「自分だまし」の技術

2010年12月16日(木) 16時43分
子どもの中学の国語の先生が生徒に紹介した、2010年12月2日朝日新聞夕刊に載った記事が、心の健康に『なるほど』と思えるものだったので、読んだ方もいらっしゃると思いますがご紹介します。

『心の危機を乗り越える「自分だまし」の技術を』信州大学准教授 菊池聡氏

 一般に、うつ傾向を持つ人は物事をネガティブにゆがめて解釈する、とされています。なんでも悪い方に考え、無力感に襲われ、ときには破壊的なほうへと進んでいく。たしかに、うつにはそうした傾向が強く見られます。
 
 しかし最近、専門家の間で「うつの人は物事を誤って解釈しているのではなく、むしろ誰よりも正しく認識しているしているのではないか?」という議論が出てきました。そして「精神的に健康とされる人こそ、実は物事を無意識のうちにゆがめて解釈しているのだ」と。この認識のゆがみのことを、心理学では「ポジティブ・イリュージョン」と呼びます。

 例えば人は、自分のことを平均以上の人間だと考える傾向があります。「あなたの優しさは平均より上ですか?下ですか?」と聞くと、7割以上の人が平均以上だと答える。現実的にはありえない数字ですが、みんな自分を平均以上だと思っているのです。
 あるいはサッカーの試合後、選手たちに「今日の勝利に、あなたは何%くらい貢献したと思いますか?」と聞く。本来なら、選手全員の合計か100%になるべき質問ですね。
 ところが、全員の答えを合計すると、簡単に200%くらいになってしまいます。みんなそれだけ自分の貢献度を多めに見積もっているのです。
 よくいえば前向きで、悪く言うならうぬぼれ屋。なんでも都合のいいように解釈し、現実をポジティブな方向にゆがめて認識する。それがポジティブ・イリュージョンという心の働きなのです。

現実がつらいからこそ前向きにゆがめて認識する

 では、人はなぜポジティブ・イリュージョンを使うのでしょうか。これは、「心の免疫システム」という言葉で説明可能です。

 我々の生きる現実世界は、あまりにもストレスが多く、そのまま受けとめるのはきつすぎる。そこで、ポジティブ・イリュージョンというフィルターをかけることによって、嫌なノイズをふるい落とし、つらい現実をうけとめやすいものに再構築する。自分は悪くない、たまたま失敗しただけだと、ポジティブな「自分だまし」をくり返しながら生きている。

 そして、この「自分だまし」ができなくなった究極な姿が、うつなのかもしれません。

 特に、人は40歳くらいになると、ポジティブ・イリュージョンの力が弱まってしまうようです。必要以上に現実的になり、「自分だまし」ができなくなる。

 このとき大切なのは「ハートは熱く、頭は冷静に」という原則です。手品などは好例でしょう。
 ハートが熱いだけの人は、手品を見て「超能力だ!」と勘違いしてしまいます。一方、冷静な頭しかなければ「あんなものインチキだ」で終わり、エンターテイメントを楽しめません。
 つまり、手品を楽しむ我々は、冷静な頭を持ちつつ、熱いハートで「自分だまし」を行うという、かなり高度な芸当をこなしているのです。だったら、たとえば「占いに科学的根拠はない」とわかった上で、つらい時には占いで気分を高める、という選択肢もありますよね。こうやって、日常に上手な「自分だまし」を取り入れていくことが大切なのだと思います。

我が家の長女は、本人も自覚していますが、高校生になってからネガティブに考える傾向がとても強くなりました。今、大学受験に向けて頑張っています。しかし、プリンを食べる時間も惜しんで勉強しているのに、勉強しろと言わないことで私を責めるので、「勉強しすぎるとうつになるし(何かの本に、頭を良くするためには勉強をすることだが、やりすぎるとうつになると書いてありました…)、心が病気になったら大学に入る意味ないし、社会にでたら人間関係でもっと辛いことが増えるので、心が病気になるような大学受験なら止めて就職した方が人生のためには良い」と、言い返します。

そして今日は、上記の記事を読ませ、「自分を客観的に見すぎて評価しすぎると、精神的に辛くなる。心が強いと言われる人たちはフィルターを何枚もかけて自分を良い方に評価しているそうだ。10枚くらいフィルターかけも良いと思う」と。

真面目で頑張る子どもには、心の病気にならないような注意が必要かもしれません。

それから、アラフォー以上の年齢の方々も、現実的な考え方が強くなるそうなので、自分の理想や目標に満たないと、自分や周りの人を責めたりする可能性が高くなりそうです。

この周辺の年齢で妊娠出産される方、マタニティーブルーや産後うつにお気をつけ下さいね。
私もですが、お子さんがいらっしゃる方は、ご自分やお子さんやご主人を責めすぎないように、また、更年期障害の症状が出てきたらうつを伴わないような精神状態でいられるような考え方や気分転換が必要ですね。

私は、物事を正確にとらえ判断することを教育されてきましたが、自分や他人の評価はある程度いいかげんの方が世の中平和であるということですね。

私の心に残ったドラマ『Q10(キュート』の最終回で、平太が父親に尋ねるシーンです。

「母ちゃんを愛するように世界を愛する?」
「それ、もうしてるかも。
母ちゃんを愛するがごとく世界をあいしちゃってるんだよ、オレ的には。
つまり、母ちゃんを愛するってことは、母ちゃんが産んだお前たちを愛するってこと。
ということは、母ちゃんを産んだ父ちゃんと母ちゃんも愛するんだよ、オレは。
母ちゃんに親切にしてくれた人も愛するし、その親切な人に親切をしてくれる人も愛する。
母ちゃんにいじわるだった上司も、まわりまわって今の母ちゃんの人格をつくっていると思えば、
それもまた愛するべきなんだよ。
母ちゃんを成り立たしているもの全てを愛する。そういうことよ。」
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