僕らの心にナイスバードSAGA 〜ドライブイン鳥に行ってきました〜

April 27 [Sat], 2019, 0:48
・イントロダクションSAGA 〜序論:私達、語りたい!〜
 
 
 『ゾンビランドサガ』というアニメをご存知だろうか。
 昨年10月から1クールにわたって放送されたオリジナルアニメであり、放送中から話題を呼び大ヒット、「天下に狂い咲く」2018年のダークホースとなった一作であった。

 そのコンセプトは一見すれば色物の匂いが強い。なにせ

 「『ゾンビ』が『アイドル』になって『佐賀』を救う」

 と、一個一個がクセの強い要素の大渋滞だ。

 ともすれば
 「クセの強い要素混ぜてみましたってえコトぉぉぉ〜〜? きゃああーッ、プーよね! ペンと林檎くっつけるのとはワケが違うってーのよォ!」
 と一笑に付されてしまいそうな、そんな作品が何故オタクくんたちの心をここまで掴み、そして今も掴んで離さないのか。

 それはひとえに、

 「『ゾンビ』と『アイドル』というフィルターを通して死生観を描く」

 というストーリーをきっちりと描き切ったからだ。
 
 人は誰しも
 「死ぬことによる、自分から見た"主観の世界"の消失」
 「自分がいなくなった世界は自分からは見られない」

 という概念を本能的に恐れ、それが死への畏れとなる。そして今作では、前述の二つをフィルターとしてその概念の解像度を上げて描いているのだ。

 コメディ要素込みで少しずつチームが固まった1〜5話を経て、6〜9話ではそれぞれの死因や悔恨、そして今どうするかというテーマが「お当番回」要素を含めつつ展開されていく。

 
 
 「まだ何も終わってない。私はここにいる。過去なんかじゃない」
 死んだ人間が自分の死んだ後の世界を俯瞰した時に、これほど端的で胸を打つ台詞があるだろうか。
 本当ならば決して見ることのできないそれを目にした時に、それでも足掻こうとするその姿がまず私たちの胸を打つ。

 
 「チェキ会が嫌なら断れ。無理に迎合する必要はない」
 「この時代に昭和アイドルの挟持を持って活動するその姿を、メンバーやファンたちに見せてやれ」

 時代が進むなかで、ものや概念の定義、見方が変わるのはままあることだが、"アイドル"を描くうえで「個人をスターダムとして権威づける」昭和のアイドル概念と「身近で会いに行ける」平成のアイドル概念。
 それらの違いを描いたうえで「どちらかに迎合するのではなく、個性として自分を出していけ」と、まさに「生き方」を肯定するこのシーンに、私は心を掴まれた。

 
 「自分のことばっかりで、その子のことちゃんと考えてあげられんやった。君のお父さんは優しか人ね?」
 「パ……お父さんはすっごく優しいの! すっごくすっごく優しいんだよ!」

 
 「『あたしはぜってぇ死なんばい』」
 「……サキ!!」
 「……誰だ、それ」


 自分が死んだ後、大切な人に出会ってしまったら。
 「私だよ、会いたかった」とすぐにでも言いたい、でも決して言うことのできないもどかしさのある「生」と「死」で明確に境界線の引かれたそれが、涙もろい私の涙腺をまあぶっ壊してくれた。
 『To My Dearest』でリリィがアイドルとして自分の想いを伝え、パピィの止まっていた時間を動かすラストはここだけでは語りつくせない。

 それらは集約されて、生きていた時に「何も持っとらんかった」さくらの物語に帰結していく。生きていた時に「伝説」を作れなかった彼女だからこそ、メタフィクション的にもこのチームの主人公として成立するのだ。
 若くして志半ばで逝ってしまった少女達は自分の今までの人生に、そして"ゾンビィ"として存在する今現在に様々な想いを抱えて、"生きよう"と前に進み続ける。
 その「前に進む」「生きようという想い」の指標として、"アイドル"は今作のギアの役目を果たしていると言っていい。
 これにはアイのマスだ、ラブのライブだといった流行りモノからきた時流もあるだろう。今の時代に「女の子が前に進む生き方の指標」としてのわかりやすい記号。
 その象徴として、"アイドル"は非常に良いはたらきをしてくれた。


 ……それでは、"佐賀"要素はここでどういうはたらきをしてくれたのだろうか。
 フランシュシュを導く謎のアイドルプロデューサー、巽幸太郎風に言うならば、

 
 「そんなもんあるかいボぉケぇ! 別に佐賀じゃないといかん理由なんてこれっぽっちもなかったやろがいこんボケゾンビィ!!」
 と言ったところか。

 実はこのアニメの「佐賀が舞台」という要素、出資元、企画のサイゲームズが「ゾンビがアイドルやるアニメやろう」という企画を稟議を通すにあたり、社長の出身地である佐賀のアニメを作るという要望と融合し出来上がったものだったのだ。
 だが結果として、入念なロケハンの末に出来たこのアニメは「佐賀のご当地アニメ」としても非常に出来が良い。
 奇しくも私はおとなりの福岡県民であり、作中飛び交う佐賀弁、唐津弁の軽妙さは作品世界への没入感を否が応でも高めてくれた。

 北部九州の民として、これほど嬉しいことがあっただろうか。
 ガルパンの大洗だ、ラッシャイの沼津だ、よりもいの群馬だとご当地要素、"聖地巡礼"が盛り上がる風潮はすっかりお馴染みになったが、やっぱり赤貧の平均的現代社畜のこと、金も時間もなかばい! そげん簡単には行けん!となってしまうのが人情だ。
 しかし、だ。
 ちょっと車を飛ばせば行けるような距離に、この素晴らしい作品の世界に浸ることのできる"聖地"はあったのだ。


・俺の心にナイスバードSAGA 〜本論:ドライブイン鳥に行ってきたんじゃーい!〜

 序論では私自身面白さの肝!と言える中盤のストーリー要素について強調して語ったが、ゾンサガはコメディとしても出来が良い。
 ゾンビだから首ぐらい取れるわ! 特殊メイクで顔隠さないと死体だからめっちゃ怖え! たえちゃんゾンビィ部分制御出来てねえ! ゆうぎり姐さんの理不尽ビンタ!と、挙げれば枚挙に暇(いとま)がない。
 そしてコメディ兼ご当地回の決定版とも言えるのが、

 
 第五話『君の心にナイスバードSAGA』だ。
 そして私は本日遂に、このエピソードに登場する……

 
 
 「ドライブイン鳥」に行ってきたんじゃああーーい!!

 作中ではフランシュシュがCMに出演し、その後も何度も名前が登場するこのお店。
 社長さんが声優に挑戦し、フランシュシュが鳥焼肉を食べるシーンは4話の足湯と並んでほっこりする日常パートとして名高い。

 元より福岡と佐賀なので行こうと思えば行けない距離では無いのだが、今回は平日休みが弟と被ったことを利用し、GW前の空いている時期に"聖地巡礼"することに成功した。
 
 
 福岡市より車で一時間程で伊万里の本店に到着すると、まずはその外観を楽しむ。
 こういった聖地巡礼の醍醐味は「あのキャラがいた場所に俺が立っているゥゥゥーッ!」という感覚だが、出発前日に5話を見返しておいたことでその脳内再生はばっちりだ。
 
 
 
 
 入口付近は劇中でフランシュシュが挨拶していたシーンが思い出される。
 緑の提灯、でかい鳥の置物などなど、当然ながらそっくりそのままのそれが入店前からテンションを爆上げしてくれる。

 入店すると平日昼過ぎのため人はまばら。
 店員さんに案内され、個室の方へと通される。

 
 劇中でさくら達が食べていたのも個室だったので、作品世界への没入感を高めるならばこちらがベストだ。
 (目視した限りではテーブル席もあるようなので、テーブル席が良い人はそちらをお願いするのも良いだろう)

 
 まずは定番メニュー、一番定食(税込¥1,030)を注文。
 
 ドラ鳥人気の

 
 ・鳥めし、鳥スープ

 
 ・焼鳥(と、いう名の鳥焼肉)

 がセットになっており定番メニューがかっちりと抑えられている為、カードゲームでスターターデッキを買うが如く「まずはコレ」という道標になってくれるありがたい一品だ。
 
 
 劇中ではサキちゃんが「派手なケンカした後はドラ鳥来て一番定食食ってた」と発言しているので、実は劇中なりきりとしても機能してくれる。

 焼肉を始めて火が通るまでの間に、空きっ腹にまずは鳥スープをグッとすする。
 醤油と鳥のコクがかなり効いたそれは、わずかな量でもぐわんぐわんと旨味の暴力で口の中をいっぱいにしてくるのが特徴だ。
 味にコクがありながらも鶏ベースのため全体的な風味はあっさりとしており、口の中いっぱいに広がった旨味がいい感じに後を引かずするっと霧消していく。
 思わず「これ酒飲んだ後のシメに飲んでも良いな……」と弟に目を輝かせながら言ってしまった。
 
 そんなスープの後に鳥めしをスプーンで一すくいし口にすると、やはりあっさりとしながらもしっかりとした旨味が多幸感をもたらす。
 九州にはかしわ飯という鳥ベースの炊き込みご飯があり、大手チェーンのコンビニでもローカル販売を行っているが、大きめの鶏やゴボウの入っており柔らか目のあれと違い、具は少な目のこれは純粋に鶏だしの旨味を味わうことができる。
 
 
 そしてメインの鳥焼肉。
 鶏肉と言えば火が通りにくく、焼けたと思ったらまだ中が赤い……といった失敗を出してしまいがちだが、ここの鳥焼肉は驚くほどすっと火が通り、わずかな時間でしっかりと食べ頃の焼き加減になったのが印象深かった。
 適度な大きさに切られていること、肉の鮮度なのがそうさせるのだろうかと素人考えながら興味が尽きない。

 これを特製のタレでいただくのだが、このタレは結構濃いめの味で、旨味がありながらもそれ単体では淡泊な鶏肉にしっかりとした味をつけてくれる。
 劇中で「つけてみてん!」と言われていたニンニク胡椒(という名前だが、ニンニクと唐辛子ベースのペースト状の調味料)もニンニクのあのクセの強さと辛すぎない唐辛子の風味で旨味を引き出してくれて、箸が止まらなくなること請け合いだ。

 
 肉の種類が豊富な為迷ったものの、追加として鳥ハラミと鳥皮を注文。
 「うまかけんどれもいけるなあ!」とひとしきり盛り上がったところで……

 
 はちみつ黒酢カルピス(¥464)を注文したッ!
 
 
 劇中では純子がほんの一言「このはちみつ黒酢カルピスって美味しそうですね……」と言っていただけで別に注文していたわけでもないのだが、すっかり純子のイメージがファンの間では定着し、コラボカフェのメニューにも選ばれる一品。
 飲んでみると、はちみつで強調されたカルピスの甘さがまずふわっと口の中に広がり、後から黒酢の酸っぱさがやって来る。
 元より鳥焼肉のためそれほど脂っぽくはないのだが、肉の風味をいい感じに包み込んで口の中の感覚をリセットしてくれるのが印象的だった。

 
 意外と量がある鳥皮を弟と焼いていきつつ、私は思っていた。
 既に鳥スープの器は空になっている。あの旨さがクセになりすっかり飲み干してしまったからだ。
 
 
 「もう一杯飲みてえ……。スープを(倒置法)」

 というわけで二人共単品で鳥スープ(¥496)を追加。
 定食のセットとは違い単品だとレンゲが付いているのもありがたい。

 
 
 そんなこんなで大満足のひと時を過ごした後は、お会計を済ませ玄関周りの写真を撮らせていただく。
 ポスターや声優さんのサインが貼られており、オタクくんならばやはり一枚は撮っておきたくなるのが人情だ。

 ちなみに劇中では「掘っ立て小屋感」「ローカル、って感じ」との評があったが、実際には時代の流れに合わせ、紙のメニューの他にタブレットで注文できるシステムも導入されている。
 ドラ鳥は豊富な品数を揃えている為、項目、分類ごとにメニューを調べられるタブレットを活用して注文するのは手だろう。
 (はちみつ黒酢カルピス頼みてェーけどなァァァ〜〜、『あ、こん人アニメの影響で来たっちゃんね』と思われんのもシャクだなぁ〜〜)と店員さんに口に出すのが恥ずかしい人もこれなら安心だ。


 私の初めての本格的な"聖地巡礼"は、これにて幕を閉じた。


・グッドバイSAGA 〜結論:締めの言葉はどうしたでありんすか!〜

 作品への没入感をいかに高めるか。
 それは作り手にとって永遠の命題であり、また受け手にとっても如何に楽しむかの方法として大事になって来る。
 「○○をイメージしたメニューじゃあねーんだよ、作中で○○が使ってるアイテムや飯が欲しいんだよ」と声高に主張する友人R氏の言葉はもっともだ。
 
 そんな中で、こういった「ご当地アニメ」は観光要素と作品への没入感を高める体験を同時に行えるという、得難い強力な武器を持っているのではないだろうか。

 今回の体験は素敵な焼肉のお店とゾンビランドサガの作品世界を楽しむ、その両方を兼ね備えた良い一日だったと言える。

 
 最後は男兄弟二人でデスおじの如く、「ドラ鳥、よか……」となりながら帰りの車を飛ばしたことの報告を以て、この長文を占めさせていただく。

 長々と語ってきたが、とどのつまり

 『ゾンビランドサガ』、笑って泣けて最高やけん一回見てみらんね!
 GWはドラ鳥行ってみちゃらん!?



 ……次は洋館か嬉野に行きたい。

2016年アニメ 総括

January 02 [Mon], 2017, 0:09
 2016年に見たアニメの作品ごとの総括になります。

 一応評価基準として、総合的に

 ★★★★★(星五つ)

 ★★★★☆(星四つ)

 ★★★☆☆(星三つ)

 ★★☆☆☆(星二つ)

 ★☆☆☆☆(星一つ)


 で評価。星が多いほど自分の中で評価が高いです

 それと、作品内の要素として

 【ストーリー/キャラクター/音楽/演出/作画/成長性】

 をA〜Eの五段階で評価。A>(中略)>Eの順で評価が高いです
 
 各項目の詳細はこちら。

 ストーリー

 話として筋道が立っているか、キャラクターを上手く使える構成になっているか、盛り上がりのポイントなどが作れているか、など。

 キャラクター

 登場人物個々のキャラ付け、言動などが魅力的であるか。
 
 音楽

 主題歌、劇伴などの使い方、曲の雰囲気など。
 
 演出
 
 隠喩や風景描写、キャラクターのアングルなどの映像的演出。

 作画

 作画の描き込み具合、美麗さ。絵的に違和感を感じないのが最低基準。

 成長性

 作品としての伸びしろ。完結した作品などは自然とE(完成)になりやすい。



 
 Go! プリンセスプリキュア
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - C /演出 - C /作画 - C /成長性 - E(完成)】


 毎年恒例プリキュアシリーズ。

 今作のテーマはずばり「夢」
 シリーズで「夢」をテーマにした作品と言えば「5」シリーズを思い出しますが、「5」がのぞみが夢を見つける物語だったのに対して、今作ははるかが「プリンセスになる」という非常に非現実的で達成の難しい「夢」をもっているという形で上手く差別化が為されていたと思います
 
 
 そもそも「プリンセス」って「王女様」だからなろうと思ってなれるものではない……とも思うんですけど、通して見ていくと今作の「プリンセス」って本来の意味を飛び越えて「生き様」を現す言葉として機能しているってのが解るのが面白いところ。
 前述の部分に対しても中盤でトワイライトという「血筋としての『プリンセス』」がアンチテーゼ的に登場することで上手く決着をつけていましたしね

 はるかの「プリンセスになる」という夢は勿論、

 ・やりたいことがあって夢も決まっていたけど、新しい出会いによって新しい夢が生まれたみなみ
 ・既に夢への道筋を定めて歩いていて、それを突き進むために努力するきらら
 ・血筋としてのプリンセスであり、それ故に「使命」が「夢」と重なるトワ


 と、メンバーそれぞれの「夢」の形、描き方が違っていて、各位にしっかりした帰結点を設けていたのも素晴らしかったと思います
 
 前作の誠司のフォーマットを基に発展させたキャラクターとも言えるゆいちゃんの存在もまた良かった。
 最初から最後まで戦う力の無い一般人としての協力者のポジションを貫き通したことで、
 「プリキュアは特別な力で『みんな』の夢を守るために戦うことができる。でも、特別な力が無くても強い想いで『自分』の夢を守ることができる」
 と、自分から立ち上がって努力することの大切さという「夢」を叶えるために必要なことを伝える重要な役割を果たしていたと思いますね

 敵であるディスダークの面々は夢の過程にある「挫折」の象徴としての「絶望」を謳う存在だったのかな、と
 ディスピアを倒してもクローズが現れる、いつかまたクローズは現れる……という形にしたのは、劇中での描写の通り
 「夢に向かって歩き続ければ、必ずまたつらい絶望も現れる。でもその度に立ち向かっていく」
 という「夢」の本質そのものに最後の最後で向き合った結果ではないでしょうか
 後、それぞれのメンバーが

 ・ディスピア→レディー・ガガ
 ・クローズ→シド・ヴィシャス
 ・ストップとフリーズ→ダフト・パンク

 
 といった具合にミュージシャンをイメージしたキャラデザだったのもおしゃれで良い感じです

 現行放送中の『魔法つかいプリキュア!』、そして既に発表されている次回作、『キラキラ☆プリキュアアラモード』へと続いていくプリキュアシリーズ。
 この作品もまた、その歴史の一つとしてオンリーワンである存在になったと思います



 
 おそ松さん
 ★★★☆☆
 【ストーリー - C /キャラクター - C /音楽 - C /演出 - C /作画 - C /成長性 - D】


 赤塚不二夫の人気コミックをベースにした作品。
 88年版を再放送で見ていたことがあって若干興味があったので視聴。
 
 小学生だった六つ子達が大人になりニートに、というのは現代劇の描き方としてはアリなんですけど、それによって赤塚先生の本来持つスラップスティック・コメディらしさはあまり出ていない為に実質「おそ松くん」という作品のガワを借りただけではありました
 つっても今作の場合はそれでいいのかな、と

 と言うのも、今作で重要視されるのって「成長してそれぞれに個性の出てきた六つ子同士のキャラクターとしての関係性」であって、それを楽しむのが一番のポイントなんですよね
 人気、実力のある"イケメン声"の男性声優をそれぞれにあてて来たこともあって、女性ファンによるカプ人気が出たのも必然、と言えるわけで
 実際「ギャグ」の面で注視して見たらクッソつまんねー回も多いですから……
 
 ただ正直言って、今作に2クールはちょっと長すぎたんじゃないか? と
 終盤の方はもう「どこかの作品で見たことあるよね」という感じのネタの方が多くなっていって、キャラクターに余程入れ込んでないと面白さに引き込まれず見てて疲れるエピソードもちょこちょこありましたしネ
 ラスト2話で「それぞれの道を行く形でしんみり終わる」と見せかけてのワケわかんねー方向のクソギャグに舵を切るラストにしたのは正直面白かったですけども
  
 2クールでほぼ「やりきった」感のある今作。
 何年かしたら「あったよね」「流行ってたよね」という記憶に残るような、そんな作品になったんじゃないかなと



 
 だがしかし
 ★★★★☆
 【ストーリー - C /キャラクター - A /音楽 - C /演出 - C /作画 - B /成長性 - C】


 マガジン連載の駄菓子コメディ。
 
 
 一貫したストーリーというものが薄く毎回駄菓子をいろいろなシチュエーションで紹介することに終始していて、それがぶれないためにずっと楽しく見続けられる息抜き的な作品になっていました
 今作を見て初めて食べてみた駄菓子ってのもいくつかありましたね……(まけんグミとか生いきビールとか)

 
 後はヒロイン二人がどっちも可愛い!
 サヤ師は表情豊かなのと沼倉さんの絶妙な演技、ココノツ君に一途な面で凄く好きなキャラクターになりましたね
 瞳孔ちっちぇーキャラデザ凄く好き
  
 
 EDの映像が「ふしぎの国のアリス」「鏡の国のアリス」の要素があるのがルイス・キャロルの童話が好きな自分には嬉しかったり
 「セイウチと大工」「ヤングオイスター」「ヤングドーナツ」で表現したのには感心しました

 原作はまだ続いてはいますけど、これで終わりでも後腐れなしのすっきりとした終わり方ではあったと思います
 二期無くても問題ないくらいには満足できましたね



 
 昭和元禄落語心中
 ★★★★★
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - A /演出 - A /作画 - A /成長性 - C】


 間違いなく今年のダークホース的な作品。
 落語が好きなんで観てみようと思ったら、あまりの完成度にビックラこきましたね……

 
 物語の中心はほぼ八雲と助六の二人で、ひたすらに時には明るく、時には悲しく、でも終始どこかビターな味わいのある物語を戦争、その前後の動乱を交えて描いていったのが印象的。
 みよ吉とのどこか陰のある恋愛も引き込まれる要素でした

 それでいて物語が暗くなりすぎないのは、やはり助六の存在あってこそ。
 快活に笑い、見ていて気持ちの良い男である彼がここまでのキャラクターになったのは、山寺さんの名演技も十分にあったと思います
 山寺さん以外にも石田彰さん、林原めぐみさん、関智一さんといった実力、人気ともに申し分ない大ベテラン枠でキャストが固められていて、「大人」の物語であるということを印象付けていました

 
 それだけに助六の最期、遺された小夏……といった部分は本当に悲しかったです
 観る側にとっては「八雲と助六がまた一緒になって、幸せな人生を歩んでほしい」と思わせたタイミングであの急転直下ですからね
 OPの歌詞の「分かんないの。仕合わせつて何。」を突き付けられるような悲しさが胸いっぱいに広がって……ほんともう!(語彙力の低下)
 
 
 そして最後に舞台が現代に戻ることで、八雲師匠の老け込み具合、時代の変化というものがより観る側に伝わってくるのも良い構成でした
 助六の幻を見て
 「その顔は何かい? 老いぼれを嗤ってんのかい? それともそれは……怒ってるてぇのかい!? 娘をあんな風にしたこと……。落語をこんな風にしちまったことを……」
 ってところ、何を言っても返ってくることのない虚しさと悲しさでほんと泣けましたよ

 ジャズを中心としたシックで落ち着いたBGMがまた、この世界観を優しく包み込むように仕上がっていて楽しませてくれます
 EDの「かは、たれどき」は今年のアニメを通しても個人的にナンバーワン! と言いたいですね
 
 終始一貫して「大人」の儚く外連味ある、美しい物語を貫き通した今作。
 既に第二期「助六再び篇」の製作と来年からの放送も決まっており、今後が楽しみです



 
 僕のヒーローアカデミア
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - A /音楽 - A /演出 - B /作画 - B /成長性 - A】


 ジャンプの新世代王道マンガの満を持してのアニメ化!
 原作の大ファンであったこともあり、放送前から非常に楽しみにしていた作品でした

 
 原作の持つ「アメリカンコミックの持つヒロイックな要素を、日本の『マンガ』的技法で表現する」という面を損なうことなく、アニメ版としては丁寧な仕上がりになっていたと思います
 オールマイトの「画風が違う」感じの再限度凄かったもんなあ

 キャストも若手、中堅クラスで固められていて、デク達のフレッシュさ、先輩ヒーローの先を行くものとしての頼れる感じが伝わってきました
 オールマイトはVOMICの玄田さんが凄くいい! と思ってたんですけど、三宅さんもトゥルーフォームとマッスルフォームの違いを上手く出していて良かったですね

 
 ひとつ不満をあげるならば、尺の都合とは言え「緑谷出久:オリジン」が二分割になってしまったところ。
 「君が、救(たす)けを求める顔してた」で怖くても、辛くても笑うデクからの「君はヒーローになれる」が印象的なだけにどうしてもね……

 原作のストックは十分にあり、既に「体育祭編」のアニメ二期も決定している今作。
 ジャンプでの連載を追いつつ、アニメも楽しんでいきたいと思います

 
 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
 ★★★★★
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - B /演出 - C /作画 - D /成長性 - C】


 国民的コミック『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメシリーズ第三弾にして、物語の区切りとしては「Part4」となる作品。
 シリーズでは初の3クール連続放送ということで、ほぼ一年通して『ジョジョ』の壮大な物語を楽しむことができました

 
 原作の中でも「日本が舞台」「日常要素が他の部よりも強い」ということもあって人気のある部だけに、アニメ化に際してはかなり力を入れていたとは思います
 実際『イタリア料理を食べに行こう』の気合の入り方、演技、作画共に凄かったですもの

 
 一方で、連続3クール、しかも全エピソードアニメ化ということで作画が微妙な回、「原作のそこカットする!?」と思うようなポイントが3部の時に比べて見受けられたのもまた事実。
 何回も言ってるけどキラークイーンの初登場シーンぜってーに許さねーからなスッタコ!
 「7月15日(木)」「同じ日に起こった出来事をひとつのエピソードにまとめる」という触れ込みでカット多めにできるような構成にしたってのもあるんじゃないかなと(鉄塔の大幅カットとか)

 とは言え、根底にある面白さは損なわれることなく、美しき「黄金の精神」を以て街に潜む悪魔、吉良吉影を打ち倒すというストーリーを今のアニメーション技術でじっくり描き通したというのはやはり、一人のジョジョ好きとしては評価せずにはいられない。
 「『重ちー』の収穫(ハーヴェスト)」の小遣い稼ぎがアニメで観れたのは本当楽しかったです


 来年はいよいよ連載30周年というメモリアルイヤーに突入し、色あせることなく輝き続ける美しき『ジョジョ』の物語。
 来年の終わりごろに「第五部『黄金の風』アニメ化決定ィィーーッ!!」とOH! GOOD NEWSを聞けることをマジに期待してます



 
 ラブライブ! サンシャイン‼
 ★★★☆☆
 【ストーリー - C /キャラクター - C /音楽 - B /演出 - C /作画 - B /成長性 - B】

 
 人気メディアミックスシリーズの「世代交代」としてのアニメ版。
 μ'sからAqoursへの移り変わりを、Aqoursの物語と併せて描いていった一作でした。

 まず評価したいのは、ストーリー的には前シリーズと地続きながらμ'sのメンバーを絶対に直接的に登場させなかったところ。
 そもそも「サンシャイン‼」の物語で重要なのは、Aqoursは声優ユニット、作品コンテンツとしては「μ'sの後釜」ですけど、あの作品世界では「スクールアイドルの隆盛の中で星の数ほど生まれたグループの一つ」でしかないんですよね
 その前提で考えると劇中でスクールアイドルの盛り上がりを作って頂点に立った存在であるμ'sと「直接」物語の中で交わってしまうのは「こんな何もない田舎のスクールアイドルだけど、μ'sみたいに輝いてみたい」って点に対してあまりにも「出来すぎて」いて、リアリティを削ぐ結果にしかならないですから
 「直接的には登場しないけれども、μ'sの物語があったからこそ千歌たちの物語は確かにそこにある」という形で終始貫き通したのは素晴らしいと思います
  
 序盤の梨子がμ'sやスクールアイドルについて大して知らない描写で「どんだけ盛り上がろうと、キョーミねー人にとってはμ'sもスクールアイドルも所詮そんなモン」と世界観の広がりを見せたのも密かな良ポイント。
 前シリーズが基本スクールアイドルを中心に回っていく物語であるが故に「広いようで非常に狭い世界」だったのを良い意味でぶち壊したと思います
 音ノ木坂の生徒だった梨子が知らないからこそ、最後の「μ'sは何も残していかなかった」と併せて「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」といった具合に「μ'sの終わり」を演出するのにも一役買っていた要素でしたね

 
 三年生組のドラマ部分は力を入れていた半面、通してみると正直微妙な出来だったなーと
 結局のところ帰結点が果南と鞠莉の二人の関係性に終始していて、その問題の解決のために千歌たちができたことってあまり無いからそれを経てメンバー入りしてもいまいち「九人で一つ」になる感じがしなかったんですよね
 と言うか、一年生組に至っては「お当番回」が終わったら殆ど賑やかしになってるだけだったよねっていう(辛うじてルビィがダイヤの妹と言うポジションでぎりぎり話に絡む感じ)

 
 一番良かったのは何と言っても12話。
 「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sになるってことじゃない」という結論を出したうえで、壁のポスターを剥がすっていう演出がとても良かった
 序盤のうるせーぐらいにμ'sμ's言ってて結局前作の「呪縛」から抜け出せていないと思わせる内容だったのも、この話で見事なまでに納得させられました

 順調に積み重ねが為されていただけに、最終回はほんとやっちまったな、感があります
 サンシャイン‼は前シリーズみたいに安っぽい茶番が無いのが良いなーと思ってたんですけど、最後の最後で長尺使って茶番ぶちこんでストーリーは投げっぱなしだったのふざけてんの? と
 特にSaint Snowという「A-RISEの後追い」というスタイルを持つが故に「自分たちらしく輝く」という結論を見つけたAqoursと上手く対極になる存在があっただけに、そこの落としどころをきっちり描かなかったのは投げっぱなしもいいところ。
 

 全体を通してみると、やはり最終回が足を引っ張って総合的には★3つといったところです
 ラストシーンは続きがあっても無くてもいいような終わり方にはなっていたので、今後は割と読めないですね(でもコンテンツの波及力的に成長性:Bぐらいはあると思う)
 仮に二期やるとしてお当番回の二周目とか、果南辺りの単発回とかそんな感じで前シリーズとあまり変わらないんじゃないかな


 
  
 NEW GAME!
 ★★★★★
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - C /演出 - A /作画 - C /成長性 - A】


 「今日も一日がんばるぞい!」のフレーズで妙にバズったことで知名度が上がった、異色の経緯を持つ作品。
 正直「あれアニメになったんだ―」ぐらいの気持ちで観てみたわけですが、その意外なまでの面白さと完成度にに驚きました

 何といっても「萌え四コマ」ながら、青葉の入社からフェアリーズ3の発売までという起承転結のはっきりした成長物語でもあったというのが大きい。
 憧れだった八神コウの許で仕事をしながら、ひとつ、またひとつと成長していく青葉の物語が素晴らしかったです

 
 なかでも素晴らしかったのは3話。
 「憧れの人に『期待』されている」と解った帰り道に、ねねっちとの何気ない会話で「自分のやっている仕事の意義」に気づくという演出、構成が語彙力を失うほどに感動したんですよね…… 
 「どんなちっちゃな仕事に見えても、その結果は誰かの幸せにしっかりと反映されている」という仕事の本質をさり気なく、押し付けがましくなく描いてくるのがベネ
 キャッチコピーの通り、「はたらくって青春」なんだよなァ

 
 キャラクターも非常に魅力的な人物ばかりなのがポイント。
 青葉にとっては憧れの人かつ上司で、でも本人は過去の失敗が心残りになってたりでまだまだ頑張らなきゃと思っている八神コウのキャラクターは特に評価したいです
 りんと二人の時が一番等身大の自分を見せることが出来る感じの距離感ほんと好き
 
 原作ではこの後もフェアリーズとは違った形の作品の製作だったり、それぞれの内面が掘り下げられていくため、二期をやるには十分なストックとポテンシャルを持っている今作。
 意外な形で出会った、意外なほどに面白い物語であると思います
 

 
 
 WWW.WORKING‼
 ★★★★☆
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - C /演出 - B /作画 - B /成長性 - E(完成)】


 昨年アニメ版もグランド・フィナーレを迎えた大人気ファミレスラブコメシリーズの「原点」となる、作者である高津カリノ先生のHPで連載されていたシリーズのアニメ版。
 
 アニメ化されたのはこちらが後ですが、元々連載されていたのはこちらが先、しかもこの作品がきっかけで高津先生は商業デビューしたという結構フクザツな立ち位置なんですよねこれ
 自分は5年前に犬組の方を知ってからサイトを見て猫組を知り、猫組の完結を見届けたという感じでしたが、まさかこちらまでアニメになるとは……と今にして

 改めて通してみると、ヤンガンに連載された「犬組」と違ってプロトタイプ版であるこちらの「猫組」はもともと商業作品で無いが故に、一般受けを考えずにクセのある人物が多いなーと
 ぽぷらの存在が如何に商業受け考えてうまいバランスで考えられたキャラなのかってのがわかりますね
 でもその「クセ」「クセ」になるから本当に面白いんだよなって

 今作はラブコメの方向性もまだ粗削りではあって、村主さんと足立君の二人の流れは一つのカップルが成立するまでの話としては「納得! くっつくしかねえ!」ってぐらいに思わせるレベルでは最後まで無かったり
 二人のお互いに対するベクトルがいまいち弱く見えるせいかな
 そこら辺もヤンガン版は昇華してる感じ
 
 
 一方で志保ちゃんとユータ君の流れは大好きだったりします
 志保ちゃん超絶めんどくせーのにそれが可愛いしくっついて欲しいと思えるから不思議!

 
 今作のルーティンギャグのひとつである「聖バレンチヌス」の動いている姿が見れたのも楽しいポイントのひとつ。
 アニメ化が決まった時から「動くバレンチヌスが!? 見れる!?」ってひそかに期待してましたからねおれ
 聖バレンチヌスに対しての華ちゃん当りキツくてほんとすき


 原作を上手く消化し、1クールできれいに完結させた今作。
 今後何かしらの展開があるとすれば、ぽぷらがこっちの店舗にヘルプで行く話だったり、伊波ちゃんと小鳥遊君が猫組面子を目撃したりする「Re:オーダー」のOVAとかですかね
  

 ・映画部門



 
 ズートピア
 ★★★★★
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - A /演出 - A /作画 - A /成長性 - E(完成)】


 ディズニーが贈る、動物の街を舞台にしたバディの成長物語。
 
 今作は多民族国家のアメリカが贈る作品と言うこともあり、「差別」に対し真っ向から向き合う作風となっていました
 「草食動物」「肉食動物」の隔たり、中盤からの展開はまんま人種ごとの違いの置き換えだよなあっていう
 「差別は特別な悪い人間がするものではなく、『普通』の人たちが『普通』にしているもの」ってのがジュディの両親の描写などから伝わってきます
 
 ジュディとニックの二人が、少しずつ苦難を乗り越えて信頼を築き、一度はその信頼が壊れ、最後には最高のコンビになるという起承転結も最高。
 最後のニックが警官になったところでボロッボロに泣きましたもんおれ

 何といってもラスボスであるベルウェザーが「弱者であることを利用して強者を追い落とそうとする」というキャラクターだったのが「差別」を描く上で重要な役割を果たしていたと思います
 「差別に対するムーブメントを利用しようとする被差別者だっている」
 「強い人間が悪いとは限らない、弱い人間が正しいとは限らない」

 という部分を見事なまでに描いてくれた、良い「悪党」だったなと

 小ネタとして「現実を受け入れろ、『ありのまま』に!」と、『アナと雪の女王』を意識したセルフパロディには笑わせてもらいました
 あれ原語でも「Let it go!」って言ってるんですよね

 心にさわやかな風を吹かせてくれる、後味のすっきりしたディズニーらしい素晴らしい作品でした
 ひとつの作品として完成しているので、成長性はあえてE(完成)で。
 


 
 ONE PIECE FILM GOLD
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - A /音楽 - B /演出 - B /作画 - B /成長性 - E(完成)】


 名実ともに日本一の大人気コミックの劇場版。
 尾田先生が監修したワンピ映画は毎回レベルが高く非常に面白いので、今回も劇場まで足を運びました

 今回は「GOLD」の名の通り、全体として「ゴージャスさ」がテーマになっていて、黄金のカジノ、ムーディーなジャズ・サウンド、きらびやかな衣装といった要素をふんだんに詰め込んでいて、いつもの麦わらの一味とは一味違った冒険が見れるのがポイント。
 尾田先生がデザインしたグラン・テゾーロでの正装のデザインほんとおしゃれ

 ゲストヒロインであるカリーナとナミの友情もサブストーリーながら上手く纏まっていました
 ワンピはキャラ付けの為に笑い声を独特のものにするってのがありますけど(白ひげの『グララララ……』は地震の能力と相まってほんと秀逸)、「うししっ!」ってのシンプルで可愛かったですね……

 
 何といっても、今回の悪役であるテゾーロのキャラクターとしての完成度が特に目を引きます
 天竜人によって小さな幸せを滅茶苦茶にされてひたすらにカネを追い求めるようになったけど、結果として天竜人と変わらない邪悪さに染まっていて「新世界の怪物」とまで呼ばれるようになった。
 けれど、カネも何も無かったころのちっぽけだったテゾーロはステラに幸せを与えることができていた。
 「カネの有る無しと幸せはイコールじゃない」という点を持ってくるのが、「ゴージャス」をテーマにした今作と真逆でありそれがエッセンスになっているという素晴らしさ。
 山路さんは本編のほうでもセニョール・ピンクという悲哀を背負いながらもカッコ良い男を演じていましたが、これなら兼役も納得ですね

 悪党メンツは今回みんなキャラが立ってたとは思います
 ダイスの「きもてィ〜〜!!」で毎回客席から笑い声が上がってたのはご愛嬌
 タナカさんの、おしゃれなカジノを舞台に「テゾーロ」「バカラ」「ダイス」ときて一人だけ「タナカさん」と平凡なネーミングにしてくるギャグセンスほんと見習いたい
 バカラのラキラキの実の能力の脅威と、それを知恵とビビりながらの根性で切り抜けるラストバトルも面白かったですね
 
 そして最後に、お互いに想うところはあれど全力でルフィとぶつかり合うのが恒例ながらディモールト・ベネッ!
 覚悟も、悲哀も、怒りもすべて胸の内に秘めて目の前の相手をぶっ飛ばす! なのがほんと「王道」ながらそれでいい、それがいい! と思わせてくれんのスゲーよなーって

 日本一の漫画の名に恥じない、一本のアニメ映画としても傑作の部類に入る作品でした
 

 
 
 君の名は。
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - A /演出 - A /作画 - A /成長性 - E(完成)】


 言わずと知れた、2016年下半期の一大ムーブメントとなった作品。
 新海誠作品を観るのは初めてでしたが、普段アニメを見ない層にも求心力があるだけはあり、その世界観にすっと入っていける良作でした

 「入れ替わり」という手垢のついたネタを題材にしながらも、「都会」「田舎」という同じ国の中にありながら隔たりのある二つの「世界」がそれを通じて一つになり、一つになったところで「ティアマト彗星の衝突」というどうしようも無い事実に直面しながらもそれに立ち向かっていく。
 その過程を通じて、瀧と三葉の心の距離が少しずつ近づいていく――というのがベタながらもかえって解りやすく伝わってくるんですよね

 風景描写に力が入っていて、思わずため息が漏れそうなほどに美しいシーンが多々あったのも良かったです
 星空を見上げるシーンとか、ご神体のある山の頂上のところとか特にお気に入り
 久しぶりに登山に行きたくなりましたね……

 ただ、ストーリー全体を見ると実は粗も結構あるんですよね
 入れ替わってから何度もスマホ弄ってるのに糸守に着くまで三年のズレに気づかなかったの変じゃない? とか、最後の糸守に彗星が衝突するところで避難できた過程が端折られてたり……と
 後者は一応番外ノベライズで捕捉されているんですけど、「お父さんを説得して糸守の惨事を回避する」は重要なファクターだけに初見だと「あれ? 結局避難できたんだ」と思いました
 つってもその「粗」が作品への没入感を削ぐかと言えばそうでも無かったところが「持ってる」作品なんだよなって

 作品としてはこれ一本で完成しているので、パラメータはこれもE(完成)で。
 むしろこれ続編あったら蛇足になる部類じゃない? 



 
 きんいろモザイク Pretty Days
 ★★★☆☆
 【ストーリー - B /キャラクター - A /音楽 - C /演出 - B /作画 - D /成長性 - C】


 『きんいろモザイク』の劇場版……ですが、これ元々はOVAの予定だったんじゃないかなと
 特別料金で観れたり、原作のエピソードの流用で「劇場版だけの新作ストーリー」でない辺りがそう感じます

 原作における文化祭のエピソードと、綾の視点から見たエピソードをうまく一本にまとめていて、全体的に綾中心の「小路綾:オリジン」と言える話運びになっている辺りが『きんいろモザイク』としては異色、ではあると思いました
 大宮忍とアリス・カータレットの友情、というのが「本筋」ではありますけど、この二人の関係性に劇的な進展、変化があるとしたらそれこそ原作やアニメ三期以降でやるでしょうしネ
 結果としてアリス殆ど喋ってないですけど……
 
 小ネタとして綾がもう一つ受験していた学校の名前が「水蓮女学院」なのがわかる人にはわかるって感じで好きです
 同じ作者の『わかば*ガール』で名前だけ登場している学校のため、三谷幸喜作品のようなゆるやかな作品世界間のつながりを感じさせますね


 総合的な評価がちょっと低くなったのは、
 
 ・作画が劇場版とは思えないほどヘタる部分がある(特にヒキの絵)
 ・綾の進学に際して余計な付け足しがあった

 
 の二つが大きいです

 原作だと「綾が二人のケツ引っ叩いてなんとか一緒の高校に合格できるまでになった」って感じだったんですけど、今回の内容は「水蓮女学院に受かっていたけど、そこを蹴って今の高校に」っていう物凄く余計な要素入れちゃったのが大きなマイナスポイント。
 そもそも「友達と一緒の学校に行きたいから」ってのを進学理由にするの、説得力が皆無ですしキャラクターの魅力を削ぐからやらない方が良いんですよ(けいおん! はその点が今もアカンと思います)
 増してや今回は周りが応援してくれたのにそれだから、周りの気持ち考えてねーだろおめーって印象になってしまうのが良くないです
 制服も仕立ててる描写ありましたしネ
 原作に無かっただけに、本当余計な付け足しだったなと

 
 それでも全体の起承転結ははっきりしていて、文化祭を通じて
 「しのと私は友達。これからも、ずっと」
 のシーンに繋げたのは素晴らしいと思います
 あの短編ほんと好きだからおれ

 二期が終わってそこそこ時間経ってましたし、一期のBD-BOXの宣伝にもなってタイミングとしては丁度良かったです
 三期以降にも期待ってとこですね
 


 
 劇場版 艦これ
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - C /演出 - A /作画 - B /成長性 - C】


 人気ソーシャルゲームのアニメ化を経ての劇場版。

 去年の総括でも書いたけど艦これのアニメ版っても〜〜どーしよーもねーくらいのクソゴミうんこだったんですけど、今作は
 
 ・地続きながらもTVシリーズを見ていなくてもゲームやってればある程度は解る構成
 ・一個の話として筋道がしっかりしている
 ・二次創作ネタは入れない
 ・人気艦だからと言って必要ないシーンでも出すのを廃止している(そもそも出番自体無い艦も多い)

 
 ってので「TVシリーズのよくなかったところ」をばっさり無くしているために普通に見れる出来にまでなっていました
 かと言って最終話で鳴り物入りで登場した大鳳が全く触れられなかったりしたのは「えっ?」って感じだったですけど

 TVシリーズだと出番が無かったキャラの新規登場が結構多かったという印象。
 天龍、古鷹、加古、鳥海、天津風、時津風などが結構台詞あり、戦闘シーンありの好待遇
 時津風好きだから登場は地味に嬉しかったです
 
 「艦娘と深海棲艦の終わりの無いように見えるループ」は、プロデューサーの田中さんが脚本に関わっていることもあり、本家ゲームの方でもここ最近顕著になってきた展開を入れて来たなという感じです
 萩風と駆逐水鬼のように「ボス艦=報酬艦」で繋がりを示唆していたのを更にスケールアップさせた感じ
 加賀が「深海棲艦だった頃の記憶を持っている」って設定が追加されましたけど、普段のミステリアスな感じを含めると赤城の方があの設定似合いそうな気もするんスよね
 吹雪と深海吹雪の会話シーンがポエム全開なのは「あーこれ謙ちゃんの趣味やろ」


 如月の扱いについては割と個人個人で評価が割れるポイントだと思います
 一応ラストで過程は端折ったけどまた睦月のところに戻って来るところが示唆されてますけど、そもそも好きなキャラが辛い目にあってるの自体が嫌って人の場合はかなりアレなんじゃないかな
 
 そもそも何故吹雪が「主人公」であり話を動かしていく役目たりえるか、ってのは「別に吹雪である必要は無くて偶々そういった境遇になったのが吹雪だった」と解釈できる理由付けになってたなって
 逆に言うとあの設定流用すれば誰でも「主人公」たりえるってのがストーリーの可能性としては結構面白いですね

 全体を通してシリアスで重苦しいシーンが多いので、もうちょい艦隊の日常要素も見たかった……ってのはあります
 ただ、やはり前述の通りTVシリーズでアレだったところを削っている為に普通に面白かったと言える劇場版でしたね
 

・主題歌ランキング(OP部門)
 
 OP曲、映像など総合的に判断して良かったもののベスト3。
 
 
 3位 だがしかし 「Checkmate!?」

 
 2位 WWW.WORKING‼ 「Eyecatch! Too much!」

 
 1位 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 「Great Days」

 


・主題歌ランキング(ED部門)
 
 ED曲、映像など総合的に判断して良かったもののベスト3。
 
 
 3位 ラブライブ! サンシャイン‼ 「ユメ語るよりユメ歌おう」

 
 2位 僕のヒーローアカデミア 「HEROS」

 
 1位 昭和元禄落語心中 「かは、たれどき」


・ベストエピソードランキング

 エピソード単位での面白かったもののベスト3。

 
 3位 ラブライブ! サンシャイン‼ 第12話 「はばたきのとき」

 
 2位 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第39話(最終話) 「さよなら杜王町――黄金の心」

 
 1位 NEW GAME! 第3話 「遅刻したらどうなるんだろう」


 2016年はジョジョ四部、ヒロアカ、Web版わーきんといった「面白いのは当たり前!」な作品以外にNEW GAME!、落語心中と新たに素晴らしい作品に出会えたことにマジに感謝したいです
 劇場版路線も結構いろいろやってた印象でしたね 

劇団四季 『美女と野獣』 福岡公演 感想

March 22 [Tue], 2016, 23:59
 先日、キャナルシティ劇場へと足を伸ばし劇団四季『美女と野獣』を観劇した。
 本記事は、公演を観た上での感想を述べるものである。
 
 ※表現についてのネタバレも含んでいるので、読む際にはご注意ください。


 今作は91年のディズニーの同名のアニメーション映画が基となっている。
 衣装やキャラクター造形も同映画に基づいて作られており、ビーストなどはアニメーションの中から抜け出てきたかのような錯覚を覚えるほどの出来栄えであった。

 家財道具に変えられた召使いたちの多種多様さも本作の特徴であるが、どの登場人物も実に見事に「家財道具にされた人」感が出ている。
 それらは演技は勿論のこと、非常に凝った衣装もまた一役買っていた。
 特に、コッグスワースの腹の時計、ルミエールの両こぶし、タンス婦人の身体などは目をみはるほどだ。
 「道具」「人」、両方を無理なく表現することが出来ており、それ故に見る側は違和感を全く感じずに、舞台の上で本当に魔法でも使われているかのように物語に入っていくことができるのだ。

 魔法と言えば、クライマックスにおけるビーストが王子へと戻るシーンには度肝を抜かれた。
 一度は息絶えたビーストの身体がなんと空中で回転し、照明が瞬き一瞬のうちにビーストから王子へと戻ってしまう。
 勿論技術の為せる技ではあるのだが、この手際は傍目には魔法のように映ることうけあいだ。
 
 セットも流石に一流の劇団なだけはあり、とにかく趣向を凝らし見る者の目を引き付ける。
 特に城の中のセットはただただ「凄い!」の一言だ。
 ビーストの居る西の塔のセットは、回転させることによって部屋の中と外、両方が解るようになっている。
 内に籠もるビーストの苦悩も、外に向かって気持ちを解き放つときも両方表現でき、心情を視覚的にもわかりやすく見せていた。
 
 図書館のシーンも、本棚の本はすべて書き割りに書かれた絵なのだが、照明の当て具合によって本当に本が詰まっているかのように見せている。
 照明とのバランスでこういった視覚的効果を作り出す、というのはじっくり研究し大道具が作れるプロの舞台ならではであろう。


 ここまでは、セットや衣装などについて述べてきた。
 それでは、役者の演技についてはどうであろうか。


 まず、やはり声の「伸び」に圧倒されるというのがある。
 かなりの距離がある舞台で喋っている筈なのに、まるで目の前で喋っているのではと思わされるほどにクリアでよく伸びる声。
 私自身、大学の部活レベルではあるが演劇や舞台に立った経験があるので、発声についての指導の徹底ぶりを実感させられる。
 「大きな声でささやく」という、一見して矛盾して見えるこの言葉をしっかりとやってのける辺りにただただ感動させられた。

 また、「緩急」の魅せ方が他劇団などに比べ際立って上手いというのがある。
 城に初めて立ち入るシーンにおいてビーストが恐ろしく見えるように威風堂々、居丈高といった演技が為されているが、ベルを夕食に誘おうとするシーンや思い悩むシーンでは一転してコミカルさを見せる。
 コッグスワースとのやり取りは、小さな子供の笑い声も起きていて非常に「わかりやすい」のだ。
 それは勿論シナリオの段階で人間の感情というものの多様性をしっかり描き出しているからこそ、というのもあるが、やはり役者の演技によってシナリオと言う文章を生きた表現にすることによってこういった「緩急」の魅せ方の上手さというものが出ているのだろう。

 足ふきマットに変えられた召し使い役の人は特に印象に残った。
 何せ、あの動きにくそうな衣装で前転側転とアクロバティックな動きを連続して行う為、否が応でも見る者の目を引く。
 あの動きを完成させるまでにどれだけの練習を行ったのだろう、と思いを馳せるのもまた一興だ。
 

 個人的にMVPだと思うのは、高橋基史氏によって演じられる敵(かたき)役、ガストンだ。
 
 私は元よりディズニー・ヴィランというものが好きだ。
 ガストンにはジャファーやアースラのような闇の力からくる邪悪さ、フック船長のような際立ったコミカルさは無い。
 だが、ハンサムな顔の下に醜い自惚れが詰まっているガストンは、醜い野獣に変えられているが内面は未熟で純粋さを持ったビーストと対比の構造を為しており、今作にとってはぴったりの敵役だ。

 高橋氏の鍛えられた身体と低めの声、そしてガストンの「伊達男」感を出せる佇まい。
 命を助けられておきながらビーストを刺すシーンは、ガストンの人間性を全身を以て表現しており、声にならない声が出る素晴らしさがあった。
 
 
 今作はミュージカルである為、歌のシーンもとにかく多い。
 ミュージカルの素晴らしいところは、善人も悪党も、動物も物も誰もかもがその気持ちを歌にのせて表現することができることだ。
 そこに差は無く、ある意味で「平等」である。
 町の者たちがベルを変わり者だと小ばかにして歌うシーンや、悪党たちがモリースを狂人に仕立て上げようと企むシーンにも歌があることからもそれが解る。

 私のお気に入りは、やはり中盤の見せ場の一つである夕食のシーンの歌であろう。
 食器たちが歌い踊り大盛り上がりする様は、ベルが「楽しかった」と言うに相応しい高揚感を持っていた。


 色々と書いてきたが、この高揚感、素晴らしさはやはり劇場に足を運んで生の体験として感じてもらいたいと私は考えている。
 ある意味で「禁じ手」であるこの言葉を思わず使ってしまうほどに素晴らしい舞台だった、という言葉を以て、この文章を締めくくらせて貰いたいと思う。

2015年アニメ 総括

December 30 [Wed], 2015, 20:00
 今年見たアニメの作品ごとの総括になります。
 自分が「今年見た」って括りなので、数年前の作品も多々含まれていますがそこはご容赦をば

 一応評価基準として、総合的に

 ★★★★★(星五つ)

 ★★★★☆(星四つ)

 ★★★☆☆(星三つ)

 ★★☆☆☆(星二つ)

 ★☆☆☆☆(星一つ)


 で評価。星が多いほど自分の中で評価が高いです

 それと、作品内の要素として

 【ストーリー/キャラクター/音楽/演出/作画/成長性】

 をA〜Eの五段階で評価。A>(中略)>Eの順で評価が高いです
 
 各項目の詳細はこちら。

 ストーリー

 話として筋道が立っているか、キャラクターを上手く使える構成になっているか、盛り上がりのポイントなどが作れているか、など。

 キャラクター

 登場人物個々のキャラ付け、言動などが魅力的であるか。
 
 音楽

 主題歌、劇伴などの使い方、曲の雰囲気など。
 
 演出
 
 隠喩や風景描写、キャラクターのアングルなどの映像的演出。

 作画

 作画の描き込み具合、美麗さ。絵的に違和感を感じないのが最低基準。

 成長性

 作品としての伸びしろ。完結した作品などは自然とE(完成)になりやすい。



 
 ハピネスチャージプリキュア!
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - C /演出 - B /作画 - D /成長性 - E(完成)


 毎年恒例プリキュアシリーズ。
 10周年記念作品ということで、思い切った試みの多かった作品だと思います。

 
 今までS☆Sのブルーム、イーグレットからブライト、ウインディぐらいしか例の無かった(と言うより、これは二段変身に近い)「フォームチェンジ」「お着換え」の要素と組み合わせて取り入れたのがまず面白いポイント。
 衣装を効果的に見せること優先と作画の都合から、「決め技」専用にしたのも無駄が無かったと思います

 
 今まで満と薫、せつな、エレンといった「敵だったけれど途中から仲間になった」、裏を返せば「悪事によって人を傷つけたという業を背負った」追加キャラは数あれど、「ひめがアクシアの箱を開けてしまった」という事実があることによって、初期メンバーが深い業を背負っている、というのも斬新。
 中盤までのいおなとのやり取りを通して、その事実としっかりと向き合って成長していった辺りで『ハピネスチャージ』が好きになっていったなーと
 
 そして今までも恋愛要素は数あれど、めぐみとブルーの関係、誠司の存在によってこれもまた今までと違った趣向だったのが印象的。
 シリーズでも一番のカップルであるココとのぞみの場合は「パルミエ王国を復活させようと頑張っているココの力になりたい」という思いから始まり、そこから段々と「そんなココがわたしは大好き」に変わっていく流れでした。
 めぐみとブルーの場合、「地球のみんなのことも、ミラージュさんだって本当は救いたいブルーの力になってあげたい」という気持ちが少しずつ固まっていくも、「そんなブルーがわたしは大好き」という気持ちに関してははっきりとせず、終盤においてミラージュを救い出して幸せな二人を見てやっと自分がブルーに「力になりたい」以上の気持ちがあったことを自覚する、というのが「好き、って気持ちって意外と自分じゃ気づかなかったりするよね」という恋愛の本質の一つを突いていたと思います。
 誠司もまたそんな二人にもやもやと複雑な思いを抱いていく、という三角関係に近い構図が、「人を好きになるって楽しいことばっかりじゃないよね」という部分も描いていてくれたのが凄くリアルでした
 
 
 「ミラージュとブルーが元の鞘に納まって二人は幸せ、だけどめぐみは辛い」という流れは、「誰かが幸せになれば、誰かがそのぶん辛い思いをすることもあって、『みんな』が幸せになるのって本当は凄く難しい」という世の本質を突くかのよう。
 プリキュアシリーズは色々と複雑な事情はあれど、基本的に「みんなで頑張って悪い奴を倒したらみんな幸せになったよ」を通して描いてきたので、この流れは少しばかり衝撃的だったのを覚えています
 「ハピネスチャージ」というタイトルの通り、「幸せになるにはどうしたらいいんだろう? 幸せってなんだろう?」という部分に迫ったのが、10周年で「今までのプリキュア」「これからのプリキュア」を考える上では必要だったのではないでしょうか。
 最後に誠司との関係もはっきりと決着をつけず、「プリキュアとしての使命を終えて、これから彼女たち自身の頑張りで『幸せ』に辿り着いてみせるよ」と言いたげなラストも素敵 


 今までは敵組織を倒したら終わりだった戦いも、ミラージュの開放で幻影帝国が壊滅して一旦は世界が平和になった後で黒幕が出現する、という構図だったのも実は結構斬新だと思います
 幹部との決着も割と例年より早めにつけましたしね
 
 
 10周年記念のメッセージで久しぶりに今までのプリキュアに会えたのも楽しかったです。
 5から見始めたんでやっぱり5のメンバーが来るとテンション上がりましたね

 現在放送中の『Go! プリンセスプリキュア』、そして来年の『魔法つかいプリキュア』へと繋がっていくプリキュアシリーズ。
 その流れがあったのは、『ハピネスチャージ』の10周年記念作としての試みがあってこそだと思います 
 
 
 ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース
 ★★★★★
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - B /演出 - B /作画 - A /成長性 - C】

 
 1部、2部のアニメの大ヒットを受けて制作された、『ジョジョの奇妙な冒険』第三部のアニメ版。
 いよいよジョジョを代表する要素、『幽波紋(スタンド)』が登場するとあって、「これを機会に見てみよう」という新規のファン層も今まで以上に増えていた気がします。
 
 原作の壮大なストーリーを、分割4クールという放送形態でカット無しに全てアニメ化し、更に原作の補完も独自にやってのけたのがまず良ポイント。
 1、2部の時は族長コールやブルりんといった名シーン(というより、ジョジョはどのシーンも印象的過ぎてある意味全てが名シーンですよね)がカットされていたのが残念だったのでこれは素直に嬉しかったです
 
 
 「その身体、エリナおばあちゃんの為にも返してもらうぞッ!」
 「エリナ? ……ああ、あの田舎娘のことか。くだらん」


 といった台詞で1部2部との繋がりも強くなっていて、「『ジョジョ』は100年以上に渡る壮大な大河的ストーリー」というのがより強調されていたと思います
 
 
 ポルナレフとイギーの絡みを増やして、ヴァニラ・アイスとの戦いにおけるやり取りの説得力が高まっていたのも印象的。
 この二人の絡みって原作だと意外と少なかったですね
 
 
 演出に関しては、原作でも「キャラクターの配色は特に固定しない」という演出があったのを利用してシーンごとに色が変わったりするのが「おお!」
 大胆に色を変えてキャラクターの心情や場の雰囲気が演出される、というのが面白さを高めていたなーと

 
 声優も大御所や中堅以上がメインとして起用されていて、演技に安定感があったのが素晴らしい。
 偽キャプテン・テニールに玄田さんなんて豪華すぎだろぉ! と当時は思いましたもんね
 度々言ってるんですけど、ポルナレフの小松さんはほんと今作のMVP。
 ポルナレフの熱さも、コミカルさも全て包み込んで演じた感が「熱」となって伝わってきた気がします

 総括すると、「漫画作品のアニメ化」「ひとつのアニメ作品」の両方において高いレベルの作品だったと思います
 原作ファンなのを差し引いても、これはほんと凄い作品ですよ
  
 
 あと個人的なお気に入りは、このスタンドパラメータ!
 こうやってそれぞれのスタンドをトレーディングカードのような構図で描くのが凄く好きな感じ
 
 
 そして、第四部『ダイヤモンドは砕けない』もアニメ化が決定!
 三部アニメ終了時には告知やそれを匂わせるシーンは無かったものの、タイミング的には1、2部の時から3部の発表とそれほど変わらなかったですね 
 三部のロードムービーから一転して、一つの街を舞台に次々と巻き起こるスタンド使いとの戦い。
 物語の趣向がガラッと変わるだけに、アニメとしてどういった感じになるのかがこれまた楽しみ
 四部は『レッド・ホット・チリ・ペッパー』『ハイウェイ・スター』『エニグマ』戦なんかは特に好きなんでどう描いてくれるかが気になるところ

 まだまだ留まるところを知らない『ジョジョの奇妙な冒険』
 来年4月からの『ダイヤモンドは砕けない』も楽しみです 

 
 艦隊これくしょん-艦これ-
 ★☆☆☆☆
 【ストーリー - E /キャラクター - E /音楽 - C /演出 - D /作画 - C /成長性 - D】


 2013年に爆発的ヒットして以降、色々とコンテンツの拡大を図っているブラウザゲームの満を持してのアニメ化。
 自分も一「提督」ということもあり、アニメ化を心待ちにしていた一人でした。
 しかしながら、一つの「作品」としても「ゲームのアニメ化」としてもお世辞にも褒められた内容ではなかった、と思います。
 
 
 公式で主人公と設定されつつも、それを活かしたメディア展開が殆ど無かった(桃井さんの四コマぐらい)吹雪を主人公に据えたのは良いんですけど、「吹雪を持ち上げるために他のキャラクターを下げている」って話が多くて「成長物語」として凄く雑。
 瑞鶴、加賀、大井、北上、金剛と組んだ時の他の面々の先輩としての矜持の無さヤバいっすよあれ
 何かを持ち上げる為に何かをこき下ろす、って一番やっちゃ駄目な手法でしょうに

 そもそもキャラクター描写に関しては本当にメタメタなのが今回のアニメ版でして、

 ・原作と乖離しすぎたキャラ(睦月、霧島など)
 ・二次創作ネタ取り入れたせいで目を覆いたくなるほどの改悪になっている(足柄、赤城、大井、長門)
 ・そこそこ好きなユーザーの母数が多いからか、別にいなくてもいいよねって場面でもいたりする(暁型、愛宕、那珂)
 ・明らかに舞台装置として扱われている(如月、祥鳳、長門)
 ・いる筈なんだけどどういう人物かまったく解らない、それ故に艦娘が信頼を寄せているというのにも疑問の生じる提督


 とまあ、思い出すだけで頭の痛くなるこの惨状。
 どのキャラクターにも必ずファンのいるソーシャルゲームでここまでキャラクターの価値を下げるような描写をやってしまうのは明らかにアカンやり方だったと思います
 如月は特に「仲間が死んで辛い」「艦娘たちの戦いは死と隣り合わせ」ってのをやりたかったんでしょうけど、メインキャラで如月と絡みがあったのが睦月だけで、その睦月も最終決戦だと鎮守府で留守番してたりで舞台装置としても不十分だったってのがその酷さに拍車をかけてるというか

 全体の話の流れとしても、「鎮守府に余裕がない」って状況でカレー大会やってたり「敵艦載機を撃ち漏らした」って状況で海で遊んでたりと「その流れおかしくない?」ってのが多くてこれまた雑。
 特に最終回のピンチと増援繰り返して唐突に大鳳が出てくる流れとかもう見てらんないです
 
 ここは個人的な意見ではあるんですけど、「艦娘以外の人間」が全く登場しなかったことから、「人類の為に戦っている」って部分も希薄になっているというのはあると思います
 銃後にいる人間の描写も為すことで、艦娘の戦う意義というのもより強調されたのではないでしょうか
 せめて市井の描写は無理でも鎮守府で艦娘以外の職員の描写なんかがあればなーと
 
 ほんと、「艦これ」という活かしようでいくらでも名作になり得る原作でようもこんなアニメが出来たなぁ、と
 2013年の時点で「アニメやったらどうなるだろうねえ、楽しみだよね」と友人と語り合ったりと期待値が高かっただけに、凄く残念です
   
 
 アイドルマスター シンデレラガールズ
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - A /演出 - A /作画 - B /成長性 - B】


 アイドルマスターの派生ソーシャルゲームの満を持してのアニメ化。

 
 ゲームでメインだった卯月、凛、未央を話の中心に据えつつ、人気の面子をレギュラーキャラとしてあらかじめ設定してきたのがまず無駄が無くて良いと思いました
 それでいてシンデレラプロジェクト以外の面々でも話に絡んでくる面子が大体決まっている形にしたことで、「人気あるキャラなのは解るけど不自然に出番多くない?」ってのがあまり無いですしね
 1クール目はシンデレラプロジェクトの成長をメインにしつつ、2クール目で楓さんや美嘉のエピソードも描いたことで「アイマスはみんなが主役」という基本コンセプトがぶれ無いのもいい感じ。

 基本的な構成は1クール目で駆け出しから成長、2クール目で売れ始めるとともに受難、というアニマスとほぼ同じ形。
 ここら辺は捻ってほしくはありつつも、下手に新しい試みをやるよりは無難な流れを選んだほうが良いよなーとも思うんで難しかったですね
 善澤さんが直接登場したり、765の面々やJupiterの存在が示唆されていてアニマスからさらに先の時間にある物語
 
 
 そしてこれまたアニマスを踏襲する形で、プロデューサーがキャラクターとして登場したのは良かったなーと
 アニマスPと対照的に、寡黙で言葉少ななキャラ付けにすることによって「アニマスの流れは汲むけど、違ったものにするぞ」という意気込みも感じられました

 
 美城常務はシンデレラの「継母」を意識しつつ、アニマスで961プロが担っていた「アイドル達への受難」の部分を描くために登場させたキャラとしてはなかなか良かったんですけど、彼女がなぜ「346プロの格式」「346に相応しいアイドルを」という点にこだわるのか明かされなかったのは残念なところ。
 結局そこが解らないと彼女のキャラクターにも深みが出ないですし、彼女のプロジェクトの側でも頑張ってるアイドルがいるぶんそこにさらに説得力を持たせるという意味では必要だったと思います
 後はまあ、納期に間に合わなくて総集編で繋いだ回が三回もあったのはいただけないなーと

 しかしながら、全体を通して見るといろいろな要素が最後には物語の締めくくりを盛り上げる材料としてしっかりと機能していて、アイマス10周年の年のアニメに相応しい良作であったと思います
 10年間を通して培ってきた「アイドルマスター」の要素を詰め込んでいて、コンテンツの更なる発展にも繋がっていく可能性を予期させるのが素晴らしいですね
 
 
 きんいろモザイク
 ★★★★★
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - B /演出 - A /作画 - B /成長性 - A】
 
 ハロー!! きんいろモザイク
 ★★★☆☆
 【ストーリー - C /キャラクター - B /音楽 - B /演出 - D /作画 - B /成長性 - B】


 今年に入って一期と二期まとめて見たので一緒に。

 フォロワーさんの一人がよく熱く語っていたので興味を持って見ることにした一本でした。
 結論から言ってしまうと、「見てよかった」と思える作品でしたね

 原作からして萌え4コマの体を取りつつも、人物描写の丁寧さや時間の経過に伴うストーリー性が高くなかなかの面白さを持っていて好感触。
 「リアリティ」「フィクションらしさ」のバランスが取れていて、作品の中にスッと入り込める感覚があるのが良いと思います
 
 
 原作でたった3コマだった「忍のホームステイ」を一期一話でしっかりと描写したことによって、忍とアリスの精神的な繋がりに説得力を持たせていたのは特に評価したいところ。
 これを踏まえてOPの写真のカットを見るとグッと来るものがあります
  
 他にアニメ版の個人的にお気に入りポイントとしては、サブタイトルが絵本をもじったものになっているところ。
 メインの登場人物に「アリス」がいることを活かして登場人物に一期一話の「ふしぎの国の」で「ふしぎの国のアリス」とかけてきたのに始まり、「きょうはなんの日?(きょうはなんのひ?)」「はらぺこカレン(はらぺこあおむし)」「すてきな五にんぐみ(すてきな三にんぐみ)」と絵本から色々と引用しているのは、今作の優しい世界観とマッチしていて素晴らしいと思います
 子供の頃に絵本好きで何百冊も読んだので馴染みが深い、ってのもありますね

 全体的な世界観がよく出来ているだけに、二期九話と十話は「これは違うだろォ」といった印象を受けたのが残念。
 両方ともアニメオリジナル要素が多分に含まれていますが、綾と陽子の関係の描写も、原先生がやらないようなセクシャルなアングルも本作の本来持つ感覚にそぐわず、異質な印象が拭えないといったところ。
 二期の総合評価が一期よりもマイナスなのはこの点が大きいですね……
 一期のアニメオリジナル要素はそういった印象は無かっただけに、余計に気になりました


 原作ももうすぐ三年生というところに差し掛かり、「終わり」が見えてきた本シリーズ。
 「WORKING!!」同様、原作の完結を待ってしっかりとした作りの三期でラスト、というのが理想ですね

 
 WORKING!!!
 ★★★★★
 【ストーリー - A /キャラクター - A /音楽 - B /演出 - A /作画 - C /成長性 - E(完成)】


 言わずと知れた大人気ファミレスラブコメシリーズ。
 第二期から原作の完結を待ち、4年の間を開けての完結編となる第三期となりました。
 
 
 基本は原作に忠実ながら、それぞれの人間関係が固まりつつある時系列が今回は主軸になっているので、一話でキャラ見せをやりつつも基本一期から見てきたファンに向けたつくりになっていたと感じます。
 伊波ちゃんと小鳥遊君、佐藤君と八千代さんの恋の決着、ってのはずっと追いかけていたからこその感慨のあるシーンになっていましたしね

 
 エピソードが進んでいくに従って「これ纏めきれるのかなあ」と思っていたら、まさかの「完結エピソード1時間スペシャル」という深夜アニメでは破格の好待遇!
 これは今作の確実な人気と、「原作のラストをしっかりと描いてほしい」というファンの期待値があってこそだと思います
 とは言え1クール空けてからの放送だったのは気持ち的にちょっと焦らされたかなあ、とも

 
 「俺の長所は、好きなものを好きだと言えることなんです!」
 「俺は伊波さんが、好きです」

 
 最悪の出会いだった二人がお互いのことを解りあって、互いに苦難を乗り越えて最高のカップルになる。
 月夜という状況を情緒的にしすぎず、それでいて美しく演出した告白のシーンは本当「最高かよ……」の一言につきます。
 原作でも思ったんですけど、夏目漱石の有名な「月がきれいですね」にもあのシーンはかかってるのかなーと

 二人の関係に決着がついても、少しずつ状況が変わりつつも毎日が過ぎていくかのようなラストは「告白はゴールじゃなくてこれからの二人のスタート」とでも言えるかのよう。
 伊波ちゃんと小鳥遊君以外の登場人物にもそれぞれに何かしらの決着が用意されていて、「人は皆それぞれに物語がある」っていう当たり前だけど物語を見る上では決して普遍的では無い感覚があるのが好きです
 皆にそれぞれの物語があっただけに、最後に一期のOPである「SOMEONE ELSE」が流れて、これまでの物語がダイジェストで流れてきた時ボロッボロに泣けましたわ
 
 
 「バイト先の仲間の関係なんていつまで続くか解らないけど、……長く続くといいね」
 っていう峰岸さんの台詞が、この作品の全てを内包しているなーと
 直接的にはワグナリアの人間関係に関係ない峰岸さんだからこそ、この状況を俯瞰して言える台詞でもありますよね

 最高のラブコメを最高の演出と演技力でアニメ化した、最高のアニメ。
 こんな素敵な物語に出会えたことに感謝したいです

 
 ご注文はうさぎですか?
 ★★★☆☆
【ストーリー - C /キャラクター - B /音楽 - C /演出 - C /作画 - B /成長性 - C】

 ご注文はうさぎですか??
 ★★☆☆☆
【ストーリー - D /キャラクター - B /音楽 - C /演出 - E /作画 - B /成長性 - C】


 こっちも一期と二期まとめて観たので一緒に。
 
 「木組みの家と石畳の街」を舞台に、という世界観はファンタジックさとお洒落さがあるものの、掘り下げる訳でも無いので(作劇上やらなくてもいいですしね)そういった部分に意味があるのかと言われると実はあまり無い気もします
 「そのネタこの世界観じゃなくても通用するよね?」という部分は多分にあるかなーと
 
 ストーリーの運び方としては、

 1羽→ラビットハウス(ココアの来訪、チノとリゼとの出会い)
 2羽→甘兎庵(千夜との出会い)
 3羽→フルール・ド・ラパン(シャロとの出会い)

 
 と、店単位で分けていてキャラ見せとしては1話1話かけて割と丁寧にやってる感じはなかなか好感触。
 「原作に無くても紹介を兼ねてワンカットだけ先の話から出てくるキャラクターを出す」って演出があまり好きじゃないんで、それが無かったのは良かったです

 
 サブキャラのキャストが豪華なのがまた凄い!
 タカヒロさんに速水さんってのは良いキャスティング。
 ティッピーの声には大御所の清川元夢さんで、ラビットハウスの雰囲気に合った安定感がしっかりと出ていたと思います
 二期でリゼ父に東地さんが来たのも「おお!」

 しかしながら、「やりとりが寒いことが多い」「ココアの声が苦手」ってところで総合的な満足度はちょっと低くなりました
 この手のアニメは「キャラクターを可愛く見せる」ってのが一番大事なポイントになるわけですけど、やり取りやギャグの寒さでそれに失敗しているって感じ。
 フィクションの中におけるキャラクターの会話ややり取りは「リアリティのある自然さ」「フィクションならではの虚飾」のバランスによって成り立っていて、そのバランス配分が絶妙な程キャラクターは魅力的になっていきます。
 ごちうさの場合は後者が過剰のきらいがあって、寒く見えることが多くなっている印象を受けました

 ココアの声に関しては、キャラクターとしての「保登心愛」も佐倉綾音も好きなんですけど、正直甲高い媚びッ媚びの「萌え声」が苦手なんで「うーん……」と身構える感じ。
 佐倉綾音は低音の方が良い芝居する印象ってのもあるんで(かと言ってココアの場合低音だとキャラクターに合わない、ってのがもう八方塞がりでどうしようも無いんですよね) 

 
 特に二期は作品の持ち味を殺す部分が多かった、ってのが正直な感想。
 チノは母を喪ったこと、それに伴った父との関り、祖父との別れと異常な形での再会、そして新たな生活といった複雑な成長において自然と寡黙な人格が形成されていて、それがココアとの出会いによって少しずつほぐれていくというのがこの作品の流れな訳ですけれども(二期最終羽の『ちょっと妬いたよ?』はその点が如実)、二期はチノに余計に表情をつけることが多くてその基本コンセプトを崩してしまっているんですよね(上のキャプとかこんなあけすけな笑いしないでしょ、っていう)
 一人の人物としてでは無く、キャラクターの記号だけで形成されて動かされているところが多々あったな、と
 それに加えてEDの媚びッ媚びダンスとか初見で「なにこれ……」って思うわけですよ
 一期EDのトランプを使った演出は程よいお洒落さを醸し出していただけに、余計に引っかかります
 
 やりようでいくらでも良く出来る素材はあるのに、それを活かしきれてはいないかなーという印象は最後まで拭えませんでした。 
 原作最新刊である四巻まで殆ど二期でやってしまったんで、三期は原作のストックを待ってからになりそうですね
 今作も時間経過は緩やかながら描かれているので、「終わり」をどのような方向に向けて着地させるのかは気になるところです

 
 ゆるゆり さん☆ハイ!
 ★★★★☆
 【ストーリー - B /キャラクター - B /音楽 - C /演出 - B /作画 - B /成長性 - C】


 一期以降安定した人気を誇るシリーズの三作目。
 制作会社が変わったことで、従来のシリーズよりも面白さを増していたと思います
 
 従来のシリーズでは「原作の『そこ変える必要あるか?』という部分の改変」「あかりの主人公ネタ」において失敗している感があったのですが、今作からは制作会社の変更によってそういった部分が無くなった為にストレスレスで見やすく、『ゆるゆり』という作品の本来の面白さを発揮することが出来ていたという感じ。
 一期の時になもり先生が毎回「今週のあかり」でイラスト描いてフォロー入れてた状況は正直異常だったよなあ、と
 旧シリーズで良かったところっていうとキャラソンを活かしたアイキャッチぐらいですかね……(キャラソン好き)

 
 原作からして別段「誰と誰はこの組み合わせで〜」という固定カップリングが少なく、状況によっていろいろな組み合わせがあり登場人物の関係性に多様性があるのがゆるゆりの良さの一つなので、原作からそういったエピソードを上手く纏めていた印象。
 キャラデザや作画もなもり先生の画風により近づけられていて、「漫画作品のアニメ化」「ひとつのアニメ作品の制作」の両方において良いものを作ろうとしているのが伝わってきましたね

 今作は別段時間経過は描かれておらず、「サザエさん時空」のため今後どうなるかは未知数。
 また原作のストック溜まったら四期以降やるんでしょうか
 

・主題歌ランキング(OP部門)

 OP曲、映像など総合的に判断して良かったもののベスト3。
 
 
 3位 『Now!! Gamble』(WORKING!!!)

 
 2位 『ジョジョ〜その血の記憶 end of the world〜』(ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース)

 
 1位 『Star!!』(アイドルマスターシンデレラガールズ)


・主題歌ランキング(ED部門)
 ED曲、映像など総合的に判断して良かったもののベスト3。

 
 3位 『夕映えプレゼント』(アイドルマスターシンデレラガールズ)

 
 2位 『Your Voice』(きんいろモザイク)

 
 1位 『LAST TRAIN HOME』(ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース)

・ベストエピソードランキング

 エピソード単位での面白かったもののベスト3。

 
 3位 ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 第27話 「『クヌム神』のオインゴと『トト神』のボインゴ」

 
 2位 アイドルマスターシンデレラガールズ 第13話 「It's about time to become Cinderella girls!」 

 
 1位 WORKING!!! 完結エピソード 「ロード・オブ・ザ・小鳥遊」


 今年はあまりアニメ見れなかったなーって気もします
 来年はヒロアカとジョジョ四部、魔法つかいプリキュア以外はまだ何見るか決まってないんで(おそ松さんは継続して見ます)、どういった作品が出てくるか今から期待ってところですね

『レ・ミゼラブル』 博多座公演 感想

July 16 [Thu], 2015, 11:45
 先日、福岡市まで足をのばし、博多座でミュージカル『レ・ミゼラブル』の公演を観劇した。
 『レミゼ』はミュージカルとしては既に何度も公演が行われている為、御存知の方も多いだろう。
 そもそも原作が『あゝ無情』として知られる古典的名作であるが故に、ストーリーに関しての感想は省く。
 少し話は逸れるが、『ジョジョ』第一部におけるジョースター卿とダリオの指輪のエピソードは、司祭とジャン・ヴァルジャンの銀の食器のエピソードの引用なのだろうと私は常々思っている。


 私は学生時代演劇部に属し何度か舞台公演を行っていたので、役者達の演技は勿論だが、照明やセット、またそれらを用いた演出にも目を奪われた、というのがまずある。
 アンジョルラスら学生たちが革命を目論むサロンのシーンでは、照明の光量によって「窓から差し込んだ日差し」が見事に再現されている。「照明」はあの瞬間、場の空気も相まって完全に見る側の眼には「日差し」と映るのだ。
 セットも流石に一流のミュージカルだけあり、二階があってそこから顔や体を覗かせることが出来るようになっていた。この仕組みを活かしたシーンとしては、コゼットがマリウスと会話するシーンが特に印象的だ。
 中でも一番目を引いたのは、終盤の見せ場の一つ、ジャベール警部が橋からセーヌ川に身を投げるシーンだ。
 ジャベールが身を投げる動作をとると同時に、橋の欄干が上に上がって行き、これによって逆説的に「ジャベールの身体が橋から落ちていく」ということを表現している。
 見た時には思わず「おお!」と声を上げそうになったほどだ。


 ミュージカルということもあり、ほとんど絶え間なく挿入される劇伴、歌も魅力的だ。
 導入のシーンの低く力の籠った曲は、ジャン・ヴァルジャンのおかれた過酷な環境を感じさせてくれる。
 私が特に気にっているのは、テナルディエ夫妻の宿屋のシーンだ。
 テナルディエ夫妻の持つ「したたかさ」「強欲さ」「小悪党っぷり」といったものが凝縮されており、なおかつどこかコミカルな点があるのが楽しめる。
 娼婦たちのシーンの「金持ちでも貧乏人でもズボンを脱げば皆同じ」という歌詞も個人的にはお気に入りだ。


 そして極めつけはやはり演者たちの熱演だ。
 博多座は1300人ほどを収容できる大型劇場だが、演者たちはしっかりと声を張り、ミュージカル特有の歌い上げるような台詞をしっかりと三階席にまで届けていた。
 声を張ること自体は腹式呼吸と日々のトレーニングがあれば大学演劇レベルでもそれなりにはなるが、肝心なのは『レミゼ』が三時間近い長編である点だ。
 特にジャン・ヴァルジャンやコゼットはほぼ出ずっぱりの為、持続力が求められる。流石はプロ、と思わずにはいられない。
 子役も何人か出ているが、彼らもその幼い身体いっぱいに声を上げ、大人の演者にも負けない声量を見せてくれる。

 私の見に行った日程では、ジャベールを岸祐二、エポニーヌを平野綾が演じていた。
 岸祐二は『激走戦隊カーレンジャー』レッドレーサー/陣内恭介役が私の中では印象深い。幼い頃憧れたヒーローの役者が、目の前で芝居をしているという体験は、私にとって非常に貴重な体験であったと言える。
 平野綾は『ギャラクシーエンジェルU』カルーア、テキーラであったり、『ハルヒ』涼宮ハルヒであったりと、中学生の頃に見ていたアニメでよく声を聴いていただけに、目の前で演技を見るのは新鮮であった。
 岸氏も平野氏も声優業をよく行っている。声優は「声の芝居」ではあるが、やはり「声優である前に俳優である」という有名えな言の通り、しっかりとした身体作り、全身での表現の如何がしっかり解っているからこそ『声』の演技が素晴らしいものになるのだろうと実感した。

 この二人は元から知っていたが故に特筆したが、他にも魅力的な演者がたくさんだったと言っておきたい。
 特に、テナルディエを演じた萬谷法英氏には賞賛の拍手を送りたい。
 テナルディエの小悪党っぷりをどことなくユーモラスに、それでいて引き込まれる芝居で魅せるその様は、私の心を掴んで離さなかった。
 マダム・テナルディエの浦島りんこ氏と共に、この物語における『悪』『毒』の部分を引き出してくれたと言えよう。


 やはり生の芝居というものは、その熱気に圧倒される。場の空気を直にその身に感じることによって、心にも感じ入るものがあるのだ。
 芝居を引退してついぞ二年ほどになるが、また思いっきり表現したいと思わせてくれた点でもこの公演は素晴らしかったと言えよう。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:度近亭心恋
  • アイコン画像 性別:男性
  • アイコン画像 誕生日:1992年7月13日
  • アイコン画像 血液型:AB型
  • アイコン画像 現住所:福岡県
  • アイコン画像 職業:会社員
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特撮・アニメ好き。SSも書いてたりする。
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