【報告】11/4 映画で世界一周!〜チェコ編『アニメーションは楽しい!』

2013年11月10日(日) 20時31分
(報告者:もりなが)
今回が4回目となる、映画で世界一周シリーズ。
イラン、フランス、カナダと周遊し今日は、中央ヨーロッパの東寄りに位置するチェコ共和国を訪れました。参加者は子ども34名、大人30名と大盛況!
ちょうど、東京国立近代美術館フィルムセンターで夏から開催されている企画展『チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより』にて、《テリー・ポスター》(プラハの映画ポスター専門ギャラリー)が所蔵する、1950年代後半から1980年代までに制作されたチェコスロヴァキア時代の映画ポスター82点が紹介されており、既成概念に捕らわれないチェコのグラフィックアートの素晴らしさを堪能できると共に、なぜチェコのアニメーションや絵本、人形劇が世界から絶賛されるのか、その理由を探ることの出来る絶好の機会を、時を同じくして得られたかたちとなりました。


今回のチェコ編『アニメーションは楽しい!』の講師を務めてくださるペトル・ホリーさんは、映画字幕作成や書籍翻訳など通じて、これまでにチェコの文化や芸術などを日本へ多数紹介してこられた方です。ご本人のお人柄なのか朗らかで柔和な雰囲気もあいまって、いつも外国の方をお迎えする時は少し緊張気味な子ども達も、この日は心なしかリラックスムードでした。


まずはホリーさんに、チェコという国について簡単に紹介していただいて早速上映へ。
本日1本目の上映作品『おじいさんと不思議なおくりもの』を観賞し、続いて、ホリーさんにチェコアニメの特長についてお話し頂きました。チェコでは昔から人形劇(あやつり人形)が盛んであり、またその長い歴史がこんにちのチェコアニメーション文化に影響を与えているのだそうです。確かに今回の作品も人形劇のアニメーションです。作品の長さは16分間という決して長い時間ではありませんが、1秒の間に24コマ(=24カット)の静止画を撮った場合は、それを積み重ねて16分という時間を構成しているので、膨大な時間と労力がかかっている、という事を判りやすく説明して下さいました。


次に、2本目の上映作品『ドロシーとおうむ 大喰いだちょうとアルファベット』を観賞しました。
これは今日観賞する3作品のうち、唯一人形を用いていないイラストのアニメーションで、そのキャラクターもとても愛くるしいものでした。お話は2部構成で、一つ目は主人公の女の子・ドロシーと仲良しのおうむ、そして公園で拾ってきた卵からかえったダチョウがお家の中のありとあらゆるものを食べ尽くし、その困った行動に振り回されるというお話。もう一つは、ちょっとおっとりした性格のドロシーが、教室の黒板に苦手なアルファベットを書くかわりに自分がなりたいものをお絵かきする、というもの。観終わった後に子ども達へ、ドロシーが何になりたかったのか、黒板に描いたものをひとつひとつ挙げてもらいました。アイススケーター、バレリーナ、サーカスの調教師、歌手などなど。そこでホリーさんにも加わって頂き、チェコの子ども達に人気の職業を伺ってみたところ、サッカーや(アイス)ホッケーの選手、学校の先生、バレリーナや女優などが挙がりました。そして、この作品は、実はテレビアニメとして制作され、夕方6時から毎日10分間放映されていたそうで、ホリーさんご自身も幼い頃よく観ていたのだとか。


お話の中にアルファベットが出てきたので、ここでチェコの文字についても少し触れました。映画で世界一周!シリーズではすっかり恒例となった外国語の「こんにちは」と「ありがとう」をホリーさんに教わりました。(チェコ語で「こんにちは」は“ドブリーデン”、「ありがとう」は“ジェクイ”)


休憩時間を利用し子ども達には、観るだけではなくアニメーションの制作を体験してもらおうと、チェコの首都・プラハの上空から眺めた様子を手描きで描いた地図を背景にして、クルテクのぬいぐるみを使い、iPad miniの動画アプリで簡単なアニメをみんなで作りました。
16mm映写機の説明を聞いた後に、その制作したばかりのショートアニメーションを上映し、動きの面白さや手軽に動画を作ることが出来る愉しさを共有しました。制作したものは初歩的で簡素なものでしたが、私たちが慣れ親しんでいるアニメーション作品の原点のようなものを体験することが出来ました。


制作作品の上映後は、本日最後、3本目の上映作品『王さまの耳はろばの耳』を観賞しました。
あまりにも有名な寓話を描いたこの作品は、1本目の作品同様、細部にわたり凝ったつくりの人形劇です。王様の伸びた髭や髪を切るシーン、草花に水をあげる為にじょうろから水が流れるシーン、雪がハラハラと舞うところや、ろうそくの炎がゆらゆらと揺らぐ感じなど、その情景をつぶさに再現するテクニックには本当に驚かされました。この作品の監督、カレル・ゼマンは、チェコを代表する人形アニメーション監督、イジー・トルンカと共に、チェコ人形アニメーションの基礎を作った人と言われており、また、特撮映画の監督でもあります。(日本の映画『ゴジラ』に影響を受けたと見られる作品も残しているそうです。)


全ての作品を観賞後、ホリーさんが双方の国のアニメ文化の違いを指摘しました。日本のアニメと違ってチェコのアニメには、暴力的なシーンは一切出てこない、ずるがしこい人物はよく登場しても、人を殴ったり傷つけたりするような人物は決して出てこないのだそうです。
チェコのアニメーションが世界中で尊敬され、また、愛される理由の一つに、そのような寛容でどこか牧歌的な作風があることも、今日の鑑賞会で判った気がします。
NHKでも以前放映されていたチェコの偉大なアニメーション作品、クルテクこと『もぐらくん』シリーズも、これを機会に観てみたいと、すっかりチェコアニメの魅力にはまった上映会でした。

講師を引き受けて下さったペトル・ホリーさん、Děkuji(ジェクイ)!


参加してくださった親子さんから寄せられたアンケートのうち、ブログでの公開許諾をいただいた内容を紹介します。
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映画もホリーさんのお話もとても楽しく、また勉強になりました。子供も自然にチェコのことに興味を持て、よい経験になったと思います。またぜひ参加したいと思います。
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ドロシーは初めて観ましたが、かわいいですね。娘(5歳)はパットとマットがお気に入りで、「ぼくらと遊ぼう」なども見せたいところですが、字幕しかないのが残念です。今日は3種類もフィルムで鑑賞できて良かったです。カレル・ゼマンにバリバリ70年代(?)的なテーマソングと吹替えがついているのもなかなかみどころでした!親の感想ばかりですみません。(悪魔のあやつり人形がうちにある!と言っていた子がいましたが、チェコで買ったものです!)
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