『木靴をはいて 面影の函館』書評

2009年07月 01日 (水) 11:48
ついに待ち望んでいた『木靴をはいて」の本格的な書評がでました。7月1日発売「一冊の本」7月号(朝日新聞社刊)のヴィジュアル本を楽しむという連載の中で2頁、写真付きで取り上げられています。評者は評論家の上野昂志さん。本来であれば、全文引用したいくらいなのですが、とにかくこの書の魅力を的確に捉えていることに感動させられました。
「瀟洒な造りの本だが、不思議なことに、読む進めるうちに、大正時代の函館の街の情景が目に浮かんでくる。
不思議な、というのは、昭和の子であるわたしは、大正などという時代は見たことがないし、函館についても、ずいぶん昔に一度訪れたことがあるくらいだから、なにも知らないに等しい。にもかかわらず、長谷川濬の散文詩を読み、熊谷孝太郎の写真を見るうちに、函館の、それも大正時代の街の情景が、ありありと浮かんでくるのである」
とこの書に描かれる函館の魅力を見事に捉えている。長谷川濬が何故最晩年にこの散文詩を書いたについても上野はその本質を次のように見極めている。
「いわば彼の人生は、北方を目指す旅の延長で満洲という人工の国に暮らし、日本の敗戦で帰還したのちも、ついに一所不在の旅を生きたようなものだが、にもかかわらずというか、それゆえにというか、二十歳まで過ごした函館が、コスモポリティックな佇まいと、小春日和のような大正という時代の光に染まったまま、彼の内で生き続けていたのであろう。」
ほんとうにこの通りだと思う。
  • URL:https://yaplog.jp/deracine/archive/1845
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