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GeForce GTX 480で時代が変わるか! / 2010年03月29日(月)
 新世代アーキテクチャ“Fermi”を採用したGeForceが登場。ベールに隠されてきた“GF100”の実力をDirectX 11対応ゲームベンチマークテストで明らかにする。

【拡大画像やベンチマークテストの結果を含む記事】

 NVIDIAの最新GPU「GeForce GTX 400」シリーズは、DirectX 11に対応するとともに、従来のGeForce GTX 200シリーズから構成を一新した“Fermi”アーキテクチャを採用したことが注目されている。Fermiに関してはPC USERで何度か紹介しているように、従来までの“シェーダーパフォーマンスを重視したGPU”に対して、“ジオメトリ演算性能を強化した”のがFermiの特徴といえる。

 なぜジオメトリを重視するのかという理由は、GPUコンピューティングにおけるパフォーマンス向上はもちろん、DirectX 11で導入されたテッセレーションでもジオメトリ性能が求められるためだ。また、PhysXパフォーマンスもGeForce GTX 200シリーズと比べて最大2.5倍と強化されている。

 機能面の強化では、CSAA(Coverage Sasmpling Anti-Aliasing)に32サンプリングモード(従来は16サンプリングまでのサポート)が追加されたことが挙げられる。32xCSAAでは、8ポイントのカラーサンプルに24ポイントのCoverage Sasmpleを加えることで32サンプルによるアンチエイリアス処理を行うことが可能となり、よりなめらかな階調表現が実現する。

 Fermiアーキテクチャについてより理解を深めたいときは「“Fermi”を採用したGF100の機能をデモ画面でチェックする」、および、「次世代GPUアーキテクチャ「Fermi」の内部構造に迫る」、そして、「これは壮大なコンピューティング革命の始まりに過ぎない」などを参考にしていただきたい。

●CUDAコアは480基。GDDR5メモリの採用で転送速度は177Gバイト/秒へ

 今回登場したGeForce GTX 400シリーズには、上位モデルのGeForce GTX 480、下位モデルのGeForce GTX 470という2製品がラインアップされている。それぞれのCUDAコアは480基と448基で、1月にNVIDIAが行ったプレビューで紹介された512基から削減された仕様になっている。NVIDIAの説明では「Fermiアーキテクチャのキャパシティは512基だが、現時点でユーザーに提供できるGeForce GTX 480で搭載できるのは480基」としている。 

 テクスチャユニットとROPユニットの数は、GeForce GTX 480がそれぞれ60基と40基、GeForce GTX 470が56基と40基となっている。内部アーキテクチャが変更されたことに伴い、このあたりの数もGeForce GTX 285と比べ変化している。

 トランジスタ数は30億で、これはGeForce GTX 280と比べて2倍強、Radeon HD 5800と比べても1.5倍に相当する。NVIDIAのハイエンドGPUとしてようやく40ナノメートルプロセスルールを採用した。ただ、Radeon HD 5800シリーズと同じプロセスルールでトランジスタ数が1.5倍となれば当然ダイは大きくなる。一般的に大きなダイは小さなダイよりも歩留まりが高くない。CUDAコアが削られた間接的な原因の1つにこのダイサイズも関係するのではないだろうか。

 グラフィックスメモリでは、最新のGDDR5メモリを採用する。GeForce GTX 480はGDDR5を384ビット幅のメモリバスに接続し、924MHzで駆動する。その帯域は177.4Gバイト/秒に達する。GDDR5メモリはGDDR3メモリと比べて同一クロックでも転送速度は2倍になるが、GeForce GTX 285の159Gバイト/秒と比べてあまり増加していないのは、GeForce GTX 285が512ビットでメモリバスに接続しているためだ。バス幅の削減とメモリクロックが低い分だけ、GDDR5の利点をいくぶん相殺したことになっている。グラフィックスメモリ容量は1.5Gバイトまでと、従来より大容量になったが、これにも384ビットというメモリバス幅とグラフィックスメモリとして使われているチップ自体の容量増が関係している。

 NVIDIAの資料によると、GeForce GTX 480を搭載しグラフィックスカード全体の最大消費電力は250ワット、GeForce GTX 470は215ワットとされている。補助電源コネクタ構成は、GeForce GTX 480で8+6ピン、GeForce GTX 470で6+6ピンとなる。すでに存在するGPUで8+6ピン構成だったGeForce GTX 280が236ワットだったことからすれば大きな値ではないように見えるが、Radeon HD 5870の188ワットと比べると、やはり「モンスター級」といえる。

 今回評価で試用したGeForce GTX 480搭載のリファレンスカードは、後部にファンを配置した外部排気方式こそGeForce GTX 285と同様だが、クーラーユニットにヒートパイプを組み込むなど、冷却性能を大幅に強化している。GPUで発生した熱をヒートパイプを使ってヒートシンクに伝え、ファンから取り込んだ外気によって冷却する。シロッコファンの風量を最大化するためか、基板にも給気口を開けている。なお、基板裏面はヒートシンクや放熱用の金属パネルなどは取り付けていない。そのほか、カード上部にはSLI用の端子が2基、ディスプレイ出力はDVI-I(DL対応)×2、およびMini HDMIを搭載する。

●Fermiの実力をDirectX 11対応ゲームで試す

 今回の性能評価では、GeForce GTX 480を使って単体構成と2枚構成によるSLI環境でベンチマークテストを実行した。比較対象として用意したのは、Radeon HD 5870を2枚、GeForce GTX 285を2枚、そしてRadeon HD 5970だ。

 検証に用いたシステムは、CPUにCore i7-980X(3.33GHz/6コア12スレッド)、マザーボードにIntel DX58SO(Intel X58 Express)、そして、2Gバイト×3枚のDDR3-1066メモリ、64ビット版Windows 7 Ultimateで構成する。なお、エンスージアスト向けのGPUということもあり、デルの30インチディスプレイ「3008WFP」で、1280×1024ドット、1600×1200ドット、1920×1200ドット、2560×1600ドット(一部2048×1536ドット)の解像度条件で測定した。

 DirectX 11対応GPUがRadeonとGeForceから出そろったので、ベンチマークテストも見直した。「3DMark06」、および「3DMark Vantage」(ただし、GeForce系GPUはPhysXオフで計測)は引き続き使うが、ゲームタイトルを使ったベンチマークテストでは、DirectX 11対応の「Unigine Heven Benchmark 1.0」「Unigine Heven Benchmark 2.0」、「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat Benchmark」を利用し、DirectX 10対応のタイトルとして「The Last Remnant Benchmark」、「World in Conflict」、「Tom Clancy's H.A.W.X.」、「Far Cry 2」を用いている。また、PhysXの性能をテストするために「DarkVoid PhysX Benchmark」を加えた。

 まず単体構成における比較から確認していこう。全般的な結果を先にまとめると、ほとんどの項目でGeForce GTX 480はRadeon HD 5870に対しリードしている。例外はS.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat Benchmarkの1280×1024ドット、および1600×1200ドット条件だ。ただ、これ以上の解像度では再びリードしている。

 また、Unigine Heven Benchmark 2.0、およびFar Cry 2では最小FPSも計測してみたが、Heven BenchmarkにおけるGeForce GTX 480の最小FPSがRadeon HD 5870の2倍近いことにも注目したい。最小FPSが高いということはもちろん性能面でいいことであるが、平均FPSとミニマムFPSとの差が比較的小さく、安定したフレームレートが得られていることも示している。

 続いて、SLI構成の性能を見ていこう。一部のテスト結果でマルチGPUに起因するクセが見られるものの、基本的にこちらも良好なスコアを示している。3DMark06も3DMark Vantageも、Radeon HD 5970はもちろん、Radeon HD 5870のCrossFireX構成に対してもリードしている。特に3DMark Vantageにおける測定結果におけるリードは大きい。

 DirectX 11に対応したゲームタイトルで行ったベンチマークテストの結果では、まずS.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat Benchmarkにおいて、GeForce GTX 480はトップスコアを出している。ただ、Unigine Heven Benchmarkでは、ややおかしな挙動が確認された。ver.1.0では1920×1200ドット、および2048×1536ドットでガクッとスコアが落ち、ver.2.0では逆に低解像度条件で測定したスコアが高解像度条件より低い。とはいえ、ほかの条件では、ほかのGPUを大きくリードしている。

 DirectX 10に対応したゲームタイトルでは、どれも一定のところで頭を抑えられているかのようなスコアだ。The Last Remnant BenchmarkとTom Clancy's H.A.W.X.はほかのGPUより高いフレームレートを出しているが、Far Cry 2、World in Conflictに関してはRadeon陣を下回っている。とはいえ、2560×1600ドットではトップスコアであり、負荷が重い状況でも高いパフォーマンスを維持できることが確認できる。また、GeForce GTX 285比では、2倍とはいわないまでも大幅に差をつけている。

 PhysXの性能を比較するDarkVoidでは、新旧GeForceで比較しているが、単体構成でGeForce GTX 480のスコアはGeForce GTX 285の2倍に達した。SLI構成時も2倍とまではいかないものの、やはり大差が付いている。このテストだけで、PhysXパフォーマンスが明らかに向上と決めつけられないが、NVIDIAが主張する「GeForce GTX 200比最大2.5倍」というPhysXパフォーマンス近いデータが確認できたといえるだろう。

 Watt's up Proを使った消費電力の測定結果では、GeForce GTX 480が単体構成、2枚構成それぞれのアイドル時とピーク時でも、ほかのGPUと比べて突出した消費電力であった。シングルGPU構成でCrossFireX構成のRadeon HD 5870に近い。SLI構成のピーク時では677ワットを記録している。システム全体としてもCore i7-980Xを用いているので消費電力が高い傾向にあるが、SLI構成を検討しているユーザーは電源容量に注意が必要だ。少なくとも1000ワット超級の電源ユニットが望ましいだろう。

 実際、発熱量もすごかった。多くのエンスージアスト向けハイエンドGPUは、ベンチマークテスト実行後はしばらく放置しないとやけどをするくらい熱いが、GeForce GTX 480はこれまでのGPUにはないほどの熱だった。シングル構成時、Unigine Heven Benchmark実行直後の温度をGPU-Zで確認してみるとGPUが80度超、PCBが70度超という結果だ。これまで以上にPCケース内部のエアフローに注意する必要があるだろう。

●課題は多いがパフォーマンスは「新世代」

 GeForce GTX 480の計測を終え、パフォーマンスに関しては現状のシングルGPUでトップとなるだろうことが確認できた。とはいえ、いくつか課題がある。まずは登場したタイミングだ。Radeon HD 5000シリーズに約半年の先行を与えたため、エンスージアストユーザーの相当数がRadeonに流れてしまった可能性がある。NVIDIAとしては無視できない機会損失といえる。次は流通量だ。Radeon HD 5800シリーズが登場当初、極端な品薄であったのと同様に、GeForce GTX 400シリーズも同じTSMCの40ナノメートルプロセスルールを採用したためか、同じ可能性があると予測されている。そして価格だ。GeForce GTX 480の店頭予想価格は6万円前後といわれている。その一方で、2009年に登場したRadeon HD 5870は最も安い製品で4万円程度にまで下がっている。

 消費電力も問題だ。パフォーマンスでトップに立ったとはいえ、ワットあたりのパフォーマンスは微妙だ。消費電力を気にするユーザーからすれば、ヘアドライヤーと呼ばれたGeForce FX5800シリーズを思い出さずにはいられない。

 このような懸案もあるものの、GeForce GTX 480のパフォーマンスは、予算と大容量電源ユニットを準備し待ちかねていたユーザーにとって、至高のフレームレートが得られるGPUであることは、まず間違いないだろう。【石川ひさよし】

【3月28日16時9分配信 +D PC USER
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100328-00000015-zdn_pc-sci

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