rusk

August 27 [Wed], 2008, 22:45
あたしの名前を、呼ぶその声。

ある日、突然できた弟は。
何度も垣根を越えてやってくる。

突っぱねてばかりのあたしを、何度でも駄目にする。
――意図すらせずに。

「rusk」

01:思えばその時だけだったのだ 私の欲しい物が全て隣にあったのは
02:歌声だけが妙に幼く 彼の体躯とは不釣合いだと思った
03:膿んだままの傷口を晒し 顔を背ける善人の群れに唾を吐く

お題提供:207β様(閉鎖されました)より長文10題(A)

01:思えばその時だけだったのだ 私の欲しい物が全て隣にあったのは

August 27 [Wed], 2008, 22:48
あたしの名前を呼ぶ。
その、声。


「希恵」
振り返ると、ちょっとだけ不機嫌な顔をした遼が立っていた。
「何?」
「何、じゃない。さっき俺に気づいていたろ?何で声かけない訳?」

遼の言葉に、希恵は先ほどの図書館での光景を思い出す。
友人に囲まれて席についていた遼と目が合った気がしたが、そのことだろうか。

「用もないのに、何でいちいち」
聞き分けの悪い子どもを相手にしているかのように、遼は苦笑する。
「そんなに厚い本ばかり抱えて?」

胸の前に、積み上げるように重ねていた本を数冊取り上げた遼は、小さく笑った。
「何が歩いているのかと思った」
「……うっさい」