SS『機動給仕チャバンャx

May 02 [Wed], 2012, 14:18
対戦ゲームにおける鉄則は3つあると私は考えている。
一つ、容赦せず。
二つ、慢心せず。
三つ、弁解せず。
まず一つ目。
当然ながらゲームとはいえ、対人戦ともなれば真剣勝負。
互いに百円硬貨というチップを投入している以上、その時唐ナ利害関係は成立しており、勝って愉悦を得るか負けて台を立つかという利害、明暗、白黒、勝敗を分かち合う両者の間に、容赦と言う概念が介在する余地は微塵もありえないのである。
あるとすればそれは余程の実力差に伴う強者の余裕か、対人戦と言う聖域を愚弄する痴れ者による行いか。
断るまでもないが、私はそういう輩が一番許せない。
二つ目は初心者を脱した中級者が陥りやすい。
私ほどの実力者にもなればこんな愚行を犯すことはありえないが、それでも人間であれば起こり得る心の偏りである。
慢心は自信を生むが、同時に対戦相手への敬意を損ないがちだ。
敬意を損なうと対象を侮るようになり、勝利以外の想定を自ら行えないままその隙を突かれる。
これは人間心理のメカニズム上抗うのは難しいが、この壁を越えることが中級者を脱する第一条件と言える。
ちなみに私の大嫌いな人種である。
このような相手がのこのこと私の眼前に現れた場合、リアル対戦格闘ゲームに移行する所存だ。
三つ目に関しては口にするのもはばかられるほどの痴態である弁解と言う行いについて指摘している。
台に座った以上、それは互いの条件が対等であることを了承したことと同義であり、そこから導き出される結果は限りなくフェアであるはずなのだ。
にもかかわらず、敗北した瞬間、己の実力不足を棚に上げてあれこれと難癖をつける輩が必ず出てくる。
これが勝負という聖域を穢す行為であることは言うまでもない。
このような愚図が私の対面に座った場合、ピカリンジャンケンジャンケンポンのグーをそいつの顔面にお見舞いすることにしている。
さて、長くなったが私は今、ある都心にある某ゲームセンターにいる。
私ほどのレベルになれば、これぐらいの規模のゲームセンターでないとまともな対戦相手が見つからないのである。
困った話だ。
今回プレイする筐体は私がもっとも得意とする機動給仕バンムEXゴールデンスペシャルデラックスという2on2制の対戦ゲームだ。
プレイヤーは数百種類に及ぶバンムというロボットを操り、敵機を撃破していくゲームである。
いつもの足取りでいつものルートを通り、たどり着いたバンム台は閑散としており人っ子一人見当たらない。
まあ、それも仕方が無い。
というのも、先日この場で私が脅威の連勝を挙げてしまったため、皆が皆怖気づいてしまったのだ。
強すぎるというのも考え物である。
私は数ある台から一つを選ぶと百円硬貨を投入し、プレイを開始。
派手で煌びやかなタイトル画面から機体選択画面へとモニターの色彩が踊る。
もちろん選ぶ機体は私の愛機、フリームバンムだ。
携行する武装の豊富さに加えて射撃性能、格闘性能、噴射性能、共にバランスの取れた機体で、あらゆる局面に対応しやすいのがメリットだ。
偏りが無いところが実に玄人向きで気に入っている。
私が座っているのは対戦台なので、CPU戦を軽くこなしながら対戦相手が現れるのを待ってみることに。
しかし、あの惨状を目の当たりにした者ならば、誰も私に挑戦しようとは思わないだろう。
実に嘆かわしいことだそう思ったら、突然画面が赤く光り、アラート音が鳴り響く。
対戦相手が現れた合図だ。
まさか、この私に挑戦しようとする愚か者がまだこの街に存在していたとはね。
そんな愚か者が操る機体がどんなものかと思ってみれば、強力な格闘機であるマスターバンムだった。
この機体はあまりの性能に使用すら敬遠されるほどの強力な機体で、いわゆる厨というやつだ。
愚か者め私ほどの実力者に対抗したいなら厨機体を使うしかないだろう。
その判断は褒めてやる。
だが甘かったな。
その機体は私も嫌と言うほど使用したことがある。
つまり、マスターバンムは知り尽くしているのだ。
ネット情報でちょっと知った程度のニワカでは相手にならんよ。
戦闘開始すると、敵機の挙動を観察する。
ぷっ思わず噴出しそうになったのをこらえる。
もちろん笑える意味でだ。
マスターの動作が明らかに素人くさい。
慣性噴射ジャンプやズンなどのテクニックをまるで知らないかのような立ち回りだ。
こいつ初心者かよ必死で笑いをこらえながら相手の着地などの隙を曹ビーム銃を撃つ。
面白いように当たるから楽しい。
所詮雑魚は雑魚と言うわけだ。
相手をなぶるように楽しんだ後、トドメを刺すべく格闘戦術に切り替える。
ヒヒッ、終わりまるで無防備な敵機をビーム剣が捉えようとした次の瞬間、マスターが消えた。
いや、私の格闘攻撃を読んだかのようにヒラリを剣をかわすとマスターお得意の肉弾攻撃が私のフリームを滅多打ちにする。
あっという間に機体のHPはそこを尽き、爆発。
ヘヘッ、あるあるあー、怖い。
まぐれって怖い今は相手の様子を見るためにあえて撃破されてみたっていうのもあるので、今のはしょうがない。
それに、高だか残機が1減っただけ。
本番はこれからである。
私のフリームはマスターに接近してお得意の中距離を維持。
いい気になってる雑魚助ちゃんに私の本気をみせてやろう。
しかし、次の瞬間えあッマスターのソーメンクロスがフリームを捕らえ、グルグル振り回され、そのまま彼方に飛ばされる。
またもやフリームのHPは尽き、爆発。
残り1機になってしまう。
おいおい、ブッパだろ、今のはよぉ実に嘆かわしい。
、嘆かわしいそんなまぐれで勝って何が楽しいのか。
モニター越しなので相手の顔が見えないのが実に煩わしい。
対戦が終わったらリアルファイトの刑だな。
今度こそ本気を出す。
ぶっちゃけさっきのは練習だったし。
てか実はあんな攻撃見えてたし。
ボーンマスターの反則的な性能を誇る飛び蹴りを喰らい、フリームは爆発。
画面にゲームオーバーの文字が静かにたたずむ。
相手に聞こえるように台を叩く。
こんな馬鹿なことがあってたまるか。
私は最強なんだ。
この間だって、ここで華々しい3連勝を飾ったことだってあるんだぞ。
それをこんなどこの素人かもわからないやつに負けるなんて。
あーあフリームはHP低いんだから攻撃力の高いマスターに負けるのは仕方ないよなー素人であろう相手に聞こえるようにレクチャーしてやる。
あーこれじゃー私もマスターでやるしかないよなーせっかくだから、いい気になってる雑魚雑魚ちゃんにマスターの本当に使い方を教えてやろう。
私は再び百円玉を投入。
見よこれが本当の王者だボーン2分後、私のマスターは宙を舞いながら爆散。
ゲームオーバーの画面を私の網膜に叩きつける。
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいありえないってマジで。
この操作キー壊れてんじゃないのいやだってそれぐらいの理由がないとありえないしだってそうじゃんあんな素人くさい動きで来られたら誰だって混乱するしそれにこのキー壊れてるし絶対なんか、触ってると違和感あるもん微妙な差だけど俺にはわかるもんほら、この辺とか明らかに信号行ってないもん故障してるしこれ俺は別の台に座りなおすと、百円玉を投入。
マスターを選ぶ。
ボーン1分後、俺のマスターは二回転バク宙ひねりをしながら爆発を伴いつつ四散。
ゲームオーバーの文字が静かに浮かぶ俺を怒らせたようだなぁ。
俺は上着を勢いよく剥ぎ取り、手にグローブをはめて超戦闘モードに移行。
知ってるか人間ってやつは格好を変えて気分の置き場を配置転換することによって別人のように豹変することができるんだぜぇつまりこれが正真正銘俺様の本気ってことよぉククク。
もうこうなった俺は誰にも止められねぇ俺自身にもなぁ。
ククク死ぬぜ出ちゃうよ、被害者死んじゃう人出ちゃうよ死んじゃう人出ちゃうよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおボーン10秒後、俺様のマスターは上半身と下半身がちぎれて宙を舞った後、更に四肢が飛び、さながらベイブレードのようにお互いをはじき合いながら、美しい空グラフィックに花火のごとく一輪の爆発を咲かせた。
ふっじゃけんなぁ俺様は対面に座るクソマスターにリアルファイトを申し込むべく謎に包まれたモニターの向こうに躍り出る。
そこにいたのはキャキャキャ、あのおっちゃんよえぇーおいおい見ろよカモがきたぜカモがキャキャキャ学校帰りの小学生のガキ二人組みだった。
おっちゃん、動きが単調すぎるぜー。
攻撃もアマアマだし普通2waiwa.jp回負けた時唐ナ実力差に気付くよなーキャキャキャキャキャキャてかこのおっちゃんよくみたら、昨日、対人戦で相方にやたらと迷惑かけてたやつじゃんよく生きてて恥ずかしくないよなーてかさてかさこんな平日の昼間におっちゃん何してんの見たところ俺らの三倍は生きてるんだから、しっかりしてくれよなーそう、俺様は負けてない。
こんなクソガキちゃんだったから大人らしく手加減してあげただけなのだ。
大人はこういった配慮ができるから大人なのだ。
そして、俺様は大人らしく腰を折った。
すんません、明日から職安いきます終わり。
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