歯科の分野にも予防医学
2006.06.19 [Mon] 16:10


 最近予防医学の大切さが叫ばれていますが、近年歯科の分野にも「予防」という考え方が取り入れられ、予防歯学として研究されるようになってきました。歳を取れば歯を失っても仕方がないという考え方が日本でも浸透し、半ば諦め的な状況でした。しかし、歯科の先進国である北欧の予防医学が日本に導入され、今まで歯の治療やインプラント中心の方法が大きく予防歯学に変わりつつあるようです。北欧、中でもスウェーデンでは1970年より大規模な予防プログラムを導入し、国民の歯の健康状態が飛躍的に向上してきました。

世界で初めて虫歯の予防の重要性を提唱したのがスウェーデンのイエテボリ大学といわれています。1960年から長期にわたる研究調査を実施し、対処療法中心だった歯科治療が根本的に覆されてきました。その第一の重要な点は「虫歯や歯周病など口腔疾患予防には歯垢除去(プラークコントロール)が最も有効だ」ということが発表されました。その1つとして歯垢の付着と歯肉炎、虫歯の発症状況関係について追跡したことでした。2週間に一度プロによるクリーニングやブラッシングを指導したグループと、一般的な治療だけをしたグループとに分けその比較を行ないました。その結果前者のグループが圧倒的に良い状態を表したのです。これを元に歯のメンテナンスによる治療の重要性が証明されました。

日本の歯科では一度治療して「何かあればまた来院して下さい」といわれます。しかし、また同じ状況になりうることが当然考えられます。治療後きちんとメンテナンスを続けていれば再発や新たな病気を予防することができるのです。これは歯科の分野にとどまらずカイロプラクティックの分野でも同じことがいえると思います。最近日本でも歯科衛生士が増え、あちこちのクリニックで見られるようになりました。

歯科衛生士は単なる治療の助手ではなく直接患者さんの口腔治療を責任を持ってする資格であると位置づけられてきています。ただし、大きい歯科医院では可能ですが少人数でやる歯科医院ではなかなかこの歯科衛生士を導入することは難しいのです。北欧では20歳未満ならメンテナンスや治療は無料だといわれています。それは子供の時から歯の治療をすることが何より大切だと考えられているからです。

日本も政府が本格的に歯科の分野に力を入れて北欧並の治療にすれば、歯の丈夫な子供が増え大人になっても虫歯に悩まされることがなくなり、また歳を取っても歯が抜けるということが最小限に食い止められるのではないでしょうか。歯は通常永久歯が28本あります。その歯の生存は日本では80歳で8本、スウェーデンでは15?20本だといわれています。確かに最近の日本では毎食後歯磨きを欠かさない人が増えています。しかし弱りきった歯茎をごしごし磨くと知覚過敏になったり歯肉を傷つけたりしてしまうので、きちんとプロの指導を受けてするべきです。

最後に言えることは、私自身の経験上悪くなってから治療を受けるのではなく“一度治療したら二度と悪化させないこと”がもっとも重要だということです。

〈参考文献〉
 『朝昼晩 歯と歯磨き科学デンタルマガジンNo.17』歯と身体の科学 スウェーデン予防歯学

健康コラム