「そばにいる。つよくなる」13

November 19 [Fri], 2010, 1:39
「千鶴ちゃん…どれがいい??」
「ん〜。。選ばなきゃ、、やっぱ、ダメ??」
「そうだね〜。。」
私たちが何を悩んでいるかといいますと。
避難する、部屋決めです。

姫ちゃん宛の可能性が高いとはいえ、私宛の可能性も捨てきれはしない。
という話から。
2人とも部屋を非難することになりました。
でも、2人で誰かと部屋を入れ替える。。
というだけでは危険時の対処ができないという理由から。
幹部のどなたかのお部屋にお世話になるということになったのです。
が。
やっぱりそう広くない部屋に3人で寝るのは窮屈だということで。
姫ちゃんと私。
それぞれ別の人の部屋に行くことになりました。
最初は幹部の方々で相談するかということだったんですが。
なぜか話がよじれ。。
判断を私たちに任されたのです。
そんな、難しい判断を…。

「まず、しばらく出張とかで部屋をあけることが多い人を抜かすでしょ?
そうすると、5択になる。
総司、新八っつぁん、左之さん、平ちゃん、一ちゃん」
ちなみに、山南さんは今療養のためにお医者さんのところに行っています。
ちょっと、みなさん安心です。。
いえ、いてくだされば心強くもありますが。。
「どうする?ドッキドキ、総司部屋に行く??」
「ヤダ!!!!」
…つい、大声を出してしまいました。。
姫ちゃんは一瞬ビクッとしましたが。
半分冗談だったのでしょう。
すぐに微笑んでくれます。
「ごめんごめん。で、私も総司はよけとくね」
「え?いいよ、だいじょうぶだよ?」
こんなところで遠慮されるのは申し訳ないです。
姫ちゃんが一緒にいて一番楽なのは沖田さんだってわかります。
「それもあるけど…
朝変な起こされ方しそうだからパス!」
それは…そうかもしれません。。
「あと、新八っつぁんもやめようね。
普段はともかく、酔ったりしたら責任がとれない系だよ、きっと」
ひどいこと言ってますが。
本能が首を縦に振らせます。
永倉さん。。
ごめんなさい。。
「姫ちゃん、原田さんは?」
少し期待を込めてきいてみました。
少し?
いえ、だいぶ。
「悪くないけど。。」
これは…
押したらいけそうな気がしますっ
「斎藤さんだと、きっと朝は放置だよ?
平助くんは、一緒に寝過ごしちゃうかもよ?
原田さんが一番ちゃんと起こしてくれるよ」
「ん〜朝は重要だなあ。。」
「それに、きっと原田さんなら女の人に不自由してなさそうだから、
きっと変なことになったりもしないよ、きっと」
「『きっと』ばっかりで説得力ないよ」
姫ちゃんに笑われて気付きました。。
ぅぅぅ。。
なぜか言い切れない。。
「千鶴ちゃんオススメみたいだから、左之さんとこいこっかな」
「ホント!?」
「満面の笑みだよ〜?」
あっ…
顔にはすべてが出てしまいます。。
でも。
原田さんっ私やりましたっ
「じゃあ、千鶴ちゃんには一ちゃんをオススメする」
「斎藤さん?」
「うんっおもしろそうだし」
…姫ちゃん、どういう意味でしょう??




「俺は押入れでいい。
あんたは好きに寝てくれ。
早朝稽古に出るので起こすかもしれんが、
気にせず起きるべきときまでは寝ていればいい」
風呂敷一枚に簡単な荷物を包み。
私は斎藤さんの部屋にやってきました。
なんだか。
変な感じです。
「斎藤さん、押入れには私が寝ます。
斎藤さんはいつもどおり寝てください」
「そうはいかん。
あんたは居候だろう。
俺の言うことをきけばいい」
「でもっ」
「押入れで寝るというのなら、別の部屋にしろ」
「…じゃあ、平助くんに」
と、言いかけた瞬間
「十日は俺が押入れ。そのあとはあんたが押入れ。
これで文句はなかろう」
「…はい。。」
ついつい言葉に頷いてしまいましたが。
なんだったんだろう。。
それに。
私は十日以上もここにいるのでしょうか??




「姫、一緒の布団でいいか?」
「うん、いいよ〜」
にやっと問う原田に。
姫子は平然と答える。
「…ここは断るところだろうが」
自然と肩が下がる。
「だって、そんなの気にしないもんっ
相手によるけどね」
発作時とはいえ。
抱きかかえられたことも。
膝で寝たこともある。
もともと、いやらしい感情をもってそういうことをされるのには敏感だが。
それ以外は頓着があまりなく。
狼狽えさせようと原田が放った発言は、
姫子の返す発言によって打ち消され、
逆に原田が狼狽えることになる。
言い方を簡単にすれば。
『小悪魔』だ。
天然の。
「布団は別。でも並べていいな?
押入れに寝てやりてーとこだが、
俺のタッパじゃきちーわ」
相手が千鶴でなく姫子ということもあり。
原田は少し安心していた。
変な気さえ起こさなければ。
姫子は平然とそこにいてくれる。
原田にしたら、藤堂が泊まりにきているのと大差はない。
逆に静かなくらいだ。

ただ。

訊きたいことが。
顔を出す。
過去のことなんだろうし。
ほとんど意識がない中での発言を気にし続けるのは、
男として恰好の悪いことだとわかっててはいても。
それでも。
消化しきれていないから。
姫子はきっと恋をしない。
2人きりになる時間が増えるこの生活の中で。
訊いてもよいのだろうかと。

『そんなこと言ったって、
面倒になればすぐに投げ出すんでしょ…!?
ずっと責任持てないんだったら、
最初から手なんか差し出さないで…!
しんどいなら、ずっとヒトリでしんどいほうがいいもん…!』

「左之さん?」
少しぼーっとしていた原田を、姫子が呼び戻す。
「なんだ?」
「ぁ…ん〜。。やっぱ、なんでもない」
「…そうか」
気にしているのは姫子も同じで。

訊ねようか、訊ねまいか。
もやもやの中で。
うやむやにしてしまおうかと疼く反面。
すべてをハッキリさせてスッキリしたい気持ちも確かに存在し。
天秤が遊んでいるかのように揺れる。




「で、木嶋はどうだった?」
土方の自室。
問うた相手は、もちろん木嶋の直属の上司、斎藤だ。
「確かに姫子の言ったとおりでした。
そして今回の一件は知らないと」
「まあ、そう言うだろうな」
「しばらく気をつけて見てみます。
文通は、どうさせますか?」
「泳がせるには絶好だ。
続けさせろ」
木嶋が犯人であった場合。
これから証拠を掴むには姫子との接点が必要だ。
危険が迫らない程度に囮になってもらう必要はある。
「姫子をこういうことに使用するのは好まないのでは?」
「その本人のためだ。
早期解決するには荒療治が一番だろうが」
それでも斎藤は無表情だが苦い顔をした。
いつもなんだかんだ落ち込むのは土方で。
そんな姿を見るのは本意ではない。
「ただ、俺はしばらく大阪だからな。
必然的にお前と原田に後を任せることになるが」
「大丈夫です」
土方としても任せる相手に不遜はなかった。
むしろ当人たちに頼んだにしては上等な部屋決めだ。
「雪村はともかく、姫を見失わねーように頼む。
監視に息苦しくなったら、逃げる可能性もあるからな」
実際にそういうことがあったわけではない。
ただ可能性として、十分にありえることだと思っていた。
自分のリズムを大事にする姫子にとって。
少なからず窮屈を強いることになる。
「原田さんに伝えておきます」




「総司〜いる〜??」
夕飯後、姫子が訪れたのは沖田の部屋だった。
今はまだいつでも監視がついているわけではない。
監察の仕事は止めて、外出は多少制限されているものの。
屯所内、特に幹部の部屋が集まっている付近では野放しだ。
姫子もまだ今の時点では息抜きをしようなどとは企まない。
相手が確定していなく、仔猫が被害に遭っている分。
常に小刀は携帯してはいるし。
誰かの目の届く範囲。
自分の声が届く範囲にはいるように努める。
対象が自分であっても、被害に遭うのが自分とは限らない。
だから姫子は土方が考えるよりも慎重だった。
「僕より左之さん選んだ姫ちゃん、何の用?」
襖の中から聞こえる声は若干やさぐれていた。
たぶん姫子は沖田を選ぶだろうとみんなが思っていた分。
選ばれなかった当人は少なからず気分がよくない。
「どうせ理由に目星はついているんでしょ?
入っていい?」
「入れば?」
歓迎はしていない声に。
それでも姫子はさっさと部屋に入った。
「総司もなんだかんだ千鶴ちゃん気に入ってるくせに」
「姫ちゃんもなんだかんだ左之さん気になってるくせに」
似たような言葉がぶつかる。
だが。
どちらにも。
悪意はなかった。
「ありがとね、今朝」
「別に」
「ま、千鶴ちゃん気付いてないけど、それでいいんだよね?」
「それでいいと思うよ」

今朝。
猫の悲惨な姿を見て涙が止まらなかった千鶴を。
藤堂の部屋まで支えていったのは沖田だった。
ただ。
近くにいただけ。
そんなことかもしれない。
だが。
まぎれもなく、体は素直に動いた。
その自然な振る舞いを。
姫子は確認して安心した。
やっぱり。
千鶴を嫌いなわけではない。
きっと。
苦手なだけだ。
今は。

「あーそれにしても。今日は夢に見そう。
何分割だっていうね。。」
「声色、軽いけど」
「軽く言わなきゃ余計リアルに怖くなっちゃうでしょ?
こういうのは大したことないって思ったほうがいいの」
『今日食べた夕飯の味が薄かった』くらいのテンションで話す姫子。
けれども、総司だって思い出して良い気がする光景ではなかった。
自分が斬った相手の姿よりも。
罪のない小さな小さな仔猫の無惨な姿のほうがえぐられる。
姫子は現代で交通事故にあった動物の遺骸は目にしたことはあったが。
悪意を持って斬られた仔猫の遺骸は論外で。
見た目ほど平気なわけではない。
でも。
平気だと思っているだけで。
楽になれる気もしていた。
「夢みたり怖くなったりしたら左之さんに抱き付けばいいよ」
「ホントにそれをしそうだから、ヤだ。
クールダウンしに総司の部屋に来たんだから。
遊んでよ」
「じゃあ、挟み将棋でもしようか」
「賛成〜」
沖田もきちんとわかっていた。
相当のショックが姫子にもあることを。
しかも。
自分のせいかもしれないと思うから尚更。
すぐに自分を悪者にしてしまう姫子が今。
平気なわけもなかった。


姫子が原田の部屋に戻ったときに、原田は部屋にいなかった。
隣の永倉の部屋から声がしたから、すぐ隣にいるのだろう。
姫子は安堵の溜息をつきつつ。
すでに敷いてある布団の中にもぐりこんだ。

そして姫子が寝入った頃に。
原田は部屋へと戻ってき。
その寝顔を見て、
「やっぱ、夜になっちまうと複雑なもんだな」
呟いて、布団に入る。

今日は、背中合わせ。




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