「血槍富士(1955年)」

2006年07月31日(月) 14時15分
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演の「血槍富士」を見ました。内容についてはこちらが詳しいです。

おどろおどろしいタイトルに似つかわしくなく、物語は軽快な音楽で始まります。やや神経質だけれど家来思いの小十郎、槍持ちの権八(片岡千恵蔵)、下郎の源太の主従は、江戸に上る道中、武士にあこがれる孤児や借金のため身売りを迫られている娘とその親、巡礼、街道筋を荒らしまわる泥棒などさまざまな人たちとめぐり合います。

片岡千恵蔵さんが演じる権八がとにかくいい。達磨さんみたいな顔やずんぐりとした体型(失礼)で、外見はまったく颯爽としていません。しかし物語が進むにつれて、権八という男が大好きになってきます。小十郎に対する忠節。女子供に対する思いやり。いざという時は身を捨てて仲間を守る。こんな人が傍にいたら、どんな時でも心強いだろうと思わせる侠気(おとこぎ)に溢れたキャラクターです。

いつもは小十郎のために事を荒立てぬよう尽くしてきた権八ですが、無法な若侍たちに小十郎と源太が斬り殺されたことを知った際の怒りは凄まじい。下郎の身でありながら、長槍を振り回し、死に物狂いで仇をとる。時代劇史上名高い、酒と泥まみれの死闘の壮絶さには息を呑みました。

アクションというと、動きのキレやかっこよさに着目しがちですが、「血槍富士」の殺陣を見ていると斬り合いとはそんなものではなく凄絶な命のやりとりだったんだと思わされました。時代劇や歴史物が好きになると、つい「江戸」を美化しがちですが、武士が支配する社会は「面目」が人の命より重く、生まれついた身分によってどうしようもない枷が嵌められる仕組みの社会でもありました。そのことを、説教臭く「封建主義いくない!」と描くのではなく、物語として面白いエンターテイメントの中で伝えている素晴らしい作品でした。

内田吐夢監督や片岡千恵蔵の作品をもっと観たくなっちゃったよ!キリがない!
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