マグマ at 渋谷O-EAST 2015.06.05

June 06 [Sat], 2015, 23:43
本ブログでも何度か言及しているが、マグマは若き日の私の人生、思想、音楽観に最も大きな影響を与えたバンドである。

しかるにその特殊性から言って、来日するなんて夢のまた夢、実現不可能だと思っていた。
1996年夏、フランスのストラスブールにマグマのライブを観に行った時は、トラック運転手のストライキで道路が遮断され機材が届かず、現場の開始時間にキャンセルを知った。
その時はマグマのライブを観ることは生きているうちには叶わないのではないかとさえ思った、

だから、98年の初来日の実現にはこれ以上の奇跡はないと思ったし、初めてライブを観たときはそれはもう感激した。

あれから十数年。

マグマは以降何度か来日。
来日に「奇跡」という枕詞は外れ、日常化した(言い過ぎか?)。
有り難みは少しずつ薄れていった。
私もうち何回かは見送った。

そして今回の来日。6年ぶりだという。
年数だけ見ると久しぶりだ。



正直、前回2009年の来日を見た時、「マグマはもういいかな。。」という印象を持った。
ライブ曲目の中心は当時の新作「Ëmëhntëhtt-Ré」からだったが、正直「暗黒」に寄りすぎだと思った。
バンドの演奏ボルテージは低くないのだが、マグマの中で個人的に好きだった、ジャズやソウル、ファンクに根ざした部分が後退したように思えた。
確かにマグマは暗黒系プログレのオリジネーターだと思うが、ご本家がいつまでの「暗黒」をやららくても良いように思った。フォロワーで似たような音楽をやっるバンドは数あるし、本家マグマでなければできない音楽は他にあるとと思った。

だが、今回は期待値が大きかった。

それは私の大好きなマグマのセカンドアルバムの名曲「Rïah Sahïltaahk」が昨年突如最新欄ナップでセルフカバーされ、ミニ・アルバムとしてリリースされたからだ。



「Rïah Sahïltaahk」が目の前で演奏されるなら、絶対に行かねばならぬ。

発売当日にチケット予約を完了したおかげか、席はそれほど前というわけではないが、ほぼ中央ブロックとなった。

当日必死の思いで仕事を早く切り上げ、大雨の中渋谷O-EASTに駆けつけた。

PAの音質は良好。各楽器はよく分離され歪み無く聞こえる。
マグマの荒々しい音楽から、最初はちょっと物足りなさを感じたが、徐々にヴォルテージが上がっていく。

ライブの一曲目は「Köhntarkösz 」の「MAGMA LIVE」バージョン。
お約束の「ハマタイッ!」の掛け声と共に始まったマグマを代表する名曲は、見せ場となるキメも完璧に再現され、心得た会場の聴衆もタイミングよく反応し盛り上がる。
曲間に男性ヴォーカリストがコバイア名でメンバー紹介していた。

二曲目は新作「Slag Tanz」から。
この曲は暗黒系だが、女性コーラス2人と男性ヴォーカルがマラカスを両手に、ほぼ曲の間中打ち降り続ける様がどこか奇妙に笑えてしまった。

三曲目はマグマの代表曲「Mekanïk Destruktïw Kommandöh」の「Rétrospective Vol. 1 &2」バージョン。
曲後半のアドリブパートはクリスチャン・ヴァンデがドラムセットから立ち上がり、ヴァンデの敬愛するコルトレーンのフレーズも織り込んだスキャットソロだった。

各曲はいずれも40分以上の長尺でライブはあっという間にアンコールへ。

アンコールは「Üdü Ẁüdü」から「Zombies」。
MCで曲目紹介があったものの、アレンジはアルバムバージョンと大きく異なり、メロディーラインが出てくるまでそれと気づかないほどだった。

アンコールは1曲のみ。

19:30に始まったライブは2時間弱、長さ的に幾ばくかの物足りなさを感じながら終わった。
期待していた「Rïah Sahïltaahk」は演奏されなかった。
残念。あまりにも残念。

ということで、ライブ総評。

これまでに見たマグマのライブの中で最も演奏内容が高かった。
バンドは十分に練られ、アンサンブルは完璧に近い。
音質もよく、ヴァンデ以外の若きメンバーのパフォーマンスも素晴らしい。
特にすばらしいかったのはヴィブラフォン奏者。
ただし、時折みせるヴァイオリンの弓をつかったパフォーマンスはあまり聞こえなかったような。。

クリスチャン・ヴァンデのドラミングは相変わらず素晴らしく、ドラマチック。
もう60代も半ばのはず。頭頂部は薄くなったが、年齢を考えれば信じられないバイタリティー。
音楽も含め一種「求道者」のオーラを感じる。
確かに世の音楽の流れを取り入れているばすなのだだが、ひとたび演奏が始まると世間から隔絶されたかのように恍惚の表情で自らの音楽に没入していく。
もともとそうだが、演奏するときの顔の表情が驚くほど豊かで、見ていて飽きない。
もはや「顔芸」の域だ
多分不可能だろうが、一度上原ひろみとの「顔芸対決」共演で見てみたい。

あと心に残ったのがステラ・ヴァンデのヴォーカルのうまさだ。
声量、声域はすばらしく、その声はどこまでに伸び渡る。
正直これまで特別に意識したことはなかったが、あのクリスチャン・ヴァンデととも長らくキャリアを重ねてきただけのことはある。

ライブ終了後は物販ブースへ。
ディスクユニオンの戦略にまんまと乗り、5,000円以上お買い上げのもらえる「浜鯛」手拭い欲しさに写真のように「Üdü Ẁüdü」のリマスター・アナログ盤と新作「「Slag Tanz」をゲット。
残り一枚となっていた「浜鯛」手拭いをめでたくお持ち帰りできたのだった。


思い起こせば「Üdü Ẁüdü」を最初に聴いたのはUS TOMATOレーベルリイシュー盤だった。
その時の印象が「音の悪いレコードだな」ということ。

手拭い欲しさに「何か買わなきゃ」と思う私は、「Üdü Ẁüdü」がリマスターで音が良くなっているかもと期待して買ったのだった。
ジャケットはファーストプレスとセカンドプレスのジャケットがミックスされたようなちょっと微妙なデザイン。

実は「Üdü Ẁüdü」はフランス・オリジナル盤は既に所有していたのだが、この機会に比較試聴してみて、改めて驚いた。

音質的にはフランス・オリジナル盤の圧勝だった。

うーん。。これまで何を聴いてきたのか。。

リマスター盤は分厚い重量盤のつくりで、低域がしっかりしている。音量を上げるとそのメリットが輝いてくる。

だが、フランス・オリジナル盤は倍音、エコー成分含めた情報量が圧倒的に上。
高域もスカッとクリアで、ヴォーカル、各楽器の輪郭がハッキリしている。

とかくB面全部を使った異様な名曲「De Futura」のみに注目が集まりがちで、A面は曲ごとにパーソネル、曲調が変わることから「寄せ集め」的印象があったが、今改めて聴くと良い意味でバリエーションに富んでいる。
私の好きなマグマのジャズ、ソウル、ファンクからの影響を感じさせる部分を、うまくマグマ流にアレンジした好盤だなと再認識した。

それにくらべると「Slag Tanz」CD音質は、録音が最新のはずなのに、ひまひとつの印象。
やはりこれはフォーマットによる差だろうか?

まあ「浜鯛」手拭いももらえたし、「Üdü Ẁüdü」の良さも再認識できたからいいか。。

最後に蛇足だが、「Köhntarkösz 」で冒頭での掛け声「ハマタイッ!」は言うまでもなく「浜鯛」手拭いの元ネタであるわけだが、クリスチャン・ヴァンデは元々フランス人なので、頭の「H」は発音しないのが普通ではないか?
だとすると本当は「アマタイ」なのか?
手拭いは「甘鯛」にすべきなのか?

今から20数年前、パスカル・コムラードとそのマネージャー、ジェラール・グウェンと酒の席で話した時には「タマタイ」と言っていた。

はたして真相は?

いや、彼等は「コバイア星人」なのだから、そんなのは愚問なのだ。
ということでオチをつけておくことにしよう。
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ちんたろさん、お久しぶりです。
とは言っても私がかまけてブログをアップしなかったせいもあるでしょうが(笑)
ヒミコ・パガノッティさんですよね。
マグマの今の編成にはいらっしゃいませんが、活発な活動をされてるのでしょうか?
ヒミコさんというと、いつも反射的に思い出すのがハイジャック事件です。
オウム真理教を語る男がビニール袋片手にハイジャックを図ったわけですが、当時加藤登紀子さんのバックバンドだったベルナール・パガノッティと直子さんも確かその飛行機に乗っていたと記憶しています。
あれからずいぶん経ちました。自分にとっては最近の出来事と思っていても、すでに歴史となっていることが増えてきてしまいました。

by gppamen June 17 [Wed], 2015, 19:15

こんにちは、久方ぶりのコメントです。
マグマは私も昔に行きました。桜井浩子似のヒミコのいた頃です。同じプラネットものでゴングがありましたが、ゴングの陽気さに比べて“暗黒”といった印象を持っていました。ところが…。実際に目にしたマグマは印象と大きく異なり、強烈に生を讃えるかのような力強いコーラスと確信に満ちたリズムセクションが繰り出すエネルギーで、身体全身が感動で打ち震えました。その昔、大勢の僧侶がお経を上げるのを見たことがありましたが、その時受けた衝撃とほぼ同じでした。クリスチャン・ベンダーももっと深刻な顔でドラムを叩いているのかと思いましたが、曲に合わせて表情が変化する様は何か「俺は音楽が好きで仕方ないんや。」と言っているかのようでしたね。アンコールのコルトレーンに捧ぐ曲は魂の曲でした。私はヒミコがお気に入りだったんであの後、編成が変わったのには少々がっかりしました。もう一度ヒミコを見たいなあ〜。

by ちんたろ June 15 [Mon], 2015, 22:48
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40代は第2の思春期なのだそうです。思春期に惹かれたものをもう一度ひっぱりだしてきて後生大事に整理を始める今日この頃。プログレを中心としたアナログレコード集めに人生の貴重な時間を費やすささやかな記録です。
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