everlasting light.

February 25 [Sat], 2012, 22:48
最近、子ども達に「ママ」と呼び間違えられます。
そしてようやく今日、子ども達からもらったバレンタインチョコを
食べきりました。今日まで長かった……


しばらくチョコはいいです。


以下、毎土!このせつ企画SS
あ、毎土がそろそろ200いくわ(驚愕





everlasting light



「せっちゃん、おおきにな。付き合うてくれて」
「いえ、私が望んだことなので」

ウチの選んだ本を数冊抱えてせっちゃんが静かに微笑む。重くないんやろか。問うと「平気です」とせっちゃんはより一層目を細めた。

図書館島の最深部、地底図書室の一角はやはりとてもあたたかく、ブラウスの裾を捲っても暑いくらいだった。懐かしい。分厚い参考書をよっこいせ、再び手に取りながらほうっと息を吐く。読めば頭がよくなる本をバカレンジャーと共に探しに来てたどり着いた場所がここだった。あれから一年も経っていないのに遙か遠い昔のことのよう。
どうしました? せっちゃんが首を傾げる。ふるふると首を振り、確かあの頃はせっちゃんとは絶縁状態やったなあと思い起こす。言えばせっちゃんはきっとうんと沈むだろうから言わないが、回想していかに「今」が幸せか思い知らされる。
ちょうどそのときの夕映の言葉を思い出して、思った通りここは魔法の本に溢れていた。当時は気付かなかったが今は十分に分かる。魔力をもった者にしか分からないその感覚はつい最近になって得たものだった。これを本物にしなければマギステル・マギにはなれない。

「懐かしいですね。お嬢様達がここまで落ちていったときは本当に焦りました」
「せっちゃん、おったん」
「はい。あっ・・・」

まずい、せっちゃんはそんな顔をしてしどろもどろに説明し始めたがそんなもの耳には入ってこなかった。そうか、せっちゃんはそのときから、いや、その前からずっとそうやって陰から見守ってくれていた事実に打ちひしがれた。分かっていたつもりだったが、それはやはりただの「つもり」だった。
何と言葉をかけたらいいのか迷って、先手を打たれてしまった。

「しかし、本当にここに来てよかったのですか。立ち入り禁止区域では?」
「ええの。借りられる魔法書は全部読んでもうたんやし。それにおじいちゃんに貸しもあるしな・・・いや、そんなことよりもせっちゃんこそほんまよかったん」

生真面目なせっちゃんのことだ。必ず止められるだろう。そう思っていたのに。

「当然です。だって、私は、えっと・・・お嬢様のパ、パ、パパパ」
「パートナーやから?」
「ッ・・・・・・は、はい」

消え入るような頼りない声、人差し指を付けたり離したりを繰り返す気弱なその剣士に思わず笑みがこぼれた。でも、嬉しくてたまらない。そんな気持ちを込めて彼女の手を引き再び別な本棚に向かう。
むしろ嬉しかったんです。せっちゃんは照れくさいのか、少し俯き気味に話してくれた。

「私をここに誘ってくださったこと。最近、お嬢様は熱心に勉強なさっていたので、その、何というか・・・」
「むっちゃさみしかった、と」
「うえう!?」
「正直に言えばええやん」

本当は随分前から知っていたが。
勉強中、余程のことがない限りせっちゃんはウチに話しかけてくることはなかった。ただそばでじっと見守っているだけ。それだけで満足なんですって微笑んでいたくせに。大浴場で背中を流してくれたり、夜中になるとこっそり布団に入ってきたり、登校途中でも急ぎましょうと手を握ってきたり、なにかとスキンシップが明らかに多くなった。寂しさが原因だと予想はしていたので拒みはしなかったが、自分が思っていたよりもずっと寂しかったに違いない。現に今のせっちゃんはご機嫌だ。手をぎゅうっと握っても恥ずかしがらずに握り返してくれる。

そうして歩いているうちに本当の目的地に着いた。夕映に聞いた通り、他の本棚とは何ら変わりのない本棚に1冊だけ見捨てられたかのように横たえる厚い本。遠めにだがはっきりと確認できる。これに間違いない。

「お嬢様?」
「せっちゃん、ちょっとそこで待っとって」

その本は「Coword」臆病者という意味のタイトルにある通り臆病らしいです。一度に二人以上で行くことは避けた方がいいようです。その代わり、力ある者ただ一人で手に取ると発動するようです。
訝しがるせっちゃんに大丈夫と笑いかけ、その本に向き直りすっと顔を引き締める。ゆっくりと、でも不自然ではないように近付く。ゆっくり、ゆっくり臆病者の本に手を伸ばし、指先が触れた瞬間だった。

「ひゃっ」
「お嬢様!」

突如暗闇に包まれた視界に混乱する。じりじりと後ずさりし、本棚から離れようと本能が足を動かす。「きゃっ」突然握られた手に一気に心臓が跳ね上がる。

「しっ、動かないで」
「せっちゃん?」
「大丈夫です。どうやらただ暗くなっただけのようです。それ以外周りに異常は見当たりません」
「せっちゃん、見えるん」
「はい。半分化け物なので夜目は効くんです」

空気が変わった。そして同時に自分の犯した失態に気付く。今の表情もせっちゃんには見えたのだ。

「すみません」
「ううん。せっちゃんが謝ることやない。ただ、自分が許せなかったんよ。せっちゃんにそないなこと言わせてもうたから」
「そんなこと・・・」

その声が沈んでも自分にできることはこの手を握り続けることだけ。

「でも、今はよかったと思っています。半分化け物で」
「せっちゃん!」
「聞いてください。こんな体に生まれたからお嬢様を守れるんです。翼があったから、お嬢様を抱いて飛べるんです」

この時ほどせっちゃんの表情を見たいと思ったことはない。冷静な声に不安さえ覚える。

「そして、そう思えたのはお嬢様のおかげです。私が強くいられるのは、お嬢様のおかげなんです」
「ううん。それは違う。せっちゃんは最初から優しくて、強かったえ」

子どものときから、何も知らなかったときからせっちゃんはウチのことをいつだって・・・

「お嬢様、本が・・・」
「え」

驚くせっちゃんの顔を久しぶりに見た気がした。
掴んだことすら忘れていた手の中の存在が一筋の光を放っていた。その先を見上げる。光線がぶつかり、光の屑が一瞬のうちにそこに散らばった。
それはまるで星の草原だった。天井に張り巡らされていた木々の隙間で無数の光が輝いている。

「すごい」
「きれい・・・」

せっちゃんも、耳元でそっと囁くと一瞬間をあけた後せっちゃんはボンと顔を爆発させた。あはは、笑いながら心の中で思う。本当にきれいだったんよ。

「ほんまはせっちゃんにこれ見せたかったんよ」
「え」
「きっかけは魔法の本。それに書いとって、夕映のアーティファクトで調べてもらったんよ。そしたらここのことやったから。伝説や言われたけどほんまやったら嬉しいなって。せっちゃんと一緒に見たい思ったんよ。さみしい思いさせてたし」
「だ、だから私は別に寂しくなどっ」
「おおきにな、ずっと見守ってくれて」
「・・・・・・」
「あ、また顔赤なった」
「もうっ、もう! 見ないでくださいよ!」
「いーやー」
「う。お嬢様はいけずです」




FIN


今回のお題は『島、粉、草』でした。
来週のお題は『未来、流、祭』です!

続いて3月のお題です!

3月10日…『汗、ピン、髪
3月17日…『桜、卒業、人
3月24日…『花、舞、色
3月31日…『来年、流、祭




毎日、たくさんの拍手コメントいただいております。
本当にありがとうございます!
  • URL:https://yaplog.jp/clover1517/archive/2120
Trackback
Trackback URL
Comment
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー 絵文字 プレビューON/OFF

不正な自動コメント投稿を防ぐため、チェックボックスにチェックをしてください。

利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。
若狭
お久しぶりです('-'*)

前の記事きもち。を読んでの
感想なんですが!
完結すると聞いた時は
ほんと悲しいとかじゃなくて
同じく切ない感じでしたorz
なんかこー上手く
言えないんですけど
すっげぇー嫌ですorz
もっと続いて欲しかった
ってのが本音です(>_<)

ネギま!のおかげで
さっちゃんと
出会えましたし(^o^)/
周りの女子にはネギま!が
好きだって人いなかったんで
見付けた時はかなり
嬉しかったですw
February 26 [Sun], 2012, 4:24
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:さっちゃん
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 血液型:O型
読者になる
このせつと律澪とその他諸々を愛してやまない百合嬢です(*´∇`*)

いきなりコメント大歓迎!
リンクフリーです。
相互リンクしてくださる方がいたらコメントか、メールでお知らせください。めっちゃ喜びます!

konosetu1517♪yahoo.co.jp
感想、指摘などございましたらお気軽にどうぞ!♪→@

当ブログ内におけるSS・画像の無断転載及び引用はご遠慮ください。

ツイッターpixiv始めました。お気軽にフォローしてくださると嬉しいです。

R指定のある作品はpixivに置いてあります。

Since2007/1/14


現在拍手にはこのせつSSが5作と律澪SSが5作置いてあります。(1/2更新)
2012年02月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29
最新コメント
アイコン画像さっちゃん
» このせつは平成。 (2019年10月08日)
アイコン画像おつき
» このせつは平成。 (2019年10月08日)
アイコン画像春雪
» 二人が人生。 (2017年05月28日)
アイコン画像yama@山口県
» 妊婦生活6ヶ月。 (2015年12月10日)
アイコン画像Iuth
» 色々考える。 (2015年09月24日)
アイコン画像春雪
» 同志たちよ。 (2015年09月21日)
アイコン画像白兎
» 3月18日。 (2015年06月06日)
アイコン画像春雪
» 3月18日。 (2015年03月18日)
アイコン画像マンモス
» 女心と秋の空。 (2014年12月08日)
アイコン画像
» ご報告。 (2014年06月30日)
メール待ってます(´▽`*)

TITLE


MESSAGE

月別アーカイブ
https://yaplog.jp/clover1517/index1_0.rdf
P R
Yapme!一覧
読者になる