悠久の愛。

September 14 [Sat], 2013, 12:36
カッとなってやった。
後悔はしてない。


この性で産まれたことを僕は何度失望し何度悔やんだか、もはや数え切れない。それは周囲も同じだった。



悠久の愛



我が時坂家は代々神鳴流に属する名家の一つだった。ただ、その名家は年々代わりつつあり、今も尚その名を馳せている宗家、青山家に次ごうともがく家々でひしめき合っている中のただの一つでしかなかった。当然、強いのは男とされ、僕もまたその名を継ぐ予定だった。予定、と言うのは想定外のことが起こったためだ。僕が男ではなかったということと生みの母は僕を生んですぐに死に、父もまた戦死してしまったことだ。そして両親が遺してくれたのは「九郎丸」と言う名だけだった。両親が何を思ってその名を付けたのか、今となっては分からない。そして残された僕を引き取る物好きは時坂家には当然のようにおらず、神鳴流の末席として身を置く他なかった。
ただ一人、周囲や自身よりも僕を認めてくれる人がいた。それだけが救いだった。彼女は僕を自分の子のように接してくれた。彼女のおかげで僕は神鳴流に身を置けたと言っても過言ではない。でも、何故僕のような者の世話を引き受けたのかは未だ分からない。
その人は宗家青山家の者でもなかった。無論、それに次ぐ家の出身の者でもなかった。むしろ彼女はそこにいること自体が不可思議な人だった。彼女は青山宗家でなければ受け継がれない刀「夕凪」を持っていたり、かつて神鳴流剣士を絶滅の危機に追いやったと言われる伝説の妖刀「ひな」に打ち勝ち魔法世界を救ったアラアルバの一員であったりという経歴をもつ。これらは後に知ったことで、物心つく頃前から世話になっていた無邪気な自分はよくも馴れ馴れしく接していたものと恥ずかしくてたまらない。
そうして僕は生きていく術を、神鳴流としての在り方を彼女から全て教わった。辛く厳しい修行でも耐えられたのは彼女のおかげだった。僕もいつかは彼女のように強くなりたい。いつしかその人が僕の生きる目標となっていた。

「九郎丸。己は何故刀を振るう」

師範代である彼女のその質問に僕は少しばかり眉をひそめた。木刀を畳んだ膝の横に置き姿勢を正す。よく考えなさい。彼女の目がそう言っていた。

「強くなるため、です」
「 真に強き者とはどういう者を言うか、お前は分かるか」
「それは…師範代のような人、でしょうか」
「ふ、私くらいの者など世にはいくらでも溢れているよ。九郎丸、お前は男が強いと今でも思っているか」
「……」
「まあよい。それは答えが出るまで続けるがいい。ただ、私が強いと思ったその人は女の人だったよ」
「え」
「その方は突如訪れた幸福に酔いしれ、その弱さに打ち砕かれそうになった私にこう言った。幸せならもっと強く在らなければならないと。この意味が分かるか」

懸命に考える僕の頭を師範代は力強く撫で回して笑った。僕はその師範代の大きな手が、笑い声が好きだった。たまらなく、安堵する。

「今、お前は幸せか」
「はい」

師範代がいてくれるから、心の中で呟いたのが伝わったかのように彼女がまた微笑んだ。

「なら、もっと強くならなければな。お前自身を好きになってくれる人のために」
「え」

そう意味深なことを言うと師範代はその手に握っていた「夕凪」を目の前にかざした。

「私は彼女を最後まで守った。今度はお前の番だ。この刀で、お前の大事なものを守れ」

それからすぐのことだった。僕に任務が下されたからだ。地上、日本に降り立つ。かつて彼女が暮らしていたというその地に降り「夕凪」を振るうことになるとは。僕のようなものが、だ。

「師範代」
「ふ、弟子の門出に刀を渡して何が悪い」
「う……ふぐ、」
「相変わらず泣き虫だな、お前は」

彼女の手からもらった刀と温もりを背負い、僕は明日日本に旅立つ。







という感じでせっちゃんとくーちゃんのあったかほわほわらぶらぶストーリーが展開される予定だったのに!!!!!!!!!まさかの







これだもんな。




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19:20 仕事から帰ってきました
   (まぁ、だいぶ前に帰ってきてはいたんですがw)
   以下、これから巡回します↓

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■「clover1517」さん...
ネギま!部屋(楊さんのページ別館)  September 14 [Sat], 2013, 19:23
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