『女性死刑囚  十四人の黒い履歴書』 225

March 21 [Fri], 2014, 21:03

風間さん支援関係で最近書いたものを転載します。
まず、10日ごろ発行された『救援』という新聞に書いたもの。
深笛義也さんの『女性死刑囚  十四人の黒い履歴書』 という本の感想兼 宣伝兼を目指してだったが、・・・数字に間違いもあるし、宣伝になっているのか?
次は今日発行のたまじょつうしん152に掲載された「風間博子さんのこと」を転載します。


『女性死刑囚  十四人の黒い履歴書』紹介(感想)       
2013年12月発行のこの本は、2年前に出た同じ著者の『女性死刑囚 13人の黒い履歴書』というムック版のいわば増補として刊行された。2年の間にひとり、北村真美さんが確定して増えたわけだが、その後木嶋さんと上田さんが一審で死刑判決。16人となっている。死刑廃止運動でしばしば起点とされる、執行再開の93年以後の判決や執行は約250人か? その中で女性は13人(16人のうち3人は93年以前)、5%に満たないこの率には一驚であるし、腑に落ちる数字でもある。暴力は怖い。生物学的性差は歴然としてあり、弱い者にとって暴力は怖い。そういう場面に出くわすせば、女性はせめて加害者にはならず、被害者になることが多いのだ。そしてこの「5%」という数値は、社会的性差を表わす、例えば大企業のトップの男女比率などと至近なのが、まさに不気味というか・・・。

ムック版から書籍へ。この間に、14人のうちの一人、私たちの支援する風間博子さんは再審請求を出した。この本では再審請求の内容が詳しく書き加えられている。著者の深笛さんは2011年3月3日号の『アサヒ芸能』への記事執筆前から膨大な裁判資料を読み込み、風間さんの無実を確信し、支援会にも参加してくれるようになった。

風間博子さんの名は『救援』読者にはおなじみかもしれない。大道寺幸子基金「死刑囚の表現展」で入賞の常連、2010年には『潔白の罪』『無実という希望』の連作で優秀賞、昨年は技術賞を受賞している。多才で、地に足の着いたしっかりした女性だ。犬の飼育と販売をする会社をきっちり切り盛りしていたはずだ。夫の関与する凄惨な連続殺人事件に巻き込まれ、共謀共同正犯として死刑判決を受け確定してしまった。事件解決を焦る警察と検察が、夫の共犯者の供述だけでストーリーを作り上げた。その供述だけが唯一の証拠である。供述の共犯者は微罪で服役、しかしその彼は裁判中から、風間博子さんは関係ない、自分は出来ていた調書にめくら判を押しただけだ、と証言しているが。あまりに不自然で不可解な強引に曲解する判示が多すぎて、どれを再審への新証拠としてよいいのか分らない。やってないことを証明することは本当に難しいことだ。この本には、再審へ丁寧な説明がある。さらに、風間さんの抱えたDVへのジェンダー視点が重要だと説く。夫からの暴力を覚悟の上で、税金対策を口実に離婚を切り出して果たした、それを判決は偽装離婚と断定し、「二人は運命共同体」だとして共謀の主犯とされた。「夫からの暴行の恐れがある場合、夫には偽装結婚だと納得させて籍を抜き、―中略―暴力を避けるために夫に従うことがままあることもドメスティックバイオレンスへの対処としては当然ある。裁判官はそのような世情も知らないのだろうか」と。全く、緊張感にあふれる家で、息をひそめて暮す女のことを知らないのか? 恐怖で警察に通報もできずに、心療内科に通ったのだ。

風間さんは何故こんな世界に関わったのか、と疑問だった。しかしこの本でいづれも息をのむような凄惨な事件を辿ってみて、誰もが紙一重でそういう体験をすることもある、あっちとこっちを分ける発想が間違いだ、個人的なことは社会的なことだ、と思った。

ソレニシテモ、富山の誘拐殺人犯宮崎さんの同行男性に刑事が「女房同然の女の罪はかぶってやれよ、それが男だ」と男の責任論を振りかざしたというくだりには笑って怒る。それ程に女は人間じゃないのか? ジェンダーバイアスそのものだ。人権問題としてこのことに「怒る視点」も著者にはあると感じた。
風間さんの雪冤の道のりは長いが、この本などを得て、希望への大きな曲がり角を曲がることができた。



たまじょつうしん152  2面記事
「風間博子さんのこと」
風間博子さんと知り合ったのは、2009年の3月ごろだった。京都在住の知人が、風間博子さんが、埼玉愛犬家連続殺人事件の共謀共同正犯として一審二審の末 最高裁で死刑判決が確定しそうなので面会に行ってほしいと言ってきた。東京拘置所で面会し、風間さんが知的で地味でしっかりした、普通の人であることに驚いた。絵や書や文章にとても才能のある人だとは知っていたが。やはり風間さんは6月に上告棄却で確定死刑囚となった。私は、親族以外の(監獄)外部交流者の3人のうちのひとりとして、交流が続いている。

風間さんは1957年生まれ。最愛の父を亡くした83年に、15歳年上の犬の繁殖業を営む男・Sを“父のような”と勘違いして結婚、アフリカケンネルを共同経営。動物好きな彼女はハンドラーとしてドッグショーでも活躍した。しかし風間さん本人へのDVと前夫との子への壮絶な暴力、虚言癖などに堪えられず、93年1月、夫には税金対策を口実に念願の離婚をした。が、商売は共同で続けた。

事件は身の毛もよだつ様相である。輸入犬の金銭トラブルから、93年4月と7月に元夫Sが子飼いのYの協力で3人を殺した。3人とも、殺されたのち群馬の山中で解体、焼却されて川に流されてしまった。風間さんはそれとは知らずに、被害者の車を東京に捨てに行くことを手伝ったり、7月の事件では、殺された死体を車で群馬の山中へ運ばされた。解体現場を見せられた。しかし、夫の殺人を知ったことで体調を崩しながらDVを受け続け、またも同居を決め込んだSに怯え、95年1月5日の逮捕の日までこのことを口に出すことができなかった。まだDVへの社会の関心も薄いころ、助けを求めることもできず、ただ暴力を恐れ、子どもを守りたいとどんなに心細く八方ふさがりであったか、想像に難くない。

警察は4月の事件後7月にはS、Y、風間さんの行動確認を始める。事件当日も張り込みしながら見失い、逮捕まで1年半もかかった。解決を焦る捜査側は94年11月にYを別件逮捕。取り調べ検事による、司法取引よりもひどい方法でYの供述調書を取り、作ったストーリーにより殺人実行犯のYは死体損壊・遺棄のみで3年の実刑、風間さんはSの共謀共同正犯として犯人に仕立て上げられ、死刑が確定した。検察は自作のストーリーを貫くために様々な工作をしている。時には役所に残る登録日をさえわざと違え いかに夫婦仲よく共謀したかにつなぐ、あるはずの捜査資料を彼女に有利なものは証拠採用しないで隠す、彼女の無実を示す「ないはずの車」を「あったが張り込みが見落としたのだろう」と堂々の証拠として通す。論告書、判決文、弁論要旨、控訴、上告趣意書など膨大な資料を読めば、いや 一部を読んだだけでも、いかにこの裁判がいい加減なもので、風間さんが無実であることを認めないために数々の証拠を捻じ曲げているかがよくわかる。こうして下った判決だった。司法による冤罪の作り方がよくわかるできごとだ。一人の人間の人権をこんなにも軽く踏みにじるのか? そしてまた、一坦決着したことを覆せば司法界の秩序が乱れるというのか? 死体なき殺人のこの事件では証拠がほとんど残らない、証拠はYの供述だけである。ところがYは公判では「博子さんは関係してない」と証言している。Yのこの発言後も、判事は論告書の「証拠」を採用したままだ。原判決が覆ることはなかった。

しかし風間さんは12年1月に再審請求している。そして無実であるのだから、希望を失ってはいない。私は、風間さんと社会とを繋ぐ交流誌『ふうりん通信』を年に数回発行して再審を支援している。最近、マスコミもこの冤罪事件に関心を持ち始めた。




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山田
自分は去年、この事件について詳しく知りました。
いろいろな書籍やブログを閲覧しました。
その結果、自分も風間博子さんは無罪だと確信しました。
お聞きしたいのですが。「ふうりん通信」はどこで手に入りますか?
April 22 [Tue], 2014, 23:18
P R
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