To my Valentine.

February 14 [Tue], 2012, 21:09
前々から子ども達がチョコ持ってくるねーと持ってくる宣言を
されていたのですが。
やっぱり学校としてはあまり許されないらしく。
個人的にはバレンタインだもん、その日くらいいいじゃん。
という気持ちなんですが、こういうとこが若いし甘いんだろうな。
一応先生だし、ダメだよって言わないとあかんのだろう。
そう思って再度持ってくるね宣言してきた子どもたちに言ったんだ私。

子「先生、私先生にチョコ持ってきますね」
子「ダメだけど、先生にはあげたいので」
私「でもね、やっぱり学校だからさ、持ってきちゃダメよ。あ、でも
 その代わり、先生には持ってきていいから」

何がその代わりなのかしらね。
そんな感じで宣言してきた子は総勢……やばい、多いぞ。
しかしやっぱり子どもは子どもですね。
持ってくる宣言してた子の半分も持ってきませんでしたね。
でも気持ちだけでもすっごい嬉しいわ。



あと家に帰ったら去年の教え子からチョコが届いておりました。
メッセージ付きで。テンション上がるわー。


以下、このせつSSSです!
中身はもちろんビタースィートな感じです。




To my Valentine



「イギリスでは意中の人にプレゼントをあげるというのは必ずしも女性からというわけではなく男性からが一般的なんですよ。プレゼントは主にチョコなどのお菓子よりも花束やジュエリーとか、あとカードも多いですかね。さらにそこには変わったルールもあって、そのメッセージカードには自分の名前を書いてはいけないんです。絶対というわけではないのですが、ひそかに想いを伝える日なので男性はあくまで匿名を貫くんです。まあ、だいたいの女性はおおよそ見当がついちゃうみたいなんですけどね」

そう朝のHRでイギリス式バレンタインデーについて語るネギ君はやけに静かに聞いていた面々を特に不審がることもなく自然にいつも通り今日の予定に話をすり替えた。ウチは後ろから妙にこそこそと浮き足立つクラスメートの様子を眺めてこりゃ何かが起きると大体予測はしていたが、ネギ君はそんなこと露ほどにも思っていないだろう。怪しげな空気に全く気付いていないネギ君は大人びた微笑みを湛えながら話を続けた。
そんなバレンタインデー前日が終わり当日。ウチは普段より早く部屋を出た。「先に行きます。アスナはせっちゃんと来てください」と昨日も口頭で伝えたのだが一応念押しにと二度寝を満喫していたアスナへ伝言メモを残して。しかしそれは早々にして意味のないものに変わった。

「おはようございます、お嬢様」
「おはようせっちゃん・・・って何でおるん」

部屋の前でしっかり待機していたせっちゃんに悟られないよう目を見開く。するとせっちゃんはウチの動揺を見抜けなかったようで爽やかに応えた。

「昨夜お嬢様が早く出るとアスナさんから聞いたので早朝から待たせて頂きました」
「そ、そやったん。はは、は・・・そりゃごくろうさんやったね」
「いえ、これくらい何のことはありません。では、行きましょうか」

アスナめ、余計なことを。アスナには申し訳ないがそんなことを思ってしまうのにはちゃんと理由があった。


「あの、桜咲先輩!」

これがイヤやったんよ。
そう呼び止めたのは一年生だろうか。頬が赤いのは寒さのせいばかりではないだろう。呼ばれた当の本人は「はい?」と呼び止められた理由がさっぱり分からないようで相手の子が少し気の毒に思えた。

「これ・・・もしよければ受け取ってください!」
「へ」
「じゃあ私はこれで。あっ、お返しはいらないので!それじゃ」
「あ、」

そのまま駆け足で走り去る彼女の背中へ手を伸ばし、それからすぐにウチを振り返ったせっちゃんは本当に困ったという顔をしていた。何なんよ、その情けない顔。とは言わなかった自分を心底褒めたい。

「朝からモテモテやなあ、せっちゃん」
「か、からかわないでくださいよ。これ、いったいどうすれば」

せっちゃんの手に握られたのは空色に白い水玉が浮かんだ可愛らしい紙袋だった。「食べたらええやん」それを見て肩を竦めるせっちゃんに容赦なく言い放つとせっちゃんは「はあ」とため息を吐きウチの後に続いてとぼとぼと歩き出した。
そんなことは学校に来るまでに4件、昼休みに3件、放課後に5件と計13件あった。勇気を出してそうするのは尊敬に値することだとは思うがその度に困った顔で振り返られるこっちの身にもなってほしい。

せっちゃんを好いてる子はかなり多い。元々大和撫子のような容姿をしたせっちゃんは入学当初から先輩達にも目を付けられていた。もちろん好意的な意味で。しかし抜き身のような佇まいに誰も近付けず、そうして最上級生となったのだが事態が変わったのは修学旅行明けだ。以前の雰囲気を払拭したせっちゃんは待ってましたとばかりに同級生どころか下級生にも声を掛けられまくった。元から礼儀正しく生真面目な故、そういった声に片っ端からきちんと応えていくせっちゃんにはますます人気が集まった。さらにあの学園祭である。セーラー服、それからさらに大和撫子そのものといった和服に身を包み、刀を振り艶やかに舞うせっちゃんの姿は学園の外にまで広がった。
そうしてファンは増え、下足箱にはほぼ毎日便箋が入っている始末。今日もバレンタインデーとだけあってそこにはいくつものチョコレートの箱で溢れ返り開けた瞬間それらは無惨にも床にこぼれ落ちた。漫画でよく見る光景をいざ目の前にしてみると決して快く見れたものではないと、大きな紙袋を両脇に抱え疲れきった顔をするせっちゃんを見て実感した。
これが他の誰かだったならどんなによかっただろう。今自分が抱いている感情その他諸々は全部嫉妬の類であると、そしてそれを今日どれほど身に沁みいるほど感じるからずっと前から分かっていたことなのに、ついにウチは我慢できなくなった。

それはいつもと違う道を通りたいと願い出たときだった。何故? という顔をするせっちゃんに今まで押さずに我慢できていたスイッチが呆気なくプツンと入ったのを皮切りに想いは脳内で炸裂した。せっちゃんはウチのパートナーなんやろ。せやのに何でウチからはもらおうとせんの。ウチずっと持っとったやん、桜色の紙袋。全部食べたら何も食べられないですねって何で笑えるん。好きな人が目の前で他の人からもらったチョコ嬉しそうに眺めるんはもうたくさん。チョコくれた子達かてウチと一緒におるとこわざと狙って来たに決まっとるやん。何で何も気付けへんの。いい加減気付いてや。もう、もう限界なんいい加減気付いてえな。

「お嬢、様・・・?」
「っく、う・・・うう、せっぢゃんのあほおおおおお!!!」
「このちゃっ・・・う、わああ!」

チョコの入った紙袋をその場にぶちまけてウチはダッシュで逃げ去った。生真面目なせっちゃんがそのままの状態を放置することなく、ウチはいつもとは違う道通って一人ぽつんと夕陽に見送られながら帰路に着いた。

部屋に着くと誰もいなかった。アスナはまだ帰っていないらしい。よかった、安堵しリビングに入った瞬間それが目に入る。テーブルの上に置かれたそれは最初アスナの忘れ物か何かかと思った。バレンタインに忘れるなんてアスナらしいな、なんて思って見るとどうやら違ったようだ。
少し多きめの紙袋の中身をのぞき込むと見慣れない、可愛らしいピンクの造花の花束が見えた。そこにはカードも添えられてある。まさかアスナに? と思ったがアスナではなかった。代わりにあったのは「このちゃんへ」という几帳面な文字のみ。手に取りカードを裏返すと「いつもありがとう」と「Secret Admirerer(ひそかにあなたを想っている者より)」の二つが書かれてあった。

気付けばウチは走っていた。まだ寮には着いていないはず。そしてその読みはすぐに的中した。
寮のロータリーをしょんぼり肩を落として歩くせっちゃんに自然と歩みが遅くなる。つい顔が緩み、すると気付いたせっちゃんはドサッと両手の紙袋を落とした。わわっと慌てて拾い集めるせっちゃんに再び笑い静かに近付く。

「せっちゃんやろ。あの花束とカード」
「んなっ」
「このちゃんて呼ぶんはせっちゃんだけやえ」
「あ」

今頃気付いたん。失敗したあとまたがっくり首を落とすせっちゃん。ちょうどいいとばかりに包装紙に包まれた箱を目の前に差し出す。

「開いて」

ええからと促すとせっちゃんはその場にしゃがみ込んだままゆっくりとそれを開いた。少し時間がかかったがとても丁寧に、綺麗に開けられた箱。中身を見た瞬間のせっちゃんの顔に嬉しさが募る。

「これは、白き翼の・・・」
「うん。というか、せっちゃんの翼イメージして作ったんやけど。どやろ」
「・・・・・」
「せーっちゃん。なんで泣くんよ。ホワイトチョコあかんかった?」

ふるふると首を振り、必死に涙を見せまいと手の甲でそれを拭うせっちゃんにふっと目を細める。本当は分かっていた。でも、そうして誤魔化すことでせっちゃんと同じように溢れ出しそうになるものを押さえていた。
ふっと深呼吸し、未だに顔を覆い隠すせっちゃんの頭をそうっと撫でながら語りかけるようにして打ち明けた。

「ウチな、ずっと嫉妬してたんよ。だってせっちゃん人気者やから。せやけど嫉妬だけやなかった。不安やったん。せっちゃんが誰かの他の人のとこ行ってまう気がして。せっちゃんのこと独り占めしたかったんやね、ウチ。やな子や」
「いえ、そんなことありませ」
「ありがとうはウチが言わんと。ウチのこと想ってくれて、好きになってくれてありがとう、せっちゃん。だいすきやえ」
「この、ちゃ・・・」
「食べてみて。一生懸命つくったんよ」

一番最初に食べてほしいんや、囁くようにして言ってからなんだか胸の奥がこそばゆくなって。黙っていたら目の前から「おいしい」とちょっぴり上擦った声が聞こえて、上気した頬を見られる覚悟で顔を上げた。

「おおきにな、せっちゃん」



FIN




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保険の外交のおばちゃんにチョコもらっただけ…
このせつは!
子どもたちからもらえるなんて、人徳ですね( ´ ▽ ` )自分がこまかったころは先生にあげるなんて発想なかったすわ

SSS読ませていただきました。うっかり「このちゃんへ」と書いてしまうせっちゃんにムネキュンw
せっちゃんはちょっと抜けてるくらいが良いと、にの字再認識しました。
February 15 [Wed], 2012, 20:45
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