鼓動。

September 10 [Mon], 2012, 21:51
キャンプから帰って参りました。
バーベキューした後、雷雨に襲われ。
雷すぐ近くに落ちるわ、振動凄いわ、停電になるわ。
阿鼻叫喚の夜を過ごしましたとさ。

とても楽しかったです。





初、生わさおです。


以下、毎土!このせつ企画SSとコメへんです!





鼓動



彼女との登下校がいつもの日常になりつつあって、その日も当然のようにそのいつもの日常が始まるのだと思っていた。が、いつもの時刻に彼女は来なかった。一瞬得体の知れない不安に襲われたがぶるんと首を振ってやり過ごす。きっと風邪でも引いて寝込んどるんや。そう思い込むようにすると大分気が楽になった。帰りに見舞いの品でも買って立ち寄ろう、なんて考えながら軽くなった足取りで電車に乗り込んだ。
あまりしつこいと迷惑だろうからと一通だけメールを打って送った。本当は返事が来るまでずっと送り続けたいのだがトラウマのような思い込みは未だ消えてはくれない。もしまた嫌われたら……いや、『また』ではない。本当に嫌われたらと考えるだけで――

『まもなく、麻帆良学園中等部です。お降りのお客様は…』

学園まではすぐなのに、一人での道程は果てしなく長く感じた。


やはり、彼女はいなかった。教室に入り、皆と挨拶を交わしながら自分が思っていた以上にへこんでいるのが分かった。押し潰されそうになるのをなんとか持ちこたえ、周りの日常に溶け込もうと努力し迎えた朝のホームルームでそれは打ち砕かれた。

それを聞いた瞬間立ち上がったのはほとんど無意識だった。今ネギ君何て言うた。ネギ君は呆然とこちらを見ていた。それも仕方ない。木乃香、木乃香さん、木乃香ってば。周囲から聞こえる声がただの雑音にしか聞こえなくなり、徐々に遠ざかっていく。それは自分が教室から飛び出したからだと気付いたのはその数秒後だった。

『刹那さんは交通事故で昨日から入院しています』

交通事故なんて嘘だ。昨日せっちゃんは“仕事”に行くと言っていた。詳しくは聞いていないが裏家業のようなもので魔物を退治しているとおじいちゃんからこっそり教えてもらった。魔物か何かに襲われたに違いない。そうしたらただの怪我で済むはずもない。
病院までの記憶はない。ただ無意識に走ってきた。息を整えることも忘れて受付に学生証を乱暴に出しながら叫んだ。

「せっちゃ…桜咲刹那の病室はどこですか!? ウチ、麻帆良学園長の孫です。せやから全部知ってます! お願いやからせっちゃんの病室教えてください!!」

学園長の孫という立場についてあまり良く思ってはいなかったがこの時ばかりはおじいちゃんの孫でよかったと心のそこから思った。案の定、せっちゃんの病室は普通の病棟から隔離されていた。地下につながる階段を通され、病室まで静かに歩き進む。

『桜咲刹那さんは現在面会謝絶となっております。それでもよければお通しします』

面会謝絶と書かれた病室の前で受付の言葉を反芻する。
意を決してドアを開けようとした時だった。「待て」腕を掴まれ強制的に振り向かされた。

「龍宮さん…?」
「何で隔離されてるか考えろ。と言っても今のお前じゃ無理か」

やはりついて来てよかったと龍宮さんは嘆息を吐きながら呟いた。

「邪気にあてられてるんだ。お前みたいなド素人に移るのは簡単さ。それに…刹那からお前のことを任されてる」
「ウチのこと」
「何かあったら頼むと。守ってくれと。たとえ相手が刹那であってもな」
「そんなんっ…言われても困る!」

無理矢理開けようとしたところを後ろから羽交い締めにされるもウチは諦めなかった。じたばたと、暴れて抵抗する。どうしてもせっちゃんに会いたかった。会って、顔を見たかった。
「ったく、」溜め息が耳元でした。

「五分だ。それでもいいなら手を離してやる」
「分かった」
「本当だな」
「うん」
「まったく、お前らは揃っ
て強情だ」

それは初めて知ったことだった。

せっちゃんは目を半分開けながら深い眠りについているようだった。「お嬢様」口の形がそう言っているのを見たらたまらなくなり、

「せっちゃん!」

肩にしがみつく。せっちゃんの体はあたたかかった。生きてる。せっちゃんがいる。そんな実感が身に染みて目の前が揺らぐ。せっちゃんをきちんと見たいのに叶わなくてもどかしい。

「五分経った。行くぞ」
「……ん、」

最後に手を握り、ぐっと力を込めた。せっちゃんは弱く握り返した。ありがとう、薄紅色の唇がそう伝えていた。


「ウチが治せたら……」
「今のお前じゃ無理だろ」

病室の前のベンチで力の無さを嘆く。嘆いてもどうにもならないのだがそうせずにはいられない。ウチがもっと強かったらせっちゃんを苦しみから解放できるのに。

「でも、今のお前にもできることがある」
「ウチまだあんまし魔法できへんよ」
「魔法じゃない」

龍宮さんは虚空を仰いだ。

「刹那はミスを犯した。敵を斬るのを躊躇った。だから、やられた。いつものあいつなら絶対にしないミスを何故あいつがしたか。その敵に子どもがいたんだ」
「子ども…?」
「ああ、ごく稀だが。その時は一緒にいたんだ。それで、躊躇った」

お前のせいだよ。龍宮さんは何故か微笑を讃えながらこちらを見つめた。

「お前が奴を人間にした。だから、近衛、お前が責任をもって刹那を人間として強くしてやれ」

そう言い放ち、龍宮さんはその場を後にした。
どれくらいそうしていただろう。ずっと座り込んだまま、考えもせずただただ息をしていた。答えなど、とっくに見つけてしまっていたから。ウチのやれることはただ一つ。せっちゃんの帰りを待つこと。そして言おう。一緒に強くなろう、と。




おわり


今週のお題は『消、涙、触』でした。
来週のお題は『永久、常、向』です!

続いて9月のお題です!

9月21日…『白、車、落
9月28日…『人、意図、恋



毎日、たくさんの拍手コメントいただいております。
本当にありがとうございます!



以下、コメへん!

綾さま>
このせつはどうも!
年齢関係ないとは…
お手上げです。すみません(´;ω;`)
では、コメント&拍手あじゅじゅしたぁ!!

sikiさま>
このせつはどうも!
あちゃー、年齢関係なしですね…
お手上げすみません(´;ω;`)
では、コメントあじゅじゅしたぁ!!

にの字さま>
このせつはどうも!
エロスイッチは一旦切れたようです←
しかしいつまた始動するか…恐ろしい(笑)
では、コメントあじゅじゅしたぁ!!

春雪さま>
このせつはお久しぶりです!
ゆるゆりSSの感想ありがとうございます!
初書きだったのでどうなんだろうと思ってましたが…
書いてよかったです!
今度はひまさくとか挑戦したいなーと♪
では、コメントあじゅじゅしたぁ!!
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