映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』感想

February 11 [Fri], 2011, 16:59

監督: 平山秀幸 原作: ドン・ジョーンズ
出演:竹野内豊、ショーン・マッゴーワン、井上真央、山田孝之、中嶋朋子、唐沢寿明


 
 近年じゃ、邦画の戦争モノの英雄譚って滅多にない
(フィクションだろうとそうでなかろうと)。
 大体が悲愴感たっぷりに死んでいく一般兵を描いたものばかり。

 さて、そんななかフォックスと呼ばれた男って何者!?
 と、気になってしまったので、板橋ワーナーにて初日に鑑賞。
 予告編も結構面白そうだったとはいえ、
邦画の戦争映画だから、ダメな事も覚悟の上。

 最強の撃墜王フォックスさんが正々堂々と
アメリカの戦闘機を撃ち落としまくる映画を期待しつつ…。
 

あらすじ:
 1944年、サイパン島を統治していた日本軍だったが、戦況の悪化により、
守備隊の幹部たちは特攻命令を出すだけだして自決。民間人は次々に自決。
 生き残った大場隊(47名?)は孤独な戦いを続けるが、生き残りの民間人達と出会い、
彼らをも守りながら戦う事になる。
 
 他方、アメリカ軍は、絶望的な状況でも投降しない日本軍にいら立ちを覚え、
殲滅を試みるが、大場大尉の巧みな戦略に翻弄されることになる・・・。


満足度:79点


 なんだよ、地上戦かよ!撃墜王の話じゃないじゃん!
 フォックス→スターフォックス→パイロット→撃墜王と、勝手に連想して
勘違いしてただけなんだが。
 しかも、奇跡とか別に起こらないじゃん!
 それは奇跡じゃなくて、実力じゃねーの?
 
 いや、しかしなかなか完成度の高い良質な映画だった。

 冒頭で、 『太平洋の奇跡』
 っていうタイトルが、ヘッポコCGで書かれたようなださーい出方だったので
心配したが、その心配は杞憂に終わった。

 戦闘シーンもかなり力が入っているようで、邦画特有のしょぼさは全く感じられなかったし、
泣かせのシーンが必要以上に入ってたりしないので、とても好感が持てた。

 しかし、なんで竹野内豊主演なのかなー。
 滑舌悪すぎ! 日本語がヘタな人みたい。
 主役であり、優秀な軍人であるっていうオーラが全然ない。
 なんかなよっちいなー、と思った。
 唐沢寿明は、新境地?と思えるような豪胆なイレズミ関西弁軍人で
存在感グイグイ出してた。井上真央、阿部サダヲ、山田孝之あたりもきっちり
仕事していたと思う。
 それだけに竹之内豊かが不満。
 この間観た、ザ・タウンのベン・アフレックに感じた印象に近い。が、もっとダメ。

 全体的に丁寧な作りではある。泣かせに走らなかったのも偉い。
 しかし、戦争アクション映画と言うほど、アクションは重視されていないし、
反戦モノと言うほど、悲惨さを強調したり、戦争批判の表現があるわけではない。
 表現がサラっとしすぎていて、この映画のポイントがどこなのかがちょっと掴めない。
 こんな人がいましたよー、っていう紹介に終わっちゃっているような。

 もちろん、死者はいっぱい出るんだが、登場人物は日本人もアメリカ人も
比較的善良というか、筋が通っている人ばかり。
 戦争における騎士道(武士道)を描いたものとして、
「大いなる幻影」を思い出したりしたが、そちらはホントに
名作なので並べたら怒られそうだ。

 でも、実はこういう切り口の戦争映画は好きだ。
 日本軍が鬼畜すぎたり、特攻の悲劇を煽りまくって泣かせようとしたりする映画はうんざり。

 戦争とはいっても、人間同士が戦っていたわけなんだから、正々堂々と
戦っている局面だってあったはずなんだし、そういう事だって描かれる価値はあるはずなんだ。
 もちろん、戦争を美化するとかそういう意味ではナシに。

 邦画でも娯楽戦争映画がもっと撮られてもいいと思う。
 娯楽にしたからって、戦争賛美だという短絡的考えはやめましょう。

 そういう人は、岡本喜八監督の映画をまず観てほしい。
 例えば「血と砂」は戦争映娯楽画の奇跡的傑作。凄いんだから!
 あとは戦争活劇の「独立愚連隊」はひたすら面白し、
戦争への失望をユーモアを交えてじっとり描いた「肉弾」なんかも切り口が鋭い。

 というわけで本作は娯楽性をもった、戦争におけるブシドーの話という事にしてしまおう。
 なんか、こう結論付けると名作を観たような気になってきた。

 原作者が実際に敵兵として、彼らの姿を観ていた元米兵だったりするのもポイント。
 
 良かったと思います!

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December 11 [Wed], 2013, 14:29



 すごく久しぶりに有楽町スバル座に行きました。多分、小学生の頃に親に連れて行かれて依頼だと思います。小さくて汚いイメージだったんですが、だいぶ改装されたんですね。と言うわけで、今さらながら太平洋の奇跡 −フォックスと呼ばれた男を観てきました。
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 またまた遅ればせながら、『太平洋の奇跡?フォックスと呼ばれた男?』を新宿ピカデリーで見てきました。

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映画的・絵画的・音楽的  March 19 [Sat], 2011, 22:21
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WEBLOG:e97h0017  March 02 [Wed], 2011, 10:12

 
□作品オフィシャルサイト 「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」 □監督 平山秀幸、チェリン・グラック□脚本 西岡琢也□原作 ドン・ジョーンズ□キャスト 竹野内 豊、唐沢寿明、ショーン・マッゴーワン、井上真央、山田孝之、岡田義徳、ベンガル、中嶋...
京の昼寝?♪  February 23 [Wed], 2011, 12:10
歴史に埋もれた、真実の物語。
アメリカから賞賛された日本人兵士・大場栄大尉。
これは絶望的な状況の中、
最後まで諦めずに生きぬいた大場栄大尉と、
その仲間達の実話に基づく真実の物語である。
「生きて、日本に帰ろう―。」
 
<太平洋の奇跡?フォ...
美味?BIMI?  February 20 [Sun], 2011, 18:41
 『椰子の実』の歌を聴きながら、私は涙した。
 この歌を作詞した島崎藤村は、忌み嫌われる戦陣訓の作成にも参画した人物である。にもかかわらず、日本の戦争映画では、しばしば平和を希求する曲として歌わ...
映画のブログ  February 17 [Thu], 2011, 23:10
「太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−」★★★☆
竹野内豊、ショーン・マクゴーウァン、井上真央、
山田孝之、中嶋朋子、岡田義徳出演
平山秀幸監督、128分、2011年2月11日公開
日本,東宝
(原作:原題:太平洋の奇跡)





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「太平洋戦争時のサイパン島で、
わずかな兵力で米軍に抵抗を続けた
大場栄大尉率いる日本人将校たち。
決して自ら降伏はしないと
500日余りを民間人を守りつつ
孤高な戦いを続けた真実の記録」


普段はあまり戦争について考えることは無い、
暑い8月に思いだすが、
開戦の12月に思うことも少ない。

かつて日本中が戦争の真っただ中にあり、
全ての国民がこれを「正義」と
考えていた頃を思うと、
今の自分なら自分の考えで行動したと思いたいが、
当時だったら
皆と同じ方向をまっしぐらに
突き進んでいたに違いない。

その危うさを思う。


この映画は戦争をことさら美化したり
正統性を訴えるものではない。

その当時、死ぬことを潔しとせず、
勝つために生き残ることを選択した
...
soramove  February 16 [Wed], 2011, 7:45
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翡翠
私もこの映画には好感が持てました。
当時は、投降したら殺される、という認識があったゆえに、最後まで戦い抜くという選択をしたのだ
と思います。今のマスコミが言うように「サッサと捕虜になれば命だけは助かったのに」というのは
全く間違いで、やはり民間人であろうと随分、残酷なことをされたようです。
(ブログねずきちのひとりごとに詳しく書かれています。)
最後、歩兵の本領(だったかな)を歌いながら山を降りてくるところはいいシーンだと
思いました。
最後まで「日本兵」の誇りを失わなかったところは感動的でした。
今の日本人は当時の人が持っていた誇りを少し失っているように感じます。
昔の人に学ぶ点は多いと思います。
August 03 [Fri], 2012, 22:31
しょぼくれ管理人
>ひなたぼっこさん

 ブログ拝見いたしました。
 自分は、映画は「映画単体」で面白く(興味深く)できていれば
基本的にOKだと思っていますが、史実を知っている方からすると、
掘り下げが甘く見えてしまうんですね。

 ただ、「捕虜になると殺される」という思いがあるという
描写は薄かったけれど、あったと思います。
 大場大尉だけは、そう思っていないようでしたが。

 そこらへんは確かにもう少し突っ込んで描いてほしい所でしたね。

 描きたい点が不明な部分もありましたが、悲惨さを必要以上に
強調しないことで誰にでも見やすい映画にはなっているかな、と思いました。

February 26 [Sat], 2011, 21:27
この映画は、エンターテイメントとしてはいいが、サイパン戦ー戦争をテーマにしたものとしては成功していないと思いました。辛口の批評をブログに書きました。
February 26 [Sat], 2011, 9:46
しょぼくれ管理人
>SONIC5228さん

 竹野内は思った以上に昔と変わらず、滑舌悪すぎ、表情なさすぎで、
この映画の中で唯一の大きな不満点となってしまいましたw
 『THE PACIFIC』、スピルバーグ絡みのやつですよね、観てみたいです。
 ドラマには疎くって、『バンド・オブ・ブラザーズ』も観なきゃとは思っているんですが、
未だに観ていないっていう…。


>RTYさん

 これだけサラっとした戦争映画って、邦画じゃ珍しいですよね。
 原作者が元米兵っていうのも大きなポイントですよね。
 (そこに触れてなかったので、こっそり加筆しちゃいましたw)

February 11 [Fri], 2011, 19:00
RTY
私も観に行きました
泣かせようとドラマティックなセリフを埋め込まれたら
逆にひいちゃう、ひねくれた私が
少し感動して帰ってきましたよ
たぶん、アメリカ兵が名もなき兵士を日本人の私達に知らせてくれた映画だったから
知るためにも観てよかった映画でした
迫力あったから、劇場で観たほうがいいかも
DVDは、暗くて借りる気にはなれないなー自分は(^^ゞ
February 11 [Fri], 2011, 18:29
SONIC5228
いつも楽しみに拝見させて頂いています。
僕もフォックスは気になってて、近々見に行く予定。
確かに、竹之内豊が主演ってのには良いイメージがないし、最近フォックス関連のテレビ番組が多いですが、なんか胡散臭いことばっかり言ってたんですよね。
でもまぁ あまりそんなことは考えずに楽しもうと思ってます。
ちなみに海外ドラマの『THE PACIFIC』は最高に見応えのある戦争ドラマでした。
February 11 [Fri], 2011, 18:07
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