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おふくろの味 姉さん / 2006年03月01日(水)
 「おふくろの味 姉さん」という店が職場の近くにある。中に入ったことはないが、個人経営の居酒屋という線だと思う。店はあまり流行っている様子ではない。そしてお気付きの通り、おふくろなのに姉さんなのである。ちなみに「おふくろの味」がサブ的な扱いで、「姉さん」がメインの店名となる。

 姉さんみたいなおふくろなのだろうか。「キャンキャン」みたいな格好のおふくろだぞ。自分の母親がそんなだったら薄気味が悪い。若作りも大概にしろ! とどなってしまうかもしれない。

 しかしこれがおふくろのような姉さんだとすると、急に同情めいた気持ちになってくる。

 母親を早い時期に亡くし、父親は酒とギャンブルに溺れた借金の果てに愛人を作り、幼い子達を残して蒸発した。おふくろのような姉さんは長女で、以下男ばかりの4人兄弟の末っ子である俺が商業高校を卒業するまで母親の代わりになってくれた。バイクを盗んで警察の世話になった三男のために頭を下げてくれたこともあった。

 そんな姉さんが、結婚相手ともうまくいかずに離婚し、必死に工面したのが居酒屋の開業資金だった。弟たちを女手ひとつで育てた、料理の腕だけは自信があった。花火職人の次男も快く出資に応じてくれた。

 そして今から18年前、東京の片隅で小さな居酒屋がささやかにオープンした。夕刻過ぎ、はじめてのお客が店のドアをくぐった。

「いらっしゃ……」

 姉さんの声が震えた。そこに立っていたのは、あんなに悪くて姉さんの手を焼かせ、消息が途絶えていた三男だった。その手には、開店を祝う花束が握られていた。



 それが「おふくろの味 姉さん」だとしたら、どうだ。行きたくなるだろうか。姉さんの肉じゃがを食べたくなるだろうか。

いや、べつにいいや。

Posted at 22:13 / Toru / この記事のURL
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