W杯サッカー今夜開幕 ひしめく貧困「これが現実」(産経新聞)

June 12 [Sat], 2010, 1:30
 ■南ア最大の旧黒人居住区

 4年に1度の世界的祭典、サッカー・ワールドカップ(W杯)の南アフリカ大会が、いよいよ11日夜(日本時間)に開幕する。同国でアパルトヘイト(人種隔離)が撤廃されてから16年。人種間の対立が今も絶えない「虹の国」で、W杯は、黒人社会の夢である「真の人種融和」へ進むきっかけとなるのか−。反アパルトヘイトを象徴する南ア最大の旧黒人居住区「ソウェト」の街を歩いた。(白岩賢太)

 ヨハネスブルク近郊にあるW杯主会場、サッカーシティーから、かつて金鉱山採掘の際に出た土で造られたという小高い山が見える。この山を挟んで裏側に、近代的な会場とは対照的な光景が広がる。

 コンクリートの壁でできた平屋建ての家が密集するソウェト地区。アパルトヘイトの悲惨な実態を世界中に知らしめた1976年の黒人蜂起の発端になった場所でもある。

 入り口への道は舗装され、近くに公園もあり、街並みは想像以上に整っている。「W杯前に政府が大金を投じて整備したんだ」。ソウェト出身の道案内役、ブシー・チャレスさん(40)が教えてくれた。

 まず案内されたのは、英雄、ネルソン・マンデラ氏が一時暮らしていたという「マンデラハウス」。ソウェトの誇りなのだろうか、彼はこの地を訪れた人を必ず最初に案内するそうだ。

 黒人蜂起の舞台となった場所は記念碑が建てられ、道端では少女が踊りを披露し、土産物を売る人たちが気さくに話しかけてくる。住人の大半は今でも貧困層という現実を感じさせない陽気さが彼らにはある。

 ソウェトの中心部に向かう道路は未舗装で狭く、バラックが立ち並ぶ。ブシーさんによると、約30平方メートルの広さに1家族8人程度が暮らしているという。

 奥へ進むと、丘の上にある廃校のグラウンドで、子供たちがサッカーに興じていた。南アでサッカーは黒人のスポーツとみなされている。ボール一つあれば、みんなが楽しめるからだ。

 ソウェトを一望できる場所で、子供たちがボールを追いかけ回している。よく見ると、ボールは空気が抜け、表面はボロボロ。そんなことはお構いなしとばかりに、夢中で駆け回る。

 自分もほんの少し加わった。彼らは小さな体を器用に動かし、足に吸い付くようにボールをさばく。技術の高さには目を見張る。最年少というサムケロ・モロタニー君(8)は「バファナ・バファナ(サッカー南アフリカ代表の愛称)に入って、お金持ちになることさ」と夢を語った。

 市街地へ戻る途中、雑草が生い茂る湿地帯にトタン板でできた「シャック」と呼ばれる小屋の集落があった。不法居住者が集まるクリップタウン。ソウェトの外れにあり、ここで暮らす約8万人ともいわれる黒人は最貧困層にあたる。

 集落に電気はなく、水は共同の井戸を使う。「窓がないから昼間でも家の中は暗い。冬は寒さをしのぐためすき間に紙を詰めるんだ」と住人のマワーソ・ムカナージさん(29)。「アパルトヘイトがなくなっても何も変わらない。これが南アの現実ということを伝えてほしい」。言葉が胸に刺さった。

                   ◇

【用語解説】ソウェト

 英国統治の市当局が20世紀初頭、鉱山開発の黒人労働者を強制移動させたのが始まりとされる。1948年のアパルトヘイト法制化後に人口が急増した。現在は約150平方キロメートルに約130万人が暮らす。地名は英語表記の「南西居住区」の短縮形。

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