【報告】7/29映画で世界一周!チベット編

2018年08月03日(金) 21時12分
(報告:オカザキ)

初めての訪問となるチベット。親子合わせて21人が参加してくれました。上映作品は『草原の河』です。前回のイラン編と同じく、日本語字幕版での上映だったので、小さな子どもたちには少し難しかったかもしれません。それでも、最後までみんな静かに映画を観ていました。

今回、チベットのことをお話ししてくれるのはロディ・ギャツォさん。早速みんなの前でチベット語で「テシテレ」と挨拶しました。「こんにちは」「おめでとう」という意味があるそうです。2007年に来日後、日本の高校や大学で勉強されて、チベットの文化を紹介する活動を続けています。

まずは映画の中に出てきたことを子どもたちに聞いてみます。
主人公の女の子、ヤンチェンラモ。そのお母さん、お父さん、おじいちゃんたち家族。バイクや青い車などの乗り物も。ミルクや羊も印象に残ったようです。

地図を見ながらチベットのことを聞きます。ロディさんが生まれたのは東チベット。ラサという、昔は首都だった大きな街があります。チベットはウザン、アムド、カムという3つの地方に大きく分かれます。文字は同じですが方言があり、老人の言葉を若者が理解するのは難しいこともあるそうです。羊などを飼い、移動しながら生活する遊牧民もいます。映画には馬と犬が出てきませんでしたが、実際の生活にはとても重要になるそうです。今は馬に代わってバイクを使うこともあり、犬が狼から羊を守ってくれる大切な見張りになるそうです。

ロディさんは「もちろん」馬に乗れるそうです。でも、最近は街にバイクが増えてきているとのこと。ロディさんが生まれたのも、映画に出てくるような草原。東に行くと緑が豊かで、草原や森も多く、西は砂漠が多いそうです。冬はマイナス15度にもなりますが、夏は最高でも30度まで上がらず、過ごしやすいというのは意外でした。

チベットは標高が高く、ロディさんが生まれたのは4125m!なんと富士山よりも高いところで生活していました。そのため、バターや脂肪分の高いものをいっぱい食べないと乾燥してしまいます。あたたかいお茶にバター、ミルク、塩で味付けしたバター茶を飲む習慣があります。

標高が高いため、日本でお湯を沸かすと100℃まで上がりますが、チベットでは80℃でも沸騰してしまいます。
日本や中国からチベットに飛行機で来ると、体が慣れるまでに高山病になってしまうことがあります。空気が薄いので、1週間くらいゆっくり時間をかけて慣れさせる必要があります。ロディさんも日本に戻ってくると、体調が狂うので乗り物酔いしやすいそうです。


チベットではお坊さんがとても尊敬されています。赤や黄色などの僧衣を着ています。子どもが生まれた時に、名前もお坊さんがつけることがあります。
チベットには名字がなく、名前だけしかありません。「ロディ」も「ギャツオ」も名前です。8世紀までは名字もありましたが、仏教が入ってきて名字をつけなくなりました。名字をつけると「家」ができ、執着ができるため、仏教の考え方にそぐわないからです。インドやブータン、モンゴルなどのチベット仏教が分布している地域では、このような慣習があるそうです。
そのため、日本に来ると不便なことが多く、パスポートの名前の欄にはロディギャツォと書いてあり、名字欄には×××(ばつが3つ)書いてあるそうです。空港でも入出国に時間がかかるし、銀行の口座を作る時にも説明しなければなりません。日本人にとって「名字がない」ということが不思議に思われるようです。

チベットではお墓も作りません。「鳥葬」という独特の風習があります。お坊さんが亡くなった人の体を定められた場所に運び、切断して、チベットにしかいないワシに与えます。人間の体は洋服のような入れ物であり、亡くなると魂は生まれ変わるという考えがあり、鳥葬は自然に還す行為なのです。「鳥葬にした」というのは、立派なお葬式を出したということになるそうです。一方で、殺人や感染症などで亡くなった場合には穢れのため、鳥葬に出すことができません。鳥葬で残った骨は火をつけて粉にして、山や川など自然に還します。
体だけではなく、亡くなった人の財産もお寺や貧しい人への寄付にすることが多く、分け与える考えが強いそうです。


チベットでは「人間に生まれる前に、500の生き物として過ごしてから、ようやく人間に生まれ変わることができる」という考えがあります。そのため、どんな生き物でも同じ価値を持っていると考え、虫も殺しません。ロディさんがチベットから日本に来て一番びっくりしたことは、日本人が蚊を叩いて殺すことだそうです。しかも、うまく叩いて「やった!」と喜ぶのでびっくりしました、と話すと会場には笑いが起きました。また、来日して通っていた夜間中学の校外学習で水族館に行ったときに、「綺麗だな」と思って見ていると、普段尊敬している先生が「見てごらん、美味しそう」と言われたので衝撃でした、と語るとさらに笑いが起きました。生活が動物の暮らしと密着しているチベットと、日本の大きな違いかもしれません。

一方でチベット人は肉がとても好きだそうです。標高が高いので野菜が豊富に取れず、芋や大根など限られるため、肉を食べる必要があります。ただし、仏教の定めによりいつでも屠殺はできません。チベット暦の10月(日本の9月)の1ヶ月間だけ屠殺して良いことになっています。しかもチベット人は屠殺をせず、お隣の中国から専門の職人を呼んで代わりにお願いします。代わりの人が屠殺している間は、チベット人は仏壇へ祈りを捧げるそうです。また、なるべく大きな動物を食べることにしているそうです。小さな生き物だと、犠牲になる数が多くてもお腹を満たせないためだそうです。


ここから会場の親子からの質問タイム。
「映画の中の天珠はどんなものですか」という質問がありました。
湧き水から出てくる、非常に貴重な珠(たま)で、本物だと何億円もの価値があります、とロディさんが説明してくれました。

女の子からは、「家に国旗一覧が載っている本があるが、チベットの国旗が載っていないのはなぜか」という非常に鋭い質問がありました。
これに対して、ロディさんはチベットの特別な成り立ちを説明してくれました。1949年まではチベットも国として機能していて、国旗や通貨、郵便制度もありました。そこからどんどん中国が攻め入ってきて、1959年には国の指導者であるダライ・ラマ14世がインドへ亡命して、チベットという国がなくなってしまったそうです。そして、いまもその状態が続いている、ということでした。日本に住んでいると、「自分の国がなくなる」ということが、ピンとこないかもしれません。でも、世界にはそういった場所があり、そこに人も住んでいるということを知ることができました。

いつものようにチベットの挨拶も習いました。
「こんにちは」は「タシーテレー」
「ありがとう」は「トチチェ」
「さようなら」は「カレペア」
「私の名前は…」は「ガンベミンラ…」


最後にロディさんがご自身で編んだ鞭を見せてくれました。飼っているヤギを放牧する時に人間のいうことを聞かせるために使います。目の前で床を叩くとパチーンとびっくりするような大きな音が出ました。この鞭にはおまじないの9個の目がついています。チベットの人は、こういった鞭をそれぞれ自分で編んで持っているそうです。

ロディさんに習ったばかりの「トチチェ」とお礼を言って、この日の上映会は終わりました。

参加された方からのアンケートの声をご紹介します。

自然の厳しさを感じました。色々な国で風習があるのですね。びっくりしました。ありがとうございました!
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チベットの話を聞く機会、なかなかないので、本当にありがとうございました。
  • URL:https://yaplog.jp/eigagakkou/archive/297
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