地になりて静かに

2019年10月 22日 (火) 10:58
ジャンル 演劇
タイトル 「地になりて静かに」
観覧日 2019年10月21日午後2時開演
会場  シアターΧ

文化座が翻訳劇、しかもカナダの作品をやるというのに最初は戸惑った。沖縄、水俣と日本の現実に鋭く対峙してきた劇団がなぜと思ったのだが、文化座は文化座、今作品でもしっかりと日本の現実に向かいあいながら作品をつくってきた。それもアーミッシュをとりあげることで、我々が生きている危ういいまの問題の根っこを押さえようとした。反戦の根源的理由、つつましく生きるということへの問いかけを通じて、文化座は現実に対してしっかりとした視座を与える。宗教を理由に徴兵を忌避するその原理について、徴兵係官に主人公である地区の司教が熱弁を奮う、そのセリフこそ、我々がいま見直さなければならない反戦の根本、戦争などしてはいけない理由がある。こうした反戦の理念について、疑いをもつのが他ならぬ自分の息子で、彼は戦地に赴く。このドラマはさまざまな葛藤を描くことになるが、この親子の葛藤が主旋律となる。もうひとつの大きな葛藤は息子が愛した娘と結婚した青年が、古いアーミッシュのやり方を否定し、文明の力をとりいれようとすることに対しての司教が孤立しながらも立ち向かうことである。この葛藤について、文明を取り入れることはいけないのだとはっきりとアーミッシュの原理に立つことこそいま我々の生きる道なのと、はっきりした態度をとる、この潔さがこの芝居の立ち位置をはっきりとさせた。文明の力に頼らず、自然に準じて生きることこそ、いま我々が見直さなければならないことだというメッセージをしっかり伝えていることに潔さを感じた。司教のやり方に反発し、指導的な立場に立つ若者が、結婚する娘の父親と一緒に新月がでる夜に苗を植えるシーンでの父親のセリフがとても効いていた。満天の星の下、生きるものが自然のエネルギーを受け入れること、そこに生きるという根っこがあることを実感させてくれた。
さすが文化座、しっかり現実に向き合わせてくれる芝居をつくってきた。我々は現実と常に向き合っていくぞという熱気がそのまま伝わった芝居だった。そしてその熱気はここで初舞台という若い俳優さんたちも支えていたと思う。
  • URL:https://yaplog.jp/deracine/archive/6045
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