるが湿度高し 節より次々芽生えては 自らの身体を陽光の障害と捉えれば所与の方位を逸脱して乗り越えてゆく型破りな生き様 さもなくば自ら枯らし切断するのみ まだ白緑色した蝉が地面より飛び去ってゆく
【今日の一曲】カレーを食っていると不意打ちのように店内にそれまでとまるで異質な声が響いてきて息を呑む しばらく手を動かすこともできず上の空で 歌声に捉えられるうち動悸は上がり からだの底より湧き上がる震えと共にどっと突っ伏してしまいたい生理を抑えていた - 宇多田ヒカル「初恋」(2018)


【お知らせ】18日(水)までの6日間、「朝顔観察記」と「今日の一曲」はお休みします。


【今日の一曲】数日ぶりに山をくだって たまたま入った場所で聞こえてきたのは 女性がカヴァーするワイルドサイドを歩け でした (7/18)

113日目 18:29 31℃ 晴れ
炎天下 高い湿度で立ち昇る植物と土の匂い 毛深く芯の太い蔓がいたるところ宙に身を投げ出し 垂れつつ触手を移動させ 風も利用しながら依代を掴んでは貪るように絡みつき駆け登る 根は一層深く放射状に張り巡らされ土は盛り上がってくる 蝉の抜け殻が二つ転がっている
【今日の一曲】猛暑の大都市に放り出されて電車に揺られ 心身追っつかずにその穴を埋めようと素朴なトンコリの反復を聞いていた 春に飛来する白鳥たちの曲 -白川八重子「トー・キト・ランラン」(1979)

114日目 7:51 30℃ 快晴
移ろいゆく光と影 これもまた日々廻りながら僅かずつ軌道をズラしてゆく 縦横無尽に領土を横断しもはや節を基点とせずともエナジーの支点はどこにでも偏在しえて 跳躍し旋回の姿勢をとる 虚の世界と戯れつつ地下との対称性を奔放に展開する 表面積の拡がりは陽光と水へ開かれる
【今日の一曲】電子音で暑さをやり過ごすうち いつしか迷い込んだドープなビートに挑発的なライム クラッシュのサウンドはからだの裡へ静かに喰い込んでゆき ふつふつと震わせ別の時空を開いてゆく -Dj Krush「Monolith (Feat. Ryohu Karma)」(2017)

115日目 17:00 33℃ 快晴
一斉に陽の当たる方角へからだを開く様は異様ですらある 初期段階の奇形もまた陽光が意識されての形状のように見える 滞空期間の長い蔓は太く毛深く虚空を自律的にうねりせり上がってゆき 葉は硬く鉤爪のように鋭く掘り深く又色も濃い 幼葉に赤みが透けて燃える
【今日の一曲】(韓国江陵の巫楽を選ぶつもりだったがYouTubeにて見つからず だが)この半島の打楽器の躍動には地下より突き上げてくる律動があり その延長に旋回の動きがある 混沌がひとつの巨大なうねりへと収斂してゆく -Kim Duk Soo

116日目 7:52 32℃ 快晴
暴走に近い勢いで推進していても 奔流を分岐させるリズムはどこまでも統制されている 芽生えが先にあり 摺り足のように押し出され 堰き止められるようにして止まり 又分裂する その場その場にエネルギー変換のターミナルを拡げ 分解と合成を同時に進行させ 循環し 増殖してゆく
【今日の一曲】やわらかく まろく すこやかで 即物的でありながら豊穣でイマジナリーな世界 -yanokami「おおきいあい」

117日目 12:57 37℃ 晴れ
ぬるい風がどんよりと地を撫でるように渡ってゆく 無法地帯のごとく葉の氾濫する上方に比べ地面付近は程々の風通しの良さを保ちながらも 余白を見つけては股より続々剛毛な蔓を伸ばしており 要らぬものは早々に枯らせてゆく リズムの変調か 調整の軌跡も下方に見られる
【今日の一曲】純喫茶にて耳にする いつも植物がするする伸びてくるのを眺めてるような心地になる 入院中 この曲しか聴けなかった と友だちが云っていた それもおそらくこの楽章のこと ゴダール映画でズタズタに切断されて断片的に聞こえてくるのもよかった - The Budapest String Quartet「Beethoven - String quartet n°15」(1952)

118日目 11:47 33℃ 快晴
蔓の六七段目で ふかふかなまま茶色く枯れた幼葉も その節ではすぐさま別の芽が息吹きを上げはじめている 天に近づくほど葉は強固で 炎天のためか縁を巻く 同じ苗からも太く逞しい蔓と細く色白の蔓が幾重にも分かたれて 断念されしもの 日陰でも潜勢力あるものもある
【今日の一曲】ここ数日 チャリを走らせながら中村一義を口ずさんでいた 今聞いても彼の曲たちは発明だな 不思議なブラックミュージック感はファルセットのせいでもあるが すべて<生>の肯定へと向かうが故でもある気がする -中村一義「そこへゆけ」

119日目 20:50 28℃ 晴れ
夏の夜の虫の声 遠くで水の音 室外機のカラカラいう音 幾分か涼やかな風が吹く 地に降り立てば 先端をクイッと上向かせ 這うて他者を探し進む 風に頼ることもできず孤軍奮闘す 繊毛は下向きに夥しく立つ
【今日の一曲】懐かしい未来のわらべ歌 朝 恋人の部屋で流れていた -高木正勝「うるて」

120日目 9:36 28℃ 曇り
太く渦巻き絡み合い 重量を増したその身を支えられる橋も果て 一挙に雪崩れ落ち 流れは分散しながらも再び別の柱に同様に収斂し旋回の姿勢をとる 顔を覗かせる 蕾の芽は未だことごとく実るより前に茶色く果てながらも 至るところ予兆は繰り返し宿り散らしている
【今日の一曲】アラブの歌姫ファイルーズによる闘争するアラブ・ファンク 脂の乗りきったパリ公演 -Fairuz「Oudak Ranan (live at Paris- Bercy)」(1988)

121日目 7:45 25℃ 快晴
朝から涼しい 荒野へ降り立てば 自力で垂直に上ることはできず 他力との邂逅を渇望するでもなく刻一刻に没入し 犀の角のようにただ独り進め 大きな葉でエナジーをつくられぬ故 先方いささか痩せ細る 水平の拡がりを支えるものとしての垂直性 痩せた光のように立つ影姿
【今日の一曲】なんの目的もなく ふと思い立ち 遠くに見える丘の上の巨大な観覧車を目指し走った 辿り着く頃にはちょうど夕暮れに染まってていて 薄暗くなる車内では寺尾さんの声が響いていた あなたは血の滲んだ目頭をゴシゴシ擦る これこれ、それじゃいつまでも治らないよ -寺尾紗穂「魔法みたいに」

122日目 12:39 24℃ 曇り時々雨
台風直前で唐突に降っては止んでを繰り返す 蝉や鳥たちの声 風の音 これも軌道修正と云うのか 絡み合い駆け上っていた蔓の一方は 瘤のような支点をつくり急激な下降を描いて宙へ身を投げ旅をする 天命を反転させる 熟した紅色と葉緑体を半々に纏う蔓の姿あり
【今日の一曲】雨の中 チャリを漕ぐ楽しさよ 台風の日にはフィッシュマンズが浮かぶ 延々と反復しながら移ろってゆく -フィッシュマンズ「Long Season」

123日目 8:04 27℃ 晴れ
蝉けたたまし 雨去って陽射し戻り 蒸してくる 葉面や縁の水滴も早々と蒸発され消えてゆく 束なり強暴にエッジを上昇するものたちは昨晩の時折の強風に捲られたまま葉の裏を露呈されている 土は耕され周囲に飛散して 根は一層踏ん張り力漲らせる
【今日の一曲】走馬灯のように過ぎてゆく時間 おばあちゃんはそっと目頭を押さえていた じいちゃんはそれを分かっていながらそっとしていた -「Tchaikovsky: Serenade for Strings, IV. Finale」

124日目 13:05 32℃ 曇り/晴れ
蟻の行列の上で 瀕死の蝉が息を潜めて葉影に隠れている 皺寄せたり折り畳むことで徹底して角を削ぎ円を描く葉の連なり 近辺の異種の丸葉を模倣したか 身を放ることを 転ぶ とか あえて外へ踏みはずしてゆく と捉えることもできる 邂逅と旋回なくば萎みゆく決死の投身
【今日の一曲】喫茶店で耳にするスライのベースライン 何故ここまでキレッキレなのか 異様に緊迫したグルーヴに あえて一拍抜かれたブレイク 次々移り変わるヴォーカル 黒人も白人も女も男も混合して沸騰する 分裂しながらも強引に統合されゆく力 こういうものを革命という -Sly & The Family Stone「Higher And Higher (live at Woodstock)」(1969)

125日目 10:17 31℃ 晴れ
バッタの群衆が到来し 地面付近より一挙に喰い荒らしにかかる 数日前の蝉の抜け殻は先端を陽に焼かれ 死骸も又カラカラの抜け殻 根元より一寸上った処の蔓はポキッと折れながらも他と全く別の領土を目指しはじめ 先端は更に折れ踏まれ土に塗れながら進もうとする
【今日の一曲】こういう女性的なスケールの狂暴な音楽がもっと各地から生まれてくるといいな と思う 根ざしているものが根本的に違う ウクライナから差してきた光 -DakhaBrakha「Yanky」
しかし今日流れてきたボブ・ディランもまたたまげたものだった この柔らかさも わたしにはある意味 女性的なものすら感じさせるところがあったのだった 不思議なことに -Bob Dylan「Blowin' in the Wind (live at Fuji Rock Festival))(2018)

126日目 9:57 33℃ 快晴
宙吊りとなれば自らを島とする他ない 破綻の際にあって柔らかな軸のみが柔軟な支えとなる 秩序と無秩序が入れ子になって突き進む どちらに転んでもエントロピーの増大には勝てない 絶えず危機と共にある ここに差別はなかった 願わくば存在のすべてを可能性に開いてあること

朝顔観察記テクスト(6月) 

June 13 [Wed], 2018, 21:37

62日目 07:45 21.1℃ 快晴
まぶしい陽光がきらきら降り注ぐ 空気はやわらかい 雨上がり周囲の地形 環境も波立つように変化する
己自身を島として されど漂流する身体の不可能性により外部を自らに折り畳み かつ絶えずその軌跡を場に刻み込み建築する
【今日の一曲】ある種の苛立ちまたはエントロピーの増大した状態を与えてくれる場はありがたく絶えず初心に引き戻してくれる 秩序は撹乱され同時に再構築する力は集注する 違和感こそ生きること 際に生きかつ際を切り開くこと -Eddie Palmieri「Somebody's Son」(1972)

63日目 14:21 27.2℃ 快晴
東の方角にこんもり盛られた山が出現する 地面のあちこちに微小な孔穴 蚯蚓のものと思しき穴も 少し乾燥し黄化した一葉あり 薄緑の蚊の子が葉に泊まり影を落としている 液体肥料を周囲に撒いた
【今日の一曲】西日を受けて目抜き通りをチャリ 洋菓子買いに駆け抜ける 売りは品切れで詰め合わせをもらう アイロンを温める 蚊にやられる 痒し -サディスティック・ミカ・バンド「塀までひとっとび」(1974)

64日目 19:29 24.4℃ 快晴
本葉はここでは主に陽の入る西の方角にばかり面を開く 翳ること多い東側の葉は意図的なものか既に幾つか落としており少ない とは云えアンテナは絶えず全域に行き渡っており蔓の先端も軽い傾ぎ方で螺旋を描くように推進してゆく
【今日の一曲】エリントンは幻想を華麗な伽藍のごとく建築するがモンクは崩壊と再構築が絶えず様々な場で立体的に起こるようなシステムを楽曲に組み込んでゆく (その流れはドルフィーへ繋がる) 朝耳にしたブラントン=ウェブスター・バンドの残響は陽が傾く頃モンクへと変わる -Thelonious Monk「Brilliant Corners」(1956)

65日目 13:25 29.6℃ 快晴
幼く開きかけた葉は柔かい葦の箱舟で 大きな帆の如く彎曲を描く成長した葉の前線に立ち風を受ける飛蝗の子にそれは大陸の果ての海に突き出す丘である 旅をせよ お前自身の身体が変容する波止場で旅人でもある お前はこの世の異邦人 環境をまとい先取りし辿り着いては流れゆく
【今日の一曲】ダニーのソウルは超ホットなのにカラッと涼しくスムースでよい 8の裏が4の裏と重ならないということの不思議さ 裏の裏は表ではなく どこまでも裏の裏でしかないのだということ 裏と表の複合は表の倍速とは異なるうねりを生み出す ダニーの手拍子はいつも複雑でトリッキーに聞こえて実はシンプルなので唸ってしまう 日影をさがして走るも結局日焼けしている -Donny Hathaway「Sugar Lee」(1970)

66日目 9:45 23℃ 晴れ
勢い著しい三者は摘芯された 切断された先端より白濁した液が珠となりぎゅうと滲み出る 自らの一部を自己切断/崩壊させるシステムは幾つかの生存の為の方法として組み込まれているが 人の手が加わることで促進され生まれる別の時間-身体(空間)と秩序がある 来るべき倫理のために
【今日の一曲】寝たきりでコミュニケーションもむずかしく認知機能も重度に低下して随分経つが ジルバを流せば手足はゆっくりリズムをとり 藤圭子を流せば涙が浮かぶ 一週間のサイクルの中で私の訪れる時を知っている この半年で発熱のスパンは短くなったが大概半日で下がる
しかしこの交流を「コミュニケーション」と呼ばずして何と呼ぼう 朝顔もまた私の存在をたしかに認識し交流し影響を及ぼし合っている 「ノンバーバルなコミュニケーション」の定義すら狭すぎる 絶えず環境とも互いをマッサージし/されるようにして交流している
それはそうと これまで幾人かの最期に立ち会ってきたけど こう云っちゃ何だが 私の消えるあと数ヶ月のあいだに ちゃんと見届けたい人が何人かいるな 生気がどんどん薄くなり気配そのものに近づいてゆくあなた ちょっとした状況変化がボディブローのように効き加速する 沈みも浮かびも気配の上に大概
いずれにせよ切断というのはでかい (今朝の朝顔にせよ) 切断は一瞬にして流れを反転させ増大するエントロピーを初期化し 新たな地平を切り開く が、同時にその反転すら一連の流れとして回収してゆく力もまた働いてゆく -藤圭子「マイウェイ(Live at 新宿コマ劇場)」(1976)

67日目 12:02 20℃ 雨
関東甲信越梅雨入りとのこと 摘芯して一晩で葉を一挙に大きくし領土を伸ばす 茎の切断面を小さくきゅっとすぼませて黒ずんで結ぶ 揺らいでいた雨音は次第に一定の持続する音へと移る しとしと葉に受けて根を張る地底は湖と化し雨は底より上がってくる
【今日の一曲】雨音を聞きながら薄っすらとフェルドマンが流れている部屋 見えない速度で刻々と動いているモノらの呼吸が聞こえてくる 微かな気配の移ろいが見える 本を開けば文字が立体的に泳ぎだす 窓から抜けてきた緑の匂いに取り囲まれる -高橋アキ plays Morton Feldman「Palais de Mari 」(1986)
ちなみに 元々はこちらになるはずだったが 諸々あって別のものを選んだ とは云えこちらも載せた方が面白いかと思い 載せておく-The Beatles「Revolution」(1968)

68日目 9:11 21℃ 晴れ
朝の光に乱舞して拡がる 朝顔は朝顔であることを忘れ陶酔することで朝顔のようなものとして実在す 昆虫が来れば昆虫に 猫の気配がすれば猫に 雨が降れば雨に 土の質感の微細な変化に捉えられ 撹乱的に集注を折り重ね変容する イメージでなく感覚に建築される記憶を外に押し出す
ここで云う"外"は"表層"と云ってもいいけれど 必ずしも内部/外部の外部を意味するのではなく 例え体内であれ変容する 反転する 書き換えられる 発生の場所はあまねく"外"として生み出されうる "外"は革命の地平であり "外"は偏在する
"表層"と云ったのは ここが都度それまでありえなかったもの通しの一回性の交流の 混ざり合う場でもあるから
【今日の一曲】全身の血を抜き入れ替えよ 身の力がフッと抜け脛が砕けた 受けきらずごめんね 痛かったなんてもんじゃないよね ゼロ-臨界を旋回せよ 何度も聞こえる 跳ねるでなく踏むのは 息の底を興すのだ 既にここにすべてがあった 都合一度きりの生の屹立と消滅 畏ろしき反復 -Astor Piazzolla「La Camorra III」(1989)

69日目 7:50 24℃ 晴れ
巨大な雲の流れあり 土はまだ湿り気残るが日差し強く日中じりじり暑くなる予兆あり適度に水と肥料撒く 草丈も様々で低くとも横に成長拡げるものもあり いくらか葉を黄化させ落とした葉数少ないものも新芽の勢い/速度をじっくり見守りやがて来る摘芯の機を焦らずゆっくり待つ
いや この場合"待つ"というように何かを先回りして期待感を持つのではなく やっぱりただほんとに "みまもる"とか"まかせる"という方がいい 過去と未来は物理的に折り畳まれているのであって想念で重ねるのはナンセンスだ (この"物理的に"というのもちょっと違うね 物理的現象に ある傾向をもった力とか流れとして潜在してる といった方がいいか…)
【今日の一曲】この場合 切断ではなく裂け目だ という云い方を適応した方がよい 嘆きであれ憤りであれ 生温い半端なタマシイでは報われぬ 全身を震わせよ -Manuel Agujeta「Buleria (Live)」(2001)

70日目 17:04 28℃ 晴れ
度重なる過度な気象変動のストレスもものともせず 降り注ぐ陽光と雨水を余すことなく取り込み 体内での分裂・結合も目まぐるしく回転し 即刻外部に表出する 割れ目という割れ目からは新芽が現れ 低位置での混線状態も起こりはじめる 人の手で切断を入れ適度に秩序を呼び込む
【今日の一曲】領土化が暴力であることは云うを待たぬがそれを引き裂く脱領土化もまた暴力である 荒れ狂う常軌を逸脱した力-生命の流れを時に不動にすら見える細やかな世界の裏側にいかに繊細に聴き取りかつそれ自体を乗りこなし拡張/建築してゆけるか 憤りすら肯定的動力とし -Björk「All Neon Like (Live)」(2015)

71日目 16:45 19℃ 雨
朝方より雨足は強くなりしとしと打たれ静かに揺れる 動物たちは動きを抑えられ 無機物や微生物は滲みわたる大量の水を媒介に内包する成分と共に分解と合成を加速している 日に日にぐんぐん大きくなり生い茂る
【今日の一曲】流れ着いた者たちのサウダージ 雨音とショーロの流れる部屋で細胞をゆっくりと入れ替えていたような心地 -Jacob do Bandolim「Carolina」(1959)

72日目 8:56 19℃ 雨
朝から救急車の音と小鳥の声 軒下で眠る猫が逃げてゆく導線にあって毛状突起に白い毛が付いていることに気づく 大きく揺らぐも根は張ってブレずしなやかにしゃんと垂直に戻る 持続する風と雨足は随時変化し 水たちは落下して土を蹴り飛び散って葉の裏は泥んこの世界 天は低い
【今日の一曲】聞こえるはずの音は聞こえず 一歩踏み出すごと 踏み出さずとも世界は柔らかくうねるようにどんどん変形してゆく 定められた姿形を持たず其処此処が増殖し朽ち果て浸透し産声あげる 胎動する世界を歩き時に疾走する 私の死と生の円環が律動で胎動し打ち震わせる -Björk「Undo」(2001)

73日目 13:43 22℃ 曇り時々晴れ
雨上がり土が少し洗われて根が見える 深く腰を据えて張っており強風に揺られてもブレずしなやかに直立する 模様の細やかな底辺部の本葉は小さな隙孔が所々現れて千切れかけるものも とはいえ上層は艶やかで大きくたおやかな強度で揺れている 再び雨雲が近づく
【今日の一曲】日々 身体やモノや空間に触れることは 都度変容し 日々異なってゆく ここにある身体の状況/状態に気づかされることでもあり 錯綜する聲に耳を開き かつこの身を微調整することで あわいに広がる場を整体してゆく その術を日々実践的/実験的に深めること -表現「帆」(2015)

74日目 20:40 22℃ 曇り時々晴れ
湿り気ある空気 時折風がそよぎ涼やか 夏の虫の声 七本の個体群は所狭しと葉を重ね 地中では根を絡め合い独自のネットワークを広げ互いに情報を伝達し合う 近くに蟻の道がある 群落としてひとつの方位を向き容易に他を寄せつけぬ
【今日の一曲】午前中ラジオから軽快なトリローが聞こえてくる -三木鶏郎、森繁久彌、丹下キヨ子「僕は特急の機関士で」(1950)

75日目 11:44 22℃ 晴れ時々曇り
陽光の眩しい正午近くは 細胞膜を押し広げる内からの水圧は緩く 軟らかくしなる 幼い虫が宿っては去る 物質を根端よりふんだんに吸収し宿しては混ぜ合わせ別の身体へと結実させ地平を築いてゆく変容する交差点 まだまだ瑞々しい色の始原で輝くオン・ザ・コーナー
【今日の一曲】無機物/有機物といった境界など取っ払ったところで どのようにそれ自体として実在している=舞っているか といったところの僅かな質的差異として世界や身体を捉えてる感はあって 現代音楽を聴く歓び/醍醐味もまさにそのような差異を聴き取ってゆくところにある -Unsuk Chin (Kent Nagano, cond.)「Violin Concerto」

76日目 23:07 17℃ 小雨
いささか肌寒い 雨風が終始ゆるやかに波立つように撫でてくる 繁殖する水平の広がりを更に超え垂直の線が立ってくる
【今日の一曲】この町に来てまだ間もない頃 初めて終電を見送った真夜中に延々と歩きつづけた果てに辿り着いた 閑散としながらこうこうと照らされた大きな交差点 雨の中 6月の歌を聞きながら車を走らせていてふと (あ、あの交差点だ)と気づく -クラムボン「Re-Folklore」

自他問わず生死の臨界に関わるようなこと(肉体的 精神的なことも問わず)に関しては特に ほぼ予知(予想ではなく)してるものなんだな と 先ほどの瞬間を目の当たりにして改めて思う 数ヶ月前は想像もできなかったことを当時から既にヴィジョンとして見ていて 時差があってそれが"現実"の層と重なる
なんともいえない気持ちになると同時に 妙に腑に落ちているところもあって 例え緊急の行為に没入していても 都度カチッとハマってゆくそのようなとめどもない流れをどこか醒めて眺めている その瞬間の中でできる限りの誠意を尽くそうとするがそれはただの美徳でしかない (6/16)

77日目 9:42 15℃ 曇り時々小雨
はちぎらんばかりに根は領土を広げつづけ 地上にまで縦横無尽な剥き出しの勢いの一端を見せる 秩序もへったくれもなく上半身もまた炎のごとく無尽蔵に上昇する姿 もあれば 一方で奥ゆかしい物腰もある 個々に性格的な傾向はあると云ってよい
【今日の一曲】(朝から川柳川柳の動画が流れてきたが 師匠が古賀や服部を熱唱していたのはどこだったか…) 戦前にあってこの鮮やかな転調 憂いの空気はサビで強引に一掃される 激動の時代に片足突っ込みながら昭和モダンの華がギリギリ絢爛であり歌が夢であることを許された頃 -藤山一郎「東京ラプソディ」

78日目 7:38 16℃ 曇り
相変わらず天からは淡い光 湿度が高く四月並みの気温つづく 余白を埋め尽くす勢いは健在 不安定に投げ出され曲線を描くことで掴まえる偶然性が時間を先取りする 新芽は外巻きに渦を解かれてゆく自ずからの原理を潜在させる 智慧は力 力は秩序を崩壊させるが そこに更なる知性を
【今日の一曲】慣れぬことで頭にエナジーが集中した日中 過剰な情報で一杯になった頭脳を一気に吹っ飛ばし 瞬間瞬間 虚空へと連れてってくれる(「三番叟」) 鼓の一音一音が からだの根幹を ずん ずん ずんと振るわせて 削がれ ぐん ぐん真空の芯が伸びてゆく 丹田に虚は満ちる -山本泰太郎 面箱:山本凛太郎 後見:山本東次郎、山本則俊 笛:松田弘之 小鼓:鵜澤洋太郎、田邊恭資、飯冨孔明 大鼓:亀井広忠「三番叟」(2011)

79日目 8:35 21℃ 曇り
ほんの僅かな支点をも礎にしてエナジーは宿り新芽は裡より噴き出して蔓は旋回するように上昇する 例年より低い位置でのエナジーの充実ぶりで 微かな隙をも見逃さない野蛮さ
【今日の一曲】移ろいゆくすべてのものに歌を 消えゆくすべてのものに歌を - 安藤裕子「アロハオエ」

80日目 10:11 24℃ 晴れ時々曇り
久々の温かく眩しい陽光に対し水分の蒸発を抑えるため全面的に葉を脱力させる 二本の蔓が宙空で絡み合う 絡み合うとその旋回自体が<力>と化し 個々は逆に脱力してその流れにまかせきる あいだにより巨大なうねりとして身体が立ち上がる
【今日の一曲】冒頭からその表情が物語っているが この時期の彼は歌っているとき 完全に別の次元を生きている 1:39からの姿など異界に触れている感すらあり畏しいほど -CHAGE&ASKA「風のライオン」

81日目 12:37 21℃ 雨
葉は瑞々しく張りがあり 水の通い路が浮かび上がる どくどくと脈打つ流れがあり 響き 光る やぶれから世界が透けて見える 個体と個体は引かれあい同調しようとする 律動を 姿形を 虫たちの影もちらほら見られる
【今日の一曲】「常に危険な存在=即興音楽家で在りつづけたい」というベイリーの言葉 生涯坦々と苛烈さを貫きながら晩年に垣間見えた宝石のような煌めき 最後まで奮闘しつづけながらももがき苦しむようなことからは遠く ごく静かに自然に実在し消える 生涯が自身の出す音 -Derek Bailey「Laura」

82日目 9:02 21℃ 曇り
突然変異のように それまでの葉群とはまるで異なる形態のものが 対称性を破り されどフラクタルでもあるようにして煌々と出現する姿が多々ある 異形と 奇形というものが現状に対する切断であり未踏の領域へと踏み出してゆく無限に開かれた名づけえぬ強度 余白としてあること
【今日の一曲】エナジーが煌々と光を放ちながら沸々と沸き立っている 様々な初めましてが顔を出し獰猛に交わり胎動をはじめる 新宿の夜に目眩がする -国府達也「薔薇」(2018)


初めておどり(のようなもの)が計らずも入ってきてしまった時、まさにこのような視界の世界に入ってしまっており、それを冷静に、これは誰の眼だろう、この身体は何であり何処にあるんだろう、というような、まったく別の地平に突き飛ばされた体験で、それが踊りをはじめるきっかけになったんだった。
一体何なんだ、これは、という。何だか分からないけれど、とんでもなく大事なことに触れていて、これにこれからも触れつづけねばならない、もっとその先に広がる地平に触れてゆかねばならないという想いを強くしたのだった。
これを「踊り」と呼ぶのかどうかも分からない。けれど、ある一部の踊り手を見てい、あぁ、この人は確かにこの世界に触れてるな、と感じられる方がいた。から、そこに入ってゆくことにした。
僕は別に憑依体質でもないし、この体験、この眼…視界や身体の世界を、憑依だのシャーマニズムだのトランスだの、そういうものと、(まぁ百歩譲って近しいところはあるかもしれないにせよ)、一緒くたにはしたくないところがある。安易に祈りだの鎮魂だの云うつもりもない。
ずっと無意識にやっていたのだけれど、自分がやたらこうした視界がぼやけたような、像が重なるような写真ばかり撮っているのは、あの状態の眼と重なってるんだなぁと、今更ながら気づくし、そこに一貫して自分の触れるべき地平があるのだと、それこそはっきりと身体で覚えているからなのだなぁと思う。(6/21)

83日目 14:42 26℃ 晴れ
時折そよぐ風涼し もっとも潜勢力控えめで重心の軽い子もついに水平線をスッと突き抜けていった また別の子は柵へ差し掛かり旋回のサイクルを短めに取りサーチする かねてよりバッタの幼虫が数匹住まい若干喰われているが放っておく
【今日の一曲】抑えられた予兆的な前半と それが破れ不穏さの満ちる中盤ののち 放たれるショーターの抒情的で透き通った光射すような短いフレーズの反復 コルトレーン亡き後ソプラノを手にしたショーターによる 荒地に響き渡るように齎された可憐な華 来るべき新たな兆し -Weather Report「Unknown Soldier」(1972)

84日目 12:44 23℃ 小雨
昨夕 支柱を三本立てる どうした力が働いたか それとは逆方向へ転倒している 折れてはいない バランスを崩し 地面へ打ちつけられながらも 葉と蔓は重力に抵抗しすぐさま上向きに勢力を開いている もっとも歩みの緩やかだった子はさっそうと支柱に三つの渦を絡ませる
【今日の一曲】ロック〜ファンク好きを度々唸らせてきたモー娘。のひとつの頂点 「THE 人間だ!」とドヤ顔で迫る 理屈を突き抜けるワケの分からぬ説得力こそファンクの真髄でもあろう 唐突に転調するサビも ロシア民謡も絶妙で絶品 -モーニング娘。「そうだ!We're ALIVE」(2012)
お気付きの方もいると思うが ほんとはこちらを押したかった 何も狙っていないのにこの昭和アイドル感 目眩がしそう はーちん 幸せになってください -モーニング娘。「」(2018)

85日目 7:51 20℃ 曇り
時折まだ雨粒が落ちる朝 身体はまず重力との関係において構築されてゆき ある表層的役割を強く帯び/構造化すると力はその役割自体を動力として働きだし そこを不条理に切断されるとへたるしかなくなる 可能性としての余白 今はまだ不条理自体をも力として取り込み進める
【今日の一曲】権利の美学 から 亡霊の影をかすかに残しながらも呪縛からは放たれて 不思議に高揚と諦観が同居しつつたんたんとエンドレスに続いてゆく ただたんたんと 連綿と続いてゆくことの他に救いはないのやもしれぬ そこに力は宿る そこに権力は宿り繰り返す -New Order「Your Silent Face」(1983)

86日目 8:38 25℃ 快晴
陽射しが強烈に降り注ぐが 湿度が残り空気は柔らかい 身体を根より大きく傾がせながら蔓を弓のように大きくしならせ先端で支柱をつかまえて全体重ぶらりと乗っかる 重力を味方に 脱力と強度の深まり スッという垂直性の振舞いにも細部に連綿と弧を重ねながら空間を開いてゆく
【今日の一曲】あらゆることが可能であると同時にあらゆることがあらかじめ決められており あらゆることが一度きりであると同時にあらゆることが繰り返しの中にあり またあらゆることが取り返しのつかぬ"あってしまったこと"であり同時に夢まぼろしでもある -Talking Heads「Once in a Lifetime」
デヴィッド・バーンの奇妙な動き 眩暈、痙攣、感覚麻痺、失神、蘇生 時間のもつれ、次元のやぶれ 時間の奴隷であると同時に司祭 四十年近くやっていることが変わらないどころか 世界観が舞台全体にまで拡張されてしまっている -David Byrne「Once in a Lifetime」(2018)

87日目 13:36 28℃ 晴れ
茎の北方に生まれた葉は 茂りに陽光を遮られ 領土を求めて葉間を縫うように南方へ顔を出す 四日間で支柱を突破した蔓はそよぐ風に導かれ 曠然たる振れ幅で辺り一面を柔らかく探索する 依り代は空ではなく色(実)で 色と色のあわい(虚/空)に響きが生まれ力が生ずる
【今日の一曲】うたうだけ うたうだけ 浮かぶだけ 空の海に色が浮かび 色に空が広がってるだけ 沈黙の海にフッ フッと いのちの模様が浮かんでくだけ 脆く繊細な身体はあちら側にスーッと入ってゆくだけ 気候は激しく変動し 多くの人影がのぼってくだけ とてもきれいなあやとりをしてみせてよ -武満徹「うたうだけ」

88日目 20:30 27℃ 晴れ
ずっと気まぐれな強い風が吹き 周囲の音が舞い戯れて 振動で環境を捉える 柵で二者は交わり推進し 先端はどれも絶えず三四つの芽を宿し 一つで折々に節を築き 一つは行く先の方位を開拓する そこから茎をずんずん伸ばしながら同時に次の節となる芽を導いてゆく
【今日の一曲】分節化された互いの隙間を縫うように交錯する力がひとつの巨大なうねりを生み出してゆく 情のことごとくを蒸発させる 苛立ちも哀しさも歓びすらも 非連続/切断の連続/反復が渦を深い底へと垂直に拡張させて 一切が流れとしてのみ捉えられる -The Isley Brothers「Livin' in the Life」

89日目 16:34 28℃ 晴れ時々曇り
朝方短い雨上がる 度重なる雨と陽光の反復に土は引き締まり 止まぬ強い風が足元に切り離された葉や実や虫の死骸らを運んで ゆっくりと朽ちてゆく 風に乗り蜘蛛が飛び糸を結ぶ 絡まり合う蔓はすぐさま別々の道へと進路を定めた 若葉の鋭さは瑞々しいナイフのようだ
【今日の一曲】傷つきやすさを強度へと変えてゆく 他者の痛みを自らのものとして引き受け なおかつそこに生きる者として加害の構造をも身に負うて 怒り 憤り 奮闘せよ 電子音(楽)は母性原理とアナーキズムを束ね綾織ってゆく -ANOHNI「CRISIS」(2016)

90日目 7:53 26.4℃ 快晴
朝から強い陽光がさんさん降り注ぎ 日向と日陰の領界がくっきり綾を結び揺れている 水を注ぎ眩しく輝く いたるところで渦がゆるやかに他者を巻き込み 蔓の先端はそれぞれぴょーんと不安定に投げ出される 地下では根が一層複雑に絡まり合い情報網をつくっているのだろう
【今日の一曲】纏まった低い雲たちが次々とんでもない速度で流れゆく 窓を開けるとむせ返るような湿気と強い潮風 間近に聳える小高い山々の上部が霞む 海から立ち昇る水蒸気が流れている 海岸線に出ると荒れた漆黒の波 ひた走る 淡い西日が照らす淵の緑は黄金に輝く -Milton Nascimento「Clove and Cinnamon」(1976)

91日目 9:27 26℃ 快晴
脇に深い溝が生まれる夢 柔らかい土に猫が糞をして辺りに蝿が多い 蝶の卵が振り撒かれラメの道 バッタの子らが繁殖し一つの葉を集中的に喰らい穿孔だらけ 筋は残す エナジーの満ちた葉は水分もふんだんで旨かろう 焼けてきた葉の部分は黄から黄土に変色しカラカラの皺となり縮む
【今日の一曲】異質なもの通しに橋を渡すことはできぬ ただ分裂したまま互いがありのままあってかつ巨大なうねりとなってゆくこと 隣り合う私と鬼婆 反復するゲンブリの低音が情動に膨らみを持たせ揺さぶり カルカベの高音が底より激しく煽りたてる -Mâalem Mahmoud Guinea「LE GRAND」

92日目 8:03 26℃ 晴れ
一等南のものが蔓は支柱に絡ませたまま根より引っこ抜かれているうちのクロの仕業やも知れない (写真撮り忘れた…!) 根は千切れているが葉にはまだ弾力がありすぐさま土に埋めなおし水で固める
節を基にして急に進路を転じる姿が随所にある カーブの向こうに触れてゆく
【今日の一曲】約五年ぶりのパリ風のレストランで耳にしたのはスウィートなサム・クックで こちらは黒人オーディエンス相手の濃縮されたクラブにて激情を炸裂させ汗と涙を歓喜で蒸発させてゆく -Sam Cooke 「Bring It On Home To Me」(1963)



朝顔観察記テクスト(5月) 

May 31 [Thu], 2018, 0:00
【朝顔観察記】/【今日の一曲】

34日目 14:48 27.0℃ 晴れ
双葉の中央よりどんどん湧きいづるいのちの笑みの広がり 地底よりスクリューして突き上げてくる天を覆う大鵬の翼を突き抜け東西南北を指してなお噴き出づる黄金のひかり

35日目 12:44 24.9℃ 曇り時々晴れ
自らの重さに安定して立つもの不安定にバランスを保つもの 色の強さが芯のしなやかな強さ 双葉の整いしものはまず本葉の片翼のみ大きく広げ 形の歪みしものは左右安定的に身体を開く

36日目 13:58 25.8℃ 雨のち晴れ
雨風の礫に身を晒しぶぅんぶんと揺さぶられながらも葉を開き直立する一夜を越えて朝には大気もしずまり穏やかな風と陽光戻る 新たに種皮は弾かれ身を伸ばす 裡より第ニ葉の渦巻きは解かれ小さくもおごそかに面を顕現させてゆく

37日目 17:06 22.9℃ 曇り
不安定な風の続く一日 双葉を開きはじめていた子は強風に耐ええなかったか付け根より千切れ倒れており再生の望みなし 他は順調に根を太く濃く張り日々拡張し新たな芽も生まれ出て開かれゆく反復-増殖のサイクルに入っている 天より根元を臨むと十字のスパイラルが見えてくる

38日目 13:57 24.4℃ 快晴
その渦の裏底は瞬間立ち昇る絶対無たる闇の光の故郷で 然るに原型と奥の薄暗い夢を宿し方位を定め かつ取りまく環境との沸騰的な交渉が自ずからの姿を要請する ここにある柔らかな傾ぎこそ一つの象徴的な夢見の姿勢で自ずからの軌跡を薄膜に沿うか縫うようにして立ててゆく

39日目 22:10 21.3℃ 晴れのち曇り
夜の深まりと共に大気は再び不安定 風は強まり湿度は上昇し土の匂いが立ち音はざわめく 闇に包まれながら小刻みに震えている 光が当たると本葉は獣の皮膚の如き毛状突起をスパンコールのようにギラギラ反射させる 双葉の広さまであと一歩

40日 14:37 20.9℃ 曇りのち雨
午前より雲低く湿り気ありひんやりとして薄暗い しとしとと降りはじめる頃には小さな有翅虫たちが宿っている 新葉の緑は黄金に輝き双葉は背後に退きはじめる

41日目 13:55 15.5℃ 曇り
三月下旬なみの気温で肌寒し うるむ空をうるうると潤い艶やかに湛え発色は止めどなくふいな翳りの憂いあり たっぷりと水を含む土はひんやりしているが持続的な接触により熱は緩むように広がり温かさが保たれている
23:17 響き合っていた 互いを呼び合っていた 地底よりどくんどくんと水を汲みあげ身を大きくかざし湛え 雨を召喚していたのは先の曇天と強く共鳴し碧く明滅していた彼(等)だったかもしれぬ 夜に干した洗濯物のように網状河道たる葉脈を行く水たちは精霊を宿し天水を呼び宙に路は立ち 系をなし笑う
【今日の一曲】Tha Blue Herb 「ILL-BEATNIK (Live at Fuji Rock 2000)」

42日目 10:03 12.2℃ 雨
不思議に明るい低い空 飛び散る土の礫を受け 降り立つ雨粒を受けて益々発光す 双葉の赤紫の甦る (軸が読めない. しなやかというのも少し違う. ないのか?にも関わらずブレない. 不思議だ) という青白い聲が甦る 危うきバランスを取り込み逸脱する力を誘発し別の身体を切り開け
【今日の一曲】痙唾舐汰伽藍沙箱「あんまり深すぎて」(1970)

42日目(日数、前日より重複のママ) 13:10 13.4℃ 雨のち晴れ
降っては止んでを繰り返し四日目 曇天が薄光を放つ朝方再び降りはじめ春雷が轟き昼過ぎには止み暫くして陽光が溢れ出す 地面下の媒介者らは加速度的に交流し内部/外部環境を忽ち書き換えてゆく 交歓の日には通常ありえぬもの通しが混沌と結ばれ宿し制作し/されてゆく
【今日の一曲】Bill Frisell「Day of Wine and Roses」(1989)

43日目 7:56 14.4℃ 晴れ
とはいえハレの日に急速に結ばれまるで別様な前-潜勢力として宿った力は時間的ディレイを伴い日々の中でじっくりとシステムを組み替え熟成され充ち満ちて溢れ出すように空間を書き換えてゆく 成熟した本葉の姿をまだ小さいながらもハッキリと摑まえる
【今日の一曲】遠山杏(広末涼子)&片岡徹「ニューロンシティの夜」(映画『20世紀ノスタルジア』より)(1997)

44日目 12:58 23.5℃ 晴れ
ひとつ ふたつ 境を越えてなお 余波のようにいまだ湿り気を含む空気は涼やかに移動し 柔らかい土はふっくら盛り上がる ただ陽光はじりじりと照りつける 幾つかの本葉に斑点が浮かぶが過湿か過肥かしばし様子を見る
【今日の一曲】疲弊とまでは云わねども都市の夜、一人電車に揺られながら琉球弧の空気を自らの血流へと呼び込みたくなることがある 奄美のアウトサイダー里国隆といえば竪琴の弾き語りだが 沸点を越えてしまったようなこの声の迫力が劇薬のように効く -里国隆「六調」(1975)

45日目 20:57 16℃ 曇りのち雨
そして午後よりぱらぱらと再び降りはじめ 夜には斜めより激しく打ちつけて土は跳ね泥に塗れる 同じ苗からの葉も発育に差が出てきて四方を指した十字は破綻しバランスを崩しつつも根は柔軟に手探りで大きく軌道を修正させ進む
【今日の一曲】フランスからやってきたダンサー/振付家と一日地下で時を過ごし 終演後 ムラトゥ・アスタトゥケを流すことにしたのは パリで度々感ずることのあるアフリカの香りを思い出してのことだった それもプリミティブなアフリカではなくハイブリッドなアフリカ -Mulatu Astatke & The Heliocentrics「Masengo」(2009)

46日目 @13:12 AB15:28 26.6℃ 快晴
二時間で光も変化しわずかに姿勢をズラし異なる表情を見せる 東より路地に沿って乾きすぎず潤いすぎぬ風が吹き抜け 拡散した綿毛たちが渡ってゆく 大きめの本葉は弾力や毛状突起は変わらずも比較的斑紋を寄せつけぬ様子 風にひときわ大きく揺れる
【今日の一曲】風の吹く夕暮れ前の路地、軽やかな足取りで目の前を通り過ぎていった初老の女性が美しい声と発音で口ずさんでいた -Fred Astaire「Cheel to Cheek」(1935)

47日目 11:57 27.4℃ 快晴
直射日光にしんなり頭を垂れ耐えるも芯はシュッと立ち翳りに移れば伸びやかに葉を高く広げている 裂け目からの二つの本流の先に更なるひとつ ふたつの枝分かれが展開されており 初めの二本の流れは微妙に色付きが見えてくる B17:26 葉の裏にシャクトリムシが憩う
【今日の一曲】ミャンマーの元激戦地のドキュメンタリー、最後に流れてきた現地の民謡の声の響きが耳に残り続ける 「どうか雨の神さま 激しい雨を降らさないで 雨の中 私はひとり 離ればなれの寂しさ 寒さで震えています」 音源は見つからねど、その空気の近しいものを -Myanmar Traditional Music (詳細不明)

48日目 14:07 28.4℃ 快晴
新芽は次々と角ぐみ萌え騰る 皮膜はとくべつハリを見せるでもなく皺の揺らぎは地形としてよりはっきり現れ多様な角度に身を開き光や大気中の水 振動を受信する 身体の枠は交流する境界でそれ自体を超出しようとする〈力〉の漲りスパークする舞踊と闘争の地平だ 旋回せよ
【今日の一曲】先日、ガルシア・ロルカの「ドゥエンデ」の話になったからか、朝から 空気を震わせ切断し地底へと轟きわたるようなフラメンコの足音のことを考えていた ロルカ自ら採取しピアノを演奏しているスペイン民謡の録音 エレガントなセビジャーナス -Federico Garcia Lorca y Argentinita「Sevillanas del Siglo XVIII」(1931)

49日目 9:04 24℃ 晴れ/曇り
相変わらず風は移ろいやすい ドクダミの香りが立ち込めて 野いちごが近くにやってきた 苗たちがいささか密集しすぎており 風通しと陽当たりをよくするため位置を分散し距離をつくる 移動させ根元の土をやわらかく固める
【今日の一曲】マイルスの魔術的なエレガンスの極致は第二期黄金クインテットかもしれないが、この抑制されたリズムとドローンの海を複雑多様に交錯して泳ぐ音色、響き、ヴォイス、混ざり合いつつも絶えず様々な距離が生じ 移動し くるくる変容してゆく -Miles Davis「Shhh〜Peaceful」(1968)

50日目 7:46 22℃ 快晴
互いの間隔が開き風の抜けがよく 密集していた頃の空間に導かれた姿-身体の癖がよく見える 茎の下方で一度彎曲したものたちの傾きの位置や方位は類似していることに今更ながら気付く 朝日に葉は少し垂れている
【今日の一曲】起きたら達郎、料理しながら達郎、車を走らせながら達郎、エネルギー放出後に達郎、飯食いながら達郎、達郎を聴きながらキレッキレに脱力する夜の帰路、最強のファンクネス、ほとんどSparkleリピート ちなみに今、腰掛けるは渋谷の岡本太郎壁画前 癒される -山下達郎「Sparkle」(1982)

51日目 15:15 25.2℃ 晴れのち曇り
晴天は曇天へ転じ気温は下降はじめる 夜更けの雨で土はまだ染みている しょぼんとする影あり確と根づいていないか 波立つ葉を取り巻くスパイラルの法則が原型として見える いのちとは渦 茎の根元の色素の薄い侭の者あり行く末の花の色素との関係を思う
【今日の一曲】身体の裡でも表層でも夥しい割りきれぬ不気味なエナジーや聲が疼き居心地わるい 正しく浪費することでエロス的交易の場が開かれ昇華されるが 行けども行けども終わりはない この身果てるまで いやこの身果てても続いてゆく 身体は仮の宿であり束の間の実験場だ - Scott Walker「Epizootics!」(2012)

52日目 22:14 18.8℃ 快晴
日中 陽光が降り注いでいたが涼やかで心地よく空気は湿っていた 朝方風強く夜は落ち着いている 葉はどれも重力に引っぱられたようにしおらしく傾ぎ眠りにつきながらも取り巻く気配の変化は捉えている 日々持続しながらも絶えず別な生をおりかさねてある
【今日の一曲】起きぬけにつけたRADIO3にてchildren's music特集、いきなり流れてきた「I am the Warlus」にぶったまげる 一日中口ずさんでいた 本家よりすき -Lol Coxhill「I Am the Walrus」(1971)

53日目 8:59 21.2℃ 晴れ
鳥たちの声 そちこちより 涼しさが残るが陽射しは既に強く 日向の葉が比較的垂れているも茎はしなやかに凛と直立する 変化の速度はどれも一旦落ち着いている 周囲環境をなるべく変えぬようにして見守る
【今日の一曲】唐突に開け放たれる眩い光の通り道 疾走する 焦燥しながら 奈落の果てへと下降/潜っているか 旋回の動きあり推進加速し上昇しているか とどまれ 地声は分裂寸前でダブり 反転し 韻律は時空を吹っ飛ばし 憤りの 祈りの 摩滅する根源に立つ (承前)駅の近くでふと潮の匂いがした 憤りが根源にあり もはや悲しみなど蒸発しているに近く この左手は餓鬼にあげてしまおう 薄汚れた珠を握りしめ 何度もなんども振り上げて 水滴のように飛び散らせ 建築するのだよ 繰り返されぬために繰り返す青い炎 増幅させるも沈めてしまうもおまえしだいさ -Robert Wyatt「LITTLE RED RIDING HOOD HIT THE ROAD」(1974)

54日目 10:24 25℃
蒸発が早い 数時間前に水撒きした土の表面は乾きはじめている 周囲に陽光でキラキラとラメのように輝く粘液が撒かれてあるのは朝の紋白蝶か 一等隅の苗は柵の方位へ過度に傾斜しはじめる 空間を知る術は幾つかあるだろうが影で察したか 日陰に入ると葉を開く 空から蟻が降ってくる
【今日の一曲】幾多もの巨大な黒い柱が墓標のように浮かんでおり それは眠っている鯨だった 眼は薄っすらと開いていた ただ響きだけがこだまする 個人の独白に折り畳まれた多くの 当人を逸脱して立ち現れる記憶 音 匂い あるいは色 何気ないすれ違いざまの見知らぬ人の言葉 -Eleni Karaindrou「Weeping Meadow」(1998)

55日目 11:40 21.8° 曇りのち雨
雨降って まだ鳴き慣れぬ幼き鳥たちの騒ぎ立てる声の聞こゆ 非常時だ 一葉を大きく虫に喰われ千切られるも既に目立つ虫の影はなし 流れのバランスは崩れ 修復/再構成と拡散する運動の持続 集注 余白は侭に 周囲に情報は伝播し耐性増すか 表面に水溜まり滴として落とす
【今日の一曲】山奥で木樵をやりながら極彩色の旋渦を何十年と描きつづけ 複雑化してゆき どこか直線的でもあるのはあくまで時間の断面や襞や皮膜が露呈しているゆえで 情緒以前の律動の軌跡が紋様を描く 植物の内臓に入り込んだような微細な轟音 - Fenn O'Berg「Shinjuku Baby Pt. 1」(1999)

56日目 9:16 21.4℃ 晴れ
早朝雨は上がりまばゆい陽光と影のくっきりした世界 急激に気温上昇の兆し 空に葉を大きく広げる 形態記憶の枠組み/形式の上で偶然性や危機へと投身するほど未知の可能性は切り拓かれ様々な関係の錯綜と共に固有の姿が生み出される絶えず何処かにギリギリの危うさをつくること
【今日の一曲】日常の中で ふと このピアノの旋律が聞こえてくることがある 今日は はじめての人と 踊りや 詩や 映画や 行為的直観のような話など たくさんした 好きな映画は やっぱりデュラス -坂本龍一「DNA」(2004)

57日目 7:48 23℃ 曇り時々晴れ
土は黒々溌剌とし湿り気高く 手探りで畝り細やかにサーチし領土を広げる白い根は安定的に分子を吸収する 葉の発色も動きも速度抑えめに水平に広がり 根より鼓を打ち突き上がる律動が瑞々しく柔らかい生まれたてのいのちの旋渦を先端として強くささやかに輝きを放つ
【今日の一曲】「一日一生」この一日に諦観も慈しみも温もりもくだらない大笑いも軋轢も懐かしさも未知へのワクワクも瞬間の恋の成就も為すすべなき破綻も虚脱感も達成感も云い尽くせぬ一生分と云うに十二分な生涯がありそれを平然と傍観しながらさよならだ流れゆく一瞬の幻よ(承前)「一日一生」とは大阿闍梨さんの言葉だが、ある時ふと、(あぁ「一瞬一生」じゃないか!)と感じた それをして「生涯」としか云いようのない一瞬がある 西田哲学的に云えば「絶対矛盾的」な時間や質の折り畳まれた「純粋経験」としての豊かな膨らみのある一瞬 これは踊りの始源とも云えるように思われる -PHEW & 山本精一「バケツの歌」(1998)

58日目 14:39 23℃ 曇り
土は昨朝より水を蓄えひんやり柔らかく脆さすら感じられ 微生物や菌等も増殖しやすくなる この辺りの地中で蚯蚓と合うこともあった 端が薄く黄ばむ大きな葉あり 双葉など黄化したものは既に幾つか除去される 枝分かれの道はリズムと云うより偶然性にも投げ出された"間"である
【雑記】紫陽花の葉を捲り根元に眠る芋虫のミイラを覗き込む その度に私がミイラを見ているのか ミイラが私を見ているのか それともミイラがミイラを見ているのか分からなくなってくる というか、私はこの芋虫のミイラが見ている夢にすぎないんじゃないかという気がしてくる(承前)胡蝶の夢と云うけれど 蝶は此岸と彼岸を行き来する境界的な存在で 芋虫はその成虫となって飛翔する頃を夢見る幼虫であることに加え今現在刻々と身をやつしている過程のミイラでもあり それが生い茂る紫陽花の葉の根元の薄闇に静かに隠れ/鎮座しているということにたびたび目眩がする
【今日の一曲】またひとつ夢から覚めて刻々と別の<生>を夢見るように生きている 植物や 昆虫や 寝たきりのばあちゃんや いつか壊れた眼鏡や 幽霊のように動く大気やら との 様々な距離をポリフォニックに重ね 降り立つ「場所」を移動させ <空>たる生涯の魔法陣の綾を織ってるの -Egberto Gismonti「Dança dos Escravos」(1973)

59日目 15:20 26℃ 晴れ
土は色付いたままで根腐れの心配あり水分を抑える 産毛に覆われる先端は現れた時には既に方向付けられており巻きを残しつつ長細く開いてくると又別の先端がゆっくりクイッと内巻きの首を持ち上げながら大きく膨らんでゆく 「はやく・ゆっくり」という声がする
(承前)「はやく・ゆっくり」というのは、脳性まひであり70年代の障害者解放運動をリードし、『母よ!殺すな』という名著も書いている横塚晃一の遺言とも言うべき最期のことば ここで甦るとは思わなんだが、そうとしか云い現しようのないことがある(承前2)ちなみに、ミイラ、というより即身仏によって生きられている時間も、「はやく、ゆっくり」としか云いようのないものに思われる 56億7千万年など矢の如しなのだ 昨日の芋虫のミイラも、こうした「はやく、ゆっくり」の時間から私を見つめていた感はある 「舞踏」によって生きられねばならぬ時間もしかり
【今日の一曲】反復しながらも二度と同じ瞬間は現れない 絶えず分解と合成が同時に進行し 内は外を写し込み また外は内につくり変えられて 互いに無限に作用する 無限に互いを限定し解放してゆく -Jon Hassell/Farafina「Dreamworld」(1998)

60日目 8:59 21℃ 曇り
繁殖と呼べるほどの勢いはついておらず未だささやかな速度を保つ
昨年の記録を見ると今年は種蒔きが一月早かったゆえさして比較にならず とは云え梅雨入りの早さも予感しているだろうて ここからの環境の変化に如何様にも対応してゆける力を裡に秘め さしあたり時節をじっと待つ
【今日の一曲】アカシアの花にまつわる記憶は幾つかあって むろんこの歌をとりまく個人的なものをも含むのだが 出会うたび思い出すより早くそれらにまつわる情緒がハッと触覚的に膨らむ その仄かな香りが口内に拡がる 夜の都会の中心でそれはまたこうして蘇りかつ更新される -西田佐知子「アカシアの雨がやむとき」(1960)

61日目 11:06 25℃ 晴れ
昨夕から今朝まで烏が慌ただしい 瑞々しい角が大小刻々と芽生えている (海月なす漂へる時、葦牙の如く萌え騰る(「古事記」))生命力そのものとしての神 逆さに突き立てた剣 あるいは鬼の角… 混沌より突き上げられ顕現する強度 ロゴス-叡智 力 所々長く伸びる繊毛に覆われている
【今日の一曲】ささやかな賑わいのなごやかな居間にて薄っすらと流れていたバンドネオンの響き はじまりを祝して 対面でなく並行の位置関係で進む -Quinteto Astor Piazzolla「Redención」(1961)

62日目 12:36 24℃ 曇り
ある種の潜勢力は健在で するすると不安定に宙に触手を伸ばし 新芽はぽこぽこ生まれ輝き 本葉は着実に拡大する 斑点葉は気配を小さくしていた ここにある不安定性にはされど芯が通っており絶えず先端で環境に敏感な耳を立てつつ身を投げ出してゆく
【今日の一曲】濃厚な呪術性でもって大地を底より震わせ山の滝の轟音を突き抜けるという声は魂を揺さぶりかけてくる 時折この強烈な律動を取り込み血を濃く湧かせることを必要とする 云うまでもなく死と生の旋渦は一層激しく回転し混沌に帰する -金昭希「鳥打令」(年不明)

63日目 9:12 21.2℃ 曇り
しとしとの雨は早朝引いて微風に小刻みに揺れ マッサージされながら漂着する周囲の情報をキャッチする 繁殖力の強いものは香りも強く程よい緊張感を保ちつつ嫋やかたれ 繊毛の長さにも個体性はあり風の向く先を靡くように方位する
【今日の一曲】小雨降る日は窓を全開にして 緑の匂いと湿度に囲まれて過ごす 明かりはつけない 粒子を浴びる 数百年 数千年前に忽然と姿を消した人々は今も植物の細道を歩きつづけてる みんなで穴の向こう側へいってしまった 24hの巨大中央卸売市場の生花区域を彷徨っていた -Le Berger「fgaow-∏wrg」(2015)


朝顔観察記テクスト(4月) 

April 30 [Mon], 2018, 0:00
【朝顔観察】

12日目(04/09) 晴れ。少し肌寒い強風の日が続くが温かい陽光が降り注いでいる 12個植えた種のうち2つが芽を出す

13日目(04/10) 晴れ。温かくて土の表面はすぐ乾いてしまう 土はふかふか 午前から双葉が見えていたが(1枚目)、午後には完全に顔を出している(2枚目) もう一方の芽も土を押し上げている いや3つ目の白い芽も出ている

14日目 晴れ。温かし。強風で器が飛んで行きそう。
また一つ、新たな芽が出てくる。赤紫の芽と、白い芽と。最初の子はひ弱そうに宙に双葉を広げる。

15日目 晴れ。風は落ち着き穏やかな陽気。どの子もまだ葉緑素が少なく白んでいるが、開かれた双葉はすでに光化学反応で色素にムラが出てきている。光によって色-強度は育つ。環構造、膜の重なる嚢、回転楕円体…、微小な構造に触れるには眼の触角的解像度を上げ主客溶解した己の身体に貞く。
(承前)痩せ細って白んだ身体が何故こんなにもエロティックなのか。これは未成熟さと結びつく少年愛や、存在の気配が薄らいだ衰弱体の問題でもある。どちらの身体も「存在」の彼岸に近い薄暗い静かな領域に触れている。故に存在としてのテロリズムともなりうる。

朝顔観察 16日目 14.6℃ 晴れ。少しひんやりとした風の強い朝、地面を押し上げて、土や皮をかむったままムクと直立し、垂れた頭をゆっくりあげてゆく、双葉の多くはまだクシュクシュしている、現在、5/12が目覚めている。

17日目 17.6℃ 曇り
円型-虚体の裡に熱量は満ち〻て黄体期の乳房の張りの如き痛みを伴わんばかりの力のほとばしりは自らを突き破り赤白い細柱がスッと直立してくるこれは侵犯で 生まれたての皺々な羽根が天辺に水平に伸びてゆく 足元には既に影が差し 底は分解と結びの地の広がり

18日目 20.8℃ 曇り
傷は残れど被っていた殻を弾き開いてゆく 皺々の渦は胎内未生期の物質的熱量の流れの残響であり予兆で 顕現した瞬間には自らを書き換えている 明滅を刻々と深める色素は強度で 赤の粒はエッジを護り緑の粒は面に広がっている

19日目 15.4℃ 晴れ
日向は温かく時々風強し きれいに開いた一茎と少しずつ皺を伸ばしている五茎 種の向きもあるのだろう 後者は土がまだついている 繊毛が目立ってくる

20日目 14.6℃ 曇り
降り出しそうな雲がつづき気圧変動の風強く肌寒し ひたすら水を循環させ僅かずつ姿を整えている 土はふっくら少し温かし
今のところ芽生えているのは6/12 昨年も数ヶ月遅れで芽を出す子がいたのでまだ分からじ

21日目 16.3℃ 曇り/晴れ
双葉の裂け目に芽生えの気配あり あたかも聖山の樹の根の裂け目に置かれた小さな朱の鳥居のようにエネルギーが集注して軸が立ち上がる 構えた下半身は地中で見えねども満ちて精力を突き上げてくる 察するにこの小さな器の底へも達しはじめているだろう

22日 16.5℃ 晴れ
午前より日差し強く温かい 時折流れる雲に隠されて そよぐ風の涼しさに気づく 肌を撫でてゆく 揺れるというより小刻みに振動する
(承前)ここで言う「聖山」とは「鞍馬山」のことだった 山の森林のあいだを駆け巡りながら幾つもの割れ目と小さな鳥居を眼にしていた 持続的に上下する体に上昇する体温 ほとばしる血流 汗ばむ肌と涼やかな風
女性の陰部より胎児の頭部、と言うよりも男性器がにょきにょきと生えてくる両性具有感を覚えている とはいえ染色体でもXX ありきでXYが生まれるのであって このイメージの交錯は何も飛躍したものではない

23日 23:39 17℃ 晴れ
表面に反射する光でなく色そのものが光であり波長で温度で響きであり とは言え鮮やかさこそ強度だとつい求めてしまうのはあまりに短略的だと自らを戒める

24日目 15:16 25.9℃ 晴れ
日中ひどく暑し 茎から葉脈へとつづくワインレッドはやがて絢爛に開く色彩の予兆かもしれぬ 開花前の樹皮は沸々と色を秘めている

25日目 22:17 20.9℃ 晴れ
真夏の陽射し強く葉緑素は増して青々とす 双葉に生きものが二匹 長い翅を縦にたたむ子に赤グモ 呼吸しているなぁ 葉が器をはみ出てくる子もあり

26日目 15:05 18.7℃ 曇り
朝から空気の湿りが強く雨の土の匂いが立ち込めている 葉脈の色は落ち着いてきた 割れ目の緑は着々と大きくなっており新たな葉のようにも見える

27日目 14:54 20.8℃ 曇り/雨
しだいに温暖前線が風と雨を連れてきて天候不安定 新芽にあぶらむし 根元には小さめのだんごむしが何処からか 新芽はどれも葉のていを現してきている

28日目 12:12 18.3℃ 雨
朝より大量の水が降っている そちこちより音が立ち しづかに濡れながらきらきら発色して輝いている

29日目 11:21 23.1℃ 晴れ
一本を除き地面に植え替える 器より解放され地中も地上も伸び伸びできるだろう 陽光は移動して日向と日陰の土の温度変化は大きい 心地よい風が吹く クモが巣を作ろうと寄ってきて 近くに綿毛も飛んでくる

(三日間お休み)

33日目 12:33 25.8℃ 晴れ
時々風が唸りをあげる 四日ぶりの再会 新たに二本芽が出ており推測するに一本は三日前 一本は昨日くらいか 地面に移った者たちの方が育ちがよいが双葉の個性的な皺は残っている 小さくとも本葉が二葉出ている子もあり

川村祐介×山田有浩「沈黙する光」 

December 18 [Mon], 2017, 0:00

「沈黙する光」川村祐介(トランペット)×山田有浩(ダンス)
2017.12.17@くら七世代(調布・東京)










撮影:bozzo

山田有浩×村上裕「人・モノ・映像/終章」 

June 19 [Mon], 2017, 0:00

山田有浩×村上裕「人・モノ・映像/終章」
2017.06.17 @七針(東京)

山田有浩のダンス、村上裕の映像・サウンドによる、6回にわたるワークインプログレス的セッションの終章でした。
















撮影:bozzo

「クラウドチキン」 

June 10 [Sat], 2017, 0:00

山田有浩 展覧会「クラウドチキン」にて@.kiten(東陽町・東京)
2017.06.08






撮影:フクドメ・マサヒロ

「滑川渓谷にて」 

April 20 [Thu], 2017, 0:00

山田有浩「岸田将幸のために」@滑川渓谷(愛媛)
2017.04.19








撮影:菊井崇史



執筆しています。 

February 28 [Tue], 2017, 22:53

「甕星 mikaboshi ★ vol.3 /月特集」
\900

「世界を信じ抜くことに自らを投棄する
炸裂する〈強度〉が拓く大地へと 向かえ名もなき亡命者たち」
というタイトルで、12,000字ほどの舞踊論を執筆しています。

2016年09月23-25日に千葉県鴨川市江見の海岸で行われた
"展覧会「不良」オープニング・イベント"でのソロ公演を
ドキュメント風に巡りながら、
舞踊とは何か。何故、舞踊なのか。舞踊における身体感覚についてなど、書いています。

ネットでも販売予定ですが、お買い求めや質問などは、とりあえず山田まで。
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