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「株価が上がれど証券マンの暮らし楽にならず」のワケ / 2010年04月04日(日)
■日本株市場は寝ている間に育つもの

 強い動きが続く日本株市場。日経平均は、1月15日に付けた高値10982円を一気に更新し、2008年10月以来となる11000円台に乗せた。昨年の安値(7021円)からは4000円以上の上昇ということで、この上げ幅だけ見ると、乗り遅れた投資家は「安値で仕込んだ人はさぞかしウハウハなんだろうな」と妬ましい気持ちになっていることだろう。

 しかし、現実はそれほど甘くはない。ここに面白いデータがある。日経平均の推移を、指数として売買できる「日経225先物」で検証してみた。期間は昨年の底を打った3月10日の終値6980円から、今年の3月末までである。

 この間、日経225先物は実に4140円もの大幅な上昇を果たしている。1年ちょっとで59%も指数は上昇している計算となり、まさに「復活相場」と呼ぶにふさわしい上げっぷりだ。しかし、この上昇を分析してみると、上がったのは「夜の頑張り」によるものだったことが分かる。

 以下は、この期間中(2009年3月10日〜2010年3月31日)の日経225先物の「海外要因での上昇幅(当日始値―前日終値)」と「ザラ場の上昇幅(当日終値−当日始値)」をそれぞれ合算したものである。この「当日始値−前日終値」というのは、日本の市場が引けてから、翌日の市場が開くまでの上昇幅で、ローソク足でいえば寄り付きに空ける「窓」に相当する部分だ。

 この海外要因、時間帯でいえば「夜間」の上昇幅を合算すると、「+4330円」だった。それに対して、日本の国内要因、時間帯でいえば「昼間」の上昇幅を合算すると「▲190円」。

 これらのトータルで結果的に4140円上昇したという話なのである。つまり、海外要因(ニューヨーク市場や欧州株式市場の動向、為替推移など)を原動力に上がった上昇相場だったわけで、日本株の取引されている9時〜15時10分(大証の場合)でこの上昇相場を見れば「単なる下げ相場」だったともいえるのだ。簡単にまとめるなら、「夜上がって昼下がった」「日本人が寝ている間に上がって、日本人が起きてから下がった」といったところである。

 これが意味するところは、これだけ上昇した1年間において、株の売買で儲けたと考えられるのは(買いで入ったと想定した場合)、株を買って持ったまま次の日を迎えた投資家ばかりだったことがわかる。

 世にいうところの「短期売買」を主流にしている投資家は、1年間株の売買を何度繰り返したとしても、指数の値動き上は儲からなかったといっても過言ではない(繰り返しになるが、4000円以上も日経平均が上昇した1年間におけるザラ場での上昇幅は▲190円なのだ)。

■株価が上がろうが兜町に活気なし!? 

 短期売買で儲からない相場となると、出来高、売買代金が低下していく。ザラ場で儲からないから、相場の方向性を予想してポジションを持つという行動に変化していくためだ。

 実際、東証1部の売買代金は、一昨年の11月をピーク(当時は連日2兆円以上の出来高をマーク)として、「月に1度2兆円になればいい」程度まで落ち込んでいる。

 こうなってくるとダメージを食らうのは、短期投資家の他にもいる。それが証券会社のリテール部門やディーラーだ。

 ある中堅証券の管理職によれば、「株価は上がっているのに、今年に入って営業店ベースの採算が初めて赤字になった」と嘆く。もちろん、ネット専業の証券会社の経営事情も同様である。今の相場においては、「株価上昇証券会社が潤う」の構図は崩壊してしまっているのだ。

 被害を被っているのは営業店だけではない。短期売買といえば、ディーラー(国内系で中堅以下の証券会社の自己売買担当者をこう呼ぶ)。兜町には、聞きなじみのない証券会社の看板が多いが、こういった証券会社は営業力が弱いため、収益のほとんどをディーリングで稼いでいるところが多い。簡単にいえば、株の短期売買を社員にさせて、その収益で経営を成り立たせているということだ。

 こういった地場の証券会社では、給与体系を成功報酬化し、契約社員ばかりで部署を構成。最初は300万円といった小さいポジションからスタートさせ、パフォーマンスが良ければ枠を拡大していく。そして、利益の3割といった成功報酬を支払い、能力の高いディーラーだけを残していくというやり方だ。かつてはこれが奏功し、資本金10億円程度の小さい証券会社が、ディーリングの収益で月20億円稼いだなんて伝説も残っている(当然、そのディーリング部のディーラーは、月収で数千万稼いだことになる)。

■「日計り売買限定」だから株高でも儲からない

 資本金が小さい証券会社にとっては、オーバーナイトのリスクは避けたいため、これらディーラーに原則オーバーナイト禁止(日計り売買限定)としているところもある。こういったディーラーにとっては、ザラ場の値動きが大きい(ボラティリティが高い)ことこそ飯の種。今のような相場になると、指数は上昇しているのに儲からないのは仕方ないところだ。

 ディーラー業界は、日経平均が年初来高値を更新しているのにも関わらず「雇用の冬の時代」に突入している。今年3月末でディーリング部の人数を半分削減といった具合に、強烈なリストラを行っているからだ。通常、ディーラーは解雇された場合、他の地場証券のディーラーとして転々としていくパターンが多い。しかし、今はどこも台所事情が苦しいため、解雇されたディーラーの受け皿もなくなっているのである。

 このように、「日経平均が年初来高値を更新」なんて見出しが経済紙を飾ったとしても、兜町はまったく元気がないのだ。実際、知り合いの証券マン連中を見ても、実に質素な生活をしている。昼も元気がなければ、夜も元気がない。そんな夜に、欧米の株式市場が上昇し、夜中に取引できるCMEの日経225先物だけが上がっていく・・・。

 今は株価が上がっているから証券マンの羽振りが良くなる時期ではなく、「株なんて放置していて売るのを忘れてた」なんて呑気な投資家が儲かる、一部の投資家からすればイヤな感じの相場なのだ。

 このことを明日以降の教訓にするなら、「触らぬ株に祟りなし」といったところだろうか。

【4月3日16時40分配信 MONEYzine
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100403-00000002-sh_mon-bus_all

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