小説版・和風!オズの魔法使い(9)

2008年10月26日(日) 23時11分
『和風!オズの魔法使い』


1・8「都へ」


「は〜あ、なんでこんなことに…」

ため息が一つ。
落としたのはなよ竹だ。

「わん」

鳴き声が一つ。
鳴いたのはトト。

「ぶっ」
おならが…

「くらあああああああああああああ!!」
絶叫が一つ。
殴り飛ばしたのはなよ竹。
殴り飛ばされたのはおなら男…もとい、米作だ。

米作は、空のかなたまで…はとばされはしなかったが、小柄な体格となよ竹の馬鹿力により…

「誰が馬鹿力よ!」

…あのう。

「何よ!?」

ナレーションに突っ込むのやめてもらえません?

「あんたがちゃんとしたら、気をつけるわよ…!」

…気をつけます。

…小柄な体格なため、なよ竹さんのかよわい力でも吹き飛んだ。

「ぶっへえええええ!…あ〜、びっくりした。」
が、何事もなかったかのように戻ってくる。
そして、なよ竹のほうを向くと、屈託のない愛嬌ある笑顔を向けてくる。

「う…。」
「ん? ん? どうした?」
「なんでもない! 行くわよ!」
人から向けられたことのない顔になよ竹は慌てた。
米作はトトとじゃれあいながらついてくる。
トトもはじめこそ警戒はしていたが今では昔からの友達のように米作に向かっていく。
「は〜あ」
ため息が一つ。



『ぼのぼのぶべでう゛ぃってぶべばべんば?』


玄武は歯磨きをしながら尋ねた。

「口をすすげ。」
なよ竹は答えた。

がらがら…っぺー。

「ふう〜…この子も連れていってくれませんか?」
「んだ!」
玄武の傍にいる米作が元気に答える。
「連れていくって…もう行く前提?!」

「いかないのですか?」
きょとんとした表情で玄武が尋ねる。
「いかないことはないけど…何かあんたの言うとおりにするのがしゃくにさわるというか…。第一、なんでこいつも連れて行かなきゃならないの!?」
「それは…」
「おら…おらおづの様にかにみそを貰いたいんだ!」

…かに…? )))v<">v

「のうみそ、かしら? 米作。」
あまりの突飛な発言に突っ込みが揺らぐ玄武。
「…んだ! あんたきいてくれ!おら…おら…ちょっと馬鹿なんだ!」

ちょっと?

「…」
玄武は突っ込むことを放棄した。
「だから、おらおづの様にあおじそを…あおじそを!」
「分かった! 分かった! 言いたいことは何となっくだけど分かったから!」
「あおじそ」と連呼する米作を押さえつけながらなよ竹は答えた。
「この子はとても頑丈な体と怪力の持ち主です。さっきみたいなことがない限り、そこいらのあやかしや賊では太刀打ちできないでしょう。なよ竹様があの力を自分の意志で操れない今、この子を連れていった方がよいかと…」
「だから…なんで行く前提な…!」
突っ込もうとしたなよ竹のそばで玄武が風のように小さく囁く。

ひゅ

風が通り過ぎる。
通り過ぎた風に、なよ竹は振り返る。
風は微笑んでいた。そして、口を開く。
「なよ竹様、小角に会って下さい…。全てはそこから…。」
玄武はなよ竹を見つめながら静かに言った。
「なんで…?」
通り過ぎた風に小さく震えながらなよ竹は尋ねた。

誰に?
何を?

なよ竹は尋ねた。
玄武は微笑んでいた。

「これを…」
玄武が懐からとり出した紙が目の前に来て、なよ竹ははっとした。
「…え? 何、これ?」
「これは呪文が書かれた紙。困ったときこれを唱えなさい。きっと道がひらけるはず。」
「…分かった。」
紙を受け取ったなよ竹が、その真っ青な紙をなくさないよう懐に入れ、玄武を見るとそこには誰もいなかった。
そして、風が一つ。
「なよ竹様…よろしく御願いします。」
玄武の声に似ていた。

誰に?
何を?



「は〜あ。」
ため息が一つ。
落としたのはなよ竹だ。

「どした? ももひきなんて。」

ももひき?

「…ため息よ。」
「…んだ!」
無邪気な笑顔が一つ。

「…は〜あ。」
ため息が一つ。

そして

「す〜う。」
ためなおした息が一つ。

「行こうか?」
声が一つ。

「んだ!」
「わん!」
声が二つ。

3つの声は駆け出し、風になる。
風は都へと向かう。ただ、真っ直ぐに。
何かを手にいれるために風は走る。


少女の風から小さな風がこぼれる。

-あなたの血は何色?-

玄武の声に似ていた。



2・1につづく

小説版・和風!オズの魔法使い(8)

2008年10月17日(金) 23時54分
『和風!オズの魔法使い』


1・6「玄武・2」



げんぶ『…というわけで、ゆうしゃなよたけよ。まおうをたおすのじゃ。つぎのへやにあるたからばこでたびのじゅんびをととのえるが…』

「しばいをかえるなあああああああ!」
なよ竹は、ドット絵の状態でさけんだ。
…ので、いまいち迫力はなかった。
…ので、元に戻って
「何よ!元に戻るって!」

…。

「っていうか、ちゃんと説明しなさいよ!いくら長くなりそうだからって略しすぎよ!」
「失礼しました、なよ竹さま。」
玄武はカールをぽりぽり食べながら謝った。
「こいつ…!」
なよ竹は血管をぴくぴくさせながら呟いた。

「なよ竹様、円小角(えんのおづの)という男をご存じですか?」
「えんの…おづの?」
「彼に会って下さい。全てはそこから…」
「誰?そいつ。」
「なんだしらねえのか?」

なよ竹がその声にはっとし、振り返るとそこには活火山…もとい、赤いお尻をした小男がひどくよたよたとこちらにまくしたてるように話しかけながら走ってくる。
「都に住むえろ〜い陰陽師様だ!なんでも知っていて、なんでも教えてくれる…そりゃあもうたまらなくえろい人だ!」

えろい?

「偉い、よ。米作。」
玄武はキャラメルコーンを食べながら言った。
「………んだ!」
米作は玄武のくれたキャラメルコーンの底に残った豆を食べながらうなづいた。
「っていうか、あんた今の分かってないだろ!」
なよ竹は、キャラメルコーンの袋を奪い取りつっこんだ。
「っていうか、あたしんとこ回覧板まわってこないの!だから、そんなこと知るわけないだろ!」

「んでも、結構前から有名だぞ?」
「…結構前からあたしんとこには回覧板なんてまわってこないんだよ…。」
空気が沈む。
トトが心配そうになよ竹にすりよる。
「トト…トト!?」
なよ竹が驚いてトトを抱え上げると、あのあやかしにつけられたはずの傷がない。
「トト…よかった…生きてて…でも、どうして?」
トトはなよ竹の手に自分の鼻をすりよせた。
「なよ竹さま、あなたの力ですよ。」
玄武がエブリバーガーを食べながら答えた。
「あたしの?」
なよ竹はエブリバーガーを取り上げながら尋ねた。
「あなたの放った光があのあやかしを退け、なおかつ、このわんちゃんの傷をいやしたのです。」
玄武はししゃもを食べながら答えた。
「え?どういう…」
「すっげええええええええ!」
なよ竹の後ろで小男が叫んだ。
「なんでだ!?なんでだ!?なんでそんなことができるんだ!あんたポケモンじゃねえな!」

「は?」
なよ竹は沈黙した。
「ただもんよ。ただもんじゃないけど、ただもんよ。」
玄武はカツ丼を食べながら静かにつっこんだ。
「何いってんだ。あんた馬鹿か?ただもんじゃないけどただもん?」
小男はきょとんとしながら、尋ねた。

−馬鹿はお前だ−

2人と1匹は蒲焼き太郎を食べながら、心の中でつっこんだ。

−ほ〜ら、こんな下らない下りで来週にひっぱっちゃった−

なよ竹はジャッキーカルパスを食べながらつっこんだ。



1・7につづく

小説版・和風!オズの魔法使い(7)

2008年10月10日(金) 22時10分
『和風!オズの魔法使い』


1・5「玄武」



なよ竹は笑っていた。

「ようこそ、大人のネバーランド”かがわ健康村”へ☆」

マスコットキャラクターである『サヌッキーマウス』もうどんをすすりながら笑っている。
「健康村。それは世間のしがらみから逃れる為、窮屈な社会を離れ、足を思いっきり伸ばすためにちょっとのお金でちょっとした夢を見られるまさに大人の健康村さ☆」
「まあ、サヌッキーったら現実主義♪」
なよ竹も若干自分のキャラを勘違いしながら答えた。

廻るお風呂、ジェット風呂、滝風呂

全てがなよ竹をわくわくさせた。

「楽しい〜うふふふふ♪ 次は…バブル風呂ね☆」

腰痛などにきく夢のお風呂、バブル風呂
ぶくぶくと泡がたつ。
それは泡沫の夢。

「うふふふ〜…ん?くさい?」

なよ竹がよく見てみるとバブル風呂の底がおかしい。
何かこんもりとした山がある。
どこかで見たような…見てないことにしたいような…
『ぶっ』
…くさい。
「てへっ」
…。
…。

「このばかがあああああああああああああ!!」


「ぎゃああああああああああああ!!!」

その叫び声でなよ竹は目を覚ました。
そこは健康村ではなくさっきまでいた場所である。
「あれ?ここは…。…これは。」

おそらくももとはこれの2分の1以下であっただろう小男のおしりがまるで活火山のように赤く燃えたぎっていた。
そして、その逆はしに位置する小男の顔はこれまた逆に青く染まり白目をむいていた。
「う…あははは〜♪ な〜んだ、さっきのは夢だったのね〜♪ 夢だから仕方ないわね〜♪」
なよ竹は今までの行いをなかったことにしようとした。
しかし
なかったことにできないことが一つ。
「あのあやかしは!?」
周りを見渡す。
あのあやかしの女はいない。
その代わりにあのあやかしの女よりも黒いがあのあやかしの女よりも美しい漆黒の髪をした若い女がいた。
「流石、なよ竹さま。」
「は? 誰あんた? っていうか、何なよ竹様って。っていうか、あんた真っ黒い髪のこ〜んなにた〜って顔したあやかしの女を…」
「ぷっ…面白い顔☆」
「笑うなああ!!」
「ご心配なくあの女はあなたの力によって身動き出来ないほどにうちのめされました。」
「え? あたしの力? どういう…」
その時、女は急に顔を青くし、震えだした。
その様に驚くなよ竹。
女は震える腕を押さえ言った。
「いけない…3時だわ!」
「え? 何? どうしたの!?」
「お…!」
「お?」
「おや…!」
「おや!?」
「おやつを食べないと。」
女はおやつを食べ始めた。
かりんとうだった。
「ちょっとあんた! 何なのよ!」
「なよ竹様…落ち着いて下さい。それでは、まともな話も出来ません。ほら、深呼吸でもして…」
「分かったわよ…すうう」
「私の名は玄武。」
「深呼吸はあ!?」

この女と話を成立させるまでにあと2週はかかりそうだ。

微笑み続ける玄武とは対照に、口角をぴくぴくさせながらなよ竹はそう思った。




1・6につづく

小説版・和風!オズの魔法使い(6)

2008年10月05日(日) 21時18分
『和風!オズの魔法使い』


1・4「けがの光明」



「おらだよ。」

−2回目−

「だから、誰だよ!?」

「え?え〜と…おらの名前は…。」

「憶えてないの!?」

「うん!」

「マジで!?」

「いや」

「どっちだよ!?」

「今、出そう…出る…出る」

『ぶっ』

出た−

おならが。

小男は顔を赤らめて言った。

「てへっ★」

「ばかかああああああ!?」

ずがああああああああああああああんん!!!

なよ竹の一撃が小男の脳天に炸裂した。

「あ…出た…星☆」

小男は気絶した。

「ったく…この馬鹿!」

なよ竹は毒ガス地帯を脱出しようとした。
あやかしの女があらわれた。
…。

「あたしのばかああああああ!!!!」

あやかしの女が近づいてくる。
もうなよ竹に逃げる力は残ってない。

−でも−

なよ竹は立ち上がり大きく手を広げる。
戦う力なんてない。
それはなよ竹も分かっていた。

−でも−

さっきまで腕の中にいた家族だけは助けたい。

−トト、逃げて。逃げて生きて。−

なよ竹はトトの姿を隠すために必死で体を大きく見せた。
的の大きくなったことで、なよ竹の諦めの姿で、あやかしの女は口をさかんばかりに笑った。
そして、爪をひらめかせ−

血が流れる。

「え?」

なよ竹はもう何も感じてなかった。

−死んだから?−

いや

「ぎいやああああああああああ!!!」

はっとなよ竹は悲鳴の先を見る。
悲鳴をあげるあやかしの女。
手からは血が流れ、そこには−

「トト!!」

トトは自分の家族を守ろうと必死であやかしの女に噛みついていた。

「トト!」

なよ竹の顔が複雑に歪む。笑いたいような泣きたいような怒りたいような…わけの分からない感情に押され体のありとあらゆる筋肉を使って、もう一度家族の名を呼ぼうとした。



ひゅうっ

「トト…?」

3度も呼んだ相手は…ことりと崩れ落ちた。
あやかしの女の口がさける。

「トトーーー!!」

4度呼んだ相手はもう身動き一つしなかった。
おそらくもうすぐトトはいなくなる。
それが分かっていたからあやかしの女はもうトトを見ようともしなかった。
あやかしの女の目にうつるのは…なよ竹だ。
ちいさく震える少女にあやかしの女が近づいてくる。
勝利の確信を得たりとあやかしの女の口が一周せんばかりに口が引き裂かれる。
小さく震える少女。
笑うあやかしの女。
笑う少女。

「…?」

今度はあやかしの女は口が歪む。
少女は笑っていた。
言葉にならぬ感情がなよ竹を包んでいた。

そして、わき上がってくる感情がなよ竹から溢れ出て
青い光となり放たれた。
青い光があやかしの女にとんでいく。
そして、あやかしの女が光に包まれる。

「ぎいいいいいいいいいいいいいいやあああああ!!!」

少女は笑っていた。



1・5につづく。



空海!

2008年10月02日(木) 3時39分
稽古開始しております!
森です。

まだ詳細が発表できるほど固まっていないために諸々の情報が遅れています。
申し訳在りません!

しかし、今回のメンツは女性ばかり!

ほとんど見知った人ですが…。

もともと男が多いわけではないですが、女性が多い!

というわけで、来週あたりは稽古報告もしていきますね★

それでは!
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  • アイコン画像 ニックネーム:侍エレクトリカルパレード(代表:森)
  • アイコン画像 現住所:広島県
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「侍エレクトリカルパレード」
の公式ブログです。

芝居空間「侍エレクトリカルパレード」とは?
広島大学がある学園都市東広島市西条より演劇を発信させようという熱き演劇集団である。

次回公演!

ひがしひろしま音楽祭

時間
6月14日15:05〜15:20

場所
東広島市西条 中央公園 野外ステージ(中央公民館正面)

入場
無料!

タイトルは
「小林達之丞のひがしひろしま音楽祭!」
芝居空間侍エレクトリカルパレードがおくります歌って踊って騒いで戦うエンターテイメント!
今年1月「空海夜行風流談 空の巻」で主演を演じた
「小林達矢」が「小林達之丞」となり、悪を斬ります!
ちょっと間抜けでおバカな悪党一味に
代表「森新太郎」、空海出演「溝部淳紘」、オズ出演「平川貴大」!
また、脇を固めるは、
「佐藤綾子」「横澤千秋」「三根侑己」「井手口理子」
と強力な女性陣!
音楽祭にて劇団大暴れです!
乞うご期待!

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